The Lady アウンサンスーチー 引き裂かれた愛 -1- The Lady
アウンサンスーチー
引き裂かれた愛
-1-
The Lady
Photos:Magali Bragard/Vincent Perez
©2011 EuropaCorp-Left Bank Pictures- France 2 Cinéma
実在の人物を描いた映画というのは、〈観たい気持〉が半分、〈観たくない気持〉も半分。
なかなか複雑なものです。
まして、アウンサンスーチーさんという偉大な女性に関しては、
どんな風に撮られるのだろうという不安も湧いてきてしまいます。
しかし、監督はリュック・ベッソンですし、
本物のアウンサンスーチーさんは、今年6月ノーベル平和賞の受賞演説をするため、
オスロに赴き、亡命ミャンマー人らから熱烈な歓迎をうけたばかり。
その後もリアルタイムで彼女をめぐる様々なニュースを見ることができます。
まさに〈時の人〉の彼女。
この時期、その半生を描いた映画が公開されるということは
自分たちもまた同時代を生きる人間であるということを再認識させられますよね。
なにやら興奮します。
1991年当時ノーベル平和賞を受賞しながら、
自宅軟禁されていたため出席することもできなかったことを思うと、
アウンサンスーチーさんならずとも感無量であります。
アウンサンスーチーさんをめぐるこの時の動きに感応すれば、
実在の人物の映画を観るのはちょっと…なんてことは言っていられません。
もう観るしかありません。
背中を押される気分で観てきました。
さて、映画の前に彼女とビルマ(現ミャンマー)の大まかな年表を。
アウンサンスーチー
1945年6月19日 アウンサンスーチー、ビルマの独立運動家で国民的な指導者アウンサン将軍
とキンチーの間にビルマの首都ラングーン(ヤンゴン)に生まれる。
1947年7月19日 アウンサン将軍、暗殺。
1948年1月 4日 ビルマ、英国から独立。
1960年 アウンサンスーチー、インド大使となった母に同行してインドへ。
1962年3月 2日 軍事クーデター起こる。ネ・ウィン将軍の軍事政権成立。
1964年 アウンサンスーチー、オックスフォード大学で哲学、政治学、経済学を学
び、1969年に学士号を修得。
1969年 NYの国連事務局で行財政問題諮問委員会の書記官補として勤務(~‘71)
1972年1月 1日 アウンサンスーチー、チベット研究者マイケル・アリスと結婚。
1973年 長男アレクサンダー誕生
1974年12月 ネ・ウィン、ビルマ連邦社会主義共和国大統領になる。
1977年 次男キム誕生。
1985年 京都大学東南アジア研究センターの客員研究員として来日(~‘86)
1988年3月 母の看護のためビルマへ帰国。
この頃、ビルマでは学生を中心に反政府運動が激化。
1988年8月26日 シュエダゴン・パゴダ前広場で50万人に向けて演説。
1988年9月24日 翌年の選挙への参加を目指し、国民民主連盟の結党に参加。書記局長 になる。
1989年7月20日 ラングーンの自宅で軟禁状態に置かれる。
1989年 国名ビルマからミャンマーに。
1990年5月 総選挙実施。
国民民主連盟は485議席中392議席を獲得。大勝。しかし、政府は選挙結果を無効とし、国民民主連盟の主要メンバーが多数投獄される。
1991年10月 ノーベル平和賞受賞。
1995年7月10日 6年間の自宅軟禁から解放される。(しかし、その後も00年~02年、03年~10年と自宅軟禁)
1997年 ビルマ、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟。
1999年3月27日 夫マイケルがガンで死去。
2007年 政府に対する仏教僧による大規模な抗議行動が起き、全国規模に拡がる。政府は武力制圧。9月27日にはデモ取材中の日本人ジャーナリスト長井健司氏が兵士に射殺された他、多数の死傷者が出る。
2008年 政府が総選挙実施を発表。新憲法案の国民投票を実施、可決される。
2010年 総選挙実施。軍政系の政党が勝利。国民民主連盟は不参加。
2010年11月 自宅軟禁から解放される。
なんと、アウンサンスーチーさんが日本に1年間住んでいたとは!
