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殿様の試写室

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闇の列車、光の旅 -1- Sin Nombre

      闇の列車、光の旅 -1-
                    Sin Nombre

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c2008 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

昔の話をしてごめんなさい。

タイトルも内容もすべて忘れてしまったのですが
あるワンシーンだけが今も鮮明に蘇ってくる映画があります。

町の広場とおぼしき場所に井戸がひとつ。
容赦ない陽光にさらされ、すべてが砂埃にまみれ、乾ききっています。
〈これが貧しさだ!〉とつきつけてくるシーンでした。
なにも覚えていないのに、その貧しい場所がメキシコだったということだけが
強く印象に残っています。

そのシーンが殿の頭に〈メキシコ=貧困〉を刷り込んでしまっていましたが
この映画によって、さらに貧しい中南米の現実を知りました。
「闇の列車、光の旅」というタイトルから
心躍るロードムービーを期待した自分の不明を恥じています。

原題の“Sin Nombre”はスペイン語。
“without a name”(名前がない) あるいは”nameless”(名無し) という意味、だそうです。

メキシコからの移民問題は「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」
(http://mtonosama.exblog.jp/11735083)でも、扱われていましたが
「闇の列車、光の旅」はメキシコよりもさらに南のホンジュラスから
グアテマラ、メキシコを経て、列車の屋根に乗って、アメリカを目指す移民たちと
どうしようもない貧困の中でギャングに身を落とし、短い命を散らせていく少年たちの物語です。

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映画はフィクションですが
監督自ら、映画の主人公たちと同じように、27時間列車の屋根に乗って
旅をしたときの体験が、作中の列車でのできごとの下敷きになっています。

監督・脚本はキャリー・ジョージ・フクナガ。
日系3世の父とスウェーデン系アメリカ人の母を両親に持つ1977年生まれ
32歳の若手新人監督です。
2005年フクナガ監督が脚本・監督をつとめたショートフィルム
Victoria para Chino”がサンダンス映画祭で上映され
その後、世界中で24個以上もの賞を受けました。
それがきっかけとなって生まれたのが本作「闇の列車、光の旅」です。

”Victoria para Chino”
テキサス州にあるヴィクトリアという町で
トラックに乗せられた移民たちが放置され、その中で窒息死していた事件を
題材にした作品です。

フクナガ監督はメキシコでこの作品を撮るための取材をしたとき
中南米の移民たちのことを知ったのだそうです。

移民といえばメキシコからアメリカへ国境を越えてくる人たちが思い浮かびます。
「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」でもそうでした。
しかし、ホンジュラス人、グアテマラ人、ニカラグア人たちは
まずメキシコを目指して北上し、そこから更にアメリカへ向かいます。
通過する国が多ければ多いほど、苦難も多いわけです。

フクナガ監督はメキシコの刑務所で不法に移民を運ぶギャングに会い
グアテマラ・メキシコ国境で、川を渡ろうと筏に乗る人たちを見ました。
事故でけがをした移民たちのシェルターで多くの人にも会いました。
シェルターにいる人たちは少しでも良い生活を求めて北を目指したものの
途中で負傷し、国境を越えられなかった人たちです。

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「闇の列車、光の旅」はフィクションです。
しかし、若いフクナガ監督がすべて自分の目と耳と足で体験したできごとが
元になっています。だから、訴えてくるものはとても強いのです。

製作総指揮に「モーターサイクルダイアリーズ」で青年ゲバラを演じたガエル・ガルシア・ベルナルがあたっているところも、興味をそそります(すいません。彼のファンなもので)。

ゲバラは中南米全体の革命をめざし、志半ばに斃れましたが
この映画に描かれている現実を知ったら、怒髪天を衝かぬばかりに怒り狂うことでしょう。

ゲバラの髪はいつも逆立っているって?
それは、きっと、人々のおかれた理不尽な現状を憂え
いつも怒っていたからに違いありませぬ。

というわけで、ストーリーは次回に。乞ご期待!

to be continued.

