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殿様の試写室

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マン・オン・ワイヤー MAN ON WIRE

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         (c)2008 Jean-Louis Blondeau / Polaris Images
マン・オン・ワイヤー
MAN ON WIRE

日経新聞(平成21年5月19日)文化面にアートディレクターの佐藤可士和氏が
「人間の目指す究極の造形は(…)直線だと思う」
と書いていました。
それで、はたと
「マン・オン・ワイヤー」が映画になった理由はこれだったのか、と気付いた殿です。

今から35年前
当時世界で一番高いビルNYワールドトレードセンター(ツインタワービル)の間
411メートルの高さにワイヤーが張られました。

   それはツインタワービルという2本の垂線。
   はるか下方の地面と平行をなす1本のワイヤー。
   すべて線です。
   周囲には空気だけ。
   これぞ究極の空中アート、直線によって切り抜かれた造形であります。
   その411メートルの高さの線上を軽やかに移動する黒いしみ。

       あれを見ろ!
       カラスか?
       リスか?
       いや、人間だ!!
   (その昔、「スーパーマン」テレビ版冒頭でいつも出てきたせりふをパクリました。
    ごめんなさい)

   そう、人間でした。
   それは、完璧な造形に動きとリズムを与え、見上げる人々の視線をとらえました。

20世紀の芸術犯罪と言わしめた画期的な事件。
「マン・オン・ワイヤー」は23歳のフランス青年フィリップ・プティが行った
地上411メートルでの綱渡りを描いたドキュメンタリー映画です。
無届で(もちろん届けなど出したら、その場で逮捕でしょうが)
建築中のワールドトレードセンタービルへ不法侵入
さらに、ビルの最上階にワイヤーを張るなどという誰も考え付かないその行動は
とてつもない危険行為でありました。
ですから、411メートルの綱の上で1時間近くにわたって命綱もつけず
綱渡りを披露したプティは即座に逮捕され、精神鑑定を受けることになりました。
もちろん、なんの異常も発見されませんでしたが。

        1974年8月7日
        フィリップ・プティはワールドトレードセンタービルの最上階と最上階をつないで
        張られた綱の上を45分間にわたって8往復しました。
        それはとても楽しそうで、細い綱の上を軽やかに踊るように往復する姿が
        翌日の新聞の1面を飾ったものです。

        とき、あたかもウォーターゲート事件で明らかになった政治スキャンダルによって
        合衆国史上初めて、現役の大統領が任期中に辞任に追い込まれるという
        大きな事件の真っただ中。
        プティが綱を渡ったその翌日
        ニクソン大統領は全米国民に向けてのテレビ演説で辞職を発表したのでありました。

        それをさかのぼること6年
        17歳のプティはパリの歯科医院の待合室で1冊の雑誌を手にとりました。
        そこに掲載されていたのがNYワールドトレードセンタービルの建築計画。
        彼はそのページをむしりとり、治療もしないで外へ飛び出しました。
        出会いとは痛みを伴うものです。
        プティは大きな夢に出会えた代償として歯痛を抱え込んだのであります。

        1971年
        20歳のプティは手始めにノートルダム寺院の尖塔と尖塔の間に綱を張り
        渡り始めました…

あのワールドトレードセンタービルが舞台となっていますが
それが政治的な暗喩であるなどということは一切なく
ニクソン大統領の辞職もプティの行動にはまったく関係ありません。
ただ、あの9.11の映像があまりに衝撃的だったため
その同じビルの完成前の姿を見るとき
亡くなった親の子供時代の写真を見るような切なさを感じてしまいますが
それは観る側の思い込みにすぎません。

     決行の8か月前にNYに到着したプティはマンハッタンで大道芸をし
     資金を稼ぎながら、友人や協力者とトレーニングや計画を重ねました。
     童顔のプティが彼らとこの世紀の“芸術犯罪”の計画を練っている様子は
     いかにも楽しげです。

でも、約200kgもあるワイヤーを厳しい警備の中、ワールドトレードセンターに
運び込むだけでも大変ですし
ワイヤーの設置方法や風やビルの揺れを相殺するためのワイヤーの固定方法など
友人や協力者の仕事は胸が痛くなるほど、神経を使うものでした。
だって、サーカスと違ってネットもないし、命綱すらないのです。
綱渡りの成功はプティのテクニックと度胸
そして、友人たちの努力にかかっていました。

