ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

海の沈黙 -2- Le Silence de la mer

海の沈黙 -2-
Le Silence de la mer

f0165567_5365938.jpg


© 1948 GAUMONT

フランスは善玉で、ドイツはいつも悪玉か。
ナチの中にも良い人はいるんじゃないか…
前回、そんな疑問を持った殿です。

「海の沈黙」は疑問を解いてくれるでしょうか。

ストーリー
1941年、冬。
ドイツ占領下のフランスの地方都市。
姪と暮らす老人の家に2人のドイツ兵がやってきました。
その家の一部屋をドイツ軍将校に提供させるためです。

数日後、将校ヴェルナー・フォン・エーブルナックが到着。
彼は流暢にフランス語を操り、部屋を提供してもらった礼を述べます。
そして「自国を愛する人を尊敬します」と丁重に挨拶しました。
姪はひとことも言葉を返さず、笑顔も浮かべず
かといって、表情を強張らせることもなく
まるで、そこには誰もいないように、将校の先に立って2階の部屋へ案内します。

将校は老人と姪に礼儀正しくフランス語で話しかけ続けますが
彼らはそこには自分たちしかいないように振る舞います。
毎夜、将校が「おやすみなさい」とその場を去った後も
2人はいつものように無言のまま静かな夜を過ごします。

2階から響いてくる将校の少し不自由な片足をひきずる音だけを耳にしながら。

ある寒い晩、将校は私服に着替えて、2人の居間へ下りてきました。
彼は暖炉の火に手をあぶりながら、仕事は作曲家であること
幼い頃からフランス文化に憧れていたこと、などを語り始めました。
そして、この戦争はドイツとフランスの結婚であり、そのことによって
2つのすぐれた文化が融合し、両国にとって良い結果をもたらすだろうと語るのでした。
ある夜は、居間のオルガンでバッハを弾き、フランス文学を賛美する将校。
老人と姪は沈黙したまま、読書や編み物を続けます。

それから、将校は休暇で、初めてパリを訪れます。
憧れのパリ。しかし、将校クラブで久しぶりに仲間と会い
彼らの口から語られる戦争の現実を聞いて、彼は…


静かな映画です。
銃撃戦があるわけでもなく、人が殺されるわけでもない。
静かな海の底のように声のない、沈黙の抵抗。

ドイツ将校も悪魔ではありませんでした。
しかし、少しバランスが崩れたら、絶叫が溢れだすかもしれない。
3人の間で保たれる、静かではあるけれど、緊張に満ちた世界。

戦争さえなければ、この品格と教養に満ちたドイツ人と美しい姪との間には
恋が芽生えていたかもしれません。
戦争さえなければ、この将校は自分の国の人間があれほどの蛮行をするとは
知らないまま、死んでいくことができたかもしれません

戦争…
抵抗…

f0165567_5444045.jpg
監督はこれが長編処女作となるジャン=ピエール・メルヴィル。
彼自身レジスタンスに身を投じたことがあるといいます。
そんな監督の説得力に素直に耳と眼をゆだねたい気持ちになります。
海のように深く、海のように静かな抵抗。
これが63年も前の映画です。映画って本当にすごいですね。




海の沈黙 デジタルリマスター版
監督・脚本/ジャン=ピエール・メルヴィル、原作/ジャン・ヴェルコール、撮影/アンリ・ドカ、
音楽/エドガー・ビショフ、製作/ピエール・ブロンベルジェ、
製作主任/エドモン・ヴァクスレール、製作総指揮/マルセル・カルティエ
出演
ハワード・ヴェルノン/ヴェルナー・フォン・エーブルナック、二コル・ステファーヌ/姪、
ジャン=マリー・ロバン/叔父
2月20日(土)より、岩波ホール他でロードショー
1947年、86分、モノクロ、フランス映画、配給/クレストインターナショナル
公式サイト:http://www.crest-inter.co.jp/selection/index.html


ブログランキングに参加しています。
是非ワンクリックお願い申し上げます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
♡1月25日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます♡
by mtonosama | 2010-01-25 06:00 | Comments(6)
Commented by すっとこ at 2010-01-25 12:40 x
うっうっうっうぇぇぇぇええええええええええーーーーん!

やっぱりストーリー、最後がどうなるのか
わからんかったよーーーーーーーーーーーーーーん!

わからんかったけど映画監督がレジスタンス運動に
身を投じたことがある、というところで言わんとする
いえ、無言で語る戦争の愚かさが垣間見られる
ような気がしました。

かつての日本の学生運動、をふと思いましたです。
なぜだろう。
Commented by mtonosama at 2010-01-25 14:09
♡すっとこさん

泣かないでくださいまし。
まだご覧になっていない方のためにネタばらしはしない方が
いいと考えまして。
レジスタンス映画 at 岩波ホール。お楽しみいただきたいです。
でも、NYに岩波ホールはないもんなぁ。

今後、日本の学生運動がレジスタンス映画として
描かれることがあるでしょうか?
ああ、悲しい哉。学生運動…
Commented by ライスケーキ at 2010-01-25 18:01 x
ストーリーが最後まではわかりませんが、素晴らしい作品ですね。
これが63年も前の作品だなんて。
人間の心はいつまでも変わらないのですね。 そして愚かな戦争を
再び繰り返すところも・・・。
岩波ホールは遠いです。  神田・古本街にも昔はたまに行ったけど 最近は近所のブックOOですませているので やはり遠いです。でもでも、こういう作品こそ映画館でゆっくり観たい!
Commented by mtonosama at 2010-01-25 19:30
♡ライスケーキさん

岩波ホールは確かに遠い。
でも、映画館(たとえ遠くとも)にはプラスαのお楽しみが
ありますから♪
Commented by Tsugumi at 2010-01-26 10:48 x
人間一人ひとり見るとそんなに悪はいないと思いますが。。。。

しかし1枚目のアクトレスのお顔にしわひとつありませんね。。美しい~~!

でも63年前ってCGないですよね。。。

Commented by mtonosama at 2010-01-26 14:14
♡Tsugumiさん

63年前はCGないでしょうねぇ…

たしかに、一人ひとりを見れば、悪くはないんでしょうが…
なにかに所属することで悪くなってしまうんですね。

でも、Tsugumiさんが体験した蕎麦屋事件
そのおかみさんはひどいと思います。