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殿様の試写室

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ブリューゲルの動く絵 -1- The Mill and the Cross

      ブリューゲルの動く絵 -1-
                  The Mill and the Cross

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                   (c) 2010, Angelus Silesius, TVP S.A

                   遠方の岩山の頂には大きな風車が見えます。
                 近景には悲嘆にくれる聖母マリアとおぼしき女性が。
        その向かって右には黒い鳥が羽を休める車輪のようなものが天に突き出しています。
                    これが話にきく車輪刑という拷問具でしょうか。
              中央には十字架の下で疲れ果てて膝をつく男性の姿が見えます。
                  彼が、刑場に向かうイエス・キリストに違いありません。
           おや、画面の左手には興奮した女性が背後の人に押しとどめられています。
         歩けなくなったイエスに代わって十字架を運ぶように命じられたシモンの妻ですね。

                右遠景にある円い空間に向かって、人々が駆けていきます。
            ああ、あれが処刑場のあるゴルゴダの丘でしょう。もう人垣もできています。

                  ピーテル・ブリューゲル「十字架を担うキリスト」

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                   ©Kunsthistorisches Museum Vienna

ピーテル・ブリューゲル
16世紀ネーデルラントの画家。聖書の世界や民衆の祝祭、子どもの遊びなどを主題とする
版画や油彩画はいきいきとした彼らの生活を描きだしている。
また諺を通じて、民衆の知恵を表現し、寓意的な主題で人間の弱点、無知、愚行などを
批判的に描写し、ネーデルラントを治めていたハプスブルグ家の支配者や人文主義者たち
からも高い評価を受けた。

生地や生年についてはいまだ定かではない。
アントワープで修業し、聖ルカ組合に親方として登録。
1563年にブリュッセルに移住、師であるピーテル・クック・ヴァン・アールストの娘
マイケンと結婚。1569年没。

      さらにWikiってみたところ、「『股の間から景色を覗いて農村風景のスケッチをとる習慣があり、
                その姿勢の最中に死んだ』という民間伝承が残されており、
  阿部謹也は『それこそまさに“逆立ちした世界”を描き、農民との間に生きたブリューゲルにふさわしい最期だ』
                         と評している」とありました。

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ブリューゲルといえば、美術の教科書でもおなじみです。
「雪中の狩人」とか「バベルの塔」とか。




                この人の絵画にはびっしりと人やものが描きこまれているので、
        混雑した美術館で、お客さんの背後から背伸びして覗きこむという鑑賞法は似合いません。
                             っていうか、無理。
            画集ならばじっくり観られるけれど、本物と比べるとちょいと小さすぎます。

             「バベルの塔」など建築現場の職人さんたちもしっかり描かれていて、
                 じっくりと近くで観れば、リアルな表情もわかります。
        できるものなら絵の中に入り込んで観てみたいという衝動を感じてしまうほどです------

    などという無茶な願いを実現してしまったのが、本作「ブリューゲルの動く絵」 (The Mill and the Cross)。

                          ね、もうワクワクしますよね。
                     さあ、続きは次回で。乞うご期待でございます。

                                  

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ブリューゲルの動く絵
監督・製作/レフ・マイェフスキー、脚本/マイケル・フランシス・ギブソン、レフ・マイェフスキー、マイケル・フランシス・ギブソン著“The Mill and the Cross”より着想
製作総指揮/アンゲルス・シレジウス、撮影監督/レフ・マイェフスキー、アダム・シコラ、衣装デザイン/ドロタ・ドクエプロ、美術/カタジ―ナ・ソバンスカ、マルセル・ストラヴィンスキ、メイク・デザイン/ダリウス・クリシャク、モニカ・ミロフスカ、音楽/レフ・マイェフスキー、ヨゼフ・スカルツェク、雲のフォーメーション撮影/ジョン・クリストフェルス、美術監督/スタニスワフ・ポルチェク、視覚効果/オデオン・フィルム・スタジオ、視覚効果スーパーバイザー/パヴェウ・ティボラ、3Dアニメーション/マリウス・スクジェプチンスキ、合成/ダウィド・ボルケウィッツ、ワルデマー・モルダルスキ、サウンド・デザイナー/レフ・マイェフスキー、ラボ/WFDiFワルシャワ
出演
ルトガー・ハウアー/ピーテル・ブリューゲル、シャーロット・ランプリング/聖母マリア、マイケル・ヨーク/ニクラース・ヨンゲリング
12月17日(土)より渋谷・ユーロスペース他全国順次ロードショー
2011年、ポーランド・スウェーデン、96分、英語、配給/ユーロスペース+ブロードメディア・スタジオ、協賛/駐日ポーランド共和国大使館、http://www.bruegel-ugokue.com/

by mtonosama | 2011-11-26 06:09 | 映画 | Comments(8)
Commented by 薄荷グリーン at 2011-11-26 22:07 x
こんばんは!

