トスカーナの贋作 -2- Copie Conforme
Copie Conforme
(C)Laurent Thurin-Nal / MK2
前回、わかりにくい映画などと言ってしまいました。
でも、舞台はトスカーナ。
登場人物はトスカーナ地方の小さな村でギャラリーを経営するフランス人女性と
その村に講演に訪れたイギリス人の作家。
設定にはどこもおかしなところはありません。きわめてノーマルです。
ところが、「あれ?ちょっと待って。え?え?」という展開になっていくんですねぇ。
いやぁ、アッバス・キアロスタミ監督、イラン出身だけにペルシャの魔法をかけたんでしょうか。
ストーリー
とある講堂で「贋作」という本を刊行したイギリス人作家ジェームスの講演が
始まろうとしています。
それを聴きにきていた一人の女性と反抗期の息子。
彼女は講演に関心を持っていましたが、息子が空腹を訴えたため、連絡先を言付けて中座。
ハンバーガーショップで息子に
「電話番号を教えたのはジェームスと恋人になりたいから?」とからかわれ、
「本のことで訊きたいことがあっただけよ」とたしなめる女性。
翌日、彼女の経営するギャラリーにジェームスが訪れました。
「良いところに案内するわ」
「ありがとう。でも、9時には帰らないといけない」
糸杉のある美しい街道をドライブしながら、2人は会話を交わします。
美術館では本物と贋作について議論をします。
話し疲れた2人が立ち寄った一軒のカフェ。
ジェームスが席を立ったとき、彼女にカフェの女主人が話しかけます。
「良い旦那ね」
戻ってきたジェームスに「夫婦に間違えられたわ」と楽しげに告げる女。
「僕たちはお似合いなんだね」。
ここから“夫婦”を演じ始める2人。
古い街並みを歩きながら、夫婦としての会話を続ける2人。
それも年月を重ね、擦れ違い始めた夫婦のような会話を。
「大事なのは作品の技術や評判ではなく、その見方のはずだわ」
「君の話を聞いていると、芸術も本物も偽物も、この彫像も君のこともなにもかも嫌いになる」
空腹を感じた2人はレストランに入ります。
しかし、ウエイターはなかなかやってこず、やっと注文したワインは最悪で、
苛立ったジェームスは彼女を責めたてた揚句、店を出て行ってしまいました。
その後、教会へ向かう2人。ジェームスは本当の妻をいたわるように彼女に謝ります。
そして……
これはラブストーリー?
美しい風景、そして、魅力的な男女。
ラブストーリーを成立させるお膳立てはしっかり整ってはいるんですけど。
でも、どこかに時空の歪みみたいなものが発生して、すっとはぐらかされるというか、
不思議な感覚に襲われてしまいます。
見知らぬ男女が出会い、お互いに関心を抱き、出かけた先で夫婦と間違えられる―――
間違えられた夫婦=贋物夫婦。
本人たちがそのふりをしていると、周囲だけでなく、
その内、自分たちもわからなくなってしまうのが贋物だとしたら、
本物と贋物の区別って意味があるのでしょうか。
本物?贋物?
「トスカーナの贋作」が醸すこの微妙な揺らぎに飲み込まれて、
船酔いにも似た感覚にフラフラしてしまったとのでした。
終
トスカーナの贋作
監督/アッバス・キアロスタミ、オリジナル脚本/アッバス・キアロスタミ、脚色/マスメ・ラヒジ、撮影監督/ルカ・ビガッツィ、製作総指揮/ガエターノ・ダニエル、製作/マラン・カルミッツ、ナタニエル・カルミッツ、シャルル・ジリベール、アンジェロ・バルバガッロ
出演
ジュリエット・ビノシュ/彼女、ウィリアム・シメル/ジェームズ・ミラー、ジャン=クロード・カリエール/広場の男、アガット・ナタンソン/広場の女、ジャンナ・ジャンケッティ/カフェの主人、アドリアン・モア/息子、アンジェロ・バルバガッロ/通訳、アンドレア・ラウレンツィ/ガイド、フィリッポ・トロイアーノ/花婿、マニュエラ・バルシメッリ/花嫁、ルチニャーノの住民
2月19日(土)より、ユーロスペースにて公開!(全国順次)
2010年、フランス・イタリア合作、106分、配給/ユーロスペース
http://www.toscana-gansaku.com/
ブログランキングに参加しています。
ここまで来たらばポチッ☆とね(^_-)
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村
♪2月1日に更新しました。今日から2月です☆いつも応援ありがとうございます♪
あはは、それ結構訊かれます。
女性とジェームスは英語、
女性とカフェのおかみさんはイタリア語、
女性と反抗期の息子はフランス語、です。
ジュリエット・ビノシュ、いろんな言葉が話せてすごいですよね。
ヨーロッパの人はいろんな言語で話せる人が多くてうらやましいです。
私もしっかり英語話せるようになりたいです。
多分うちのだんな様は日本語ちゃんと話せるようになりたいでしょうね(苦笑)
Tsugumiさんは英国人のだんな様とペラペラで
話せていらっしゃいますよね。
羨ましい・・・
子どもの頃、ペラペラ外国語が話せたらいいなって
思ってましたが、夢かなわず150歳になってしまいました(苦笑)
戻ってまいりました、LAのPC前へ。
ジュリエット・ビノシュといえば
”ポン・ヌフの恋人”の浮浪者の恋とか
”ダメージ”の「パパとも息子とも」とか
日本でいえば大竹しのぶかな、
というイメージですが映画の中とはいえ
3カ国語ペラペラは羨ましいなあ・・・。
LAに戻り、また英語と格闘開始です涙。
おかえりなさ~~~~~~い!!
まあ、なんと長き不在でありましたことよ。
おつとめ御苦労さまでございました<(_ _)>
かの地はいかがでした?そして、LAは暑いですか?
すっとこさんのぺらぺらな英語に長州弁が混じり、
暫くはややこしいことになりますでしょうか?
しかし、ジュリエット・ビノシュが大竹しのぶというのは
当たってなくもない気がする…
また、よろしくね~~~!