裏切りのサーカス -2- TINKER TAILOR SOLDIER SPY
TINKER TAILOR SOLDIER SPY
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スパイ映画と言えば、007の♪チャンチャカチャンチャンチャチャチャ♪とか、
♪チャンチャンチャチャチャンチャンチャチャ♪(あ、わかりませんよね、「スパイ大作戦」のつもりですけど)
とかのお囃子みたいなテーマミュージックが頭の中に鳴り響くとのです。
でも、最近は2010年6月当試写室でも上映した「フェアウェル さらば,悲しみのスパイ」http://mtonosama.exblog.jp/14041274/ http://mtonosama.exblog.jp/14068480/
というようなお囃子テーマミュージック風スパイ映画とは一線を画したスパイ映画が
観られるようになりました。
職業としてのスパイをスパイ本人がとらえ返すとこうなるのかな、
とも言える冷静さと人間の深さが感じられた最近のスパイ映画です。
本作「裏切りのサーカス」もそのカテゴリーに属する映画。
ただ、試写状に「本作は裏面にある説明をよく読んでからご覧ください」とあったり、
フライヤー(チラシ)のキャッチフレーズは「展開、伏線、結末----鑑賞は、頭脳戦になる」だし、
試写場でも近くに座った人たちが「結構、くせものらしいね」なんて話してるし、
観る前から緊張しまくりの気の小さいとのでした。
確かに巧妙にしかけられた作品でして、ストーリー紹介も難しいのですが・・・・・
と、とりあえず言い訳しておいて、いきます。
ストーリー
多くの犠牲を払った第二次世界大戦が終わった。だが、世界は東西冷戦の時代に突入。
1970年代前半、英国情報局秘密情報部MI6とソ連国家保安委員会KGBの情報戦は熾烈なものになっていった。
英国諜報部〈サーカス〉のリーダー・コントロールは、5人のサーカス幹部の中に
長期に渡ってソ連の二重スパイ〈モグラ〉が潜入しているとの情報をつかむ。
そして、ハンガリーの将軍が〈モグラ〉の名前と引き換えに亡命を要求。
コントロールは工作員ジム・ブリドーをブダペストに送り込んだが、作戦は失敗。
コントロールは責任を問われ、長年の右腕だったジョージ・スマイリーと共にサーカスを去る。
サーカス新リーダーのパーシー・アレリンはビル・ヘイドン、ロイ・ブランド、トビー・エスタヘイスを率い、成果を上げていった。
一方、コントロールは謎の死を遂げ、
ジョージ・スマイリーも最愛の妻に捨てられ空しい日々を送っていた。
そんなスマイリーが英国政府情報機関次官監査役に、
サーカスの4人の幹部の中に潜む〈モグラ〉をつきとめるよう極秘命令を下される。
彼はサーカスの工作員ピーターらとチームを組み、古いホテルに作戦室を開く。
ある日、ピーターは不審な記録を入手する。
それは、ブダペストで射殺された筈の工作員ジムの口座に1000ポンドが振り込まれていた
というものだった。それも彼の死後に、である。
謎は深まるばかり。
そんな中、イスタンブールで東側に寝返ったといわれていた工作員リッキーが帰国し、
スマイリーに助けを求めてきた。
リッキーは当時イスタンブールで東側の通商使節団員イリーナと恋に落ちた。
もちろん、これは違反行為である。
亡命を望むイリーナが交換条件として示したのは〈モグラ〉の情報だった。
だが、リッキーがサーカスにそのことを知らせる電報を打った直後、
イリーナはソ連に連れ去られてしまう。
粛々と進むスマイリーの捜査。次第に明らかになってくる事実。そして、罠はしかけられる……
一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。
この言葉の呪いにかかり、俳優たちのさりげない視線や笑みに
「うーん、これにはきっと何か裏がある」と映画を観終わってからも、あれこれ考えてしまう作品です。
「英国王のスピーチ」で見せた気弱な王様とはまた随分違ったキャラクターを演じたコリン・ファース。
華がありながら、影のあるコードネーム・テイラーを十二分に楽しませてくれました。
出演者が多く、諜報部幹部と工作員との関係、あるいは英国政府・政治家との関係など
