THIS IS ENGLAND
THIS IS ENGLAND
© WARP FILMS LIMITED、FILMFOUR、THE UK FILM COUNCIL、EM MEDIA、SCREEN YORKSHIRE
10代の時って、エッ!?なファッションをするものです。
ある家で夜中になるとトントントントン妙な音がするので、こわごわ音源を探りにいくと
中学生の息子がジージャンに一生懸命、鋲を打ちつけていたとか。
“THIS IS ENGLAND”に登場するファッションはスキンヘッズにボンバージャケット。
リーバイスのストレート・ジーンズの裾を折り曲げ、細いサスペンダーでつる。
靴は安全靴仕様の編み上げブーツかローファー。そして、パンツはあくまで短く。
あ、これは男子のファッションです。
女子はポロシャツにミニスカート、または男子と同じくジーンズ。
あるいはロリータ風のひらひらファッションもあり。でも、アイメークはいずれもゴスロリ風目元真っ黒メーク。
ま、今の眼で見るとフツーですけど。
80年代初頭、マーガレット・サッチャー政権の時代。イングランド中部。
「ブラス」(‘96)、「フルモンティ」(’97)、「リトル・ダンサー」(‘00)などと同じく
“鉄の女”サッチャー首相による新自由主義によって苦しめられたリバプール、マンチェスター、バーミンガムなど
製造業が集中するミッドランド地域が舞台になっています。
イギリス映画は、なぜか、この時期と地域の話が目につきます。
“THIS IS ENGLAND”はそれに加えてフォークランド戦争も。
フォークランド戦争。ありましたねぇ。
南米大陸の南端、アルゼンチンから約500キロの沖合に浮かぶフォークランド諸島の領有をめぐり
1982年イギリスとアルゼンチン間で3か月間戦われた戦争です。
1592年にイギリス人のジョン・デービスが最初にこの島を発見したことが、イギリスが領有を主張する根拠になっているということですが
イギリスはなんでそんな遠くまで出かけて行くんだ?と当時は不思議に思ったものです。
戦争したい人には開戦の理由なんてどのようにでもなるということでしょうが。
“THIS IS ENGLAND”はそのフォークランド戦争で父親を亡くした11歳のショーンが主人公。
彼のひと夏の経験(といっても鼻歌まじりで話せるような経験ではないんですけどね)が
スキンヘッズ文化に必須のレゲエ、Oi!パンクなどの音楽をバックに描かれた映画です。
もうすぐ夏休みだけど、彼は学校へ行きたくない。
というのは、パパが買ってくれたベルボトムのパンツをクラスメートにひやかされるから。
ヒッピーみたいなパンツはダサいってわけ。からかうやつらはクラスメートのユダヤ人なんだ。
ショーンの街にはパキスタン人、インド人、中国人、多くの移民たちが住んでいる。
ティーンエイジャーたちは定職もなく、遊びといったら、スキンヘッズに編上げブーツといういでたちで
廃工場のガラスを割ったり、雑貨屋を経営するパキスタン人店主に嫌がらせするくらい。
ショーンと彼らが親しくなったのは、クラスメートに追っかけられてるところを助けてもらったからなんだけど。
ウディ(あ、スキンヘッズグループのボスの名前だよ)たちはその風采とは違って、
案外礼儀正しいし、良いやつばかり。
ショーンは編上げブーツをママに買ってもらい、ダサくないジーンズも手に入れた。
シャツはウディがプレゼントしてくれたし、髪はバリカンで刈ってもらった(ママはそれを見て怒って怒鳴り込んできたけど)。
いつものようにショーンがウディたちとつるんでいると
「俺は1969年以来の元祖スキンヘッズさ」
とこわもてのコンボがやってきた。
ウディの顔色が変わる。
その日からどこか幼い不良ゴッコが危険な色合いを帯びてきた。
そう、コンボがショーンたちを言いくるめて連れていった先は極右集団ナショナル・フロントの集会。
リーダーが呼号するのは
「移民のやつらを国へ送り返せ!」
「我々が恐れられるのは、真実を言っているからだ!」
ヤバい、ヤバすぎる。
ショーンの夏休みは一気にイギリスの抱える暗い問題に吸い込まれていくのだった…
80年代のパンク・ミュージックとファッション。ショーンの幼い恋。
こんなお膳立てを見るとよくある青春映画か?と。
しかし、80年代という時代は移民の流入と英国内の失業者増加が重なった時期。
不満を抱えたティーンエイジャーたちを人種差別へと駆り立てる様子が夏休みの日常を通して描かれていて、じわりと不気味感が迫ります。
フォークランド戦争もそんな不満のはけ口になっていたんですね。
監督のシェーン・メドウズはこの映画の舞台であるイースト・ミッドランドを活動の拠点としてきた人で、”THIS IS ENGLAND”は彼の自伝的作品。
1983年、彼が11歳だった夏休みのできごとを描いたものです。
人種差別を目の当たりにした監督は
「自分が人種差別を信じていたのは3週間くらいだったけど、中には今でも信じている人もいて、それは恐ろしいことさ」
でも、ショーンくんのスキンヘッドは彼がどれほど粋がってもマル米坊やにしか見えないのですが、監督の計算違い?それとも、殿の認識不足?
