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殿様の試写室

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ムサン日記~白い犬 -2- Musanilgi

ムサン日記~白い犬 -2-
Musanilgi

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©2010 SECONDWIND FILM..All rights reserved.

主人公スンチョルは脱北者。
“ふかわりょう”みたいなおかっぱ頭が気になるっていえば、気になるけれど、
無口でまじめな青年です。

韓国には脱北者がもう2万人以上も暮らしています。
やっとの思いで北朝鮮から韓国へ逃れてきたというのに、
北とはうってかわった大都会ソウルでの暮らしになかなかなじめないスンチョルのような青年もいれば、
要領よく立ちまわることのできる青年もいます。
映画には北からやってきたいろいろな青年が登場します。

ところで、韓国にやってきた脱北者はどのようにして韓国に受け入れられていくのでしょう。


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脱北者は、脱北後、京畿道にある中央合同尋問センターに収容され、尋問を受けます。
家族のこと、脱北の理由、脱出ルートなど、生い立ちから脱北に至る過程などすべてを話さないといけません。
それが終わると、やはり京畿道にある「ハナ院」という施設で最低3ヶ月間は韓国での生活に適応するための訓練を受けます。社会見学にでかけたりして、韓国社会に溶け込むための実地訓練です。就職のための職業訓練もあります。
そして、いよいよ社会に出るのですが、2年間は「身辺安全」のため地元警察に保護され、保安局の刑事が生活指導、職業のあっせんまで生活の面倒を見ます。これには、監視されているようだと不満を持つ脱北者も多いということです。

国を捨てるということ、そして、体制が違う国へ逃れるということは、
同じ民族といえども、とても大変なことなのですね。
いったいどんなお話なのでしょうか。


ストーリー
脱北仲間のギョンチョルと一緒に開発途上の再開発地にある安アパートで暮らすスンチョル。
危ない仕事で荒稼ぎしているギョンチョルは、僅かなバイト代でポスター貼りをするスンチョルを内心ではバカにしている。
ギョンチョルは脱北者たちの金を集め、中国在住の叔父を経由して北朝鮮に送金する闇ブローカーだ。
彼は着たきりスズメのスンチョルにナイキのダウンジャケットを買ってくれる。
だが、試着室で着替えるふりをしながら、ズボンを万引するような男でもあった。

ある日、スンチョルは刑事のパクに連れられて、会社の面接を受ける。
しかし、住民登録番号を示す時、その125番という番号から脱北者であることがわかり、
またも定職につけなかった。

スンチョルの心のよりどころは教会だ。聖歌隊のスギョンは天使のよう。
そんなスギョンは風俗系カラオケバーを経営する父の右腕として働いていた。
スンチョルは教会に行っていることも脱北者であることも隠し、
そのカラオケバーで深夜のアルバイトを始める。

スンチョルは街で白い犬を拾ってくる。彼は犬に「ペック」という名をつけた。
その頃、以前から絡まれていたポスター貼りの不良グループに
ギョンチョルが買ってくれたナイキのダウンをズタズタにされてしまう。

一方、ギョンチョルにも大変なトラブルが。
中国の叔父が逮捕され、北へ送金する金が公安によって取り上げられてしまったのだ。
金を取り返そうと追跡する脱北仲間たちから逃げるギョンチョル。

スンチョルが深夜のアルバイトをする風俗カラオケ店のスギョンは
彼が同じ教会に通っていることを知った。
彼女は自分がカラオケ店で仕事をしていることをスンチョルに口止めしつつも、
同じ信者として2人は親しく言葉を交わすようになる。
ところが、ある日、スンチョルが店のホステス達と讃美歌をカラオケで歌っているのを見て、
スギョンは彼を一方的に解雇。

再びポスター貼りに精を出すスンチョル。
だが、あまりに不器用な仕事ぶりはポスター貼り会社の社長を怒らせ、その仕事すら失ってしまう。
そんな折、またも絡んできた不良たちにスンチョルは初めて反撃する。
鬱屈する思いを抱えて帰宅したスンチョルはギョンチョルにも怒りを向けた。
そして、スンチョルの態度に立腹したギョンチョルはペックを捨ててしまう……


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旧い建物を解体している荒野のような再開発地が拡がるソウル近郊。
まるで戦後、いえ、戦争中のように荒れた風景。
そこからすぐのところに拡がる大都市ソウルの繁栄。
その対比が胸にしみます。

