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殿様の試写室

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ラビット・ホール -2- Rabbit Hole

            ラビット・ホール -2-
                        Rabbit Hole

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                  ©2010 OP EVE 2,LLC.All rights reserved.

                8ヶ月前、夫婦の生活は大きく変わってしまいました。
              まだ4歳という一人息子が交通事故で死んでしまったのです。

          母は愛息の思い出の品を手元にとどめておくことができず、すべて捨てていき、
                 父は深夜、録画した息子の動画にじっと見入る……

                      ぶつけようのない悲しみと痛み。
          夫婦が共に抱えてしまった悲しみを乗り越えるにはどうすればいいのでしょうか?

                        嗚呼、痛い、悲しい。
                       映画とはいえ、つら過ぎる。

               しかし、ここまで来たからにはどうぞおつきあいくださいませ。

ストーリー
郊外の閑静な住宅街に暮らすハウイーとベッカ夫妻は充たされた幸せな日々を送っていました。
8ヶ月前、最愛のひとり息子ダニーを失う前までは。

ベッカは夫ハウイーの提案で、愛する者を失った人々のグループ・セラピーに参加します。
しかし、彼女は参加者の発言に苛立ち、辛辣な言葉を浴びせかけて、
その場を凍りつかせてしまうのでした。
母が暮らす実家に立ち寄っても、そんな調子。

実家からの帰り道、一人の少年をみつけ、思わず尾行するベッカ。
翌日も跡をつけ、図書館で少年が返却した「パラレル・ワールド」という本を借ります。

パラレル・ワールド・・・・・

かつての幸せだった日々を取り戻すため、ハウイーは子供をつくろうと提案しますが、
ベッカは激しく拒絶します。
息子ダニーとの思い出を大切にしながら、一歩前へ踏み出そうとするハウイーと
ダニーの痕跡をすべて消去し、ハウイーに無断で家まで売りに出そうとしているベッカ。

ある日、ベッカは「パラレル・ワールド」の少年から声をかけられます。
ジェイソンという名の少年は8ヶ月前、ダニーを轢いた高校生でした。
ジェイソンの謝罪を素直に受け入れたベッカはなぜか安らぎを感じつつ、
公園のベンチでおしゃべりを始め、それが日課となっていきました。

ベッカが「『パラレル・ワールド』を読んでいる」と打ち明けると、
ジェイソンはそれを参考にしたという自作のコミックブックを差し出します。
そのコミックは、父親を亡くした男の子がパラレル・ワールドに存在する別の父親を
探すために「ウサギの穴」をくぐり抜けるという物語でした。
「完成したら、お見せします」と約束するジェイソン。

最悪の事態が起こりました。
完成したコミックを届けにきたジェイソンとハウイーが鉢合わせしてしまったのです。
声を荒げて、ジェイソンを追い返すハウイー。
彼はなぜ妻が息子を轢いた少年と親しくしているのか理解できません。

ベッカは母に問いかけます。
「この悲しみが消える日はくるのかしら」
母もまたベッカの兄にあたる長男を11年前に失っていました。薬物過剰摂取のためでした。
母は答えました。
「この11年間、悲しみはずっと消えない。でも、変化はするわ」
「重い大きな岩がポケットの中の小さな石に変わるの」…


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                    ベッカのなにもかも拒絶する深い悲しみ、
                         ハウイーの喪失感、
                         ジェイソンの罪悪感、
               そして、ベッカの母が常に胸に抱える悲しみの確固とした存在感。

       それらが、ホロホロとこぼれおちるミルフィーユのように重なり合って構成された映画でした。

           ジェイソンの存在を通じてパラレル・ワールドに気付くのと、時を同じくして
           ベッカは母の抱えていた悲しみに目を向け、同調することができたのでしょう。
            「ちょっと遅すぎるんじゃないのっ!」と怒ってしまったとのですけど。

          でも、母がずっと発信し続けていたであろうシグナルに気付くこともできないほど、
                 ベッカは悲しみという棘に覆われていたのだと思います。

          死んでも、いなくなってしまうのではなく、もうひとつの世界に存在する・・・
                 「ウサギの穴」を抜けた先にあるパラレル・ワールド。
                     これは残ったものにとっては救い…?

