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殿様の試写室

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夏時間の庭

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(C)2008 MK2 SA-France 3 Cinema

夏時間の庭

オルセー美術館開館20周年記念作品という惹句に魅かれて観た映画です

     オルセー美術館が2006年に開館20周年を記念し
     美術館を自由に使って撮影する映画を製作しようと企画したのだそうです。
     それに関心を持ったオリヴィエ・アサイアス監督が
     美術品と家族をモチーフにオリジナル脚本を書き
     オルセー美術館の協力を得て完成させた作品がこの「夏時間の庭」です。

         オルセー美術館はセーヌ川に面して建つ国立美術館。
         印象派の作品が多いことでも知られていますが
         二月革命の起きた1848年から第一次大戦勃発の1914年までの美術品が
         収蔵されている美術館です。
         それ以前の美術品はルーブル美術館に
         それ以後はポンピドゥ・センターに、という区分けになっているのだとか。
         1900年パリ万博に合わせて建築されたという
         オルセー駅の鉄道駅舎兼ホテルを
         1986年に生まれ変わらせたのがオルセー美術館。
         駅舎の形そのままの吹き抜けの高い天井から注ぎ込む陽光の中で
         作品を鑑賞できるすばらしい美術館です。

「夏時間の庭」というタイトルにも魅かれます。
繁茂する草木。
少し古びた鋳鉄のガーデンテーブルと椅子。
水滴のついたガラスピッチャーの中で光を受けて輝くピンクレモネード。
藤の花の甘い香りも鼻先に漂ってくるような。
女子の好きなアイテムをたくさん連想させてくれるタイトルだと思いませんか?

誰の心にも存在する甘く安らぎに満ちた記憶。その中心にある家族、そして家。
でも、それらはいつか無情にも私たちから切り離されていきます。
それでも、残るものがあるとしたら…
「夏時間の庭」は心魅かれるタイトルとともに、温かい安心感を与えてくれる映画です。

        《ストーリー》
        パリ郊外にある緑濃い静かな邸宅。
        画家であった大叔父から受け継いだ家で、多くの美術品に囲まれて
        母エレーヌは家政婦のエロイーズと静かに暮らしています。
        今日はエレーヌの75歳の誕生日。
        緑陰の庭には長男夫婦、次男夫婦、長女と
        5人の孫たちがお祝いに集まっています。
        なのに、エレーヌは長男のフレデリックに
        「私が死んだら、家も美術品も売ってほしい」と頼むのでした。
        フレデリックは「何も売らない。僕たちが受け継ぐよ」と
        母の不吉な依頼を断ち切るように答えます。
        一年後の大叔父の回顧展での再開を約し
        子供たちはそれぞれの場所へ帰っていきます。
        経済学の教授である長男はパリに
        次男のジェレミーは技術者として上海に
        工芸デザイナーの長女アドリエンヌはNYに。

        回顧展で一年ぶりの邂逅を果たした子供たちを襲った母エレーヌの突然の死。
        葬儀の後、三兄妹は膨大な美術品と邸宅という母の遺産と向き合います。
        長男フレデリックは三人で受け継ぎたいと思っているのですが
        長女アドリエンヌはアメリカ人の恋人との結婚を
        次男は中国に生活の拠点を移すことを決めていました。
        三兄妹の気持ちとはうらはらに
        幼い日の思い出のつまった家は売却、美術品はオルセー美術館に寄贈することに…

この映画の主題は家族と家です。
家は、多くの美術品が生活の道具として息づく場であると同時に
親から子、孫へと伝わっていく故郷であり、原点であり、遺伝子のようなもの。

エレーヌの書斎にはルイ・マジョレルの机が置かれ
(エミール・ガレとともにナンシーで活躍したアール・ヌーヴォーの家具デザイナー)
アトリエの壁にはルドンの絵がかけられています。
なんとエレーヌの息子たちが子供時代に壊してしまったドガの彫刻のかけらも
(もちろん、これは映画の中でのお話でオリジナルはちゃんとありますので、ご安心を)。
美術館ならキュレーターが白い手袋をはめて手にするような美術品が
この家にはさりげなく置かれています。
美術品も、家のなかに場所を占めることによって、家族の心の風景になっていきます。

     家族は過去の追憶の中にだけあるものではなく
     子や孫の世代に静かに受け継がれていくものであることをそっと教えてくれる映画。
     父や母のいた日々を思い出して、とてもせつなくなりましたが
     ときに落ち込む心を孤独の淵から救い出してくれる、そんな優しい映画です。

