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殿様の試写室

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リミッツ・オブ・コントロール The Limits of Control

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            (c)2008 PointBlank Films Inc. All Rights Reserved.
リミッツ・オブ・コントロールThe Limits of Control

        わが地方都市の駅前付近でのことです。
        ひとりのアフリカ系外国人男性が目の前を歩いていきました。
        少し短躯のガッチリ系で、スキンヘッドの頭はコリッと小さく
        スーツも決まっています。
        2ビートで肩を揺らして歩き、ラルフローレン・ポロスポーツの
        爽やかなフレグランスが後ろを歩く殿の鼻先に漂ってきます。
        このポロスポーツ氏
        おしゃれなスーツが自分でも気に入っているらしく
        2ビートの歩調はそのままで
        ショーウィンドウに映る姿に時々目をやるところなど
        なんだか笑いを誘ってくれました。

「リミッツ・オブ・コントロール」
主人公の〈孤独な男〉はスペイン中を2ビートで歩き回ります。
シルク混のメタリックカラーのスーツをビシッと着こなして
彼の方がポロスポーツ氏より少しクール…かな。

コードネーム〈孤独な男〉。
彼はある組織に属しています。たぶん。
スペインに降り立った彼が受けた指令は
「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」…
え? 「自分こそ偉大だと思う男」ってなに?
最初から狐につままれたまま、あたふたと〈孤独な男〉を追う殿。
  
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     〈ストーリー〉
     カフェでは必ずエスプレッソを2つ注文し
     携帯電話も銃も持たず
     任務についている間はいかに魅惑的な女性に誘われようと
     肌を合わせることはしない。

     指令を果たすべく移動する〈孤独な男〉。
     移動の先々に現れる様々なコードネームを持った男女。
     〈クレオール人〉〈ヴァイオリン〉〈分子〉etc,etc.
     彼らは皆一様に「スペイン語は話さないのか?」と問いかけ
     小さな紙片をマッチ箱に入れて〈孤独な男〉に手渡す。

     デジャ・ビュと化した光景。
     判で押したような仕事ぶりの〈孤独な男〉。

     村上春樹の小説に出てくる芝刈りのアルバイト学生のように
     あるいはゴルゴ13のように
     〈孤独な男〉は四角く、きっちりと
     それは気持ちよく任務遂行に向けて仕事を続ける。

     そして、荒野の中にあるアジトへたどり着き…

スーツの色がグレーからブラウンに変わり
いよいよ任務遂行か!
と期待し、裏切られ
観客は〈孤独な男〉の後をついて、スペイン中を移動するのです。

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     前作「ブロークン・フラワーズ」から4年目。
     ジム・ジャームッシュ監督の最新作です。
     ビル・マーレイ、イザック・ド・バンコレ、工藤夕貴など
     かつてのジャームッシュ作品の俳優が総出演。
     音楽は日本のロックバンド「ボリス」が担当しています。

ジャームッシュ監督の新作ができたと聞くとスタコラ駆けつけてしまう。
なぜか気になる存在です。
しかし、勢い込んで観れば観るほどはぐらかされてしまうんですよね。
っていうか
なんなんですか?これは!とでもいえばいいのか
え~、わかんない!と言ってしまうか。

「常識的にいけばこういう展開になるに違いない」
というドラマツルギーが通用しません。
いつもながら目でびっくり!
ワンテンポ遅れて頭でびっくり!!の展開。裏切ってくれるんです。

映画の冒頭にはA・ランボー「酔いどれ詩人」の一節
      「無情な大河を下りながら―――
      もはや船引きの導きを感じなくなった」

が引用されます。

     監督は「この詩は精神錯乱のメタファーなんだ。作為的な感覚の混乱だよ」
     などと澄ましていますが
     「そんなの冒頭で出すなよな」と逆らいたくなります。
     ある年代にとって、ランボーは聖なるイコン。
     その部分でひきずられてしまうではないですか。