知らない世界ゆえ、わかりにくいかなと不安に思いましたが、そこはさすがです。
サーカスの幹部たちのキャラが1人1人際立っていて、演技、時代背景ともに満喫しました。
ジョージ・スマイリーを演じたゲイリー・オールドマン、コントロール役のジョン・ハート。
すごく良かったです。
しかし、こんな渋い俳優に入れ込むなんて、とのも大人になったもんです。ま。150歳だから当然かも。
あ、そうそう。ジョン・ル・カレですが、脚本から撮影まで全面的に協力しただけでなく、
なんと出演もしています。サーカスのパーティシーンに出ているんですよ。
このことを確認するためにももう1回観なくちゃいけないかもしれません。
終
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☆4月12日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆
裏切りのサーカス
監督/トーマス・アルフレッドソン、製作/ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー。ロビン・スロヴォ、脚本/ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン、原作/ジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(ハヤカワ文庫刊)、製作総指揮/ジョン・ル・カレ、ピーター・モーガン、ダグラス・アーバンスキー、撮影/ホイテ・ヴァン・ホイテマ、衣装/ジャクリーン・デュラン
出演
ゲイリー・オールドマン/ジョージ・スマイリー、キャシー・パーク/コニー・サックス、ベネディクト・カンバーバッチ/ピーター・ギラム、デヴィッド・デンシック/トビー・エスタヘイス、コリン・ファース/ビル・ヘイドン、スティーヴン・グレアム/ジェリー・ウェスタビー、トム・ハーディ/リッキー・ター、キアラン・ハインズ/ロイ・ブランド、ジョン・ハート/コントロール、トビー・ジョーンズ/パーシー・アレリン、スヴェトラーナ・コドチェンコワ/イリーナ、サイモン・マクバーニー/オリヴァー・レイコン、マーク・ストロング/ジム・プリドー
4月21日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他にて全国順次公開
2011年、イギリス・フランス・ドイツ合作、128分、字幕/松浦美奈、配給/ギャガ、http://uragiri.gaga.ne.jp/
007のテーマは一読で音として理解できました。でもこういう書き方をしてみると寄席のお囃子みたいですね。
ジョン・ル・カレってまだ生きてたんだ。相当昔からスパイ小説書いてるから今も生きてるとは思わなかったです。
スパイ映画は敵役の裏をかくと同時に見てる側の裏もかいたりするものも多いから、気を入れて見なければと思い、一言も見逃さずに見ようとすることで返って情報の収拾がつかなくなって、どういう話なのかついていけなくなるというパターンがわたしには多いです。登場人物も多くなってくると外人の顔ってなかなか区別がつかなくなってきたりするし。
キャラクターが立っていてあまり混乱しないということですけど、それだけで腕のいい監督だと言えるかも知れないですね。
わたしはジョン・ハートがかっこいいと思ってます。エイリアンの時から、結構早めに退場してしまうけど印象に残った俳優さんでした。
007のチャンチャカチャンわかっていただけましたか?
ありがとうございます。
おっしゃる通り、スパイ映画は裏をかかれますね。
緊張しました。
私も、外人の顔も、日本人の顔も、なかなか苦手です。
さらに、名前も苦手です。
だから、この映画のようにコードネームで呼ばれていると、
コードネームとキャストのキャラクターが結びつけやすいので、ちょっと助かります。
ジョン・ハートは歳をとっているのに華がありますよね。
ゲイリー・オールドマンも地味に地味に行動しているのに、
その存在感がいいんですよねぇ。
そうなんですよね。
座席入れ替え制度を全ての映画作品に対しておしつけるのは
止めて欲しいですよねぇ。
ああ、昔は良かったなぁ。
あ、また出てしまった。「昔は良かった」節が(笑)