ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

冬の小鳥 -1- 겨울새(旅人)

             冬の小鳥 -1-

                  겨울새(旅人)
          Une Vie Toute Neuve
          A Brand New Life


f0165567_5491983.jpg

   © 2009 Copyright DCG Plus & NOW Films, GLORIA Films. All Rights Reserved.

感動する映画の要素ってなんでしょうか。

脚本?
監督?
俳優?
観る人の感性?

おそらく、どれが欠けてもいけないと思うのですが、
この映画の中で、忘れ難い印象を与えてくれたのは
キム・セロンという名の9歳の少女。
主人公・ジニを演じた女の子です。
いえ、もう女優、いえ、表現者といってしまいましょう。

いかにもアジア的な静かな顔立ちのキム。
その奥二重の切れ長の目は、
彼女の心がとらえた悲しみ、痛み、喜び、そして諦めをあらわしていました。
それは湧き出した水がじわじわと大地を潤すような、静かだけれど、確かな感情表現です。

「ポネット」(‘96製作)という4歳の少女が主人公のフランス映画がありました。
「ポネット」と「冬の小鳥」を観て、理解できたことは、
子どもというのは何もわからない存在などではなく、
全身で、全力で、心の全てで、
自分の置かれた状況を理解しようとするものだということです。

f0165567_5504729.jpg
  
     だから、大阪で餓死した幼い姉弟はどんな思いで死を迎えたことでしょう。
     ドアを出て行く母親の背中が、彼らの目に映った最後の母の姿だとしたら、
     あまりにもむごいことです。
     あ、いけない。涙が出てきた。

タイトルをご覧ください。4つの言葉が並んでいます。
その内の韓国語はこの映画の主人公とウニー・ルコント監督の生まれた国の言葉。
映画の中で使われる言葉です。
そして、フランス語は監督が養女として暮らすことになった国の言葉。

そう、「冬の小鳥」は韓国から養子としてフランスに渡った監督の実体験から、
着想された映画です。
9歳のときにパリ郊外にある牧師の家に養女としてひきとられ、
フランス人として生きてきた監督は現在44歳。
彼女、もう韓国語は忘れてしまったので、
脚本はフランス語で書かれました。

主人公ジニを演じたキムがその演技力で、
深く印象づけてくれた施設での日々と心の移り変わりも、
監督が1975年から76年までを過ごした児童養護施設で抱いた感情そのままだそうです。

監督は言います。
脚本は、母国語である韓国語で書かれるべきでしたが、
私はすっかり言語を失っていました。
フランス語で書くことになりましたが、
私は映画という共通言語で書くことを信念としていました。
それこそが、私のハンデを補ってくれると信じていたからです


映画という共通言語―――
母国語を忘れてしまった悲しみに執着せず、映画という新しい言語を習得し、
素晴らしい作品を生み出した監督に拍手を送りたいです。

ところで、なぜ韓国から海外へ養子に行くのでしょうか?
実は、とのがドイツのコンスタンツという街に4週間ほどプチ語学留学したときのこと。
ルームメイトだったエーファ(スウェーデン人)のお姉さんが韓国からの養子と聞き、
「へえ」と思ったことがありました。

「韓国では戸籍法上の制約や血統主義の伝統もあって、
孤児が養父母を国内で見つけることが難しく、それを絶えずヨーロッパやアメリカに求めていた」
(渡辺直紀:武蔵大学人文学部日本・東アジア比較文学科准教授)
ということで、韓国国内では「孤児輸出」として社会問題にもなっているそうです。

エーファのお姉さんが暮らすスウェーデンですが、
1991年にスウェーデンの韓国人養子を取り上げた映画『スーザン・ブリンクスーアリラン』(日本題:スーザンブリンクのアリラン)が公開されて韓国内でも大きな反響を呼び、1998年に金大中大統領が海外の成人養子29人を青瓦台に招待して、韓国が育てられなかったことを公式に謝罪した(Wikipediaより)
とのこと。

f0165567_5524155.jpg

しかし、この映画のテーマは養子問題ではありません。

親に捨てられた子どもがその受け入れがたい事実とどのように折り合いをつけていくのか、
その心の軌跡が、キム・セロンという最高の女優を得て、描かれた作品です。

さあ、どんなお話でしょうか。この続きは絶対に見逃せません。乞うご期待であります。

                        

