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殿様の試写室

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ブリューゲルの動く絵 -2- The Mill and the Cross

      ブリューゲルの動く絵 -2-
                   The Mill and the Cross

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                    (c) 2010, Angelus Silesius, TVP S.A

                    実は、小学校の6年間、絵を習っていまして、
                    その先生はいつも赤を使うように勧めました。
             素直なとのは、赤を加えれば楽しいし、先生にも褒めてもらえるので、
                      きちんと言うことをきいたものです。

                   ブリューゲルの絵もどこかに必ず赤が活きていて、
             あっ、わたしと一緒だ!(どこが・・・)などと思っていた図々しいとのです。

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        本作「ブリューゲルの動く絵」の元になっている「十字架を担うキリスト」の画面にも
                   赤い服を着た騎馬兵たちが描かれています。
        しかし、これはちょっと禍々しい感じで、刑場へ向かうキリストの周囲を固めています。
                          気になりますね。

                    さ、一体どんなストーリーでしょうか?

ストーリー
時は16世紀。フランドル地方のアントワープの朝。
聳え立つ岩山の頂に建つ風車がゆっくりと回り始めます。

画家ピーテル・ブリューゲルはスケッチブックを片手に、村へ。
農民たちや村の風景は彼にとって創作の原点そのもの、
朝露に濡れた蜘蛛の巣も構図のヒントになります。
フランドルの自然はブリューゲルの作品にとっては宝の山。

そんな穏やかな風景が赤い服を着た騎馬兵士たちの出現で一変します。
彼らは若い男を殴り、蹴りつけ、車輪刑にして晒し者に。突然のことに泣き崩れる男の妻。

ブリューゲルの友人であり、彼の作品のコレクターでもあるニクラース・ヨンゲリングは
こうした暴挙を目前にして彼に問いかけます。「この有様を表現できるか?」と。

ブリューゲルが風車小屋に向かって手を振ると------
巨大な風車はギシギシと音を立てて、動きをゆるめ、やがて、回転を止めます。
すると、フランドルの風景の中に現れる聖書の中のワンシーン。

ブリューゲルはヨンゲリングが憂うフランドルの有様をキリストの受難に重ね合わせて描いてみせたのでした。

イエス・キリストが、聖母マリアが、フランドルの地へ現れ、
キリストは十字架を背負い、処刑場のあるゴルゴダの丘へ歩み始めたのです。
聖母マリアはイエスの悲運を嘆きます。銀貨30枚でイエスを売ったユダの姿もあります。
イエスが岩山の下に葬られ、世界が闇に包まれると、雷鳴が轟きました。
世界はどうなってしまうのでしょう。

しかし、一夜明けたフランドルにはいつもののどかな風景が広がっていました。
子どもたちは笑いさざめき、農民たちも歌い踊り始めます。
いつもながらの朝は復活を予兆する新しい一日の始まりなのでしょうか……


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                とにかく、ブリューゲルをしっかり満喫できる映画です。
              ブリューゲルというと、たくさんの人が描きこまれているのですが、
          映画ではそのひとりひとりが泣いて、笑って、苦しんで、動いているのですから、
       もうイヤっていうほど、ブリューゲルの世界と中世のフランドルを味わいつくすことができます。

                そして、すごいのはこの遠近感と立体感を味わうために、
                    重たい3Dメガネをかける必要のないこと!

                マイェスキ監督自らキャンバスに描いた巨大な背景画と
           ポーランド、チェコ、ニュージーランドで撮影したロケーション映像を重ね、
                   その上にブルーバックで撮影した俳優を置き、
            ニュージーランドで撮影された大空と雲のデジタル映像を加えると、
                            あら、不思議!
            3Dメガネなどかけなくても、素晴らしい遠近感が表現されるんです。
                スタッフの欄に並んだ人数の多さはダテじゃありません。

                3Dメガネが大嫌いなとのには実にありがたい映画でした。
                  監督はポーランドのレフ・マイェフスキーですが、
                ビデオアーティストとしても世界的な評価を受けています。
         監督業のみならず、アーティスト、詩人、舞台演出家としても活躍する多才な人物です。
              本作でも監督・製作・脚本の他、音楽、サウンド・デザイナーも担当。
                       視覚、聴覚から満足させてくれています。

