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殿様の試写室

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セントアンナの奇跡 Miracle at St.Anna

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© 2008 (Buffalo Soldiers and On My Own Produzione Cinematografiche) – All Rights Reserved
セントアンナの奇跡
Miracle at St.Anna


スパイク・リー監督、3年ぶりの新作です。
でも、今までと作品のカラーがちょっと、いえ、かなり違います。
そうなんです。今回は第2次世界大戦イタリア戦線が舞台。

スパイク・リーといえば
常に黒人としてのアイデンティティを意識した作品を描いてきた社会派監督です。
「Do the Right Thing」とか「マルコムX」とか、黒人が主人公の作品をつくってきたし
人種差別と闘い続け、常にとんがった発言を繰り返してきました。

例えばクリント・イーストウッドの「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」には
黒人兵士が登場しないことをあげて
「彼は人種差別主義者だ」と非難したり。
トレードマークの丸いメガネはご愛嬌ですが、ちょっとヤンチャな監督さんという印象がありました。

そのスパイクが戦争映画を撮りました。
それも、かなり正統派の戦争映画ですから
意外に感じる方も多いのではないでしょうか?

        「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」には黒人兵がいない!と
        スパイクはこぶしを振り上げましたが
        実際のところ、硫黄島攻略当時
        黒人兵はアメリカ軍上陸部隊の1%にも満たなかったらしいのです。

        それにしても、第2次世界大戦を描いたハリウッドの戦争映画には
        黒人兵があまり出てこないのは確かですけれど。

そこで、「セントアンナの奇跡」です。
この映画の舞台となるイタリア・トスカーナは
ムッソリー二率いるイタリア軍が1943年連合国に降伏すると
ナチス・ドイツによって制圧され、激しい戦闘が展開された最前線でした。
そこに送りこまれたのが第2次世界大戦時に実在した黒人だけの部隊
第92歩兵師団“バッファロー・ソルジャー”です。

1944年8月12日。“セントアンナの大虐殺”という事件がありました。
ナチス・ドイツがトスカーナ地方にあるサンタンナ・ディ・スタッツェーナ市に暮らす
無実の一般市民たちを殺害した事件です。
物語はこの虐殺から生き残った一人のイタリア人少年と
バッファロー・ソルジャーの黒人兵士との出会いを通じて
とてつもなく感動的な展開を見せてくれます。

        原作はジェームス・マクブライドの”Miracle at St.Anna”。
        彼の叔父がバッファロー・ソルジャーの一員で、幼い頃に語ってくれた話を
        思い出しながら、現地調査を重ね、2003年に出版された小説です。
        ジェームス・マクブライドは本作では脚本も担当しています。

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   《ストーリー》
   1983年NY。
   初老の郵便局員が窓口に切手を買いにきた男を一目見るなり射殺。
   郵便局員には前科も借金もない。
   ただ、家宅捜査された彼の部屋から、大理石製の彫像の頭部が出てきた。
   それはフィレンツェのサンタ・トリニータ橋を飾っていたもので
   1944年ナチが橋を爆破した時から行方不明になっていたものだった。

   1944年イタリア。
   彼はトスカーナで戦っていた。
   所属部隊はバッファロー・ソルジャー。
   最も過酷な最前線に送り込まれる黒人だけの部隊である。
   彼を含む4人が偵察隊として潜入した先で怪我をした一人の少年を助けたために
   部隊とはぐれてしまう。

   少年を見捨てることのできなかった兵士はトレイン。
   心優しい大男だ。
   彼はフィレンツェで拾ってきた彫像の頭をいつも腰からぶら下げていた。
   少年を邪魔にする身勝手なビショップ。
   イタリア語が話せ、首から下げた十字架にキスをする信心深い無線兵のヘクター。
   リーダーは知的で思慮深いスタンプス。
   はぐれた4人は共に行動するしかなかった。

   4人は少年の治療と食料を求めて或る村に。
   レナータという英語が話せる女性とその家族が暮らす家に厄介になる。
   故国アメリカと違い、黒人だからと差別をしない村人たちと
   心安らぐひとときを過ごす兵士たちだった。
   だが、そんな彼らを待ち受けていたのは…

1984年から1944年へ。NYからトスカーナへ。時空を超えて展開する感動作。
そして、その時空の超え方が巧みなのです。

        水たまりの中を走る革靴が、宙に浮いた瞬間、
        それは戦場のぬかるみを進む兵士の軍靴に変わります。

        これぞ、映画の様式美!と思わず膝を打つうまさ。
        スパイク・リー、すごい。名匠になってしまったのですか?