ブログランキングに参加しています。
どうぞ、ワンクリックをお願いします。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
♪8月15日に更新しました。いつも応援してくださり、本当にありがとうございます♪

冬の小鳥
脚本・監督/ウニー・ルコント、プロデューサー/イ・チャンドン、ロラン・ラヴォレ、イ・ジュンドン
出演
キム・セロン/ジニ、パク・ドヨン/スッキ、コ・アソン/イェシン、パク・ミョンシン/寮母、オ・マンソク/院長、ソル・ギョング/ジニの父、ムン・ソングン/医者
10月9日(土)より岩波ホール他全国順次公開にてロードショー
2009年、92分、韓国・フランス、韓国語、配給/クレスト・インターナショナル
http://www.fuyunokotori.com/

by mtonosama | 2010-08-15 06:27 | 映画 | Comments(8)
Commented by Tsugumi at 2010-08-15 14:45 x
孤児でフランスで育った韓国の少女・・母国を忘れ。。。その後は幸せだったのですよね。きっと。。。

なぜ日本の母や父は子供を虐待したり死なせたりするのでしょうか。。。。
かなしくなります。
Commented by mtonosama at 2010-08-15 15:17
♪Tsugumiさん

幸せだったのだと思います。
とっても良い映画でした。

部屋のドアに目張りテープを貼って遊びにでかけた
23歳のおかあさん。
そんなママでも帰宅すると子どもたちはハイタッチをして
喜んだんですってね。
子どもたち、最期の頃にはもうハイタッチをする元気も
なくなっていたんだそうです。
あんまりですよね。かわいそうに…
合掌
Commented by アイスケーキ at 2010-08-15 20:11 x
考えさせられる映画ですね。 それも監督の実体験だなんて。

大阪の事件には私も泣きました。
「赤ちゃんポスト」、色々言われているけど、大阪にもポストがあれば良かった。  そうして養子にでもなれば幸せになれたかも知れないのに・・・。  こういう事件て日本だけなのでしょうか・・・。
Commented by mtonosama at 2010-08-15 22:07
♪アイスケーキさん

この主役の少女を演じたキムはすばらしいです。
岩波ホールは遠いけれど、ぜひ観ていただきたい映画です。
Commented by すっとこ at 2010-08-16 01:48 x
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやはやっ!

これは、いつにも増して観に行きたい映画ですねえ。

大阪の2幼児の事件・・・
カナダのカルガリーでも
日本女性の留学生が
2児をアパートに遺棄した
全く同じ事件がありました。
餓死した子供は食物を求めて
砂糖の袋に歯型が残ってたそうです・・・。

日本の子供が海外への養子、聞きませんね。
そういう制度も必要かも知れません。
Commented by mtonosama at 2010-08-16 05:36
♪すっとこさん

砂糖の袋に歯型が…!
なんてむごい話なんでしょう。

親を信じているから、部屋の中でおとなしく待っていたのに。
子どもは賢いといったって、一番信じてる親から悪意と殺意を
持たれたら、どう対応すればいいのでしょう。
Commented by Tsugumi at 2010-08-16 16:31 x
実はうちのイギリスの姪っ子はシングルマザー。。

でもね。イギリスは福祉がとても行き届いていてシングルマザーでも子供ちゃんと育てられるようになっています。
子供育てながら一軒家に住み大学まで通えるんですから。。

まぁ後で支援されたお金は返さなくてはなりませんけど。。
素晴らしいシステムだと思います。

でも税金所得税33%消費税17.5%厳しいですよね。。

日本はもっと福祉に力入れてもいいでは?と思います。

そのためなら少し税金が上がっても我慢します。。
Commented by mtonosama at 2010-08-16 18:47
♪Tsugumiさん

外国の制度を耳にする度に、
「あ~あ、日本もなんとかならないかな」と思いますよね。

ブログに出てきたスェーデンのエーファは
プチ留学のお金をどうやって作ったかというと、
「お年寄りのお世話をして稼いだ」って言ってました。

一人暮らしのお年寄りを、
ヒマはあるけどお金のない学生がお世話し、国からその費用を
もらう。。。
お年寄りも、学生も、両方にとっておいしいシステムだな、って
思いました。

税金は。。。
いえ、私も福祉に使われるなら我慢します。