                 ブリューゲルの作品は500年も描かれたものと思えないほど、
                   動きが感じられるし、農民や一般庶民が主人公で、
                  どことなくコミカルな部分を感じさせてくれるんですけど、
                    同時に、一抹の不気味さもあるような気がします。
                そんな不気味さを表現しているのが、風車のきしむ音だったり、
                         音楽だったりするんですね。
                   これって、美術館では絶対に味わえない感覚です。

                 ルーブル美術館でプレミア上映されて話題になった本作。
パリやウィーン美術史美術館まで出かけなくても、ちょっと映画館へ足を運べば、体感できてしまうブリューゲル。
                       これを観ないって法はありません。

  

                               

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ブリューゲルの動く絵
監督・製作/レフ・マイェフスキー、脚本/マイケル・フランシス・ギブソン、レフ・マイェフスキー、マイケル・フランシス・ギブソン著“The Mill and the Cross”より着想
製作総指揮/アンゲルス・シレジウス、撮影監督/レフ・マイェフスキー、アダム・シコラ、衣装デザイン/ドロタ・ドクエプロ、美術/カタジ―ナ・ソバンスカ、マルセル・ストラヴィンスキ、メイク・デザイン/ダリウス・クリシャク、モニカ・ミロフスカ、音楽/レフ・マイェフスキー、ヨゼフ・スカルツェク、雲のフォーメーション撮影/ジョン・クリストフェルス、美術監督/スタニスワフ・ポルチェク、視覚効果/オデオン・フィルム・スタジオ、視覚効果スーパーバイザー/パヴェウ・ティボラ、3Dアニメーション/マリウス・スクジェプチンスキ、合成/ダウィド・ボルケウィッツ、ワルデマー・モルダルスキ、サウンド・デザイナー/レフ・マイェフスキー、ラボ/WFDiFワルシャワ
出演
ルトガー・ハウアー/ピーテル・ブリューゲル、シャーロット・ランプリング/聖母マリア、マイケル・ヨーク/ニクラース・ヨンゲリング
12月17日(土)より渋谷・ユーロスペース他全国順次ロードショー
2011年、ポーランド・スウェーデン、96分、英語、配給/ユーロスペース+ブロードメディア・スタジオ、協賛/駐日ポーランド共和国大使館、http://www.bruegel-ugokue.com/

by mtonosama | 2011-11-29 06:48 | 映画 | Comments(10)
Commented by すっとこ at 2011-11-29 08:32 x
うっ ショォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーック!!!!!

って何がショックって
予告編に出て来たマイケル・ヨークが
すっかりまったく爺様になってたことだーーーーーーーーーーーーーー!!

“キャバレー”でライザ・ミネリを
不器用に愛した そして愛し切れなかった
愛され切れなかった青年がぁぁぁぁぁああああ
あの青年が 眉毛も白い爺様にぃぃぃいいいいい!

って
それはブリューゲルと関係ないのでは?

ええ関係ない話をまざさまざと思い出させるのは
この映画の凄さではないでしょうか?

動く絵、動く心、動くあの日の埋葬したはずの感情
がむっくり起き上がって来るのはきっとこの映画の
魔力のせいです・・・。

次の更新も待たれる殿様の試写室!!!!!!
Commented by mtonosama at 2011-11-29 09:14
♪すっとこさん

わたしはシャーロット・ランプリングが
おばあさんになっていて、
さらに、さらに、聖母マリアを演じていることに軽いめまいを覚えましたよ。

「愛の嵐」でナチ将校のいけない愛のお相手を演じたシャーロットが
忘れられないんです。

あの後、彼女はいろんな映画に出たのに、
なぜか、あの姿が忘れられません。

それが、あぁた、聖母マリアですよ。

自分のことを棚にあげて、あえて言いますっ。
みんな歳をとっていくんですね。

変わらないのはブリューゲルの絵だけか…
嗚呼。
Commented by Tsugumi at 2011-11-29 15:14 x
予告編見て大画面で見たい~~。
3Dのメガネもいらないんですよね。
画期的です。

金持ちも貧乏も・どこの国の人もみんな歳は平等に取ります。。

世界で平等は年取ることだけですかね。

否、紛争や戦争が行われている地域の人は平等に歳も取れない。
地球とは難儀な世界ですな。。
Commented by mtonosama at 2011-11-29 16:36
♪Tsugumiさん