闇の列車、光の旅
脚本・監督/キャリー・ジョージ・フクナガ、撮影/アドリアーノ・ゴールドマン、音楽/マーセロ・サーヴォス、製作総指揮/ガエル・ガルシア・ベルナル、ディエゴ・ルナ、パブロ・クルス
出演
パウリーナ・ガイタン/サイラ、エドガー・フロレス/カスペル(ウィリー)、クリスティアン・フェレール/スマイリー、テノック・ウェルタ・メヒア/リルマゴ、ディアナ・マルシア/マルタ
6月上旬 TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー
2009年、アメリカ・メキシコ、スぺイン語、96分、配給・宣伝/日活
http://www.yami-hikari.com/


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♡4月6日に更新しました。いつも応援してくださり、本当にありがとうございます♡
by mtonosama | 2010-04-06 06:37 | Comments(8)
Commented by すっとこ at 2010-04-06 08:13 x
あーらっらーぁぁぁぁぁああああああああああああああ!

ストーリーは次回なのね。
早く早く読みたいですわん。

キャリーってお名前ってことは女性?でしょうか?
フクナガって名前に日系の証しがピカリと光りますね。

今NYに住んでて来週LAに移るすっとこですが
そのことをあるロシアから亡命してきた人に話すと
「あなたのハズバンドはよりよい生活を求めて
 NYに来たのでしょう?LAへ行くのは地位が
 あがることなのですか?」と真剣に聞いてきた。

あ、いや。
駐在がただ国内転勤になるだけです、いうても
チェルノブイリから逃げて亡命してきた彼女には
よくわからないようだった。

自国を捨てる、
捨てなければ生きていけない、
その為に命を落とすことがあっても、
という行為の意味は
この映画を見ると少しわかるようになるのでせうか。
Commented by mtonosama at 2010-04-06 08:31
♡すっとこさん

キャリーとはいうても男性です。
優しい顔してはるけど、うっすらとおひげも見えるので…

キャリーというと、スティーヴン・キングのあのお話と映画を
思い出してしまいますよね。

チェルノヴィリから亡命してきたその女性アレクサンドラって
人でしたっけ?

生まれた地を、もう戻れない覚悟を持って去るって
大変なことだよね。
それほどの貧困は許されるべきじゃないです。
Commented by すっとこ at 2010-04-06 12:52 x
そうそう、アレクサンドラです。
よく覚えておいでですね!さすが若い!!

貧困って
本当の貧困を知らないから
うなだれてしまいます。
Commented by Tsugumi at 2010-04-06 15:23 x
これTOHOシネマズの予告編で見ました。。

殿様のストーリー読んで見に行くか考えましょう。。
Commented by mtonosama at 2010-04-06 15:57
♡すっとこさん

アレクサンドラというおばあさんが孫を訪ねてチェチェンの戦場へ向かうという映画「チェチェンへ アレクサンドラの旅」(ソクーロフ監督)の映画を当試写室で上映したとき、すっとこさん、コメントくれたのが印象に残ってたんざんす。

学生時代、おなかが空いたのを水を飲んでごまかすという
貧困を経験した殿
Commented by mtonosama at 2010-04-06 15:58
♡Tsugumiさん

およっ!

との、責任重大であります(笑)
Commented by ライスケーキ    at 2010-04-07 09:10 x
中南米の事はよく分かりませぬが貧しいのですね。 わざわざ日本にも出稼ぎにやって来るくらいだから。  
日本もそうだけどアメリカも経済悪そうだから「光の旅」になるんでしょうか。  次回ストーリー紹介に乞う御期待!
Commented by mtonosama at 2010-04-07 21:37
♡ライスケーキさん

貧しいということは人を追い詰めますね。

水で空腹をいやす貧しさが今日も明日も続くというのは
つらいです。

悪性時代、月末になるとそんな日々を送っていた殿です。