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殿様の試写室

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映画で観る戦争(ベトナム)の真実 -2- ハーツ・アンド・マインズ ウィンター・ソルジャー

映画で観る戦争(ベトナム)の真実 -2-

ハーツ・アンド・マインズ
ベトナム戦争の真実
〈デジタル修復バージョン〉
Hearts and Minds

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ウィンター・ソルジャー
ベトナム帰還兵の告白
Winter Soldier

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ベトナム戦争が終わってから、もう35年経ちました。
日本とアメリカが戦争したことを知らない人がいるくらいですから、
ベトナムで戦争があったことを知らない人も大勢いることでしょう。
それでも、いまだに世界に戦争の火種は尽きるということがありません。

しかし、映画が反戦のきっかけになることもありえます。

この2本が、ベトナム戦争だけでなく、あらゆる戦争の愚かさを
あらためて問いかけるものになればいいのですが。

ハーツ・アンド・マインズ
ベトナム戦争の真実
フランスとの間で戦われていたインドシナ戦争の南北分断に端を発する
ベトナム戦争勃発の原因、
アメリカの政治家や官僚たちの大義(!)、
古くは中国、フランスと長い間他国の侵略を受け続けてきたベトナム人の怒り、
帰還米兵たちの生々しい証言、
村を焼かれ、子どもを殺されたベトナム農民の激しい抗議―-

映画はアメリカ人、ベトナム人、大統領から一般市民、
戦争反対派そして賛成派
あらゆる人々の証言を集め、ベトナム戦争の真実を浮き彫りにしていきます…


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「ハーツ・アンド・マインズ」は1975年1月30日、
アメリカで数々の上映妨害行動を経て一般公開されました。
この映画がどれほど人々の関心をひいたかを示す印象的なできごとがあります。
1975年4月5日、アカデミー賞授賞式でのことです。
本作のプロデューサー、バート・シュナイダーが受賞スピーチで
ベトナム戦争とアメリカの良心について語り始めたとき、
司会のフランク・シナトラが「アカデミー賞に政治を持ち込むな!」と抗議したのです。
(彼はハリウッドきってのタカ派です)
それに対してシャーリー・マクレーンが
「映画は真実を見つめて平和に貢献しなければならないわ」と反論。
拍手喝采を浴びたそうです。
ベトナム戦争は、華やかなハリウッド・アカデミー賞の会場も揺さぶっていました。

ウィンター・ソルジャー
ベトナム帰還兵の告白
ベトナム戦争が泥沼化していた1971年。1月31日から2月2日の3日間、
デトロイトのハワード・ジョンソン・ホテルのホールで
“ウィンター・ソルジャー公聴会”が開催されました。
主催は“戦争に反対するベトナム帰還兵の会(VVAW)”。
米軍のベトナムにおける戦争犯罪や残虐行為を、帰還兵自身が証言するこの公聴会には
100人を超える帰還兵が参加しました。
彼らはまさに自分たちがベトナムで犯し、目撃した行為を生々しく語ります…

30数年後、2008年10月には彼らの意志を引き継ぎ、
“戦争に反対するイラク帰還兵の会(IVAW)”がイラク版の"ウィンター・ソルジャー公聴会”を
開催したということです。

ちなみに、ウィンター・ソルジャーとは
「今こそ魂の試練のときである。夏の兵士と日和見愛国者たちは、
この危機を前に身をすくませ、祖国への奉仕から遠ざかるだろう。
しかし、試練に耐える者は人々の愛と感謝を受けるに値する」
1776年の冬、バレーフォージにて トーマス・ペイン(「コモン・センス」より)
から来ています。

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ベトナム戦争当時、アメリカ側死者何人、ベトナム側死者何名と
人の死は数字で表されるだけでした。
そして、いつも圧倒的にベトナム側の死者は多かったものです。

