殿様の試写室

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星の旅人たち -2-
The Way


© The Way Productions LLC 2010

最近、日本人の巡礼者も多いというサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
本作の主人公は60歳を過ぎたアメリカ人ですが、
巡礼を続ける内にオランダ人、カナダ人、アイルランド人の道連れができ、
なにやらインターナショナルで愉快な様子ではあります。

四国のお遍路で「同行二人」ということを言いますよね。
とのはまだお遍路さんをしたことはありませんが、
この二人という意味は、例え1人でお遍路していても
いつも弘法大師が一緒に歩いていてくださる、
つまり、弘法さんと二人の道中ということなのだそうです。
なるほど、だから「同行二人」なんですね。

エミリオ・エステベス監督が「同行二人」の意味を知っていたかどうかはわかりませんが、
実は、本作も「同行二人」がキーポイントになっています。
さあ、どんなお話かというと―――



ストーリー
カリフォルニアの眼科医トム・エイヴリーがゴルフを楽しんでいるところに
ショッキングな知らせが届きます。
1人息子のダニエルがピレネー山脈で嵐に巻き込まれ、不慮の死を遂げたというのです。
なぜまたピレネーに?
実は、ダニエルはスペイン北西部サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅にでかけたのです。
トムは、つい先日空港へ送っていったばかりでした。

その時の会話が彼の胸に蘇ります。
「お前と生き方は違うが、私は今の人生を選んだ」と説教口調で言うトムに
「人は人生を選べない。ただ生きるだけなんだ」と答えるダニエル。
二人は決して仲の良い父子ではありませんでした。

フランスとスペインの国境にあるサン=ジャン警察のセバスチャン警部を訪ねたトムは
ダニエルの遺品である大きなリュックを受け取ります。
最初、トムは息子の亡きがらと遺品と共にすぐに帰国するつもりでいました。
ところが、トムはダニエルを現地で荼毘に付し、その遺灰をリュックに収めました。
トムはダニエルの巡礼の旅を引き継ぐ決心をしたのです。
800キロに及ぶ旅は60歳を超すトムにとって決して生易しいものではないはず――


ダイエットのために巡礼に出たと語る陽気なオランダ人のヨスト。
なにやら秘密を抱えたヘビースモーカーのカナダ人女性サラ。
なんとなく同行者となったこの2人。
しかし、トムは彼らに心を開こうとはしないまま、ダニエルの遺灰を撒きながら旅を続けます。

サンティアゴ・デ・コンポステーラへの旅は出会いと別れの繰り返し。
言葉を交わし、同じテーブルを囲んでいても、それぞれの体調に合わせて旅をするので、そのまま別れたり、また、ばったり出会ったり。

次に出会ったのはアイルランド人のジャック。
現在スランプ中の旅行ライターです。
このジャック、オランダ人のヨストから、トムが息子の遺灰を撒きながら巡礼していることを聞き、作家魂がメラメラと燃えてきました。

おしゃべりジャックが、サラにトムの巡礼の理由をしゃべってしまったり、
本を書かせてくれ、とせがんだり――
イライラしたトムはついついワインを飲み過ぎ、留置場に入れられてしまいます。

でも、そんなトムを救ってくれるのも同行者たちでした。
そして、トムは自分が巡礼の旅に出ることになった真相と
1人息子ダニエルとのやりとりを本にする許可を与え、ジャックに話し始めるのでした……


トムと「同行二人」だったのは亡き1人息子ダニエル。
巡礼地のそこここに佇むダニエル。息子と肩を並べ、あるいは、息子の背中を見ながら旅を続ける父親トム。

いいですねぇ。ロードムービーの魅力満載です。
風景の変化、人との出会い、自分をみつめること、そして、光明を見ること――
もうロードムービーの良いとこどりです。


こんなつらいことを人には言えない、これを話すことができる相手は神様だけ、
と思いつめながら深刻な顔をして歩き続けている内に、
ポツリポツリと語り始めているトムを始めとする同行者たち。
まさに「同行二人」なんですね。
1人息子であれ、弘法大師であれ、神様であれ、仏様であれ、
大切な存在と共にあり、守られていると感じられることは大きな救いです。

