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殿様の試写室

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プリピャチ -1- PRIPYAT 

プリピャチ -1-
PRIPYAT 

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©NIKOLAUS GEYRHALTER FILMPRODUKTION GMBH

プリピャチというのは地名です。
あのチェルノブイリ原子力発電所から4キロの地点にある町で、
事故の前は原発職員たちがこの町にたくさん住んでいました。

1986年の事故後は原発周辺30kmが立入禁止区域「ゾーン」と呼ばれ、
許可なく立ち入ることができない管理された町になっています。

30km圏「ゾーン」は有刺鉄線で囲まれ、
チェルノブイリを中心点にしてコンパスで引かれた円形の区域。
ゾーンへのチェックポイントでは兵士が区域内に入る全ての人や車をチェックし、
いかなるものも外へ持ち出すことは禁止されています。

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ですが、このゾーンにも、プリピャチにも人は住んでいます。
原発や関連施設で働く人々、許可を得て帰還した人々、他地域への移住を順番待ちする人々などです。

「いのちの食べ方」(‘05)のニコラウス・ゲイハルター監督が
チェルノブイリの事故から13年経った1999年、本作「プリピャチ」を制作しました。
映画制作には2年を費やし、ゾーンの中では3回に分けて撮影し、3ヶ月滞在。
その間に15人の住人にインタビューしました。

撮影の前後にはウィーンの放射能研究所でホール・ボディ・カウンターにも入りました。
その結果、3ヶ月のプリピャチ滞在中に受けた線量は、
オーストリアで決められている1年間に受けていい線量を超えていたということです。

本作に登場しているのは、
チェルノブイリ市に住む老夫婦、
プリピャチ市の環境研究所に勤務し、以前は市内に住んでもいた女性職員、
立入制限区域との境界地域に住み、10年以上も移住の順番待ちをしている女性、
チェルノブイリ原発の技術者などです。

彼らはカメラを向けられ、自分たちの心境や、もう戻ってこないかつての生活、
そして、それでもこの地で生きている日常について淡々と語ります。

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実はこの映画を観て、とても驚いたことがあります。
チェルノブイリ原子力発電所4号機が事故を起こした後、あの巨大な石棺で覆われました。
その後、もちろん問題は解決したわけではなく、問題があるからこそ、本作も撮られた訳ですが、
その石棺で覆われた4号機の隣で原発が再稼働されていたのです。
驚きました。まったく知りませんでした。

知らない方がよかったのでしょうか。
いえ、その反対だと思いました。
だって、チェルノブイリのその後を見ながら、私たちのその後も考えていかなければならないのですから。

1986年のチェルノブイリ事故の後、
原発周辺地域には30km圏の立入制限区域ゾーンが設けられ、11,600人が避難しました。
発電所から4km地点にあるプリピャチの住民は事故直後50,000人が避難、
ソ連(当時)全地域へ移住しました。
それ以降、家々は荒廃し、街へ立ち入るには特別許可証が必要になりました。

ゾーンに暮らす比較的高齢な約700人の人々。
彼らはこの地に暮らす危険性を知らないわけではありません。
ある人は故郷を忘れ難く、また、ある人は若い人をここに来させるわけにはいかないと、
あるいは、出たくても出られないなどさまざまな事情からゾーンで仕事をし、暮らしています。

当局は情報も伝えず、10年も移住を待ち続ける人々の家やライフラインも整備しません。
そして、彼らはこの地の畑で栽培した作物を食べ、森のきのこを食べ、
原発の横を流れるプリピャチ川の魚を採り、水を飲んでいます。

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ワンシーン、ワンカットのモノクロの静謐な画面からはこの地で続いている放射能汚染を見ることはできません。
そう、放射能は見ることも匂いをかぐことも聞くこともできないものですものね。

この映画で、インタビューされたゾーンの人々は自分たちの状況を淡々と語っています。
ゾーンでも、福島でも、これから直面し、対応していかなければならない事態を考えれば、
静かな怒りと、絶望しない気力と、少しでもいいから希望こそが必要なのだと思います。

私の映画は後の世代にとってのある種の年鑑のようなものだと思っている

という監督の想いを真正面から受け止め、この映画を鑑賞しました。



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☆2月27日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

【署名のお願い】自然エネルギー100%と原発の段階的廃止を実現するため「エネルギー基本計画」を変えよう!

