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彼女の名はサビーヌ Elle s’ appelle Sabine

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彼女の名はサビーヌ
Elle s’ appelle Sabine

とてもショッキングな映画です。
でも、そんな感想を漏らすこと自体、関係者にとってはまたつらいのではないかと思い、悩んでしまうのですが…

「彼女の名はサビーヌ」。
「冬の旅」(‘85)で仏セザール賞を受賞し、代表作「仕立て屋の恋」(‘89)で主役を演じたサンドリーヌ・ボネール。
「ああ、あの人」とうなずかれる方も多い、そう、あの女優の初監督作品です。
自閉症の妹サビーヌを25年かけて撮影したドキュメンタリー「彼女の名はサビーヌ」が今回ご紹介する作品。

サンドリーヌとサビーヌは仲の良い1歳違いの姉妹。
映画は、美しく才能に充ち溢れた妹サビーヌをサンドリーヌが家庭用映写機で撮りためた映像と、
5年間の入院生活を経てすっかり変わってしまった現在のサビーヌを撮影した映像から構成されています。


15歳のサビーヌの輝くような美しさ。
彼女は仲良しの姉が向けるカメラに信頼しきった笑顔を見せています。
バカンスで出かけた海で満開の微笑みを見せるサビーヌ
バッハのプレリュードを弾くサビーヌ
サビーヌは幼い頃から特別な配慮が必要な子どもでしたが、10人の兄弟姉妹に守られて穏やかな少女時代を過ごしていました。
しかし、時が経ち、兄弟姉妹も独立して家を出ていくと、母親との二人暮らしが始まります。
やがて兄の死をきっかけにサビーヌの孤独感が深まり、彼女の不安は自分と家族に対する暴力として現れました。
当時はわからなかったのですが、彼女は自閉症だったのです。
28歳のサビーヌは精神病院に入院。入院生活は5年間に及びました。
そして、退院してきたときの彼女の姿は入院前とは大きく変わっていました。

これって若い娘にとっては「死」に匹敵する変貌ではないでしょうか。

自閉症は普通思われているように「心の病」ではありません。
映画「レインマン」でダスティン・ホフマンが演じていたように、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動やこだわりという特徴を持つ
「発達障害」のひとつが自閉症です。
専門家によれば「何らかの脳の機能的不全が根底にあり、これが原因でさまざまな因子が関与して自閉症の特性が現れる」のだとか。
なんだかよくわかりませんが、要するに、そのメカニズムはまだ解明されていません。
ただ、保護者の愛情がないから生じる障害ではないので
「親があんなふうだから、あの子は自閉症になったのよ」
などというのは言われもない誹謗中傷です。
また自閉症患者には必ずしも知的障害があるわけでもありません。

しかし、自閉症の子どもの症状はさまざま。環境や周囲の対応によって変わってきます。
知的障害のない自閉症患者は思春期になると妄想や幻覚、気分障害に似た症状を起こすこともあり、そうした場合、誤った治療を施されてしまう危険性があるわけです。
そう、サビーヌの失われた5年間のように。

以前、自閉症は大変な病気であると考えられていましたが、現在は違ってきています。
その症状は独特の特性であり、治すのではなく、社会的不適応の部分を軽くしようという考え方が主流になっているのだそうです。
「ノーベル賞級の研究をする学者は多少自閉症的要素を持つ」という話もあるほど。
この病気にとって必要なのはなるべく早く自閉症であると気づき、適切に対応することなのです。

監督がこの作品を撮ったのは
「監禁される以前のサビーヌと監禁以降のサビーヌを撮影すること」が目的でした。

とはいうものの、姉として、妹の美しくない部分、粗暴な部分を撮影するのはつらかったことでしょう。この映画を撮影した彼女の勇気には頭が下がります。
フランスも日本も、自閉症児のための早期発見態勢と対応システムを早く整えていかないと。

世の中には本当に大変なことばかり。
試写が終わったとき、大きな溜息をついてしまいました。

「彼女の名はサビーヌ」
監督・脚本・撮影/サンドリーヌ・ボネール
出演
サビーヌ・ボネール

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映画『彼女の名はサビーヌ』
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by mtonosama | 2009-02-06 05:25 | 映画 | Comments(10)
Commented by すっとこ猫 at 2009-02-06 08:18 x
ううむ。
これは大変な映画のようですね。

自閉症の方の書いた本を読んだことがありますが
自分もややそういう傾向があるかな、と思うような内容
でした。つまり自分と外界との距離の取り方が。
でも軽々しくそんなこと言うのは失礼なのかも知れない。

