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殿様の試写室

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ペルシャ猫を誰も知らない -2- No One Knows About Persian Cats

ペルシャ猫を誰も知らない 
                         -2-

      Kasi Az Gorbehayeh Irani Khabar Nadareh
           No One Knows About Persian Cats

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本作を監督したバフマン・ゴバディ氏はクルド人です。
酔っぱらった馬の時間」(‘00)
わが故郷の歌」(‘02)
亀も空を飛ぶ」(‘04)
Half Moon(半月)」(‘06)日本未公開
とこれまでにクルドを舞台にした4本の長編映画を撮っていますが、
「Half Moon」の撮影後、新作の撮影許可がおりず、
ヤキモキした監督は自分でカメラを買ってしまいました。

ゴバディ監督は言っています。
「(イランでは)映画撮影のための35ミリカメラやその機材はすべて当局に帰属し、
それを使うには当局の撮影許可を得なくてはならないのです」。
許可がおりなければ、いつまで経っても映画は撮れません。

自分のカメラを手に入れたゴバディ監督は無許可で撮影を開始しました。
そういう事情ですから「ペルシャ猫を誰も知らない」はゲリラ撮影でした。
すばやく撮影現場に移動し、警官が現れない内にパパッと撮影し、
姿を消さないといけません。この映画は17日間で撮り終えたそうです。

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主人公たちは好きな音楽をやりたいだけ。
監督も彼らを撮影したいだけ。
どこか問題があるのでしょうか。
前作「Half Moon(半月)」も、本作も、イランでは公開できませんでした。

本作の中で、自由な表現への強い想いをこめて主人公は空を飛び、
ゴバディ監督も本当にイランを離れました。

実は、監督は先月この映画のプロモーションのため、来日することになっていましたが、
急遽中止になってしまいました。
監督からのお詫びと中止の理由が記されたメッセージが
ありますので、ご紹介させていただきます。

親愛なる日本の皆様へ
『ペルシャ猫を誰も知らない』の日本公開を控えて、日本に行けないことがとても
残念です。日本へ行くための私のパスポートは、査証ページがなくなっているため、
その再発行(増補)を、在外のイラン大使館・領事館にお願いをしていました。
しかし結局、どこのイラン大使館でも「イランに戻らなければ発行しない」という
返事しかもらえませんでした。

今の私がイランに戻るということは、刑務所に入れられるか、
二度とイランの外へ出られないかを意味しています。
そのために今回は残念ですが、日本へ行くことを諦めなくてはなりませんでした。

今、私はイラクのクルド人自治区にいます。そこを第二の母国として、新しい国籍
のパスポートを得たいと思っています。そうすればまた旅ができるようになります。
また日本の皆さんに会えますように。

日本での映画の公開が成功することを祈っています。

本作の配給会社によれば、
「映画の完成後に大統領選挙があり、その新政権による文化の規制がますます厳しくなり、
映画に関しても今まで以上に撮りたいものが撮れなくなったということだと思います。
今回の映画がきっかけになって、国を出ざるを得ない状況になったのではないでしょうか」
ということでした。

さて、ストーリーです。

ストーリー
録音スタジオで男性が歌っています。はっきり言ってヘタです。
調整卓に向っているエンジニアに「彼に2時間でいいから順番を譲ってと言って」
と女性が頼み込みます。
するとエンジニアは
「彼、かわいそうなんだよ。新作映画は撮影許可がおりず、旧作は海賊版が出回るだけ。
ここで歌うのが憂さ晴らしなのさ」と応えるのです。
そう、歌っているのはバフマン・ゴバディ監督でした。

ネガルとボーイフレンドのアシュカンはミュージシャン。
”テイク・イット・イージー・ホスピタル“というバンド名でロックをやっています。
アシュカンは無許可でケーブルTVに出演し、演奏したために逮捕され、
今朝釈放されたばかり。
バンドはバラバラになっていました。
2人は演奏許可が下りないテヘランを離れ、ロンドンで公演することを夢見ています。
でも、そのためには違法にパスポートを取得しなければなりません。
そして便利屋のナデルを頼るのですが…