あ、巡礼映画ではありますが、相容れない父子の融和が美しいラストシーンと共に
胸に迫る作品でもあります。

ああ、旅に行きたいなぁ。





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星の旅人たち
監督・脚本・製作/エミリオ・エステヴェス、製作/フリオ・フェルナンデス、デヴィッド・アレクザニアン、撮影/ラウル・ダバロス、A.C.E.、音楽/タイラー・ベイツ
出演
マーティン・シーン/トム、エミリオ・エステヴェス/ダニエル、デボラ・カーラ・アンガー/サラ、ヨリック・ヴァン・ヴァーへニンゲン/ヨスト、ジェームス・ネスピット
6月2日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2010年、アメリカ・スペイン合作、英語、128分、後援/スペイン政府観光局、NPO法人日本カミーノ・デ・サンチアゴ友の会、提供/ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム、字幕翻訳/寺尾次郎、http://www.hoshino-tabibito.com/
# by Mtonosama | 2012-05-25 06:19 | 映画 | Trackback | Comments(9)
星の旅人たち -1-
The Way


© The Way Productions LLC 2010

なぜか切なくなるほどに好きなんです。
いえ、恋人ではありません。犬でも猫でもありません。

ロードムービーが好きなんです。
A地点からB地点へ移動するというだけのことなのに、なぜこんなに好きなのか、
自分でもわかりません。

例えば、「ローマの休日」(‘53 ウィリアム・ワイラー監督)も、
とのの基準ではロードムービーなので、
「ローマの休日」は物心がついて一番最初に観たロードムービーかもしれません。

「ローマの休日」をロードムービーのジャンルに入れる理由ですか?
それはもちろんオードリーがヴェスパに乗ってローマ市内を移動するからです。
あのシーンがなければ、ただの恋愛映画です。
ま、ただの、っていうのはちょっと言い過ぎですが。

「バニシング・ポイント」(‘71 リチャード・C・サラフィアン監督)などという映画も
破滅へと向かうロードムービーでした。
「イージーライダー」(‘70 デニス・ホッパー監督)も忘れてはいけません。
破滅志向が満ち溢れていたあの時代はタイトルにもひかれて観にいったものです。
ああ、そうそう。
とのの大好きな「サウンド・オブ・ミュージック」(‘65 ロバート・ワイズ監督)だって
ものすごいロードムービーだと思います。


A地点からB地点への移動。
ロードムービーには地理的な旅もありますし、心の旅もありますし、人生の旅もあります。
でも、比喩や隠喩ではなく、徒歩にせよ、自転車にせよ、スクーターにせよ、バイクにせよ、車にせよ、
列車にせよ、飛行機にせよ、必ず、なんらかの移動を伴うことが必須条件。

と、やかましくわめいているのはなぜか。
はい、今回、上映する「星の旅人たち」というのがロードムービーなんですね。
移動手段は徒歩。目的地はサンティアゴ・デ・コンポステーラ。

サンティアゴは、フランス語でサン・ジャック、英語ではセント・ジェイムス、日本語では聖ヤコブ。
つまり、キリストの12使徒の1人ヤコブを意味するスペイン語です。

コンポステーラとは、ラテン語のCampus stellae<星の野>、
あるいはCompositum<墓場>を由来として名づけられたと、いろいろな説があります。
本作邦題は響きのきれいな<星の野>を採用して「星の旅人」としたのでしょうね。

そう、目的地はキリストの12使徒の1人、聖ヤコブの遺骸が祀られているスペイン北部
ガリシア地方のサンティアゴ大聖堂です。


巡礼ロードムービーである本作。
このサンティアゴ巡礼を描いた映画としてはルイス・ブニュエル監督「銀河」(‘68)や、
コリーヌ・セロー監督の「サン・ジャックへの道」(‘05)が既にあります。
おばかなとのは本作パンフレットの写真が「サン・ジャックへの道」に似ているし、
監督がエミリオ・エステベスなので、「こりゃ、パクリに違いない」などと失礼なことを思ってしまいました。
エミリオ・エステベスさん、ごめんなさい。
知らない間に監督としても大成していらしたんですね。
「サン・ジャックへの道」にも劣らない素晴らしい映画でした。

巡礼と一言で言いますが、800キロにも及ぶ長い旅を続けるためには、
単に物好きというだけではつとまりません。何か理由が必要な筈です。
重たい理由や、エヘへと笑ってしまうような理由。
さまざまな理由を抱えた巡礼者が理由の軽重にかかわらず、歩き続ける姿。
それには無条件でカタルシスを感じてしまいます。

なぜ人は聖地をめざすのでしょうか?
巡礼こそ究極の心の旅、人生の旅だからでしょうか?