多分、治療という名のもとに
監禁を受けたサビーヌの5年間。

これは「別れよう」と思うオトコと観に行くのがいいような。
そして気まずくサヨナラするの。
Commented by との at 2009-02-06 09:03 x
すっとこさん。
かなりずしーんとくる映画だったよ。

生まれて初めてみた自閉症。
映画観てる内にかたまってしまいました。
患者さんを目にしたとき、どういうスタンスをとればいいのか。
考えさせられるところが多いです。
Commented by ひざ小僧 at 2009-02-07 11:52 x
身近に発達障害と診断された子どもがいる。知能の遅れもなく、普通に話もできるけれど、ママに言わせるとこだわりがすごいらしい。そういう子をのびのびと育てるには周囲に理解者がどれだけいるかが決め手になるんだろう。妹の苦悩をさらけ出すことで姉は無理解や無知への怒りを昇華させたのだろうか。
Commented by ライスケーキ at 2009-02-08 09:16 x
監督の姉が自閉症の妹を実際に撮った映画だから 心にズシンと来る姿が描かれているのでしょうね。 私も発達障害の子供たちと接する機会がありましたが、それぞれの障害の度合い、内容が違うのでサポートするのもなかなか難しいです。  では、どうしたら良いか。 こういう映画を見て少しでも発達障害・自閉症への理解を深める事がその第一歩でしょうね。
Commented by との at 2009-02-08 17:27 x
ひざ小僧さん
子どもって大人以上にこだわりがすごいです。絶対短パンはかない小学生男児とか。

サンドリーヌ・ボネールは有名人の自分がこういう形で自閉症にかかわることをずいぶん悩んだそうです。でも、入院前と後の違いを
撮影したかったんだって。

周囲にウロウロする自分は理解者になれるんだろうか。
Commented by との at 2009-02-08 17:32 x
ライスケーキさん

私にも身内が発達障害の元子どもと関わる仕事をしている人がいます。ただただ頭が下がります。
でも、身内は彼らの性格を見ながら、つきあっているようで、
普通に他人と接するように接することが基本なのかもしれません。

と一言では片付かないのかもしれないけど。
でも、人間同士ですもんね。
Commented by OperaまたはAngie at 2009-02-09 11:29 x
France映画は不思議な映画,深く考えさせる映画が多いですね。
散文,詩、というものも普通の人間達の中にある国ですから興味深いです。
視なくてもショッキングだろうなと思うと,余計みることができませんが、この映画はこれからもっと増えるであろう精神障害などの
文化(ぶんか)を示唆しているかもしれませんね。

ありがとうございます。
Commented by mtonosama at 2009-02-09 17:13
OperaまたはAngieさん

障害の問題って見ないようにしていた部分が
あるのかもしれません。
この映画のように正面きって見せられると、
今まできちんと対応してこなかっただけにショックを受けます。
これからは見ないふりはやめないといけないのでしょうね。

コメントありがとうございました。
Commented by hanahanaup at 2009-02-16 12:06
あ、仕立て屋の恋の女優さんですか。
わたし、この映画いまでも大好きですよ!
華やかに夢を売る女優業の裏に、シリアスな日常生活か・・・。
強い女性ですね、自分のフィールドで出来ることを生かしてる。

わたし「The Vines」というバンドが大好きで、
昨年来日公演があったのでとても楽しみにしてたのですが、
ボーカルの自閉症が悪化して、公演が中止になってしまいました。
わたしは彼を通して初めて自閉症を知りましたよ。
まだまだ、理解度、認知度は少ないですよね・・・。
Commented by との at 2009-02-16 14:25 x
えッ、そうなんですか?!hanaさん
公演中止…
っていうか、そのボーカルさん、
普通に音楽活動をしているんですね。
で、体調が悪くなったよって公演を中止する。
深刻になり過ぎず、今回は調子悪いんだな、
と受け止めればいいのですね。

ほんと、全然理解していなかった。目からうろこの情報です。
どうもありがとうございます。

わたしはボサノヴァが好きで
数年前、ジョアン・ジルベルトの公演に行きました。
すると、彼、コンサートの真っ最中に突然眠りはじめ、
1時間以上ステージでギター抱えたまま寝てました。
彼はもしかしたらナルコレプシー?

どんな病気にせよ、病気って普通にすんなりと受け止めた方が
いいのかもしれませんね。