        苦しさや悲しさのトンネルを抜けた先にはもうひとつの世界が拓けるのかもしれません。

              ひとつひとつのせりふの重みと感動をきちんと確認したい映画です。

          

                                

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ラビット・ホール
監督/ジョン・キャメロン・ミッチェル、脚本/デヴィッド・リンゼイ=アベアー(自身の戯曲「Rabbit Hole」より)、プロデューサー/レスリー・アーダング、ディーン・ヴェネック、ニコール・キッドマン、パー・サリ、ジジ・プリッツカー、撮影監督/フランク・G・デマルコ、衣装/アン・ロス、音楽/アントン・サンコー
出演
ニコール・キッドマン/ベッカ・コーベット、アーロン・エッカート/ハウイー・コーベット、ダイアン・ウィースト/ナット、タミー・ブランチャード/イジー、マイルズ・テラー/ジェイソン、ジャンカルロ・エスポジート/オーギー、ジョン・テニー/リック、パトリシア・カレンバー/ペグ、ジュリー・ローレン/デビー、サンドラ・オー/ギャビー
11月5日(土)TOHOシネマズシャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開
2010年、アメリカ、1時間32分、配給/ロングライド、http://www.rabbit-hole.jp/

by mtonosama | 2011-10-24 07:17 | 映画 | Comments(8)
Commented by ライスケーキ at 2011-10-24 20:27 x
夫婦それぞれ 悲しみの受け止めかたが違うのね。
私は、夫の方に感情移入します。

ダニーを轢いたジェイソン。
高校生って交通刑務所とか入らなくて良いの?
やはり、私だったら彼とは普通に話せないだろうな。

Commented by mtonosama at 2011-10-24 20:37
♪ライスケーキさん

私はベッカのおかあさんに感情移入しました。
11年間ひとりで抱えてきた悲しみ・・・・・
どれだけ重かったことでしょう。

彼女のせりふはそのひとつひとつがずっしり来ました。

登場人物がみなそれぞれに重荷を抱えて生きているんですよね。

やはり生きていくということは本当に大変です。
Commented by poirier_AAA at 2011-10-25 05:12
4歳ですか‥‥冷静には見られないかも、です。

全力で思い出にしがみつこうとする気持ちならわかるんですが、思い出があることすら耐えられないというヒリヒリした悲しみが切ないですね。

これ、「いつか観るぞ」リストに追加します。
Commented by mtonosama at 2011-10-25 06:42
♪poirier AAAさん

<なんの覚悟もしていない中、
可愛い盛りの子どもがいってしまう・・・・・>

こう書くことすら怖い程、考えたくもない状況です。

夫の気持ちはわかるし、きわめて前向きです。
だからって、妻がおかしいわけでもない。
子どものおもちゃや洋服をボンッボンッと
住宅地の通りにあるダストボックスに捨てる様子に
決意とも悲しみともつかないやりきれない感情の迸りを
感じました。

夫婦でこんなに感じ方が違うのですものね。
男と女の違いに、性格の違い、成育環境の違いが加わると、
夫婦を続けることは並大抵のことじゃないと実感します。

「いつか観るぞ』リストへのご掲載、ありがとうございます。
Commented by Tsugumi at 2011-10-25 06:57 x
やっぱり夫婦は他人。それでも一緒に暮らしてゆこうとする努力は必要ですよね。でも何かのきっかけで(この映画では子供の死ですけど)ボタンがかけ違うととんでもない方向に行っちゃう。。
なんかみるのが恐い気のする映画です。
Commented by すっとこ at 2011-10-25 09:22 x




そ・そ・そんなーーーーーーーーーーーーっぁぁぁぁぁあああああああああああ!

4歳とは、あまりにむごい。

「誰でも心に
  狼が吠え
  夜の淫らな鳥が啼く
昏い森を持っている」@ドノソ

パラレルワールド・・・誰にも
必要なもうひとつの世界かも、ですね。
自分も時にラビットホールくぐりたいなあ。

ところで殿様
   <子どものおもちゃや洋服をボンッボンッと
   <住宅地の通りにあるダストボックスに捨てる
とありますが
ボックスにgoodwill(善意)と書いてあって
これはリサイクルチェーンの名前で
仕分けされてgoodwill shopに並びます。

一見したらダストボックスですよね。
小姑みたいなこと言っちゃってすんまへん。
Commented by mtonosama at 2011-10-25 09:23
♪Tsugumiさん

他人同士が夫婦として暮らしてゆくためには、
こんな試練も課せられるのかなぁ・・・・・と。

この夫婦は再生に向かっているところが救いです。
Commented by mtonosama at 2011-10-25 09:32
♪すっとこさん

アメリカ情報、ありがとうございました。

そうなのか・・・・・
安心してものを処分できるのも
そういうシステムが整ってるからなんですね。

それにしても、日本ではものの処分が難しい。
思い出と付き合い続けるしかない現状です。

あ、そういえば、映画観てて、ネット検索したりせずに、
簡単にリサイクルできるならいいなぁ、と感じたこと、
いま、思い出しました^_^;