さあ、どんなお話なのでしょうね
乞うご期待でございますよ。




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星の旅人たち
監督・脚本・製作/エミリオ・エステヴェス、製作/フリオ・フェルナンデス、デヴィッド・アレクザニアン、撮影/ラウル・ダバロス、A.C.E.、音楽/タイラー・ベイツ
出演
マーティン・シーン/トム、エミリオ・エステヴェス/ダニエル、デボラ・カーラ・アンガー/サラ、ヨリック・ヴァン・ヴァーへニンゲン/ヨスト、ジェームス・ネスピット
6月2日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2010年、アメリカ・スペイン合作、英語、128分、後援/スペイン政府観光局、NPO法人日本カミーノ・デ・サンチアゴ友の会、提供/ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム、字幕翻訳/寺尾次郎、http://www.hoshino-tabibito.com/
# by Mtonosama | 2012-05-22 06:37 | 映画 | Trackback | Comments(8)
ミッドナイト・イン・パリ -2-
Midnight in Paris


PhotobyRogerArpajou(C)2011Mediaproduccion,S.L.U.,VersatilCinema,S.L.andGravierProductions,Inc.

1920年代のパリ。
主人公ギルが憧れるこの時代はエコール・ド・パリの多くの画家たちが日々酒を飲み、
アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドらがパーティに明け暮れていた時代。
この頃、ガートルード・スタインがヘミングウェイのことをロストジェネレーションの作家と呼びました。
映画ではキャシー・ベイツが演じたこのガートルードいう女性。
アメリカの著述家、美術収集家で、パリに芸術家たちが集うサロンを開いていた人です。
華やかで、自堕落で、芸術的で、いかにも売れっ子脚本家が憧れそうな時代ではあります。
さあ、どんなお話かというと



ストーリー
花の都パリ。
ハリウッドの売れっ子脚本家のギルはビバリーヒルズに豪邸を購入できるほどの高額所得者ですが、
実のところ、娯楽映画のシナリオ書きにはもうウンザリ。
本格的な作家になるため、パリに移住することを夢みています。
ところが、現実主義者の婚約者イネズが望むのは安定したリッチな生活。
意見の合わない2人の前に、イネズのボーイフレンド・ポールが現れました。
芸術や歴史について博識ぶりをひけらかすいけすかないヤツです。

第1夜
ポールと踊りにいったイネズと別れ、夜のパリを散策するギル。
ホテルへの帰り道がわからなくなり、座り込んでいると時計台が12時の鐘を打ちました。
そこへ現れた1台のクラシックカー。おしゃれで気のいい酔っ払いたちがギルを車へ誘います。
車が向かった先はとあるパーティ会場。
そこで出会ったアメリカ人カップルはスコット&ゼルダ・フィッツジェラルドと名乗ります。
あれ?あの偉大な作家夫婦と同姓同名ではありませんか!
おや、ピアノを弾いている男はコール・ポーター?
え!パーティの主催者はジャン・コクトーだって!?
なんと、ここはギルがさっきまでいた2010年のパリではなく、1920年のパリのパーティ会場でした。
さらにパーティの後、流れて行ったバーではギルが敬愛してやまないアーネスト・へミングウェイに
紹介されたのです。

第2夜
興奮さめぬまま、再び昨夜の場所に向い、あの車に乗り込むギル。
車にはへミングウェイが乗っています。
そして、彼に連れられていったのはガートルード・スタイン女史が主宰するサロン。
そこで女史と絵画論を闘わせていたのはなんとパブロ・ピカソでした。
ギルはピカソの愛人アドリアーナに心を奪われ、彼女もまたギルに興味津津。

第3夜
今宵のパーティ会場は華やかな遊園地。再び出会ったアドリアーナの美しさは輝くばかり。
誰もいない静まり返った真夜中のパリをそぞろ歩くふたり。
そこで出会ったのはスコット・フィッツジェラルドと夫婦喧嘩してセーヌの流れに
身を投げようとしているゼルダでした。
彼女を鎮める際、思わず婚約者イネズのことを口にし、アドリアーナと気まずく別れたギル。
ひとり取り残され、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエル、マン・レイと共にシュールレアリスティックな夜を過ごすことに。

第4夜
T・S・エリオットと乗り合わせ、ガートルード女史のサロンを訪れたギル。
アドリアーナはヘミングウェイと連れだってキリマンジャロへ出かけ不在でしたが、
ギルの小説を読んだ女史は「あなたの小説は異色でSFのようだわ」と褒めてくれるのでした。