と、いつもながらジャームッシュ監督の作品には脳内をひっかきまわされます。

しかし、今回の場合、同じ会話が繰り返され、同じ品物の受け渡しがあり
カフェに行けばいつだってエスプレッソは2つだし
〈孤独な男〉は何も話さないし
定型化された場面の繰り返しと折々のありえないシーンの挿入。
そう。例えば、裸の美女が透明なレインコートを着て、
ホテルの部屋に闖入したり、というような。

同じパターンプラス非現実的なシーン。
それゆえに安心と期待感があるということは言えるかもしれません。
なんといってもカッコいいですし。

監督と神経戦を戦いつつ、スペインの風景を楽しんでしまいました。
この映画、くくりはやはりロードムービーですから。

リミッツ・オブ・コントロール
脚本・監督/ジム・ジャームッシュ
キャスト
イザック・ド・バンコレ/孤独な男、アレックス・デスカス/クレオール人、ジャン=フランソワ・ステヴナン/ウエーター、ルイス・トサル/ヴァイオリン、パス・デ・ラ・ウェルタ/ヌード、ティルダ・スウィントン/ブロンド、工藤夕貴/分子(モレキュール)、ジョン・ハート/ギター、ガエル・ガルシア・ベルナル/メキシコ人、ヒアム・アッバス/ドライバー、ビル・マーレイ/アメリカ人、ヘクトル・コロメ/アメリカ人2
9月19日(土)シネマライズ、シネカノン有楽町2丁目、新宿バルト9、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

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by mtonosama | 2009-08-20 06:31 | 映画 | Comments(14)
Commented by すっとこ at 2009-08-20 06:45 x
うわー 観たい観たい観たいっ

サングラスの女性、日本人ぽいなあ~
えっとどこの誰だっけ、ああそうだ工藤夕貴に似てるよ、
とチラと思ったら
ぇぇぇええええええ!やっぱり彼女だったんだ!
いつだっけ、ミステリートレインだっけ?永瀬正敏と
出たんだった。あれは事件だった。ジム・ジャームッシュに
日本人男女が出演だよ、おいおいおいおいおいおい。

殿様ったら困りますわん。
この映画に引き込む名調子。
こら、ひとりでも観に行きますわ! いつか。
Commented by mtonosama at 2009-08-20 07:06
うわー 早い早い早いっ

工藤夕貴って色白いね。きれいだね。英語もうまいね。
そうだよ。ミステリートレインだよ。
だから、今回も工藤さん、電車に登場だよ。

ひとりで行きますか?私はひとりで行きました。
Commented by すっとこ at 2009-08-20 11:01 x
工藤夕貴って“ヒマラヤ過ぎに降る雪”(あんまおもろなかった)
で主演やってそのとき徹底的に英会話勉強させられたらしいね。
”さゆり”でもチャンツィイーのさゆりを裏切るおかぼちゃんの役
をもらってた、エライなあ。英語でセリフ。

写真のブラウス(ワンピか)の胸の開き具合がなんとなく
日本人離れして見えるのはそういう目で見るからだろうか。
Commented by mtonosama at 2009-08-20 20:37
「ヒマラヤ杉に降る雪」観ましたで。
工藤夕貴って、なんでもとことんやるみたいね。
テレビのインタビュー番組で見たんだけど、犬の訓練って普通警察犬学校とかプロの訓練士に頼むのを、彼女は自分で勉強して、
一丁前の犬に仕上げたらしいね。

あと、壇ふみも英語うまいよ。あ、すっとこさんもうまい。もちろん♪
Commented by ライスケーキ at 2009-08-20 23:32 x
工藤夕貴って富士の裾野で有機野菜育ててエコ生活。 レストランまで経営しているそうで スゴイですね。  井沢八郎の娘とはとても思えない。  それにしても この映画 私には「何なんですか? これは!」ですが、それを これだけの文章で紹介してくれる殿様もスゴイですね。
 
