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殿様の試写室

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サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 -2- Les Amants du Flore

   サルトルとボーヴォワール 
                         哲学と愛 -2-

                     Les Amants du Flore

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               ©PAMPA PRODUCTION-FUGITIVE PRODUCTIONS-MMVI

                 今から70年以上も前のサルトルとボーヴォワールの愛の形。
            それは、愛を誓いながらも、同時に、他の相手と関係を持つことも認めあい、
                   その詳細をすべて報告しあうという<契約結婚>でした。

                   現代に置き換えてもなかなか斬新な関係であります。

            当然のことながら、ボーヴォワールにとっては少しばかり葛藤がある形です。
       だって、パートナーが誰とでも関係を持ち、また、その中身を逐一報告されるとあってはねぇ。
              自分だって同じことをすればいい、で片付く問題ではないと思います。

                       しかし、彼女はその形を受け入れました。
          当時、結婚か、独身で仕事に生きるか、という選択肢しか持たされていなかった女性。
             ボーヴォワールはそうしたことにはっきりと叛旗を翻したのです。Non!と。

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                    この映画では、1920年代末期から1945年以降、
          サン・ジェルマン・デ・プレを中心に新しい文化が生まれた時代が描かれています。

            原題“Les Amants du Flore”(「フロールの恋人たち」)のフロールというのは
             サン・ジェルマン・デ・プレにあったカフェ・ド・フロールというカフェのこと。
             サルトルやボーヴォワールたちはこの店の隣り合ったテーブルに座って
            執筆し続けていたものです。戦争も終わり、自由で闊達な良い時代でした。
 そこでは、その時代を共に生きたカミユやジャン・ジュネ、ポール・ニザンたち(これまた懐かしい名前ですが)
                          も一緒だったことでしょう。
                      映画にも登場しますから、お楽しみに。

ストーリー
1929年、ソルボンヌ大学に通うシモーヌ・ド・ボーヴォワールは
図書館でケンカに巻き込まれます。
その渦中にいたのがジャン=ポール・サルトル、天才と噂される有名人です。

教師を目指すボーヴォワールは1級教員資格試験の面接に向かう途中、
親友のローラが母親の進める結婚のために大学を中退させられることに怒っていました。


ある日、ボーヴォワールはサルトルから「君は理想の女性だ」と告げられます。
最初は警戒していた彼女も打ち解けていき、2人は1級教員資格取得をめざし一緒に勉強するように。
その結果はサルトルが首席。そして、ボーヴォワールは2番。彼女は歴代最年少での合格でした。

そんな喜びのさなか、発表の会場にやってきた親友のローラが倒れてしまいました。
母親が無理に押し進めていた結婚で精神に異常をきたしてしまっていたのです。


数日後、ボーヴォワールのあとを追って、彼女が訪れている田舎町に車を走らせるサルトル。
感動した彼女は、その夜、両親の目を盗み、サルトルと熱く抱き合うのでした。

やがて、家を出て、哲学の教師として働き始めたサルトルと暮らすことを決意したボーヴォワール。

ローラの死を告げる手紙が届いたのはそんな時でした。
ローラの遺体を前に、その母親と向かい合ったボーヴォワールは、
ブルジョワ階級の持つ倫理観とカトリックの道徳感への憎しみと軽蔑を増幅させるのでした。


そして、サルトルと暮らし、執筆に邁進するボーヴォワール。
しかし、そのことは彼女が大変な苦悩と向き合いながら生きていくことを意味していました……

                 時代の寵児であり、同時に、大変な使命感を持って
       戦後から、60年代、70年代の社会の変動期を生き抜いてきたサルトルとボーヴォワール。

                とりわけ、第二の性に属するボーヴォワールにとっては、
           自分の中におそらく持っていたであろうサルトルに対する独占的な愛を抑え込み、
             新しい形の愛を選んだことは結構きついことだったんではないでしょうか。

               彼女は、新しい思想に身を捧げるのだ、という崇高な決意を、
                愛する男を独占したいという欲望に優先させたわけです。

          アナ・ムグラリスが、強い女、闘う女としてのボーヴォワールが時々見せる弱い一面を
                   あの特徴的な強い目で表現していました。素敵でした。

                アナ・ムグラリス。強い目力と知的な風貌を持った女優さんです。
   (昨年1月、当試写室で上映した「シャネル&ストラヴィンスキー」http://mtonosama.exblog.jp/12637718/ 
                    でも強い女性ココ・シャネルを演じていました)

                        サルトルとボーヴォワール。
          2人は終生、時代の広告塔として闘い続けた同志でありパートナーでした。
              後半2人の間に存在する愛情だけとはいえない打算と計算に、
                  時代の寵児であることの大変さを感じたとのです。