第5夜
夜は1920年のパリ、昼は小説の手直しに没頭するギル。
その間に、イネズといけすかないポールとの仲は深まっていくばかり。
でも、今晩もまたタイムトリップ。
そこで出会ったのはキリマンジャロから帰ってきていたアドリアーナでした。
ギルは今こそチャンスとばかりにアドリアーナと激しくも甘い口づけを交わします。
恋に酔いしれるふたりの前に現れたのは時代がかった1台の馬車。
ふたりが着いたのは伝説のレストラン、マキシム。なんと、そこは1890年のパリ!
マキシムに居並ぶロートレック、ドガ、ゴーギャン、まさにベル・エポックの画家たち。
彼らは口々にルネッサンス期の素晴らしさを語り、
アドリアーナはこのまま華やかなベル・エポックのパリに留まりたいと言い出します。
1920年こそ理想の黄金期だと信じてきたギルの頭は大混乱。
どうなる?ギル、どうする?ギル……


素敵な設定だと思いません?
ギルならずともこんな状況に陥ってみたいものです。
大混乱中のギルには気の毒だけれど、ま、良い結末をみつけてくれるとは思いますよ。

ギルもアドリアーナもロートレックも、過ぎてしまった時代を恋い慕うんですね。
昔は良かったなぁ、という思いは誰しも抱くものですが、
懐古趣味は夜の魔法の中だけにしておきましょう。
お昼の世界のギルも気にはなりますし。

しかし、ウディ・アレンの職人気質なこの展開。
そして、映画の素直な流れ、と同時に、レトロな中にもきらびやかなパリの夜。
1950年代のハリウッドの良い部分をすべて落とし込んだ映画じゃないでしょうかね。
良かったですよね。1950年代って・・・・・

あれ?





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ミッドナイト・イン・パリ
監督・脚本/ウディ・アレン、製作/レッティ・アロンソン、スティーヴン・テネンバウム、ハウメ・ロウレス、製作総指揮/ハビエル・メンデス、撮影監督/ダリウス・コンジ
出演
キャシー・ベイツ/ガートルード・スタイン、エイドリアン・ブロディ/サルバドール・ダリ、カーラ・ブルーニ/美術館ガイド、マリオン・コティヤール/アドリアナ、レイチェル・マクアダムス/イネズ、マイケル・シーン/ポール、オーウェン・ウィルソン/ギル、ニーナ・アリアンダ/キャロル、カート・フラー/ジョン、トム・ヒドルストン/F・スコット・フィッツジェラルド、ミミ・ケネディ/ヘレン、アリソン・ビル/ゼルダ・フィッツジェラルド、レア・セドゥ/ガブリエル、コリー・ストール/アーネスト・ヘミングウェイ
5月26日(土)東京ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー
2011年、スペイン=アメリカ合作、カラー、1時間34分、英語、フランス語、日本語字幕/石田泰子、提供/角川書店、ロングライド、東宝、配給/ロングライド
http://www.midnightinparis.jp/
# by Mtonosama | 2012-05-19 07:14 | 映画 | Trackback(1) | Comments(13)
ミッドナイト・イン・パリ -1-
Midnight in Paris


PhotobyRogerArpajou(C)2011Mediaproduccion,S.L.U.,VersatilCinema,S.L.andGravierProductions,Inc.


ウディ・アレンという人は本当に多作な監督です。
好き嫌いはあると思うんです。とのもこの監督はどちらかといえば、あまり好きなタイプではありません。
でも、これほど規則正しく、ほぼ毎年、映画を発表するということはなかなかできることではないと思います。
それゆえに鼻につくということもあるかもしれませんけどね。

とのが当試写室を開室してから、今月でちょうど4年目に入りましたが、
あまり好きなタイプではないと言っているにもかかわらず、既に、
「それでも恋するバルセロナ」http://mtonosama.exblog.jp/11353830/
「ウディ・アレンの夢と犯罪」http://mtonosama.exblog.jp/12899266/ http://mtonosama.exblog.jp/12924989/
と2本上映していました。