ご安心ください。彼のあのとんがりは随所に顕在してますから。
「アメリカは俺たちを兵士としてここに送った。
ちょっと前なら雑用係か料理人しかさせなかった俺たちをさ」

と、戦時中にも露骨な差別をしたアメリカを非難することは忘れていません。

とはいえ、スパイク・リー監督。やはり少し変わったような気がします。

映画のラスト近くで、
アメリカ軍、虐殺されるイタリア市民、そしてナチの兵士が
それぞれの場所で、それぞれの言葉で、祈りをあげるシーンがあります。
次第に高まっていく祈りが
天に届くかのような
聖歌が人々を包み込むかのような
霊的で感動的な場面でした。

黒人も白人もない
司祭は自分は殺されてもいいから、市民を助けてくれという
ナチス・ドイツの兵士も一人の父親にかえりました
そして、祈ります。
政治利害が、民族が、人種がぶつかりあう戦場に流れる
英語、イタリア語、ドイツ語の祈り。
大いなる愛とでもいうべきものに心がふるえました。

スパイク・リーが変わったと感じたのはこのシーンのせいだったのかもしれません。

セントアンナの奇跡
監督/スパイク・リー、原作・脚本/ジェームス・マクブライト(原作本「Miracle at St.Anna」)
キャスト
デレク・ルーク/オーブリー・スタンプス二等軍曹、
マイケル・イーリー/ビショップ・カミングス三等軍曹、ラズ・アロンソ/ヘクター・ネグロン伍長、
オマー・ベンソン・ミラー/サム・トレイン上等兵、マッテオ・シャボルディ/アンジェロ少年、
ルイジ・ロ・カーショ/アンジェロ大人

7月25日(土)TOHOシネマズシャンテ、テアトルタイムズスクエア他にて全国ロードショー

http://www.stanna-kiseki.jp/

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by mtonosama | 2009-07-01 06:54 | 映画 | Comments(20)
Commented by Tsugumi at 2009-07-01 10:50 x
またデープな映画見てますね。
多分これはDVD鑑賞になる予感です。
Commented by ひざ小僧 at 2009-07-01 11:24 x
殿の明晰さが伝わってきました。私なんか、自慢じゃないけど映画見たって1週間しないとアタマん中が整理されない。たった1回の試写で、これだけまとめるとはすごい! この映画は殿のなかでも最上、極上、プレミアムの評価なのでは?
Commented by との at 2009-07-01 20:04 x
Tsugumiさん
DVD、いいんじゃないでしょうか?
英語ですし。
でも、アメリカの映画にしてはドイツ語もイタリア語も全部入ってて
良心的です。
戦争の映画ですから、言葉が違ってないことには
お話になりませんもの。
Commented by mtonosama at 2009-07-02 06:49
ひざ小僧さん
あらまぁ、明晰などとはとんでもない。
しかし、ほめてもらえると嬉しくなるのが素直な殿の
いいところ。

そうです。そうです。
お祈りの場面では感動しました。
「百年の孤独」(焼酎の方ですョ)級の極上ものかも。
ただし、3時間近い大作なので、トイレの用心を怠りなきよう。
Commented by すっとこ at 2009-07-02 08:00 x
3時間近い大作!
それをこんだけの内容にぎゅぅぅぅうっと圧縮して
紹介してくれる殿様。
なんだか祈りの場面が素晴らしい迫力で近付いてくるような
名調子の殿様節炸裂。

ふぅぅううう。
この映画は誰と観よう。
トイレ近いあの方でないのは確かだわ。
Commented by との at 2009-07-02 08:16 x
すっとこさん
そうなんです。長いのです。
お互い苦しい体験をした者同士として、
くれぐれもそのことには気をつけたいものです。

あのね、画像が昨日とは違うんですよ。
昨日の見てなかったら、明日またくっつけますね。
Commented by ライスケーキ at 2009-07-02 21:02 x
殿様の紹介文を読んでいるだけでも感動物ですね。         う、観たい、じっくり観たい。 でも3時間もつか、私も心配。 
日系人だけの部隊「442連隊」?と言うのがあるのは知っていた けれど、黒人だけの部隊もあったのね。  
戦争、人種差別・・・。 人間の愚かさ。 それを包み込む大いなる愛。  久しぶりにパートナーと観ようかな。
 
Commented by との at 2009-07-02 22:07 x
ライスケーキさん
パートナーと見ますか。いいですね♡

今日、新情報を仕入れました。
F中央で洋画も上映するらしいですよ。
Commented by Tsugumi at 2009-07-03 10:09 x
うちの夫婦の場合英語&日本語字幕がベストです。
だんな様他のランゲージが入るとギブアップかも。。。。
Commented by との at 2009-07-03 16:58 x
Tsugumiさん
DVDの場合、イタリア語、ドイツ語はどういう扱いに
なるのでしょうか?

