ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

キリマンジャロの雪 -2- Les Neiges du Kilimandjaro

キリマンジャロの雪 -2-
Les Neiges du Kilimandjaro

f0165567_673852.jpg

(C) AGAT Films & Cie, France 3 Cinema, 2011

ロベール・ゲディギャン監督は「マルセイユの恋」(‘97)を筆頭に、
自分が生まれ育った港町マルセイユを舞台にした作品をたくさん撮ってきました。
本作「キリマンジャロの雪」でも、なじみの俳優、スタッフと共に、
生活感あふれるマルセイユを描いています。

なじみの俳優?
それはなんといっても実生活でもパートナーである妻のアリアンヌ・アスカリッドでしょうね。
そう、組合委員長ミシェルの妻を演じた女優です。
そういえば、ミッシェル役のジャン=ピエール・ダルッサンも常連。
この俳優さん、4月に当試写室で上映した「ル・アーブルの靴みがき」の刑事役で良い味を出していた俳優です。
http://mtonosama.exblog.jp/17426967/ http://mtonosama.exblog.jp/17438978/
しかし、当たり前のことかもしれませんが、俳優というのはいろんな顔をつくることができる職業ですね。

ところで、映画の中で主人公ミシェルのヒーローとして登場するのはフランス社会党の創立者ジャン・ジョレス。
社会主義と労働運動に邁進してきた人物です。
ミシェルは、職場のロッカーの扉の裏に
ジョレスの有名な演説のフレーズを貼りつけているほど彼を尊敬しています。

労働者を主人公にした映画というと「自転車泥棒」(‘48)や「鉄道員」(‘58)を
思い出してしまいますが(古ッ)、ま、あの流れに近い作品かもしれません。
さあ、一体どんなお話でしょうか。


ストーリー
埠頭の上に青い作業服を着た男たちが並んでいます。
世の中の流れには抗しきれず、ミシェルが組合委員長をしている会社も
リストラを余儀なくされてしまいました。そこで20名の退職者をクジで選ぶことに。
次々に読み上げられる退職者。その中にはミシェルの名前も入っていました。
委員長の権限で自分の名前を外すこともできたのですが、
なんでも公平にしなくてはならないというのがミシェルの考えでしたから。
f0165567_6175934.jpg

ミシェルとマリ=クレールの結婚30周年を祝うパーティの日。
退職社員も含め、多くの仲間が招待され、
孫たちの歌う「キリマンジャロの雪」が流れる中、プレゼントが贈られました。
夫婦の夢だったアフリカ旅行のチケット。
義弟ラウルからはスパイダーマンのコミック本。
それは子どもの頃ミシェルが失くしてしまっていた想い出の本で
幼い字で記された彼の名前も残っていました。

失業してからのミシェルは孫の世話をする他は、時間を持て余すようになります。
そんな夫の姿が気にかかってならない妻のマリ=クレール。

ある夜のこと、ミシェル達が妹夫婦と4人でいつものようにトランプに興じていると、
覆面をした2人組の強盗が押し入ってきました。
強盗は、金品やアフリカ旅行のチケット、そして、スパイダーマンのコミックまで奪っていきました。
まじめに生きてきたのに、なぜこんな目に――
ショックを受けるミシェルたち。
PTSDなのか妹は日常生活を送ることができなくなり、
その夫ラウルは犯人への憎悪を募らせていくのでした。

数日後ミシェルはバスの中でスパイダーマンのあのコミックを手にした兄弟に出会います。
確かめてみるとそのコミックは確かにミシェルのもの。
この兄弟は同じ時にリストラされた元同僚の青年クリストフの弟たち。
まさにこのクリストフこそ強盗の1人であったことを、ミシェルはつきとめました。

逮捕されたクリストフに面会したミシェルは、若い彼が言い放った言葉によって、
これまで抱いてきた組合運動への信念を打ち砕かれます。
思わずクリストフを殴るミシェル。
マリ=クレールは今まで見たことのない夫の暴力に動揺し、2人の関係にも影が。

幼い弟2人を養っていたクリストフ。
リストラを受けた彼が生活に行き詰った末の犯行だったことが明らかになりました。
長ければ15年の実刑判決です。
ミシェルの心にはクリストフへの同情が。
ミシェルは告訴を取り下げようとしましたが、既にクリストフの身柄は司法の手に。

一方、マリ=クレール。
彼女はミシェルには黙ってクリストフの弟たちの世話をしていました。
実の母親のネグレクトにあっていた兄弟は、マリ=クレールの暖かい愛情に包まれて
次第に心を開いていきます。
手元に戻ってきたアフリカ旅行のチケットを換金したミシェルも
兄弟のためにその金を役立てようとクリストフのアパートに向うのでした……

f0165567_6204269.jpg

良かれと思ってしたことが若い労働者の反感を生んでしまったり、
定年間近なおやじ労働者の組合至上主義的な思い込みがないとはいえなかったり・・・・・
小さな町とはいえ波風の立たない生活などあるわけはありません。
でも、やがて波はおさまって、マルセイユの明るい太陽のもと、
平穏で平凡な生活がいつも通りに始まります。ああ、ありがたいことです。

落語にも、寅さん映画にも、通じるものがある、人の暖かさ。なんだかホッとします。
マルセイユの海もよそゆきを着た観光地のそれではなく、普段着の顔をしています。
そこに暮らす人の目を通した海であり、街でした。