なんだか不思議そうな映画。ブリューゲルの絵画の世界を本当に動かしてみようとしたのかな。
バベルの塔が有名でバベルの塔といえばこれが代表的なイメージになるほど有名なものですよね。細部に神が宿るというのを地で行ったような作風、ヒエロニムス・ボスの絵なんかも細部こそが命で、確かに普通の鑑賞法じゃ物足りないというか、全然見た気にならないかもしれないです。ひょっとして美術館で見るのは一番相応しくない絵画かも。
となると家でじっくり見るには画集では小さいし、本物を見に美術館に行けば鑑賞としてはじっくり見られないとなって、結構悩みの種になりそうな絵画ですね。
本当に細かいところまで、見る人はこんなところまで見ないだろうって言うところまで手の込んだことをやってる場合があって、おそらく精緻なミニチュアのような感触に近いと思うんですけど、わたしもそんな精密な世界が目の前にあったら中に入ってみたいと願うでしょうね。ドールハウスとか今でも中に入って生活してみたいと思うもの。
そういう願望を満たすような映画なんだ。

たしかにワクワクしてきますよ。
Commented by mtonosama at 2011-11-27 06:21
♪薄荷グリーンさん

おはようございます。

バベルの塔もすごい細かいですよね。
今から500年前だから、時間も十分にあったとは思うのですが、
それだけではないですよね。

バベルの塔、神様に雷落とされようが、つきおとされようが、
絶対に上っていきたいと思わせるものがある建築物です。

この「十字架を担うキリスト」もよくもここまで描きこんだわ、って感じ。
で、肝心のキリストがどこにいるかよくわからない。
「一応、彼は真ん中に描いておいたけど、周りもちゃんと見てね」
って言われてるみたいです。

この映画、どこでもドアみたいなものかもしれないです。
Commented by すっとこ at 2011-11-27 12:27 x
うっわわわわわわわわわぁぁぁああああああああああああああああ!!

薄荷グリーンさん、驚きました。
わたしもちょうど「ピーター・ブリューゲルって
ヒエロニムス・ボッシュとどこか似てるよなぁ」
って思ったとこでした。
   ピーター→ピーテル
   ボッシュ→ボス
名前の読み方の違いが世代の違いのような・・・(笑。

こんな精緻な世界、精緻だからこそ中へ分け入って
もっと近くに寄ってじーっと顔を
近付けてみたい誘惑にかられますね。

映画でソレをやつちまったんだ・・・
羨ましいなぁ、監督が。

殿様の試写室の”どこでもドア”
開けた扉の向こうにはいったいどんな風景が?
うう、次号が待ち遠しいですッ!!!
Commented by Tsugumi at 2011-11-27 15:44 x
ブリューゲルなにげに好きで画集まで持っています。もう一度じっくり見てみよう。と探してみたら見つからない・・引っ越しの時にどっかに紛れ込んだらしい(涙)
ブリューゲル、アントワープ・ブリュッセルに住んでいたのですか。。
好きな街です。。

Commented by mtonosama at 2011-11-27 16:33
♪すっとこさん

ピーテルはオランダ語読みでしょうかね。

ブリューゲル、ほんと、近くによって観てみたい絵です。
でも、近過ぎると全体が見えないし、全体を観ようとすると
ひとりひとりの様子がわからない・・・・・
ああ、悩ましい。

だからこそ、こんな映画が観たかったんですよね。

レフ・マイェフスキー監督、良いところに着眼してくださいました<(_ _)>

Commented by mtonosama at 2011-11-27 16:35
♪Tsugumiさん

あ~ん、画集残念ですね。
きっと思わぬところからひょっこり現れるんでしょうけど。

アントワープ、いらっしゃったんですか?
いいなぁ、ベルギーとオランダ、行ったことがありません。
Commented by ライスケーキ at 2011-11-27 20:32 x
ブリューゲルの絵画は ホント細部まで描かれていて面白いですね。
当時の生活が良くわかります。

彼の絵画で「ウォーリーをさがせ」やったら 私夢中になりそうです。
Commented by mtonosama at 2011-11-27 20:51
♪ライスケーキさん

「ウォーリーをさがせ」やったら、ぜったい面白そー(^^)v
日本の美術館でウォーリー探してたら怒られそうだけど。

以前、ガラスケースの展示を顔近付けて見てたら怒られた・・・

美術館でも市営プールでも係の人って怒り過ぎですよね。