政治と戦争の日々であった70年代
こういう冒険に夢中になれたプティとその友人たちって、かなり良い人生を過ごしています。
プティは1974年8月7日以来ずっとNYに住み
「僕はニューヨーカーさ」
とフランス語訛りの英語で話しています。
そうそう、プティにはワールドトレードセンターの展望デッキのVIP許可証も贈られたそうですよ。
「永遠に有効」と書かれた許可証が。

マン・オン・ワイヤー
監督/ジェームズ・マーシュ、製作/サイモン・チン、撮影/イゴール・マルティノビッチ、音楽/マイケル・ナイマン、ジョシュァ・ラルフ
出演/フィリップ・プティ
6月13日(土)、新宿テアトルタイムズスクエア他、全国順次ロードショー
http://www.espace-sarou.co.jp/manonwire/

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by mtonosama | 2009-05-27 05:59 | 映画 | Comments(10)
Commented by ライスケーキ at 2009-05-27 21:59 x
プティさん35年前に23歳と言うことは今58歳ですか。  青春の頃の快挙がこうして映画になるなんてプティさん仕合わせ者ですね。 私は高所恐怖症だからダメ。  写真を見ているだけで目が回ります。
Commented by mtonosama at 2009-05-28 06:03
ライスケーキさんも?
自分の足の下400メートルがスカスカなんですもんね。東京タワーでガラス張りの床の上から下を覗きこむのとは訳が違います。

マカオで超高層ビルの上層階の手摺のないベランダ(というか、ただの出っ張り)を命綱つけて歩く人を見たことがあります。
「こんな怖いことを、よく大枚はたいてやるもんだ」と思ったけど。
プティさんならどうでしょう?
「出っ張りの上を歩くなんて、おかしくって」と笑っちゃうでしょうね。
Commented by Tsugumi at 2009-05-28 12:23 x
世の中には凄いことやっちゃう人がいますね。
私はお金もらってもやりません(爆)

この映画おしりがむずむずしそうなのでやめておきます。
Commented by mtonosama at 2009-05-28 19:33
Tsugumiさんもそうですか?
私だって、たとえ1億あげるって言われてもやりません。
ええ、やりませんとも。

でも、映画館はワイヤーの上にはないから安心ですよ(笑い)。
Commented by Tsugumi at 2009-05-29 07:36 x
チャンスがあったら見てみます。。
しかし最近忙しくて映画見れてない。。。
今週末は是非見たいと思ってます。
といいつつ土日とも仕事なんですけど・・・
Commented by mtonosama at 2009-05-29 09:24
ああ、大変ですね。
その上、早朝起床で大丈夫ですか?
さらにわんちゃん3匹のシャンプーまでこなされて…

夜の東京タワーと映画で
お休みをとってくださいね。ご自愛ください。
Commented by ひざ小僧 at 2009-05-29 11:46 x
どうしても失われたビルの悲劇がオーバーラップしてしまいますね。9.11があるからこそ、綱渡り野郎と仲間たちのミッションがドラマチックに、メルヘンチックに感じられてしまいます。超高層ビルをよじ登るスパイダーマンというのもいますが、あれもフランス人だったっけ? アメリカ人だっけ? ドキュメンタリー映画ということですが当時のニュース映像とインタビューをまじえた構成ですか? 35年後の彼には興味が湧きます。私も高所恐怖症、日本の貿易センタービルの透明床もダメでした。
Commented by との at 2009-05-29 14:59 x
そうなんです。あのビルの幽霊は強烈です。

当時のニュース映像とインタビューと仲間内で撮り合ったような
綱渡り練習中の映像とか、から構成されてます。
きっとひざ小僧さんも幼年時代(?)を思い出して
懐かしくなるんじゃないかな。
Commented by すっとこ at 2009-06-01 20:05 x
ひゃー。
35年前のフィルムが今頃劇場公開ですか?
長生きはするもんですなあ。しかも9・11のビル。
この映画を観ることができない関係者もいることでしょう。

誰と観に行くかむずかしい映画(あ、映画と読んでいいのか)
ですのう。
Commented by との at 2009-06-01 20:08 x
すっとこさん
おかえりなさい。ギリシャはいかがでした?

どなたはんと観にいかはりますのん?