複数語がつかわれる場合、Tsugumiさんご夫妻のような
ケースは難しいですね。
Commented by Tsugumi at 2009-07-05 10:41 x
映画館で他の国の言語に英語字幕のあるものもあります。
そういう映画のDVDで鑑賞するときはだんな様英語字幕で私は日本語字幕で別々に見ましょかね。。
まぁそうまでしてみたいと思う映画はめったにありませんが。。
Commented by との at 2009-07-05 15:36 x
Tsugumiさん
だんな様英語字幕、Tsugumiさん日本語字幕で別々に観る
というのは確かに面倒。

メル・ギブソンが全編マヤ語の映画を監督したけど、
それも英語字幕、日本語字幕で見るわけですね。

以前、ドイツに行ったとき「ピアノレッスン」を観ました。
あの映画は手話の部分があるんですけど、その手話には
ドイツ語字幕がつきます(ドイツでは全部ドイツ語吹き替えに
なるんですよ。まるでディズニーアニメです)。

そういう場合もご夫妻でご覧になる場合困っちゃいますね。
Commented by takaj at 2009-07-24 20:11 x
いまだに解けない謎があります。

最後の最後の戦闘シーンで生き残った兵士にドイツ軍の将校が銃を渡すシーンがあります。
あのシーンの伏線はどれなのでしょう。

その将校が出てるシーンを何度か見てみましたがどこにもその理由らしきものはみあたらないんですが。

知っていたら教えてくださいまし(ねたばれかもだが)

一番どきどきしたのは少年が巨人に6回の合図をするときです、あれは別の意味でミラクルですね。
あんまし書くとねたばればかりになりそうなのでこの辺で。
Commented by mtonosama at 2009-07-25 15:04
takajさん
当試写室へのご来室ありがとうございます。

なにせ、この試写室責任者はムード派で、
ただただ映画の流れに身をゆだねるのみという傾向があります。

そんな次第であの銃についても、「ああ、郵便局でカウンターに
置かれた銃か」と思っただけなのですが。

しかし、takajさん、もう何度もご覧になったのですね。

今後ともよろしくお願い致します。
Commented by takaj at 2009-07-26 10:16 x
あの銃と主人公が生存していないと話がつながらないので理解は出来るんですが、あの状況下で将校が彼を助ける理由がどうにも見つからないんです。あえてあげるとしたらトーチの上での会話から推測することですがどうもクリアでないです、戦争への憎悪くらいでしょうか。

実はすでにDVDで見ております。日本語字幕はありませんのであくまで自分のヒアリングだけの情報ですがね。
Commented by mtonosama at 2009-07-26 14:04
takajさん
そうなのですか!?英語でご覧になっているのですか!?
すごっ。

「戦争なんてうんざりだ、敵も味方もないよ」という感じで
うけとめていましたが。

Commented by takaj at 2009-07-26 18:40 x
なんどもすみません。

実はその将校が彼に銃を渡すときに「Protect yourself」というんです。気をつけてとかでなく自分を防御しないさいという感じで。
せりふ自体に意味があるのか分かりませんが最初に銃で彼を射殺したのもつながるのかなと感じております。

すべてのせりふは分かりませんが語学は慣れで毎回字幕無しで聞くようにしてるとだんだん分かってきますんですわ^^
Commented by mtonosama at 2009-07-26 20:09
takajさん
将校のセリフもDVDだと英語になってるんですか?

ドイツ語、イタリア語、英語が混じってる場合、DVDだとどうなるんでしょうか?ドイツ語だとSchutzen Sie sich!ですよね。

語学は慣れですか?ちっとも慣れない殿ですが。
Commented by takaj at 2009-07-26 21:25 x
まず訂正です。
「Protect yourself」でなく 「Defend yourself」でした。いいわけとしてその場面ではわしやったらprotect やkeepを使うだろうとわしが勝手に思ったからでした。
すみませんです。

将校のせりふはドイツ人としゃべるときはすべてドイツ語です。映画では下に英語の字幕が出ています。彼に銃を渡すときはせりふとして英語で発言しています。

ちなみにイタリア人の会話もすべて英語の字幕が出てきます。これはあくまでアメリカもしくは国際言語としての英語をベースとして作っているからでしょう。

日本語が流暢にしゃべれる方なら英語も同じように慣れてくれば可能ですね、少なくとも不可能ではなくなります(といっても今回のこの映画における黒人のしゃべる英語は非常に分かりにくかったですが(苦笑))
Commented by mtonosama at 2009-07-27 06:49
takajさん
ありがとうございました。
今回のように三ヶ国語の映画は字幕屋さん泣かせでしょうね。