         

                                

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サルトルとボーヴォワール 哲学と愛
監督/イラン・デュラン=コーエン、脚本/シャンタル・ド・リュデール、エヴリーヌ・ピジエ、撮影/クリストフ・グライヨ、編集/ユーグ・オルデュナ、録音/フレデリック・ウルマン、音楽/グレゴワール・エツェル、美術/シャンタル・ギュリアーニ、衣装/シルヴィ・ド・セゴンザック、プロデューサー/ニコラ・トローブ
出演
アナ・ムグラリス/シモーヌ・ド・ボーヴォワール、ロラン・ドイチェ/ジャン=ポール・サルトル、カル・ウェーバー/ネルソン・オルグレン、キャロリーヌ・シロル/フランソワーズ・ド・ボーヴォワール、ディディエ・サンドル/ジョルジュ・ド・ボーヴォワール、ウラジスラフ・ガラルド/ポール・ニザン、ロベール・プラニョル/アルベール・カミユ、フィリップ・バルディ/フランソワ・モーリアック
11月26日(土)よりユーロスペースにて全国順次公開
2006年、フランス、105分、後援/フランス大使館、配給/スターサンズ、http://tetsugakutoai.com/

by mtonosama | 2011-11-11 06:58 | 映画 | Comments(6)
Commented by ライスケーキ at 2011-11-11 10:49 x
「契約結婚しよう」って、別に「籍」入れたわけでないんでしょ。
フランスでは「籍」入れないカップルが多いみたいだけど。
わざわざ「契約結婚」なんてしなくて良いのにね。 ま、あの時代そう言う訳にもいかないんだろうけど。

「打算と計算」の後半のストーリーに興味あります。
Commented by との at 2011-11-11 10:59 x
♪ライスケーキさん

70年以上も昔の話ですものね。
っていうか、この2人、70年も昔の人たちには思えないんですけど…

つい最近まで生きてたって感じです。

あ、それは自分が150歳だからか^_^;
Commented by poirier_AAA at 2011-11-12 07:56
ボーヴォワールがなんとなく苦手だったのは、彼女がものすごく肩肘張って頑張っている感じがしたからです。なにもそこまで尖らなくても、と思っていました。

でも、考えてみたら、あの時代だから、なんですよね。女(特に勉強して自由に生きたい女)にとっては、がんじがらめの生き難い時代だったんだろうなぁと思います。

ボーヴォワール役の彼女の顔立ち、印象的ですねぇ。
Commented by mtonosama at 2011-11-12 09:10
♪poirier AAAさん

そうなんですよね。
女性運動をやっている人たちの一生懸命さはわかるのですが、
自分はこういう形ではやりたくないな、という思いを私も
持っていました。

でも、おっしゃる通り、時代なんですよね。
なりふり構わず一生懸命にならないと周囲はその存在すら
頭にとどめてくれなかったんでしょうね。

アナ・ムグラリス、意志的な顔ですよね。
でも、彼女も造作が大きい・・・^_^;

poirier AAAさん、アナの大きなお目々が落ちてくるのでは?
と心配して手で受け止めたくなったのではないでしょうか(笑)
Commented by すっとこ at 2011-11-13 07:49 x
ふんがぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!

なんだかこの「契約結婚」って
サルトルばかりに都合いいような気が
するのは

わたし自身が”おんな”だからでしょうか。

    ♪恨みはしません この恋を
       おんな・・・・だからぁああん♪
           @なみだの操
               by殿様キングス

あ、済みません。
格調高い 殿様の試写室を
低俗きわまりない演歌なんかで
汚してしまいました、拭き拭き。

アナ・ムグラリス
どこの国の血筋でしょうかムグラリスというのも
聞いたことのないファミリーネームです。

どこかで見た女優さんだと思ってたら
ああそうですね、殿様試写室でご紹介あった
ここシャネル役でしたね!

お勉強になる殿様試写室、
次の映画も楽しみにしています!
Commented by mtonosama at 2011-11-13 15:46
♪すっとこさん

♪恨みはしません この恋を
       おんな・・・・だからぁああん♪
           @なみだの操
               by殿様キングス

これって1番の歌詞じゃないですよね。
いつもながら、すっとこさんの歌詞力の強さにはビックリです。

それに殿様キングス!
なんと殿様の試写室にピッタシのアーティスト(?)でございましょう!!

ムグラリスって、どこの名字なんでしょう。
話題のギリシャでしょうか?
なんか彼女のお顔もギリシャ系の彫りの深さを感じます。

彫りの深い顔立ちになりたいとの