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殿様の試写室

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ジェーン・エア -2- Jane Eyre

ジェーン・エア -2-
Jane Eyre

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(C)RUBY FILMS (JANE EYRE) LTD./THE BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2011. ALL RIGHTS RESERVED.

どんよりと煙ったようなイングランドの空。
霧の中にほのかに浮かぶ館。
屋敷の窓から室内に射し込むミルク色の光、
部屋の角や天井は常に薄い闇に支配されています。

どこかから狂女の笑い声が響いてきたり、
隠し扉の向こうには何かの気配がひそやかに佇んでいたり――

19世紀の古い屋敷の薄気味悪さ。
やはり英国はこうでなくっちゃ。
こういうものはやはり中学生ではわからないかもしれません。

って、あくまで自分の未熟さを擁護するとのであります。

ジェーン・エアを演じたミア・ワシコウスカや、
ロチェスター役のマイケル・ファスベンダー以上に存在感を示したのが
ダービーシャー州にあるハドン・ホールという実在の館です。
場所的には英国の真ん中マンチェスターの南東60キロあたりに建てられた中世の建物です。
石灰岩の岩地の頂上に11世紀とも12世紀とも言われる時代に建てられ、
かつて200年にもわたって閉鎖されていたので近代化の洗礼を受けませんでした。
歴史遺産ともいうべき屋敷。
建物も敷地も一般公開され、「エリザベス」をはじめ、映画にも何度も登場しているのだそうです。
小説「ジェーン・エア」の舞台でもあるダービーシャー州。

映画を観た後は絶対もう一度小説も読んでみたくなるはずです。


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ストーリー
幼い頃に両親を亡くしたジェーンはずっと孤独でした。
引き取ってくれた伯父が亡くなると、その妻と息子にいじめられました。
伯母の手によって送り込まれた寄宿学校でも教師たちからひどい仕打ちを受け、
初めてできた友人も病気で死んでしまいます。
それでもジェーンは卑屈になることも、涙にくれることもなく、強く生きるのでした。

寄宿学校を卒業したジェーンは母校で教師をした後、
ガヴァネス(住み込み家庭教師)としてソーンフィールド屋敷で働くことに。
館の主人ロチェスターが後見人をつとめる少女アデールを教えることになったのです。
ですが、屋敷にロチェスターの姿はなく、
家政婦のフェアファックス夫人が全て取り仕切っていました。

3ヶ月後、町へ出かけたジェーンは森の中で見知らぬ馬上の男と遭遇。
驚いた馬は男を振り落としてしまいます。
その男こそ、ソーンフィールド館の主ロチェスターでした。
ジェーンにぶしつけな質問を浴びせるロチェスター。彼の問いに落ち着いて答えるジェーン。
やがて2人は互いの人間性に強く惹かれるものを感じるようになっていきます。

ある夜、不審な物音に眼を覚ましたジェーンは音のする方へ向かいます。
そこはロチェスターの部屋でした。既にカーテンを這い上がる炎。
ロチェスターを必死で揺り起すジェーン。
彼は「君が救ってくれると信じていた」と囁くのでした。

ところが、翌朝、ロチェスターはジェーンに一言もなく館を出ていきます。
数週間後、大勢の客人を引き連れて戻ってきましたが、
その中には彼の結婚相手だと噂される美しい令嬢が。
その夜、またもや事件が起きます。客の男が何者かにナイフで斬りつけられたのです。
ロチェスターは誰が犯人かわかっている様子なのに、何も語ろうとしません。

一方、ロチェスターの結婚が間近だと聞かされたジェーン。
彼女は屋敷を去る決心をします……

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いやいや、ストーリーだけを見れば、バリバリの恋愛映画なんですけどね。
しかし、ただの恋愛ものに堕してはいないのです。
それがこの映画が尋常じゃないところなんです。
屋敷の不気味な雰囲気といい、屋敷内で起こる不思議な事件といい、
緊張で筋肉がこわばりそうな雰囲気に包まれます。

その昔、ある友人が「本当に怖い怪奇小説を読みたいなら『嵐が丘』を読むといいよ」
と言っていましたが、さすが、ブロンテ姉妹。
「ジェーン・エア」の醸す気味悪さ――

いえ、気味が悪いというのはちょっと不穏当です。
ゴシック調と言った方がいいでしょうか。

長編映画2作目にして、この完成度。
キャリー・ジョージ・フクナガ監督も尋常な才能ではありません。

さて、本作についてはもうひとつお伝えしたいことが。
ジェーンが身を寄せるリバース家の主人を演じるのは、なんと「リトル・ダンサー」(‘00)
で主人公の少年を演じたジェイミー・ベル。
「おお、おお。大きくなったねぇ」と思わず、つぶやいてしまいました。