この2本の映画にはベトナム戦争当時の報道からは見えなかったものがありました。

     映画の中で証言する帰還兵たちは清潔で善良そうな普通の青年だということ。

     善良でこぎれいな彼らも軍服さえ身につければベトナム人をグークと呼び、
     誰かれかまわず殺害し、家に火をつけるのです。

グーク(gook)
1.《米略式》きたない[べとべとした、ぬるぬるした]もの、どろ、汚物。
2.《米俗》《侮蔑》外国人、〈特に〉東洋人;(ベトナム戦争時の)ベトコン。
3. 《米俗》まぬけ、ばかもの;ルンペン、放浪者。
4. 《米俗》売春婦 (ジー二アス英和大辞典)
 グーク、ひどい言葉です。

そして、ベトナム戦争時、ベトナム人は無表情だ、とアメリカ人が言うのも
よく聞きました。
実際、映画の中でアメリカの政治家がそのようなことを発言しています。
聞いていると、不愉快を通り越して、気持ちが悪くなるくらいの
アジア人への差別が彼らの中にはあります(この差別意識が「ザ・コーブ」の中にもあるように感じたのは、殿だけでしょうか)。

彼らはベトナム人を無表情だと呼びますが、
その無表情なベトナム人が爆撃で死んだ夫の葬儀の場でその名を叫びながら、
墓穴の中に一緒に入っていこうとするほどの深く激しい悲しみを見せました。
ひとりの農夫は子どもが死んだ怒りと悲しみをカメラに向かって
延々と訴え続けました。

空爆する兵士も、差別意識丸出しにベトナム人を罵る政府高官も、
アメリカ人。
公聴会で自らの行為の恐ろしさに絶句した帰還兵も、
ベトナム人の悲しみにしっかりと目を向けたカメラマンも
アメリカ人。
後者のアメリカ人がもっと増えたら、アメリカ人も変われるのに。

40年も前のこと、と、通り過ぎず、
今も世界のそこここで起きている問題として、
この映画をとらえることが必要です。

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ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実
監督/ピーター・デイヴィス、製作/バート・シュナイダー、ピーター・デイヴィス、撮影/リチャ―ド・ピアース、編集/リンジ―・クリングマン、スーザン・マーティン、製作補/トム・コーエン、リチャード・ピアース、リサーチ/ブレナン・ジョーンズ、録音/トム・コーエン
出演
ジョルジュ・ビドー(元フランス外相)、ジョン・フォスター・ダレス(元米国国務長官)、クラーク・クリフォード(元トルーマン大統領補佐官)、ウォルト・ロストウ(元米国大統領補佐官)、ランディ・フロイド・ノーマン(元米軍大尉)、J.W.フルブライト(元外交委員長)、ロバート・ミュラー(元米軍中尉)、スタン・フォルダー(元米軍伍長)、ジョセフ・マッカーシー(元上院議員)、ウィリアム・ウェストモーランド大将(ベトナム派遣軍司令官)、ダニエル・エルズバーグ(元国防省顧問、ランド研究所)、チャン・ティン神父、ジェム・チャウ(トリンベイ誌編集者)、ジョー・トレンデル(元米軍三等軍曹)、バートン・オズボーン(元CIA情報将校)、エドワード・サウダース(米軍脱走兵)、ジョージ・パットン3世(元米軍大佐)、ウィリアム・マーシャル(元米軍三等軍曹)、グエン・ゴク・リン(複合企業社長)、ロバート・ケネディ(元上院議員)、ユージン・マッカーシー(元上院議員)、グエン・カーン将軍(元南ベトナム大統領)、ゴ・ディン・ジェム(元南ベトナム大統領)、ゴ・バ・ダン(元政治犯)、マクスウェル・ディラー大将(元南ベトナム大使)、ボブ・ホープ、リンドン・ジョンソン(元米国大統領)、J.F.ケネディ(元米国大統領)、リチャード・ニクソン(元米国大統領)、ロナルド・レーガン(元米国大統領)etc
6月19日(土)~7月16日(金)東京都写真美術館ホールにて公開
BBSプロダクション製作ハワード・ザッカー、へンリー・ジャグロム・レインボー・ピクチャーズ提供、1974年アメリカ映画、112分、カラー
公式HP www.eigademiru.com

