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殿様の試写室

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牛の鈴音

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(C)2008 STUDIO NURIMBO


さあ、また泣いていただきましょう!
涙を流して泣くのはけがれた心を浄化するには最も手っ取り早うございますことよ。

純愛、動物、老人、子ども。
これって涙スイッチBIG 4ですよね。

老人、動物、そして、彼らを結びつける純愛。
一頭の年老いた牛と老農夫を主人公にして綴られる農村の日々。
「牛の鈴音」は子どもを除いたBIG 3が揃った韓国の落涙ドキュメンタリー映画です。

この映画が失敗したら出家しようとまで考えたイ・チュンニョル監督(43歳)の長編映画デビュー作。
2009年、「牛の鈴症候群」なる社会現象まで起きたという韓国の超話題作です。
地味なんですけど、しみじみ来ます。
地味は滋味にも通じます。

ストーリー

慶尚北道 奉化(キョンサンプクド ポンファ)郡に79歳の農夫チェさんは
76歳の妻イさんと暮らしています。
2人は農業一筋で9人の子どもたちを育てあげました。
30年間チェさんとともに田を耕し続けてきた牛は40歳を過ぎています。
農耕牛の寿命は15年ほどというのに、牛は40年も生き、
老いた体で静かに働き続けています。
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誰もが機械を使う時代なのに、チェさんは牛を使って田を耕し
収穫を牛のひく車に乗せて運びます。
チェさんは草を食べる牛の身体に障るからと農薬は使いません。
おかげで雑草取りに忙しい奥さんは文句を言います。
「あたしはなんて不幸な女なんだろうねぇ」
牛はなにも言わず、ゆっくり静かに草を食み、おじいさんを荷車に乗せて歩きます。

ある日、かかりつけの獣医が来て
「この牛はそろそろ寿命だ。今年の冬は越せないかもしれない」と告げます…

静かな映画です。ナレーションもありません。
あ、ただ、おばあさんがず~っとおじいさんに文句を言っているので
それがナレーション効果を出しているかもしれません。

30年もチェさんと働いているのに、牛には名前がありません。
チェさんは時々牛をたたきます。
すると牛はやさしい目をショボショボさせて身をすくめます。
チェさんは手間いらずの人工飼料を与えたりせず
朝も暗い内から一生懸命牛の食事を作ります。

ペットブームの日本では、犬や猫を「この人」なんて呼んだりしながら
飽きれば平気で捨ててしまっているのに
チェさんは名前もつけない牛を同志として、30年間も共に働き、暮らしています。
(それはもうおばあさんがやきもちを焼くほど)

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フリーのテレビ演出家だったイ・チュンニル監督は当初テレビ番組をつくるつもりでした。
「父親」たちのドキュメンタリーを撮りたいと考えていたそうです。
1997年のアジア通貨危機で、監督の父親世代の多くの人々が職を失いました。
ちょうどこの映画のチェさんの年配の人々で、韓国の苦しい時代を支えてきた人々です。

彼らをどう描くか、を考えた時
監督の頭に閃いたのは、農家に育った自分の幼少時代の記憶と
100年ほど前に韓国を旅行して農民と牛について書いた「大地」の作家パール・バックでした。

2004年チェさんと牛に出会い、撮影を決めた当初から
監督は「この牛が死ぬまで撮影しようと決めていた」そうです。
3年後、編集作業に入った監督はこの作品を映画にしたいと思うようになりました。
そして、プロデューサーのコー・ヨンジェさんと知り合い
この大ヒット映画が生まれたのです。

韓国でも、日本でも、かつての穏やかな暮らしが
櫛の歯が欠けるように消えていっています。

この映画は老いた人たちの日々の営みを通して
かけがえのないものを永遠に失ってしまうかもしれない
チェさんの息子や娘たちの世代に「大切なものをなくしちゃいけないよ」
と静かに教えてくれます。

牛の首に下げた鈴の音が優しいけれど、胸に響く警鐘としていつまでも鳴り響いています。




牛の鈴音
監督・脚本・編集/イ・チュンニョル、製作/スタジオ・ヌリンボ、プロデューサー/コー・ヨンジェ、撮影/チ・ジェウ
出演
チェ・ウォンギュン、イ・サムスン
2008年、韓国映画、カラー、原題/ウォナンソリ(牛鈴の音)、英語題/Old Partner,配給/スターサンズ、シグロ、題字:菅原文太
12月19日(土)シネマライズ、銀座シネパトス、新宿バルト9、第七藝術劇場、シネマート心斎橋他全国ロードショー
www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/


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by mtonosama | 2009-11-28 05:24 | 映画 | Comments(14)
Commented by ライスケーキ at 2009-11-28 22:04 x
韓国でも日本でも「便利さ」「効率」ばかり追って 大切な何かを失いつつあるのでしょうね。 でも、きっと「昔」には戻れないと思う。 
それでも 牛に対する愛情を大切にするように ”Old Partner”への愛情を忘れちゃいけない。  この映画ではPartnerは おばあさんじゃなくて牛なんだね。   牛さん冬は越せなかったのかな。
  「涙」と言えば先日NHKで放映した全盲のピアニスト辻井伸行
のヴァン・クライバーン・コンクール出場のドキュメンタリーを見て涙を流して泣きました。 音楽を聴いて泣けるなんて私の心も少しは浄化されたかな。  「涙」つながりで他の作品のこと書いちゃってスミマセン!
Commented by すっとこ at 2009-11-28 23:20 x
農耕牛の寿命15年といわれてるのに
この名もなき牛は40歳ですって!

