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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

子供の情景 Buddha Collapsed Out Of Shame

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子供の情景
Buddha Collapsed Out Of Shame

「子供の情景」で検索するとロベルト・シューマンのピアノ曲が。
しかし、当試写室でご紹介する「子供の情景」は
アフガニスタン中部バーミヤンを舞台にした映画です。

バーミヤンとはもちろんあの中華ファミリーレストランではなく
ユネスコ世界遺産に登録された古代遺跡群とバーミヤン渓谷の文化的遺産で有名な街です。
でも、私たちにとって最も印象的なバーミヤンのイメージは
石仏が爆破されて巨大な石窟だけが虚しく残る情景。

監督はハナ・マフマルバフ。
マフマルバフ映画ファミリーの二女で、テヘラン生まれの19歳です。
父はイランを代表する映画監督モフセン・マフマルバフ。
アフガニスタンへのアメリカの侵攻の記憶も生々しい2002年に公開された
「カンダハール」(‘00)の監督です。
姉サミラも「午後の五時」(’03)でアフガニスタン難民の絶望的な日々を描いた監督。
ハナはその時14歳で「午後の五時」のメイキングフィルム「ハナのアフガンノート」を監督しました。
母マルズィエ・メシュキは「私が女になった日」他、多くの作品を監督し
本作「子供の情景」では脚本を書いています。
兄メイサムは姉妹とともに父の運営するマフマルバフ・フィルム・スクールで映画を学び
本作ではプロデューサーを務めています。
という具合に、家族全員が映画に携わっている一家です。

さて、19歳のハナちゃん
長編映画監督としてデビューを飾った「子供の情景」では何を見せてくれるのでしょうか。

      《ストーリー》
      6歳のバクタイは岩山に掘った穴のおうちに
      おかあさん、赤ちゃんと一緒に暮らしています。
      今朝も赤ちゃんのお守をしていると
      隣に住む男の子アッバスが学校で習ったお話を一生懸命読んでいます。
      「学校に行きたいなぁ」
      「鉛筆とノートがないと学校には行けないよ」
      アッバスに言われたおかっぱ頭のバクタイはお金をもらおうと
      街にでかけたおかあさんを探しに。でも、おかあさんは見つかりません。
      帰る途中、雑貨屋のおにいさんから鉛筆とノートの値段を教えてもらいました。
      バクタイは卵を売ってノートを買おうとおうちから卵を4つ持ちだします。
      卵を持って街中を歩き、ようやく10ルピーを手にすることができました。
      それでノートを買ったバクタイは意気揚々と学校へ。
      ところが、そこは男の子だけの学校。
      「女子学校は川の向こうだ」と教師に追い払われてしまいます。
      またまた、歩き始める小さなバクタイ。
      破壊された大きな仏像の前を歩いていると
      「俺たちはタリバンだぞ」と叫ぶ少年たちに取り囲まれてしまいました。
      彼らはバクタイからノートを奪い、ページを破ります。
      大事なノートから破りとった紙で飛行機を作る少年たち。
      バクタイの頭上、蒼い空をバックに紙飛行機が舞います…

岩崎ちひろさんの絵に出てくるような黒いおかっぱ頭の利発そうなバクタイちゃん。
おかっぱ頭を隠すスカーフさえなければ、まるで日本の女の子のようです。
マル米頭のアッバス君も小学校の卒業アルバムの中の同級生と同じような顔をしていたりします。
遠い昔から民族の交差点だったアフガニスタンらしく、薄い色の瞳の少年もいます。
アフガニスタンはバシュトゥン人、タジク人、ウズベク人、トルクメン人etc.が住む
多民族国家なのです。

でも、子どもは子ども。
なのに、女の子だから、という理由で学校に行けなかったり
タリバンごっこで女の子たちに銃を向けて洞窟に拉致したり
「死んだフリをすれば自由になれる」と諦めきった言葉を口にしなければならなかったり…

        1979年のソ連のアフガニスタン侵攻に始まり、内戦、アメリカの空爆を経て
        2001年12月のタリバン崩壊まで。
        アフガニスタンは20年以上にわたり、戦争の時代でした。
        考えてみれば、この子供達の情景は戦争しかなかった訳ですよね。

父や姉同様ハナの映画も戦争を題材にしたものになってしまいました。
「子供の情景」が楽しいものに充ち溢れた時代が早く子供たちの上に訪れますように。

子供の情景
監督/ハナ・マフマルバフ
キャスト
二クバクト・ノルーズ/バクタイ、アッバス・アリジョメ/アッバス
4月18日(土)より岩波ホールにてロードショーほか全国順次公開

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by mtonosama | 2009-04-09 06:20 | 映画 | Comments(6)
Commented by すっとこ at 2009-04-09 15:57 x
これは重そうな映画ですね。

”子供の情景”・・・叙情的な邦題です。

原題は・・・これはいったいどう訳すの?
「すんごく恥ずかしい事に、ブッダは壊滅する」ぅぅうう?
エーン、英語がわかりまっせーん。

ブッダ像が破壊されたのを指してるのかしらん。
「ブッダ亡き後の汚辱にまみれた世界を見よ」とか?

かつて
Dressed to kill 邦題が”殺しのドレス”で
今いち原題の意味がわからなかったんだけど
これ「最高にめかし込む」って意味って後で教わった。
それと殺人の殺し、が引っ掛けてあったんだろうけど。
   ってここまで書いてコレ書いたことあったかな?
  ・・・・・ま、いっか。

この映画は誰と行こう?
原題説明してくれる帰国子女のアイツでしょうか。
チッ忙しすぎて 相手してくれんわ。
Commented by mtonosama at 2009-04-09 18:44
Budda collapsed out of shame.
これってハナちゃんのお父さんモフセン・マフマルバフの書いた本「アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない。恥辱のあまり崩れ落ちたのだ」から取られたんだって。

ちょっと長くなるけど、レジュメをば。
《国際社会はタリバンの仏像破壊については声高に叫ぶのに
長期にわたる戦争と干ばつによって引き起こされた飢饉のために
百万人もの人々が死に瀕していることには声をあげなかった。
仏像は誰が破壊したのでもなく、アフガニスタンの人々に対し
世界がここまで無関心であることを恥じ、自らの偉大さなど何の足し
にもならないと知って砕けた》

「最高にめかしこむ」ほど意外じゃないけど、わかりにくいかも。

でも、この言葉を聴くと(いや、見ると)
砂煙の中に崩れていくバーミヤンの仏像が目に浮かぶよ。
Commented by すっとこ at 2009-04-10 10:21 x
殿様、解説をありがとう!
そーゆー意味合いだったのですか。
自ら恥辱によって崩れ去ったのですか・・・。

さんきゅ、あげいん。
Commented by mtonosama at 2009-04-10 11:14
ゆあ、うぇるかむ。

今日もご訪問ありがとー!
風邪ひきだからうれしいわん。
Commented by ライスケーキ at 2009-04-10 22:32 x
いやぁ、勉強になるブログですね。 バーミヤンというと私は桃マークのレストランを思い浮かべるけど、我ながら情けない。  アフガニスタン、バーミヤンの歴史から、英語まで勉強になりました。 それにしても家族全員で映画に携わっているなんてすごいね。 このハナちゃんの映画もなかなか見ごたえがありそうです。  殿様、風邪の具合はどうですか。 お大事に!
Commented by との at 2009-04-11 05:44 x
ライスケーキさん、お見舞いありがとうございます。
鬼の霍乱ってやつですわ。起きて何かしたくても足元がふらつき
何もできませぬぅ。

ところで、バクタイちゃん、かわいいでしょ?