プリピャチ
監督・撮影/ニコラウス・ゲイハルター
3月3日(土)渋谷アップリンク他にて全国順次ロードショー
1999年、オーストリア、モノクロ、100分、配給/アップリンク

by Mtonosama | 2012-02-27 06:54 | 映画 | Comments(8)
Commented by よっしー at 2012-02-28 12:44 x
ほう!およしのアンテナが反応しております@続きが気になる!
Commented by Mtonosama at 2012-02-28 20:23
♪よっしーさん

ピピー、ピピー。
おお、ホントだ!反応してますね。

3月3日上映です。
Commented by ライスケーキ at 2012-02-28 22:32 x
線量計借りてきて我が家で計ったら0.045が最高だった。
まぁ、基準値内だから良いとしても
こんな 心配しなくちゃならないなんてね。

唯一の被爆国なのに なんで「原発反対」ってならないんだろう。
地震国なのに なんで「原発反対」ってならないんだろう。
経済より生命の方が大切なのに・・・。
世の中 分からないことだらけです。


Commented by Mtonosama at 2012-02-29 06:08
♪ライスケーキさん

インターネットを起動すると、現在の線量がピンポイントで
わかるのですが、この近くでは0.09前後を示しています。

放射能に色があったら、ゴリゴリの経済第一主義者でも
「あ、この辺、こんなに放射能色になってる」って危機感を
感じることができるし、
放射能がにんにくみたいな匂いだったら、
「あ、この辺一帯にんにく臭だ。これはなんとかしなくちゃ」
ということになるんでしょうけどね・・・・・
Commented by 薄荷グリーン at 2012-02-29 21:35 x
こんばんは!

チェルノブイリの隣で原子力発電所が再稼働してるというのは始めて知って、ちょっと吃驚してます。
完全にやめてしまうと社会生活が成り立たなくなる部分でも出てくるんでしょうか。電気はやっぱり現代生活の要になるものだし、完全に電気がなくなった世界ってもう人は生きることも出来なくなってるのかも知れないですね。

そこで生活してる人がいるのもちょっと信じがたいというか、悪影響はもう確実に受けてると思うけどそれでもへこたれないくらい人の体は順応性があるということなのかなぁ。

確かにもう日本人はこういう事態に関しては他人事ではなくなってしまってるんですよね。どうしようもなさだけじゃなくてそんな事態に放り込まれても、少しでもより良く生きられる指標でも示された映画だったらいいと思います。
Commented by poirier_AAA at 2012-03-01 00:57
以前は、こういう特別な場所で生きる人達は、自分とはまったく違う価値観で生きているんだろうと思っていました。でも、この1年間でそうじゃないことに気がつきました。

危ないかもしれないとわかっても、そこにいない方が良いとわかっても、そこに暮らす人がいる。ゾーン内はもちろん明らかに危険なのだけれど、といって一歩ゾーンの外に出たら100%安全になるわけでもない。この周囲(あるいは周辺の欧州の人達)は、否応なくチェルノブイリと生きるしかないんだと思いました。そして今は、日本がフクシマを生きています。そして、まだ大きな事故が起きていないというだけで、世界中の人々が選択の余地なく原発と生きているのです。何かことが起ってからでないと気がつかない、では間に合わないんですよね。

この作品、もう10年以上も前に作られていたなんて、、、全然知りませんでした。
Commented by Mtonosama at 2012-03-01 06:07
♪薄荷グリーンさん

あの石棺で覆われた4号機の隣で原発が再稼働していること、
「えっ?!」と思いました。
私は映画をちゃんと観ていたのかな?と自分の目と耳を疑ってしまいました。
それ位びっくりしました。ありえないですよね。

映画にはゾーンの中でより良く生きるための指標はなかったけれど、
老夫婦が仲良く寄り添ってゾーン内での日常を生きていることをほほえましく感じました。
人はどんな状態にあってもそれを日常に変えていく力を
持っていることが救いといえるのかもしれません。

あ、なんだか暗くなってしまいました。すいません。

Commented by Mtonosama at 2012-03-01 06:27
♪poirier AAAさん

本当に、世界中の人たちが原発と暮らしているし、
ことが起こってしまったら、どうなるかをチェルノブイリも
福島も教えてくれているというのに・・・・・
それなのに、原発を輸出しようとしている日本政府。
信じられません。

最近、ヨーロッパが舞台の映画を見ていると、
背景に巨大な風力発電機が映り込んでいることが多いです。
先日観たベルリンからルーマニアまで自転車で向かう
おじいさんと孫が主人公の映画でも
ベルリンを抜けた農村地帯に風力発電機が林立していました。
まだソーラー発電が映っている映画は観ていません。

ソーラーや潮力発電などが普通に映画の背景に映っているようにればいいのに、と願っています。