マルセイユ発の人情映画。
「勇気とは、習慣、モラルとして日々の生活の中に息づくものである」
ジョレスの言葉。しみますねぇ。





今日もポチッとお願いできれば嬉しいです。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月12日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

キリマンジャロの雪
監督/ロベール・ゲディギャン、脚本/ジャン=ルイ・ミレジ、ロベール・ゲディギャン、撮影/ピエール・ミロン(AFC)
出演
アリアンヌ・アスカリッド/マリ=クレール、ジャン=ピエール・ダルッサン/ミシェル、ジェラール・メイラン/ラウル、マリリン・カント/ドゥニーズ、グレゴワール・ルプランス=ランゲ/クリストフ、アナイス・ドゥームスティエ/フロ、アドリアン・ジョリヴェ/ジル、ロビンソン・ステヴナン/刑事、キャロル・ロシェ/クリストフの母
6月9日(土)より岩波ホールにてロードショー、全国順次公開
2011年、107分、フランス、フランス語、提供/クレストインターナショナル、NHKエンタープライズ、協力/東京日仏学院、ユニフランス・フィルムズ、配給/クレストインターナショナル、http://www.kilimanjaronoyuki.jp/

by Mtonosama | 2012-06-12 06:40 | 映画 | Comments(8)
Commented by すっとこ at 2012-06-12 07:57 x
ぉぉぉぉおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

そういうわけで”キリマンジャロの雪”だったのですね。
唄になるなんてフランスに”キリマンジャロの雪”という
言い方は人口に膾炙してるのでしょうか?
日本人にはどうしてもヘミングウェイだけど。

あるいはヘミングウェイがパリ滞在中に
”キリマンジャロの雪”という言い回しを
覚えたのでしょうか?

なんだか人情味あふれる映画のようですね。
仏語チンプンカンプンですがやはり「恋を語らせるには
フランス語が一番」ななんだかエロい響きの仏語。

これで愛を囁かれたらグラッとくるのでしょうか?
んな場面はこれまでもこれからも絶無ですけど
外国語って素敵ですね!

次作品UPも楽しみです!!
Commented by Mtonosama at 2012-06-12 09:01
♪すっとこさん

お早うございます。おっとぉ、そちらNYは夕暮れ時ですか?

キリマンジャロはなんたって雪を冠した雄々しい姿が
素晴らしいのに、あの雪もなくなりつつあるのだそうですね。
そうするとかつて凍死した豹やチータやライオンが横たわる
姿が見られるのでしょうか・・・・・

って、やっぱりヘミングウェイの視点になってしまいますね。

フランス語ってジュブジュブと言ってるようにしか聞こえな
いんだけど、この言葉が自由に使いこなせたら素敵です。

日本語も使いこなせないくせに生意気だったかな?テヘッ^_^;
Commented by ライスケーキ at 2012-06-12 20:16 x
ストーリーを読んで、You tube を見ていたら
「キリマンジャロの雪」と言うタイトルが                 だんだん馴染んできました。

映画館に行って この映画を見たら                  きっと映画を見終わる頃には ヘミングウェイは
私の頭の中から飛んで行っていると思う。

マルセイユも素敵な所ですね。
旅に出たいです~。
Commented by Mtonosama at 2012-06-13 06:13
♪ライスケーキさん

うれしいお言葉ありがとうございます♪
ヘミングウェイも良いけれど、マルセイユもマルセイユの人たちも素敵です。

ああ、ホントに旅に出たいですね。
Commented by Tsugumi at 2012-06-14 21:42 x
お久しぶりです。
コメントは残してないけどちゃんと記事は読んでいました。

フランス語ってジュブジュブと言ってるようにしか聞こえないには笑っちゃいました。
だって私も同じに聞こえるんですもの(爆)

DVDが出たら見て見ます。

私も旅に出たいです。

Commented by Mtonosama at 2012-06-15 07:01
♪Tsugumiさん

お久しぶりです。お待ちしてましたぁ(^^)/

旅にでたいです。

でも、Tsugumiさんも可愛い野菜たちのお世話があるから
しばらくは出かけられませんね。
私もでかけられないので、せめて映画で旅行気分にさせて
もらうことにします。
Commented by 梨の木 at 2012-06-15 16:10 x
今頃になってのコメントですみません。

この映画、予告編を見て行こうかなぁと思いながら、結局行かなかったのです。やっぱり行っておけば良かった。これは良さそうかもという本能には、ちゃんと従っておいた方がいいですね。大人しくDVDをさがすことにします。

ウッディ・アレンに出てくるようなフランスは、実はほんとうに限られた世界でしかなくて、この映画に出てくるような日々頑張っている人の方がずっと普通に近い気がします。フランスって素敵!的なイメージを背負ってない普通の人が出てくるとホッとしますよ。こういう世界があることを日本の人にも知ってもらいたいです!(つい熱が入る)

今日もジュブジュブ言って生活中〜。
Commented by Mtonosama at 2012-06-15 19:10
♪梨の木さん

ごめんなさい^_^;

ジュブゼムとかジュテームとジュヌセパとかファティゲくらいしかフランス語を知らないので、ジュブジュブとしか聞こえなくって・・・・・

梨の木さんのおっしゃるように、この映画って本当に普通のおじさんやおばさんが出てきて、ちょっとビックリしました。