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殿様の試写室

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彼女が消えた浜辺 -2- ABOUT ELLY

      彼女が消えた浜辺 -2-
               DARBAREYE ELLEY
                   ABOUT ELLY

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                      (C) 2009 Simaye Mehr.

事件は突然起こりました。
彼女はカスピ海の波が打ち寄せるリゾート地から姿を消してしまったのです。
仲間たちに黙って帰ってしまったのか?
それとも、波間に消えてしまったのか?

でも、不思議なのは、一行の内の誰も彼女の本当の名前も、住まいも、知らなかったこと。
彼女=エリを一行に加えた女性・セピデーですら、エリについて何も知らなかったのです。

一瞬、ハリウッド映画を思わせるコンセプト。
イランといえばイスラムの厳しい戒律と検閲制度、と頭に刷り込まれているため、
この現代的な内容にちょっとビックリ。
さて、どんなお話かというと―――

あ、その前に登場人物を紹介しておきますね。
なにせ群像劇ゆえ、登場人物が多く、聞き慣れない名前も多いものですから(汗)。

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       セピデーとその夫と子ども、
       アーマド(ドイツ人女性との結婚に破れたばかりの独身者)、
       ナジー(アーマドの妹)とその夫マヌチュール、
       ショーレとその夫ペイマンと子どもたち、
       エリ(セピデーの子どもが通う幼稚園の先生)
       の計11人

ストーリー
カスピ海沿岸の風光明媚なリゾート地でノウ・ルーズの3日間を過ごそうと
大学時代の友人たちが車に分乗してやってきました。
卒業後数年を経て、各人各様の事情を抱えてはいても、友情は学生時代のまま。
楽しい日々を過ごせるに違いありません。

子どもたちを含む11人のヴァカンス。この旅のすべてを仕切ったのはセピデー。
彼女は自分の子どもが通う保育園の先生・エリも旅行に誘いました。
エリはセピデー以外のメンバーとは初対面でしたが、
明るく世話好きなセピデーはエリを迎え入れるための雰囲気づくりも怠りません。
実は、セピデーはある計画を練っていました。
今回の旅を、離婚したばかりのアーマドとエリの出会いの場にしようとしていたのです。
友人たちも協力を約束し、アーマドもエリの計画をうけいれました。

さあ、車は目的地に到着。
ところが、手違いから、セピデーが予約していた宿には泊まることができません。
その代わりに、と、一行は海辺の別荘へ案内されます。
ガラスは割れ、埃まみれの建物でしたが、ロケーションは最高。
海は目の前、まるでプライベートビーチです。
男たちは別荘の応急修理、女たちは料理、子どもたちは海遊び、
と、それぞれの作業にとりかかりました。
夜にはおいしい料理を食べながら、大人も子どもも一緒になってゲームに興じます。
最高の一夜。

その中でひとり馴染めない様子のエリ。
到着当日、携帯電話が圏外の浜辺から、街へ向かうエリにつきそったアーマドも
彼女の態度になんとなく違和感を覚えます。
しかし、エリはそんな小さな違和感など払いのけてしまうほど魅力的な女性でした。

翌朝も素晴らしいお天気。2日目もまた最高の日になろうとしていました。
ですが、エリは「1泊の予定で来ているので、どうしても今日の内にテヘランに帰りたい」
とセピデーに打ち明けます。ひきとめるセピデー。

そんな中、事件が起こりました…

真黒な画面の中央に縦長の光の線が動く―――
トンネルを行く車の先に見える出口でした。
あれは何かと考えながら、視線は光を追い続けます。
かなりシュールにオープニングからつかまってしまったとのです。

ストーリーを知って、「ハリウッド映画みたいだな」と思いこみ、
ハリウッド映画のイラン版ならご免こうむりたいと考えたとの、
なんておバカなわたし。
いやいや、先入見とはおそろしいものです。

映画には、さらにもうひとりのキーパーソンが登場し、意外なラストへと導かれます。
アスガー・ファルハディ監督すごいっ。大変におもしろうございました。

2009年8月、イランの新大統領にアフマディネジャド氏が就任し、
その後、イランの検閲体制は以前にもまして強化されています。
本作は新体制以前の、検閲が比較的穏やかな時期に撮影されたものですが、
それにしても、難しい状況の中でこれだけの作品を世に送り出した
アスガー・ファルハディ監督には脱帽です。

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イランの厳しい状況を伝えるエピソードをご紹介します。
セピデーを演じたゴルシフテエ・ファラハニーは3ヶ国語(ペルシャ語、英語、仏語)に堪能な女優。
2007年にはカンヌ映画祭60周年記念作品、33本の短編からなるオムニバス映画
「それぞれのシネマ」(アッバス・キアロスタミ篇「ロミオはどこ?」)に出演し、
リドリー・スコット監督の「ワールド・オブ・ライズ」(‘08公開)でレオナルド・ディカプリオと共演、
1979年のイスラム革命以来、初めてハリウッド進出を果たしたイラン人女優となりました。
ところが、ハリウッド映画に出たことが新政権の逆鱗に触れ、まさかの国外追放、
現在はパリに暮らしています。
やっぱり大変なんですね。