THIS IS ENGLAND
監督・脚本/シェーン・メドウズ
キャスト
トーマス・ターグース、スティーヴン・グラハム、ジョー・ハートリー、アンドリュー・シム、ヴィッキー・マクルーア、ジョセフ・ギルガン
3月14日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次ロードショー
公式HP www.thisisengland.jp
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パンクロックの人達いましたっけ。
というてもアレですね「こういう人いたよねー」的な
観光アイテムっぽくなってました。
スキンヘッドも確かに流行ってたけど
殿様ご指摘のとおり日本人から見たら
♪マルコーメッ ミッソッ♪の世界ですね。
こういう映画は誰と行こう。
イングランドに住みながら疎外感を感じてた
スコットランド人のローナかなあ。
・・・おっと喧嘩別れしたんだった。
殿の行ったころのロンドンは大昔だったから
パンクもスキンヘッズもいませんでしたわ。
お洋服っちゅうのも、主張が伴わないと
ほ~んと、ただの変な格好になってしまいますわなぁ。
そういえば以前キャサリン・セタ・ジョーンズはスコットランド出身って言っておいやしたなぁ。
UKものの青春映画って、どこか抑圧されてて、陰鬱で、
曇ったまんまのイギリスの天気みたいな感じですよね!?
アメリカの青春ものとは性質がぜんぜん違う。笑
(ちなみに、わたしはUKも、USもどちらも好きですが!)
ケンローチ監督の映画を見たときなんか、特に感じますね。
UKパンクが生まれた土壌がよくわかる!
ショーンくんのスキンヘッドがマル米君にみえるのは、
お顔がスイートすぎるのかな?
うふふ。
そうそう、なんかどっか暗いんですよね。
でも、雨降りってわけじゃないから、ま、いいか、
で見入ってしまいます。
ケン・ローチもうす曇り。
彼の作品はスペインが舞台でも曇ってます。
イギリス人ってそういう人たちなのでしょうか?
ご注文通りにしたら、投稿主が殿になってしまいました。
あの時代のミッドランドは映画になりやすいのでしょうかねぇ。
絶滅品種もののティピカルな労働者諸君はあのころを最後に
消えていってしまったから?
キャサリン・ゼタ・ジョーンズがマイケル・ダグラスと結婚
した時ウェールズのあるパブがニュースになってたよ。
「おらガ国サの嫁っこじゃバンザイ」ってことで
”結婚お祝いメニュー”ってのを作ったのね。
ウエールズ郷土料理としてお皿に盛られたもの説明してたけど
煮た海藻がちゃーんと入ってたの。
噂には聞いてたけど本当だったんだ、と感心してしまいました。
左だったよ。ということは西海岸ということだね。
煮た海藻って…
日の出づる国に暮らすものとしてのイメージじゃ、
≪白醤油で軽く炊いたん≫ですけど、違いますやろな。
東西がはっきりわからない殿