それだけでも尊敬です。
作られたドラマじゃなくドキュメンタリーというのも
尊敬です。

タイトルの写真の鈴が首からはずされた状態で
手のひらの乗っているのが・・・・
たまりません。

動物が死ぬは嫌です。イヤだぁぁぁぁあああ。

観に行けるだろうか。
誰にもいわずこっそり行くかな。
Commented by mtonosama at 2009-11-29 05:48
ライスケーキさん
そうなの。おじいさんのパートナーは牛なの。
おばあさん、牛にやきもち焼いているんです。
でも、おばあさんも牛に時々やさしいこと言うんですよ。

辻井くんのドキュメンタリー、残念ながら観ませんでした。

ライスケーキさんの心はもともときれいだと思います。
Commented by mtonosama at 2009-11-29 05:51
すっとこさん

動物の死ぬのはつらいぃぃぃぃいいい。

牛がだんだん痩せてきて、腰の肉が落ちていくんだけど
ゆっくりゆっくり荷車をひいて歩くんだよね。
あ、いけない。また泣けてきた。

牛も涙を流すんだよ。
Commented by Tsugumi at 2009-11-29 07:08 x
この記事読んで太郎の前に飼っていたセントバーナードの花子のことを思い出しました。
セントバーナードの寿命は9~10年と言われているのに13年生きました。日本に来て花子が長い間だんな様のパートナーでした。
元気なころの花子は私がだんな様に会いに行くとやきもちを焼いて玄関をブロックして中に入れないようにしてました。

老後は私も素直に受け入れてくれ静かな一生を終えました。。
でもだんな様の悲しみはとても深かったです。。

すみません。全然映画の感想になっていません。。

あっ、そうそう、東京タワーを撮ったのはプリンスホテルパークタワーからです。。
Commented by ひざ at 2009-11-29 16:47 x
「牛の鈴症候群」ってどんなんなんだろ。
質素な爺さんたちがもてはやされた、牛をペットにする人が増えた、大きい鈴を身に着けるのがブームになった…etc。
どれも全然違ってるんでしょう、でもなんだか想像心をくすぐられます。
ヒットしなければ出家! と心に決めていたという監督はキリスト教徒なのか、でも出家というからには仏教か、とかここでまた雑念にとらわれたりして。
口うるさいおばあさんの小言がナレーション代わりになっているときて、わが猛母の顔が浮かんできたりする。
なんで牛に名前をつけなかったのかlなァ…。
買った時には既に齢10歳を超えていたのだなァ…。

なんてったって動物、好きですから思いは枯野を駆け巡ります。
Commented by ライスケーキ at 2009-11-29 17:24 x
日替わり画像楽しんでます。 おじいさんの手の牛の鈴と薬指の結婚指輪が良いですね。 我が家では夫の指からも私の指からも結婚指輪は いつのまにか消えています・・・。 重ねて・・・。 
Commented by mtonosama at 2009-11-29 17:54
Tsugumiさん
そうですか。太郎の前には花子が…
うちも20歳まで後1週間というところで飼い犬が死にました。
雑種なのにロン毛の可愛い犬でした。
死ぬ前1年位から腰が弱り、肉も落ち、この映画の牛みたいに
なりました。徘徊も始まりました。

荷車ひいて働くわけじゃないけど、一生懸命生きました。
でも、もう犬は飼いたくないなぁ。
Commented by mtonosama at 2009-11-29 17:58
ひざ小僧さん

牛の鈴症候群はみんなが大挙して映画館に押し寄せ、
牛を観て泣く病気だよ。

ハンカチを配ったら、同じシーンで一斉にハンカチの包みを
破る音がしてみんなグスグス始めたんだって。

コタロウは元気?
Commented by mtonosama at 2009-11-29 18:00
ライスケーキさん

ほんとだ。おじいさんの泥だらけの手に結婚指輪が光ってる!
おばあさんも口やかましいけど、ほんとは優しい人だもんな。
良い夫婦なんだね。きっと。
Commented by Tsugumi at 2009-12-02 08:22 x
毎日画像が変わっていますね。。。

素晴らしい。。。
Commented by mtonosama at 2009-12-02 09:32
あー、Tsugumiさん

気付いて下さいました?ありがとうございます。
毎日見て下さってたんですか?!うれしいです♡

毎日更新しないので、せめて写真だけでも毎日変えられればと…
今回はおじいさんやおばあさん、それに牛の味のある画像が
多くあって良かった♪

Commented by Tsugumi at 2009-12-03 07:33 x
ちゃんと毎日見てますよ~~~!

Commented by mtonosama at 2009-12-03 09:36
ありがと~~~~~♪