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殿様の試写室

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一枚のハガキ -2-

              一枚のハガキ -2-

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             ©2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

     邦画界を牽引してきた最長老・新藤兼人監督が自ら「映画人生最後の監督作」と呼ぶ作品。
           ならば観なくちゃいけないでしょう、と義務にも似た想いを抱いたとの。
                鼻の穴を膨らませて、勢い込んで観にいきました。
         でも、「まあまあ、お静かに。映画は楽しんでみましょうよ」と諭されました。

             立派な仕事を成し遂げてきた人ほど腰が低い、といいますが、
         直接、監督から話しかけられることはなくても作品から、それは伝わってきます。
    酸いも甘いも知り抜いた人だからこそ、苦しかったことにはあえて笑いの衣装を着せて表現するし、
                     悲しみは「型」で表せるんですね。

                    さて、どんなストーリーなんでしょうか。

ストーリー
戦争も終わる間際になって召集された100人の中年兵士たち。
彼らは自分たちよりも歳の若い上官に「貴様たちおっさん兵士にこれから指令を与える」と
告げられ、整列させられました。

そこで、上官がクジをひいて決めた戦地にそれぞれ赴任することが伝えられました。
クジです。
ある者はフィリピンへ、そして、ある者は宝塚への掃除部隊として。

クジ引きが行われた夜、松山啓太は親しくしている兵士・森川定造に
妻からのハガキを手渡されました。

そこには、
「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないので、何の風情もありません。友子」
とだけ、書かれていました。

軍の検閲が厳しいため、ハガキに返事を出せない定造。
彼はクジでフィリピン行きが決まり、生きて帰れないことを覚悟し、
宝塚行きが当たった啓太に、そのハガキを持って定造の妻を訪ね、「確かに読んだ」と
伝えてくれるように頼むのでした。

終戦。
100人いた兵士の内、生き残ったのは6人。
松山啓太はその1人でした。
はやる気持で帰郷した啓太。しかし、彼を迎える家族は誰もいません。
啓太戦死の噂が流れ、良い仲になってしまった妻と父は、
彼が生還する知らせを聞き、手に手をとって家を出てしまっていたのでした。

大阪のキャバレーで働いているという妻に会いにいく啓太。
だが、妻から発された言葉は
「戦死すればよかったんじゃ」――

生きる気力を失った啓太は家を売り払い、ブラジルへ行くことを決意。
荷物を整理していると、あの時、定造から預かった一枚のハガキが出てきました。

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夫・定造を亡くした悲しみに浸る間もなく、
年老いた舅姑からこのまま一緒に暮らしてほしいと懇願された友子。
さらに、村には長男が死んだら次男が後継ぎとなるという習わしがあり、
次男の三平と所帯を持つように頼まれます。

森川の家の他に身寄りのない友子は三平と結婚し、
定造の家族と共に生きていくことを受け入れるのでした。
ところが、しばらくして三平も召集され、戦死。
その後、舅が死に、姑も自死。
1人家を守る友子の許に、あのハガキを持った啓太がやってきました……

                       クジ運の強さだけで生き残った啓太。
                   夫も家族も幸せな人生もすべてを失ってしまった友子。
          意志も希望もクジ運の良さも、人が人として手にしていた大きなものも、小さなものも
                        すべて容赦なく奪っていく戦争。

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        こんなこともあったんだろうなぁ、とことん絶望してしまうこともあったんだろうなぁ、
              でも、何があっても、とにかく生きていかなくちゃならないんだなぁ、
                        生きていけるものなんだなぁ、
                        と諭されたような思いです。

                          こんな風に思えるのも、
      監督が99年という人生の中で噛み砕いてきたものを「ほらよっ」と示してくれたからでしょうか。
                         麦畑が広がるラストシーンに、
        すべてが滅び去った後にも再生が訪れるということを感じさせられたからでしょうか。

                        新藤監督、ありがとうございます。
                         がんばっていこうと思います。

    

                                  
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☆7月17日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

一枚のハガキ
監督・脚本・原作/新藤兼人、製作/新藤次郎、渡辺利三、宮永大輔、プロデューサー/新藤次郎、撮影/林雅彦
出演豊川悦司/松山啓太、大竹しのぶ/森川友子、六平直政/森川定造、柄本明/森川勇吉、倍賞美津子/森川チヨ、大杉漣/泉屋吉五郎、津川雅彦/松山啓太の伯父・利エ門、川上麻衣子/松山美枝、絵沢萌子/利エ門の妻、大地泰仁/森川三平、渡辺大/下士官、麿赤児/和尚
8月6日(土)テアトル新宿、広島・八丁座にて先行公開、8月13日(土)全国公開、
2011年、日本、カラー、114分、配給/東京テアトル
http://www.ichimai-no-hagaki.jp/

by mtonosama | 2011-07-17 06:38 | 映画 | Comments(6)
Commented by アイスケーキ at 2011-07-17 14:22 x
「一枚のハガキ」、「赤紙」じゃなかったんですね。
クジで運命決められちゃうんですか。
「予告編」見てるだけで涙出ちゃいます。

でもね、最近こういう映画見て涙流して「戦争反対」って思っても、それでオシマイ。
後は日常生活に戻るだけ。
そんな自分に虚しさ感じます。
せめてジョン・レノンの「イマジン」でも歌いましょうか。           
Commented by mtonosama at 2011-07-17 15:23
♪アイスケーキさん

新藤監督の実体験というところがすごいですよね。

クジで運命決めるったって、自分がクジひくのじゃなく、
上官がやるっていうんですからね。

ひとりひとりは夫であり、父であり、息子である人たちなのに、
ここまで存在を無視されるってところが怖過ぎます。
特攻隊や人間魚雷と同じ発想ですよね。

日常生活に戻っていける私たちって幸せです。
Commented by Tsugumi at 2011-07-17 15:56 x
運も実力と申しますから啓太はそういう強運の持ち主だたんでしょうね。。。

戦争の時代は嫌だけど運にはあやかりたい。
Commented by mtonosama at 2011-07-17 18:34
♪Tsugumiさん

Tsugumiさんは運は強い方ですか?

私は全然ダメですぅ(-_-;)
新藤監督、強いクジ運を持ち、
戦後も戦友たちを代弁するかのように映画を撮り続けてきて
スゴイです。

そっか、運も実力なんですよね。
Commented by すっとこ at 2011-07-17 23:20 x
うっわわわわわわわわわわわわわわわわわわわーーーーーーーーーーん!!

いつにも増しての殿様の名調子に
心がじんわりあたたかくなりました!!!!!

もうこの映画観た気分です。
「なにもかも亡くした人間の再生の物語」
といわれると

うう・・・・・
う・・・わ・・・・わわわわわわわわわーーーーーーーん!

新藤監督自身がきっと何度も「なにもかもなくした」経験がおありなのでしょう。

それでも
それでも前進する、と。
生きるってそういうことだ、と。

     我が身に引き比べておこがましいですが
     ウチも来月LAからNY引っ越しで
     なんだか気力萎えてましたが
     元気を頂きました、うん。

殿様ありがとうございます。
大竹しのぶ&トヨエツっ しあわせになれよっ。
     
Commented by mtonosama at 2011-07-18 05:32
♪すっとこさん

とほほほほほ~。
人間150歳にもなると映画ひとつ観るにも我が身と引き比べてしもうてのぉ…

人生って、きっと落っこちては這い上がり、
ずり落ちては、また、這い上がりの繰り返しなんでしょうね。

LAからお引越しですか。
やっとLAにも慣れてお友達もできたのにね。

頑張ってくださいね。大竹しのぶ似のすっとこさん♪