脱北してきてもひたすら地道にソウルの底辺で生きる実直な青年スンチョル。
北の生活と違うことは飢える心配のないことだけなのかもしれません。
飢えのため、北の地で期せずして友人を死なせてしまった彼にとって飢える心配のない
日々はありがたいものでしょう。

しかし、人はパンのみにて生くるにあらず。
夢も希望もなく、屈辱を受け続け、大事にしていた犬も捨てられてしまった時、
心に萌した黒い空気が限度を超えて膨らみきった時、
スンチョルは何かを決断するしかありませんでした。
そして、その結果、失ってしまった清らかな何か。

脱北者が主人公ではありますが、ここに描かれた問題は普遍的なもののように感じました。
韓国の映画界にまた新しい才能が誕生したようです。






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☆5月6日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ムサン日記~白い犬
脚本・監督・エグゼクティブ・プロデューサー/パク・ジョンボム、共同エグゼクティブ・プロデューサー/キム・ナンスク、プロデューサー/イ・ジヌク、撮影/キム・ジョンスン
出演
パク・ジョンボム/スンチョル、チン・ヨンウク/ギョンチョル、カン・ウンジン/スギョン、ペック/ペック(白い犬)
5月12日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
2010年、127分、韓国、カラー、字幕/根本理恵、配給/スターサンズ、http://musan-nikki.com/

by Mtonosama | 2012-05-06 06:48 | 映画 | Comments(6)
Commented by ライスケーキ at 2012-05-06 22:23 x
脱北して 韓国で生活するのも大変なんですね。
日本にいると理解できないかもしれない。

自分の知らないことを体験できる。
考えるキッカケを与えてくれる。
これも映画の魅力ですね。
Commented by Mtonosama at 2012-05-07 06:16
♪ライスケーキさん

食べられればいいというものではないけれど、
やはり食べていけるということは最低条件ですよね。

それにしても、このペックちゃん、
立派なたくましい足をしているから、大きな犬になるのでしょうね。

大事に大事にダッコされているシーンが多くて
無表情でおとなしいスンチョルだけど、この犬をどれだけ
大事にしているか、よっくわかります。
Commented by すっとこ at 2012-05-07 10:18 x
そうだったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁぁぁあああ!

足の太い大きな子はデッカイ犬になるんだったーーーーーーーーーーぁぁぁあああ!
そんなことも思い出しました。

脱北とはまったく事情が違うけど
   自分も夫の転勤で ある日UPーROOTING
   根っこを引き抜かれて違う国で暮らすこと
   二度、三度いや四度か・・・。

そんなことも思ってしまった殿様の試写室。

捨てられた白い子犬はその後、見つかったの
でしょうか。
動物が出てくると身を乗り出してしまいます。

次号はいったいどんな映画でしょうか、
楽しみにしています!
Commented by Mtonosama at 2012-05-07 16:04
♪すっとこさん

そうです、そうです。足が太いワンコはでっかくなるんだよね。
今みたいに血統書つきの犬をペットショップで買うのではなく、
犬といったら拾ってくるものだった時代は足の大きさや太さ
は飼ってもらえるかどうかを決める非常に重要なポイントだ
ったのでした。

ああ、なつかしいな。

そうでしたね。すっとこさんは何度もお引越ししたのですね。

Commented by poirier_AAA at 2012-05-07 19:46
脱北者もヨーロッパに多いアフリカからの難民も、きっと同じことを考えて国を出るんだと思うんです。あちらにいけばきっと幸せになれる、もっと良い暮らしができる。でも、実際はそうじゃないんですよね。命懸けで国を脱出して辿り着いた先には、また全然違う種類の壁が頑としてあって、簡単には幸せになれません。生まれた場所が違うだけで人生が変わってしまうのって、本当に不条理だと思います。

この犬、可愛いですね。
Commented by Mtonosama at 2012-05-08 05:57
♪poirier AAAさん

不条理ですよね。
以前、当試写室で上映した「ル・アーブルの靴みがき」は
明るい難民映画で救いでした。

本作では、主人公が変わるために、そして、生きるために、
何かを捨てるしかないと気付くのですが、それは難民に
限らないのかもしれないな、とも思いました。
ソウルの荒涼とした開発地の光景と市内の繁栄の様子が
とても印象的な映画です。

決断の一歩ってなかなか踏み出せないものですね。
自分の身にひきつけていろいろ考えさせられる映画でした。

ペック、可愛いでしょ?子犬の割には大きいんだけど、
いつもこんな風にダッコされてて、すっごく可愛いんです♪