でしょ、でしょ?大画面で観たくなりますよね。

3Dのメガネもいらないんです。
なにも3Dカメラで撮らなくても、工夫次第で遠近感は
出せるってことですよね(多分、その工夫がとっても大変なんでしょうけど)。

それにしても、Tsugumiさんのおっしゃる通り、
歳をとることもできず、幼いまま、亡くなっていく人も世界にはいるんですよね。
Commented by ライスケーキ at 2011-11-29 21:12 x
とのさんの文章を読んでいると 私もブリューゲルの絵画の中に入ってしまった気分。

あぁ、又見たい映画が増えてしまいました。
一週間ぐらいぶっ通しで 映画館に通いたいです。
Commented by mtonosama at 2011-11-30 05:59
♪ライスケーキさん

通いましょう、通いましょう♪
断捨離真っ最中でも、映画の記憶は邪魔にはならないですもん。

いっぱい映画見て、頭と心に宝物貯めましょう!
(なんちゃってネ^m^)
Commented by 薄荷グリーン at 2011-11-30 21:27 x
こんばんは!

赤は今でも好きな色でしょうか?
わたしも小さい頃、わたしの場合は緑だったんですけど、その色ばかり使っていた記憶があります。

トレーラー見てみました。本当に動いてますね。面白いこと考えるものだなぁって思いました。
ひょっとしたら当時は画家になるようなスタイルしかなかったから画家になったけど、今の時代に生まれてたら映画監督になってるのが相応しいような人もいただろうなぁって思いました。そう考えると絵を動かしてみるのもそう的外れな発想でもないんじゃないかって。
監督が背景を書いたというのもすごいなぁ。大体絵コンテかけるくらいの画力は必要だとは思いますけど、背景を自分で書いてしまうのはスケールが大きいです。

わたしも3Dめがね苦手です。元からめがねしてるから2重になるんですよね。

それとルトガー・ハウアー、様になってますね。ブレードランナーのあとはなんだかB級映画の役者さんとか脇役で活躍してるようなイメージだったのでこんな役も似合うというのはけっこう嬉しいです。
Commented by mtonosama at 2011-12-01 07:01
♪薄荷グリーンさん

おはようございます。

真っ赤な服は着ないのですが、ブリューゲル的にさし色として
赤を使うとおしゃれしたようなとっても良い気分になれますから、多分好きなのだと思います。
薄荷グリーンさんはきっと今も緑がお好きなのですよね。
だって、薄荷グリーンっていうお名前ですもの。

私は子どもの頃、ケストナーが好きになり、
彼が日記(?)を緑の色鉛筆で書いているといるというので
真似ッコしていたことがあります^_^;

おっしゃる通り、今の時代だったら映画監督になっていた人
って多いでしょうね。
表現手段がいろいろあるってありがたいことです。
でも、もしかしたらブリューゲルもパラパラ漫画を描いて
楽しんでいたのかもしれません。

「ブレードランナー」とか「愛の嵐」とか印象の強過ぎる作品に
出た俳優さんは、その後が難しいと思うのですが、
皆さん、素敵に歳をとっていますよね。
(シャーロット・ランプリングはびっくりなんですが・・・)
Commented by poirier_AAA at 2011-12-01 21:14
お久しぶりです。この映画、凄そうですね。こちらでも観られるのか早速さがしてみなければ。。。。

ところで、シャーロット・ランプリング、わたしも殿様とまったく同じ印象を持っていました。「愛の嵐」なんですよね。年を重ねても相変わらず目を惹き付ける人だと思いますが、どうしても「あの」サスペンダー姿が目にちらついてしまいます。それがマリアとは‥‥。

わたしは3Dで眼鏡をかけるのが嫌いです。眼鏡を借りるのにお金がかかることもあるので、ほとんど憎んでいます。あくまでも2Dで頑張ろうとする人たちをやんやと応援したい気持ちですよ。
Commented by mtonosama at 2011-12-02 09:28
♪poirier AAAさん

お帰りなさい!
素敵なご旅行だったようですね。

シャーロット・ランプリング、同じ想いをお持ちでしたか♪
同好の士がいらしてうれしいです。

3Dもそう。アバターのような映画なら3Dも納得するんですが、
猫も杓子も3Dメガネというのは、いかがなものかと・・・

今度ヴェンダースのPINAという映画が上映されるんですが、
これも3Dメガネなんです。
この映画にはどうしても3Dが必要という考えは
わからなくはないのですが、
やはりメガネを2つかけるのは重たいです。