そして、日本から帰国した翌年から彼女の長い闘いが始まったのですね。
さて、彼女を演じる女優は、
「グリーン・デスティニー」(‘00)、「SAYURI」(’05)、
「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」(‘08)に出演したミシェル・ヨー。
1962年マレーシアに生まれ、バレリーナを目指しロンドン入学するも怪我のため断念、
という経歴もあって、アウンサンスーチーさんと同じくスレンダーな体型の持主です。
でも、顔は全然似ていません。
そのため、なんとなく違和感を抱いてしまっていたのですが、
映画を観ている間に、スーチーさんにしか見えなくなってしまいました。
200時間にも及ぶ彼女の映像を入手し、
彼女の話す英語、ビルマ語、所作を完璧にマスターした成果なのでしょうね。
さて、そんなアウンサンスーチーさんを描いた映画。
彼女の半生は一体いかなるものなのでしょう。続きは次回に。乞うご期待でございます。
続
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☆7月21日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆
The Lady アウンサンスーチー 引き裂かれた愛
監督/リュック・ベッソン、脚本/レベッカ・フレイン、製作/ヴィルジニー・ベッソン=シラ、アンディ・ハリース、撮影/ティエリー・アルボガスト、音楽/エリック・セラ
出演
ミシェル・ヨー/アウンサンスーチー、デヴィッド・シューリス/マイケル・アリス、ジョナサン・ラゲット/キム、ジョナサン・ウッドハウス/アレクサンダー、スーザン・ウールドリッジ/ルシンダ、ベネディクト・ウォン/カーマ、フトゥン・リン/ネ・ウィン将軍、アガ・ポエチット/タン・シュエ
7月21日(土)全国ロードショー
2011年、フランス、2時間13分、字幕翻訳/松浦美奈、配給/角川映画、http://www.theladymovie.jp/
今日はアウンサンスーチー氏に敬意を表して
おかしな叫び声をあげるのを自粛します。
そういう気分にさせられます。
この女優さん、SAYURIの先輩芸者さんでしたね。
綺麗で品もあって色気もありました。
彼女ならアウンサンスーチー氏を演じても
違和感ないでしょうね。
ただ
ただ邦題が
「引き裂かれた愛」などと言ってしまうと
なぜか安っぽくなってしまうような気が。
じゃあThe Ladyをどう邦題にせいと?
ううん・・・ ううん・・・・
ああ、本人の前では言葉は出てこない。
次号ストーリーを楽しみに
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わ、無言のすっとこさんだ!
「引き裂かれた愛」・・・・・
確かにこれまでのスーチー氏の行動とはそぐわないタイトルですね。
でも、確かに彼女の愛と家族はこの長い闘いの過程で
引き裂かれてしまっていたのです。
「夫や息子たちはビルマには来させないけれど、
あんたはいつでもイギリスへ帰っていいんだよ。
その代わり、もうビルマには戻ってこれないけどね」
という軍政権の恫喝に対し、
「イギリスには戻りません」と闘う意思を示し、愛する夫の
死をみとることもできなかったんですね(涙)。
夫も何度も何度もビルマへの渡航申請を出し続けたのに、
拒否され、とうとう力つきてしまいました(再び、涙)。
まさに政治によって引き裂かれた愛なのでした。
ま、こういう日本的な情に満ちた邦題も今回は良しとしちゃいたい気分になっちゃいます。
まさかの落涙映画でした。
ポチのご挨拶ありがとうございました。
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ホントにここ数日涼しいですね。
でも、また明日から暑くなるとか。
ミシェル・ヨー、スーチーさんになりきるために大変な
努力をしたのだそうです。
映画を観てる内にスーチーさんにしか見えなくなってしまいました。