Commented by mtonosama at 2009-08-21 05:55
ライスケーキさん、おほめにあずかりうれしうございます。
最近ようやく画像を複数入れることを覚えて、そのおかげで工藤夕貴さんが皆さまのお目にとまり幸甚の至りにございます。

へえ、レストランも経営してるの?
努力の人だね。いろんな女優がエコ生活してるけど、
彼女は勉強熱心だからコシが入ってるよ。

と、なんかすっかり工藤夕貴一色になってしまいました。
※「小さな恋のメロディ」のことわかりません。あれもいかにも日本人好きな映画だよね。ビ―ジ―ズの主題歌がなんでそんなにいいんだか、よくわからない。でも、メロディのおとうさんはあの映画に感動したんですね。マーク・レスターもかわいかったし。
Commented by ひざ小僧 at 2009-08-21 08:08 x
工藤夕貴のショット、決まってますねえ。ほんときれい。ハリウッド女優の風格です。っていうかスタイリストかメークアップアーティストがいいんだな、きっと。片方のほっぺたに梅干しの種を隠しているような表情の男・・・いろいろと苦いんだろう。殿様のフレグランスの知識には参りました。のりピー失踪のとんだ見立て違いのショック、尾を引いてます。
Commented by mtonosama at 2009-08-21 08:29
ひざ小僧さん
かたづけやしたぜ…

梅干しの種、隠してるって?う~ん…

のりピーねぇ。でも、みんな同じような見立て違いしてたんじゃないかなぁ。
♪ほんの小さなできごとが愛を傷つけた♪
を主題歌にした江口洋介主演のテレビドラマに出たときの
のりピーを思い出すよ。
Commented by Tsugumi at 2009-08-21 11:54 x
またしてもとのさんの名解説に映画見た気になりました。。。
バルト9でやるんですか。。。
工藤夕貴だけ見に行ってもいいかも。。。

でも抽象画が苦手な私理解できるかしら。。。
Commented by mtonosama at 2009-08-21 19:09
Tsugumiさん
まあまあ、ありがとうございます。
でも、観た気にならないで下さいまし。

バルト9ご近所ですか。
でも、都心で暮らすっていいなぁ。
羨ましいです。

Commented by Tsugumi at 2009-08-23 08:10 x
バルト9家から徒歩で約10分です。。。

でも上映時間とか結構あわなくて行く機会が少ないです。。

しかしBunnkamuraでニアミスとは。。。
世間は狭い。。。
Commented by との at 2009-08-23 22:14 x
六本木や渋谷、案外ニアミスしてるかも。
Commented by hanahanaup at 2009-08-24 17:30
これ!わたしも絶対みます!
ジャームッシュは、はずさない・・・んでしたが、
前回のブロークンフラワーは私的には???だったので。笑
この主人公の人、フランス語しゃべる人ですか?
名前全然知らなかったけど、昔、ナイト・オン・ザプラネットで、
盲目の女性を乗せたタクシーの運転手役やってた人かな??
この俳優さんについては、そのシーンのみしか、知らないのだけど、
なぜかいまでも強烈に印象に残っているんですよね。
あとは、ジャ-ムッシュ初参加ですよね?ガエル・ガルシア・ベルナルが、
どんな風に仕上がってるのか、ちょと怖いような、興味あり。
あー早くみたいな。
Commented by mtonosama at 2009-08-24 18:02
hanaさん
ブロークンフラワー???でした?
私もです(笑い)。
主人公の人イザック・ド・バンコレ、「フランス語を話しますか?」って
まるで、この映画のセリフのよう。hanaさん、かっこいいです。

この映画では片言のスペイン語と英語を話してましたよ。
「ナイト・オン・ザ・プラネット」にも出ていますね。でも、役は覚えていません。

ガエル・ガルシア・ベルナルはとんがりすぎることもなく、
モーターサイクル・ダイアリーのときのように良い子過ぎることもなく
(でも、この映画大好きです)、なんか普通に良かったです。