彼の監督作品だけでも、もうウンザリするほどあるし、
おまけに出演作、声の出演まで含めたら、この小さな試写室はパンクしてしまいます。

今年で77歳になるウディ・アレン。
巨匠と呼べるお歳でもありますから、受賞したアカデミー賞も、作品賞・監督賞各1回(「アニー・ホール」)、
脚本賞3回(「アニー・ホール」、「ハンナとその姉妹」、「ミッドナイト・イン・パリ」)と大変なものです。
本作で今回見事3度目のアカデミー賞脚本賞に輝いたウディ。
でも、いつも通り授賞式には姿を見せませんでしたけどね。

ウディ・アレンといえばNYですが、本作「ミッドナイト・イン・パリ」はタイトル通りパリが舞台。
「NYに住んでいるのでなければ、一番愛する街はパリだ」と言明するウディ・アレンが、
どんな映画を撮ったのか、嫌いといいながらも期待してしまいます。


エッフェル塔に、凱旋門に、モネの睡蓮の池に、セーヌ河。
これは「地球の歩き方」?と見まごうパリの名所がこれでもか、と登場します。
そして、バックに流れるせわしないナレーション。
はいはい、お約束のウディ節ですね。
いやみでスノッブなインテリ男も登場しますし、
はたから見ればちょっと変だけど、自分だけはまともな人間と思いこんでる主人公もいつも通りかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。どこか違うような気がします。
なんか、いつもより夢見がちなんです。
どこかファンタジックで、いつものウディ・アレンらしくありません。
もちろん、早口で饒舌なウディ・アレン節がなく、いやみなスノッブ男さえ登場しなければ、ですけどね。

さあ、夢と言いましたが、どんな夢でしょう。


主人公の売れっ子脚本家ギルが憧れているのは、1920年代のパリ。
彼は、ダリやヘミングウェイ、F・スコット・フィッツジェラルドが活躍したパリこそが
まさに芸術家にとっての黄金期だと信じて疑いません。
自分もそんな匂いを感じられるパリに暮らしたい、と夢見ています。

今の自分とは違う自分---
ギルのみならず誰でもひそかに夢見る自分です。

さあ、そんなギルにパリの夜が魔法をかけますよ。
一体、どんなお話でしょうか?
乞うご期待でございます。



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ミッドナイト・イン・パリ
監督・脚本/ウディ・アレン、製作/レッティ・アロンソン、スティーヴン・テネンバウム、ハウメ・ロウレス、製作総指揮/ハビエル・メンデス、撮影監督/ダリウス・コンジ
出演
キャシー・ベイツ/ガートルード・スタイン、エイドリアン・ブロディ/サルバドール・ダリ、カーラ・ブルーニ/美術館ガイド、マリオン・コティヤール/アドリアナ、レイチェル・マクアダムス/イネズ、マイケル・シーン/ポール、オーウェン・ウィルソン/ギル、ニーナ・アリアンダ/キャロル、カート・フラー/ジョン、トム・ヒドルストン/F・スコット・フィッツジェラルド、ミミ・ケネディ/ヘレン、アリソン・ビル/ゼルダ・フィッツジェラルド、レア・セドゥ/ガブリエル、コリー・ストール/アーネスト・ヘミングウェイ
5月26日(土)東京ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー
2011年、スペイン=アメリカ合作、カラー、1時間34分、英語、フランス語、日本語字幕/石田泰子、提供/角川書店、ロングライド、東宝、配給/ロングライド
http://www.midnightinparis.jp/
# by Mtonosama | 2012-05-16 06:20 | 映画 | Trackback | Comments(6)
ファミリー・ツリー -2-
The Descendants


© 2011 Twentieth Century Fox

とのの場合、ジョージ・クルーニーは「オー・ブラザー!」(‘01)とか
「バーン・アフター・リーディング」(‘09)とかコーエン兄弟監督の作品が印象深いです。
「ゴルゴ13」のように大きな目で、まじめそうな顔をしているのに、
必死に笑いをこらえてる感じの彼の目元や口元が本当に好きなんです。
そんなコメディっぽい役のクルーニーが好きなのですが、
「ラスト・ターゲット」で演じた殺し屋も素敵でした。
http://mtonosama.exblog.jp/16095831/ http://mtonosama.exblog.jp/16112857/

今回、彼が演じるのは高校生の長女と10歳の次女を持ち、妻に浮気され、
その上、その妻に先立たれてしまうという弁護士の役。
仕事が第一で家庭を顧みないというありがちな親父です。

なんと、クルーニーが父親役ですよ。
初恋の人が十数年ぶりのデートに赤ん坊をおんぶして現れたような異和感を感じます。
しかし、そこはアレクサンダー・ペイン監督とジョージ・クルーニーです。
期待してみようではありませんか。