夏時間の庭
監督・脚本/オリヴィエ・アサイアス
キャスト
ジュリエット・ビノシュ/アドリエンヌ、シャルル・ベルリング/フレデリック
ジェレミー・レニエ/ジェレミー、エディット・スコブ/エレーヌ、ドミニク・レイモン/リーザ、
ヴァレリー・ボストン/アンジェラ、カイル・イーストウッド/ジェームス、
イザベル・サドワイヤン/エロイーズ
5月16日(土)銀座シアトルシネマほか全国順次公開
http://natsujikan.net/

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by mtonosama | 2009-04-28 05:29 | 映画 | Comments(8)
Commented by Tsugumi at 2009-04-28 09:15 x
この映画フランスが舞台みたいですがやはり言語はフランス語ですか?
うちは一緒に見るのは無理なのでDVDでたら見てみたいです。
Commented by との at 2009-04-28 10:14 x
Tsugumiさん
はい~、フランス語です。
英語字幕のDVDも出るといいですね。
Commented by すっとこ at 2009-04-29 00:28 x
オルセー美術館、行きました。
アールヌーボーの家具コーナー、特に
寝台がまあ素晴らしかったです。

そしたら、そーですか。
ここにはアールヌーボー含む時代の作品が
置いてあるのですか、いやあ勉強になるなあ。

しかしジュリエット・ビノシュ健在ですね、
もう何歳になるのかなあ。
日本でいえば大竹しのぶを彷彿とさせるんですが・・・。

この映画は誰と行こう。
永年パリ在住のいとこかな?
おっと音信不通になってるんだった元気だろうか。
Commented by mtonosama at 2009-04-29 05:53
オルセー、いらっしゃいましたの?
ま、素敵♡

ジュリエット・ビノシュっていろんな貌のできる女優さんだね。
この映画ではアメリカ人の恋人
(カイル・イーストウッド=クリント・イーストウッドの息子で父親に
似ない甘いマスク)
持っちゃって、NYで幅きかすチャキチャキのデザイナーで
カッコ良かった。

彼女1964年生まれの魚座さんだから45歳か。
う~ん、いいねぇ。あぶらが乗り切ってるね。
まだまだ良いもの見せてくれることでしょう。
と、おっさんが入ってる殿でした。

そうそう、弟役のジェレミー・レニエ素敵でしょ?
Commented by ライスケーキ at 2009-04-29 21:59 x
ロング・ヘアのビノシュも素敵ですね。  イーストウッドーーー子供の頃「ローハイド」で見て初めて憧れた俳優ーーーの息子も見てみたい。   オルセーに寄贈することになった美術品に囲まれて過ごした子供時代。 豊かな時が流れていたのですね。  ところで実生活のビノシュの恋人って誰だっけ。  若いかっこいい俳優だったと思うけど。  
Commented by mtonosama at 2009-04-30 06:58
《1980年代に映画監督レオス・カラックスと交際していたが破局。1993年にスキューバダイバーの男性との間に長男ラファエルを出産。1994年から1997年までは俳優のオリヴィエ・マルティネスと交際。1999年からは『年下のひと』で共演したブノワ・マジメルと交際し、1999年に女児を生むが2003年に別れている。その後007にも出演しているフランス人俳優、マチュー・アマルリックを経て、2007年から脚本家のSantiago Amigorenaと付き合っている。》

「ウィキペディア」にはこうあったよ。
って、不真面目な大学生のレポートのような…

ローハイド。ライスケーキさんにとっての究極のアウトドアライフは
西部劇でしたもんね(笑)。
それにしても、イーストウッドの息子って、ほんと、
親父に似ていない。甘い顔立ち。
トロイ・ドナヒュー(古ッ)みたいですよ。
Commented by Angie at 2009-04-30 20:59 x
フランスのお友達の家に行くと。。やはり。。ドアを開けたら壁のサイズの
額,、古い絵でこの部屋には眠れないななんて。。好きな部屋を選んでねと
言われ20個もある部屋を開けて回りました。。

ウ^^^ン、古い絵は素敵かもしれないけれど。自宅にあるより

美術館かもね。映画も見たいけれど
今年はまだパリに行けていず。。。。

いきたいなあ。。
Commented by mtonosama at 2009-04-30 21:10
20室もの部屋をよりどりみどり、ですか…
ものすごいおうちですね。
20泊したとしたら、毎日違う部屋に寝られるわけですね。

と、考え方がせこいか。

またパリを楽しんでいらしてくださいませ。

by Mtonosama