が、しかし、
「ペルシャ猫を誰も知らない」でもお知らせしましたが、
イランは世界的にも若年層の人口比率の高い国。
30歳未満が人口の約70%を占めているといいます。
識字率は90%を超えていますし、女性の大学進学や社会進出も進んでいます。
いつまでも理不尽な管理体制が続くことはないでしょう。

これだけの映画をつくる国です。
その将来は明るいと信じたいっ、と、能天気なとのです。

彼女が消えた浜辺
監督・脚本/アスガー・ファルハディ、製作/シマイ・エメヘル
出演
ゴルシフテエ・ファラハニー/セピデー、タラネ・アリシュスティ/エリ、シャハブ・ホセイニ/アーマド、メリッラ・ザレイ/ショーレ
9月11日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開(全国順次)
2009年、イラン映画、1時間56分、配給/ロングライド
www.hamabe-movie.jp/


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♪7月31日に更新しました。いつも応援ありがとうございます♪
by mtonosama | 2010-07-31 06:16 | 映画 | Comments(11)
Commented by アイスケーキ at 2010-07-31 22:20 x
殿様の紹介でイランが身近な国になりました。
ファラハニーさん才色兼備なのね。
彼女の将来、イランの将来 見守っていきましょう。
これからはイランのニュースが出たら耳をダンボにして聞きますね。
Commented by すっとこ at 2010-07-31 23:51 x
うーん うーん ううーーーーーーーーーーーーーん

↑ぽんぽん痛いわけではありまっしえん。

それにしても
続きが知りたいのです、
うーん うーん ううううううーーーーーん!

ペルシャ語。英語、仏語に堪能とは
どういう頭脳と聴力と発音舌の構造を
持った若き女性なのでしょうか。

神は彼女に左脳と美貌を与え
そのかわりに・・・でしょうか
祖国を奪ったのですね。

Commented by すっとこ at 2010-07-31 23:53 x
あ、いかん。
左脳
ではなく
頭脳、と書こうとしたのです。
    言語野はむしろ右脳だし!
Commented by mtonosama at 2010-08-01 05:44
♪アイスケーキさん

ファラハ二―さんもアリシュスティさんも美人ですね。
前に上映した「キャラメル」というレバノンの女性たちも超美系
でしたけど、アラブ系は美しい方が多いです。
Commented by mtonosama at 2010-08-01 05:49
♪すっとこさん

結末を知らせないでごめんなさいね。

でもさ、宗教上の理由とはいえ、
スカーフで髪を隠すのはもったいないね。
アフガニスタンでは全身隠しているけど、
彼女たちも美人なんでしょうなぁ。

いやぁ、ホント、きれいやわぁ♡
Commented by Tsugumi at 2010-08-01 12:47 x
ワールド・オブ・ライズに出ていた女優さんでしたか。。。
綺麗な女優さんだと思っていました。。
しかしハリウッド映画に出たことが新政権の逆鱗に触れ、まさかの国外追放。。ですか・・・
えらいこっちゃですね。

最近物忘れがひどくて「ワールド・オブ・ライズ」のストーリー自分のブログで確認してやっと思い出しました(苦笑)
Commented by mtonosama at 2010-08-01 16:03
♪Tsugumiさん

えらいこっちゃですよ。
「ワールド・オブ・ライズ」は観てませんが、
やっぱり綺麗な女優さんっていう印象強いですか?

中近東の女性って美人ですよね。
Commented by Tsugumi at 2010-08-02 11:58 x
ハリウッド女優とは違うエキゾチックな感じ。。。

たとえは当たってるかわかりませんがスペイン語まくしたてるぺネロぺみたいな。。。。

違うか・・・・
Commented by mtonosama at 2010-08-02 19:58
♪Tsugumiさん

新婚のペネロペさんに?
う~~ん。

でも、本当にエキゾチックです♡
Commented by 寅二郎 at 2010-08-02 23:07 x
イラン映画といえば、日本の麻生久美子が出ている「ハーフェズ」を思い出します。
日本との合作ですが、イスラムとは何か、みたいな映画だった気がします。
イスラムの規範に抵触し追放された男が、実はもっともイスラムの正義を体現していた、というような(本当か?・笑)、ヒジョーに難解でしたが、誌的で美しい作品でした。
「彼女が消えた浜辺」も、ぜひ観たいです。
アルゼンチンをのぞけば、旅行で行きたい場所は、イランのようなイスラムの国ですね。

ところで、ひさびさにアップした寅二郎の記事にコメントいただいたのに、間違って記事を消してしまったのです!
記事自体は復元できたのですが、せっかくいただいたコメントが消えてしまいました。。。

ごめんなさい。
Commented by mtonosama at 2010-08-03 06:12
♪寅二郎さん

「ハーフェズ」というのは予告編で観たような気が…

この夏、イラン映画が続いてしまいましたが
「ペルシャ猫を誰も知らない」も要チェックかもしれません。
猫だけに(笑)

友人がイスラム圏にはまってヨルダンやシリアに行っています。
イランにも1週間ほど滞在したそうです。

私はアルゼンチンに行った後、モロッコやチュニジアへ行き、
それからイスラム圏に行きたいな、と。

いつのことやら…