ストーリー
マット・キングはハワイ・オアフ島に暮らす弁護士です。
彼は今、大変な時を迎えていました。
妻のエリザベスがパワーボートのレース中に海に転落し、意識不明になってしまっていたのです。
家族をあまり顧みることなく、弁護士業務に明け暮れていたマットは、
妻の意識が戻ったら、良き夫、良き父親になることを深く心に誓うのでした。
ですが、それは簡単なことではなく、反抗期真っ盛りの長女アレックスやら、
10歳になる次女のスコッティの起こす問題やら、
家族にしっかり関わってこなかったマットはてんてこ舞い。

さらに、マットの抱えるもう一つの問題は先祖の遺した広大な土地でした。
実はマットはカメハメハ大王の子孫。
ハワイ政府から信託されたカウアイ島の広大な原野を所有しているのですが、
その売却を考えていました。
この土地を売ってしまえば、一族には莫大なお金が入るのですが、
ハワイの大自然が損なわれると反対する親族もいるし、
島の人々もことの経緯に深い関心を寄せていました。
マットは、というと、亡父の教えに従って質素に暮らしてきたが、
妻が回復したら土地を売ったお金で贅沢な暮らしをさせてあげたいと考えています。
でも、妻は眠り続けたまま。

ハワイ島の全寮制高校で学んでいる長女のアレックス。
マックスは妻の病状の悪化を受けて彼女を迎えにいきます。
仲の良い母娘だったのに、クリスマスにケンカをしてから口をきいていなかった
アレックスは母の病状を聞いて動揺。
そして、その時、彼女が口にしたのは
「ママは浮気してたんだよ」
長女の言葉にショックを受け、親友夫妻に問いただすと、
なんと彼らは妻エリザベスがマックスとの離婚を本気で考えていたことを告げたのでした。
マックスは妻とその浮気相手ブライアンへの怒りに燃えながらも、
妻のためにブライアンに会い、彼女の病状を伝えることを決意します。


娘2人、そして、なぜかアレックスのボーイフレンド・シドも一緒に、カウアイ島に滞在するブライアンを訪ねるマット。
カウアイ島到着後、先祖伝来の土地・ハナレイに別れを告げるため、その地を訪れます。
神が宿るかのようなその雄大な景色にしばし声もなく見入る親子。

翌日、ブライアンと出会ったマット。
その後は親族会議に出席し、土地の売却に決断を出さないとならないのですが…

生意気な娘たち、さらに長女のボーイフレンド。
世代のギャップに右往左往し、親戚たちからは土地の売却を期待され、
おまけに、これまで顧みてこなかった妻は昏睡状態に陥っているばかりか、
浮気までしていた・・・・・

そんな事態に、弁護士らしくクールに対処するというのではなく、
ドタバタと困惑しつつ、でも、おまぬけ過ぎることもなく、
ひとつひとつに答えを出していくマット。良い感じでした。

反抗期の長女が父親をちゃんとフォローしてくれ、
変人としか思えない彼女のボーイフレンドが案外な働きを見せてくれたり、
あっけらかんとした次女がナイーブな女の子だったり、と、
登場する1人1人のキャラクターのそれぞれが葉を茂らせた枝。
カメハメハ大王以来の太い幹に生えた枝。まさにファミリー・ツリーなんですね。
枝や葉が寄り添いあい、支え合うように、家族が1本の木として成長していきます。

日常生活でたまった心の澱が溶けていくようなそんな映画でした。

ジョージ・クルーニー。やっぱり良いです。





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ファミリー・ツリー
監督/アレキサンダー・ペイン、原作/カウイ・ハート・へミングス、脚本/アレキサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ、撮影/フェドン・パパマイケル、ASC、製作/アレキサンダー・ペイン、ジム・テイラー、ジム・パーク
出演
ジョージ・クルーニー/マット・キング、シャイリーン・ウッドリー/アレクサンドラ(長女)、アマラ・ミラー/スコッティ(次女)、ニック・クラウス/シド、ボー・ブリッジズ/ヒュー(マットの従兄弟)、ジュディ・グリア/ジュリー・スピア
5月18日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2011年、アメリカ、115分、配給/20世紀フォックス、http://www.foxmovies.jp/familytree
# by Mtonosama | 2012-05-12 16:50 | 映画 | Trackback | Comments(10)
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