ウィンター・ソルジャー ベトナム帰還兵の告白
“ウィンターフィルム・コレクティブ“
フレッド・アロノウ/製作・撮影、ナンシー・ベイカー/製作・編集、レッタ・バロン/製作・編集、ロバート・フィオーレ/製作・撮影、デヴィッド・ギリス/製作・撮影、デヴィッド・グルービン/製作・撮影、ジェフ・ホルステイン/製作・撮影、バーバラ・ジャーヴィス/製作・編集、アルギス・カウバス/製作・録音、バーバラ・コップル/製作・録音、マイケル・レザー/製作・撮影、ナンシー・ミラー/製作・録音、リー・オズボーン/製作・録音、ルーシー・マシーフェニックス/製作・編集、ロジャー・フェニックス/製作・録音、ベナイ・ルービンスタイン/製作・編集、マイケル・ウェイル/製作・編集
出演
ラスティ・サックス/第1海兵航空団、ジョセフ・バンガート/第1海兵航空団、スコット・シマブクロ/第3海兵師団、ケネス・キャンベル/第1海兵師団、スコット・カミル/第1海兵師団、ジョン・ケリー/海軍沿岸文体11&13(現民主党の政治家、上院外交委員会委員長、スティーブ・ビトキン/第9歩兵師団、ジョナサン・バーチ/第3海兵師団、チャールズ・スティーブンス/第101空挺師団、フレッド・ニエンケ/第1海兵師団、デヴィッド・ビショップ/第1海兵師団、ナイサン・ホール/アメリカル師団、マイケル・ハンター/第1歩兵師団、マーフィ・ロイド/第173空挺師団、カール・リップバーガー/第9歩兵師団、エヴァン・ハンニー/米海軍支援部隊、ロバート・クラーク/第3海兵師団、ゴードン・スチュワート/第3海兵師団、カーティス・ウィンドグロッドスカイ/アメリカル師団、ゲイリー・キース/アメリカル師団、アラン・アカーズ/第3海兵師団、ウィリアム・ハットン/第3海兵師団、ジョセフ・ガルバリー/アメリカル師団、エドモンド・マーフィー/アメリカル師団、ジェイムズ・ダフィー/第1空挺部隊、スコット・ムーア/第9歩兵師団、マーク・レニックス/第9歩兵師団、トーマス・ヘイドマン/第1海兵師団、デニス・カルドウェル/第1航空旅団、ジェームズ・ヘンリー/第3海兵師団
6月19日(土)~7月16日(金)東京都写真美術館ホールにて同時公開
ミリァリウム・セロ&ウィンターフィルム提供、製作協力/戦争に反対するベトナム帰還兵の会、1972年アメリカ映画、95分
公式HP www.eigademiru.com

by mtonosama | 2010-05-09 06:16 | 映画 | Comments(4)
Commented by Tsugumi at 2010-05-09 07:02 x
ほほう・・・昨年から何度かお見かけしているシャーリー・マクレーンが。。。。
見直しちゃったわ。

イギリス風の大きなタラは見つけました。
でもそのタラ揚げるフライパンが無いの(苦笑)
Commented by mtonosama at 2010-05-09 09:03
♪Tsugumiさん

ね、シャーリー・マックレーン、かっこいいですね♪

え?タラは一匹揚げするんですか?
まさかねぇ…
合羽橋へ足を伸ばせば巨大フライパンも
みつかるのではないでしょうか?
Commented by ライスケーキ at 2010-05-09 21:42 x
ホント 「40年前のこと」じゃなくて 今の問題でもあるんだよね。
過去を知れば、今が分かる。
こういう映画を見て過去を知って、今を知ることも必要。
いつの世も 「良い戦争、悪い平和」なんて絶対ありません!
Commented by mtonosama at 2010-05-10 06:54
♪ライスケーキさん

その昔、毎日グラフという写真誌がありましたが、
(朝日グラフもありました)
そこに出ていた写真
―米兵が爆弾でちぎれたベトナム兵士の身体を片手で持ち上げている―
が数十年経った今でも眼前にありありと浮かびます。

基地問題で揺れる今、こういう映画が公開されることは
とても意味深いと思います。

今日はまじめな殿です。
あ、基本、いつでもまじめですよ。もちろん(笑)

by Mtonosama