            ♪あなたと歩いて行きたい 霧の街を抜けて
             緑の枯れない国へ
             〈中略〉
             手巻きの時計は壊れて動かない
             毎日が今日のままで 明日が恐くないように♪

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自由に歌えない、自由に表現できない。つらいですね。
以前、イラン映画に子供映画の秀作が多いのは子どもが主人公なら検閲が入りにくいから、
ということを聞いた覚えがあります。

ゴバディ監督の前作「亀も空を飛ぶ」も子どもが主人公のとてもつらい結末の映画でした。
本作は若いミュージシャンを主人公にテヘランで演奏活動をする実在のミュージシャンを
追った興味深い作品です。

監督はイランから出ていってしまったし、映画もハッピーエンドではありませんが、
イランという国は日本とは違って若者の数が多いのだそうです。
政府だって、そうそう若者の不興を買うような文化政策をとってはいられないでしょう。

いつの日かクルドのゴバディ監督も自由に出入国し、
好きなだけ映画を撮れる日が訪れるに違いありません。

                        

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♪7月10日に更新しました。いつも応援していただき、ありがとうございます♪

ペルシャ猫を誰も知らない
監督/バフマン・ゴバディ、脚本/バフマン・ゴバディ、ロクサナ・サベリ、ホセイン・アプケナール、撮影/ハイェデー・サフィヤリ
出演
ネガル・シャガギ/ネガル、アシュカン・クーシャンネジャード/アシュカン、ハメッド・べーダード/ナデル、その他テヘランのミュージシャンたち
8月7日(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー、他全国順次公開
2009年、イラン、カラー、106分、配給/ムヴィオラ
http://www.persian-neko.com/

by mtonosama | 2010-07-10 05:43 | 映画 | Comments(6)
Commented by Tsugumi at 2010-07-10 07:38 x
こんなにインターネットが発達し情報がどこからでも入る時代に・・・
自由に表現できない。。

つらいですね。。

若き監督頑張って~~~!

私なら発狂してますねきっと(苦笑)
Commented by mtonosama at 2010-07-10 15:58
♪Tsugumiさん

私も応援します♡
ゴバディ監督、頑張って~~~っ!

ゴバディ監督を一度見たことがあります。
その頃30代だった筈ですが、もっとず~っと年長に見えました。
やはりご苦労が多いんだと思います。
Commented by ライスケーキ at 2010-07-10 21:58 x
当局の許可が無ければ映画の撮影も出来ないなんて・・・。
監督、彼自身の「自由」をかけて「自由を目指す若者」を撮影したのね。
「表現の自由のない国に真の発展はない」。
監督を思いながら イランの行く末を見守りましょう。
Commented by mtonosama at 2010-07-10 22:58
♪ライスケーキさん

ゴバディ監督自身、自由を目指す人なのでした。
イランのこと、よく知りませんが、どんな国なのでしょうね。
Commented by すっとこ at 2010-07-11 01:55 x
ええええええええええええええええええええ!

ゴディバ監督
・・・・・・・・・・・・
もとい、ゴバディ監督を
「一度見た」って???????
来日されたことがあるのですか。


殿様の試写室は凄いなあ。
なにが凄いって
映画を通していろんなお国の
想像もできない表現の不自由などを
勉強できるからです。

イランとかイラクって
映画事情のことなど想像だにしなかったもの。

この分なら文学者も行き辛い国なのでしょうね。
Commented by mtonosama at 2010-07-11 05:55
♪すっとこさん

5~6年前でしょうか。
ゴバディ監督に質問をしました(もちろん通訳さん付きで)。

前回の「亀も空を飛ぶ」日本公開のときは来日できたのです。
今回はほんとに残念でした。

すっとこさんのいるお国のお偉い方に
無法者呼ばわりされても、ところが、どっこい、
市民たちは普通に暮らしています。

頑張れ!ゴバディ監督。