俳優も監督もどんどん若手が育ってきますね。
楽しみなことです。





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☆5月31日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ジェーン・エア
監督/キャリー・ジョージ・フクナガ、脚本/モイラ・バフィーニ、原作/シャーロット・ブロンテ、製作/アリソン・オーウェン、ポール・トライビッツ、撮影/アドリアーノ・ゴールドマン、音楽/ダリオ・マリアネッリ
出演
ミア・ワシコウスカ/ジェーン・エア、マイケル・ファスベンダー/エドワード・フェアファックス・ロチェスター、ジェイミー・ベル/セント・ジョン・リバース、ジュディ・デンチ/フェアファックス夫人
6月2日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
2011年、イギリス・アメリカ映画、120分、字幕翻訳/古田由紀子、配給/ギャガ、後援/ブリティッシュ・カウンシル
http://janeeyre.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-05-31 06:26 | 映画 | Comments(8)
Commented by すっとこ at 2012-05-31 07:36 x
なぜーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

この本を初めて呼んだ中学生のときは

   身分違いとは どういうことなのか?
身分というクラス社会のことがわからなかったし

   狂った妻が押し込められた部屋が
   人に気付かれることなく
   あり得るのか?
どんな広いったって、人の気配はわかるでしょうが!
長州での畳と障子と襖の暮らしからは このような
英国のお城はどう考えてもイメージ湧きませんでした。

こうして映画になって、初めてこれを観た人は
イングランドについて具体的に目で確認できますね。
200年間、手つかずだったお城とは・・・
素晴らしいですね!

観てみたいなぁ。
映画も城も。

ブロンテ姉妹って寒村の牧師館から出たことなかった
のですよね。それがこんな物語を作れるなんて。

次号はどんな映画でしょうか?
楽しみに待っています!!
Commented by Mtonosama at 2012-05-31 11:28
♪すっとこさん

なぜーーーーーーー?の絶叫に一瞬びびった未熟者の中学生だったとの。

だって、だって、多感なすっとこさんなんですもの。
でも、安心しました。そうですよね。
こんな城館なんて見たことも想像したこともなかったですよね。

日本にも座敷牢なんてあって、それはそれで気味悪いけど、
やはり石造りの西洋のお城には幽霊の気配がそこここに漂ってますよね。

キャアーーーーーーーッ!

Commented by Tsugumi at 2012-05-31 14:42 x
ダービーシャーM1モータウェイでうちのだんな様の故郷ヨークシャーへ行く途中にある街ではないですか。。。
そう言えばモーターウェイからぽつぽぽつお城が見えます。。

Victorian時代のヘアスタイルや衣裳・・・イギリスで勉強したことがあるので興味深々。。。絶対見ます。
Commented by 梨の木 at 2012-05-31 17:02 x
調べてみたら、パリではこれから公開されるみたいです。やった〜劇場で見られます。やっぱり大きなスクリーンで見なきゃ、ですよね。

ジェーン・エアを最近また読んで感じたのは、ジェーンがいつも自分の中の「神様」を心の支えにしていることでした。神様といってもキリストではなくて、自分の良心を照らしてくれる光のような神様なんです。社会の基準による支配を拒んであくまでも自分対神様で物事を考えようとするジェーンは、そのまま作者本人に重なるような気がしました。
Commented by Mtonosama at 2012-05-31 21:23
♪Tsugumiさん

えーーーーっ!?だんな様のご実家の近くなんですか?
この城館、観られるようなこと、書いてありました。

今度、おさと帰りなさる時は是非訪ねて、またご紹介くださいね♪
Commented by Mtonosama at 2012-05-31 21:27
♪梨の木さん

パリ未公開だったんですね。
是非ご覧ください。梨の木さんのようなディープなファンが
ご覧になるとどう思われるんでしょうか。

それにしても、また、読まれたんですか?
私も「三国志」を読み終わったら「ジェーン・エア」絶対読まなきゃ。
Commented by ライスケーキ at 2012-05-31 22:19 x
そのハドン・ホールなど イギリスの古城訪ねてみたい。 アームチェアー・トラベラーでも良いからね。 ところで 昔から気になっているんだけど いくら狂っているからって妻がいるのに結婚するって 「重婚罪」じゃないの? この時代のイギリスでは罪にならなかったのかな? どなたか知ってたら教えて~。
Commented by Mtonosama at 2012-06-01 07:11
♪ライスケーキさん

完全な重婚ですよね。

幸せなはずの結婚式の、まさにその場所で、驚愕の事実を
知らされるジェーン。
その昔、中学生だった頃にはわからなかったショッキングなシーンでした。

映画も、妻の存在がを知ったジェーンがロチェスターの館を
逃げ出す場面から始まりますものね。

離婚ができない訳じゃなし。
これは思うに当時、精神疾患を病む人が人としてとらえられていなかったことが問題なのかもしれませんね。

う~む、大人になるといろいろ目のつけどころが変わってきますね。