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殿様の試写室

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あの日 あの時 愛の記憶 -1-  Die Verlorene Zeit

あの日 あの時 愛の記憶
 -1-

Die Verlorene Zeit

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(C)2010 MediaPark Film- und Fernsehproduktions GmbH

事実は小説よりも奇なり。
すいません。ありきたりな言葉で。

しかし、本作「あの日 あの時 愛の記憶」はまさにこの言葉がぴったりの映画なのです。
オリジナルタイトルDie Verlorene Zeitは“失われた時”という意味のドイツ語。
あ、マルセル・プルーストの大作に「失われた時を求めて」がありましたね。

「失われた時」。
それこそがまさにこの映画が「奇」なるところなのです。
ハンナとトマシュ。
本作の主人公です。ハンナはユダヤ人、トマシュはポーランドの政治犯。
彼らが出会った場所はアウシュビッツ収容所、恋に落ちた場所もアウシュビッツ収容所。
そして、ふたりはそこからの脱出に成功します。

ありえない場所で恋に落ち、ありえないことに、死の収容所からの脱出に成功する――
なんとこれが実話だというのです。

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ハンナとトマシュのモデルになったのはシーラとイエジーという実在の人物。
ドイツのテレビドキュメンタリーでこのふたりを知った本作のプロデューサーが
パメラ・カップに脚本を依頼したのが、本作誕生のきっかけです。

しかし、驚くべきことにアウシュヴィッツ収容所からの脱出は600件あり、
その内の三分の一は成功していたのだそうです。
1944年にはこの映画で描かれた同じ状況で脱出できた男女も4組いたということです。

これが実話だとしても、戦争終結から67年も経った今、
ハンナやトマシュが生きていればもうかなりなご高齢です。
(実際には、モデルとなったシーナは2005年に、イエジーは2011年に亡くなっています。)

おじいさんおばあさんになったふたりのありえない体験を映画化するのも興味深いです。
しかし、この映画で描かれているのは失われた時と向き合うこと。

失われた時ってなんでしょう。

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どうも歴史としての「時」ではなく、
一組の男女の間に経過した「時」。
まして、さまざまな成り行きから生き別れることになった恋人たちにとって、
抱え込まれた暗い過去のまま、しこりになって留まっている「時」のようです。
映画に描かれた1944年から1976年までの36年。
重いけれど、それほど遠くはない「時」です
私たちにとっては1976年が既に36年前の過去になってしまいましたが――

抱え込まれ、誰にも明かすことのできない「過去」は成長することのない「失われた時」
となって死の床にまで持ち込むしかないのでしょうか。

いえいえ、そうではありませんでした。

さあ、どんなお話なのでしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。乞うご期待でございますよ。



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☆7月27日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

あの日 あの時 愛の記憶
監督/アンナ・ジュスティス、脚本/パメラ・カップ、プロデューサー/スヴェン・ヴォルト、撮影/セバスティアン・エットシュミット、編集/ウタ・シュミット、音楽/ユリアン・マース、クリストフ・M・カイザー
出演
アリス・ドワイヤー/ハンナ・ジルベルシュタイン(‘44)、マテウス・ダミエッキ/トマシュ・リマノフスキー(‘44)、ダグマー・マンツェル/ハンナ・レヴィーン(‘76)、レヒ・マッキェヴィッチュ/トマシュ・リマノフスキー(‘76)、スザンヌ・ロタール/トマシュの母、ヨアンナ・クーリーグ/トマシュの義姉、アドリアン・トボル/トマシュの兄、フロリアン・ルーカス/ナチス将校、シャンテル・ヴァンサンテン/ハンナの娘、デヴィッド・ラッシュ/ダニエル・レヴィーン(ハンナの夫)
8月4日(土)銀座テアトルシネマ他全国順次ロードショー
2011年、111分、ドイツ、英語・ドイツ語・ポーランド語、後援/東京ドイツ文化センター、配給/クレストインターナショナル
http://ainokioku.jp/

by Mtonosama | 2012-07-27 07:23 | 映画 | Comments(8)
Commented by すっとこ at 2012-07-27 08:56 x
えっえぇぇkぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええ!

あのアウシュビッツからの脱出、
600件が試みられ、そのうち3分の1が
成功していたのですか!?

驚きました!
そんな事実があったとは。

そしてアウシュビッツの中で巡り会い
愛を育み、ともに手を携えて脱出に成功した
カップルがあったとは!

それだけでジーンときてしまいますが
おそらく2人は脱出した後も 過去ゆえに
ある主のゲットーに暮らす思いをしなければ
ならなかったのではないでしょうか。

愛がなければ生きていけない。
愛だけでは暮らしていけない。

どんな事実が明らかにされるのか?
次号UPを楽しみにポチッしてから帰ります。
Commented by Mtonosama at 2012-07-27 09:16
♪すっとこさん

朝を迎えたこちら日本です。

すっとこさんの絶叫でバチっと眼が覚めました。
いつも早起きのとのですが、最近の暑さでへばり気味です。

そちらでは旱魃だとか。NYでシティライフを送る分には
立ち枯れたトウモロコシなどは見えないのでしょうが、
大変です。他人ごとではありませんよね。

生きていくというのはいつの時代もつらいことです。

いつもポチリとありがとうございます<(_ _)>
Commented by アイスケーキ at 2012-07-27 22:36 x
アウシュビッツを舞台にした                       事実に基づいた映画沢山ありますが
こんな話もあったんですね。

でも、信じられない。
アウシュビッツでは男女別々に収容されてたんじゃなかった?

映画を見てないから分からないけど
何かの「労働」の時に巡り会うチャンスがあったのかな?

きっと、そういう極限状態にあっても
「愛」を求めていたんでしょうね。

どのように 脱出したんでしょうか?
そして その後の二人の人生は如何に?

次回 興味しんしんです。
Commented by 薄荷グリーン at 2012-07-28 09:57 x
おはようございます!

アウシュビッツから脱出した人がそれだけたくさんいたというのは初耳でした。600人のうち3分の1が成功となると200人ですか。
冷徹な管理を強いてるというイメージだったドイツ軍の守備も結構穴があったということなのかな。
脱出劇として取り上げても興味深い映画になりそうですけど、やっぱりあまりエンタテインメントには流せない題材だったのかアプローチもちょっと変わっていて面白そうです。
失われた時というならわたしもプルーストが一番最初に頭に浮かびます。時がテーマになってるというのもわたしには興味深いです。映画がどういうアプローチなのかはちょっとわからないにしても、絶えず流れ去って誰もその時が流れ去ることを留めることは出来ない、云うなら失うしかないものに対して人がどんな愛惜の情を持つかというのは、誰もが終焉に向かって突き進み、最良の時間であってもその場に留まれない人間にとって永遠のテーマにもなるんじゃないかと思います。
エンタテインメント的な処理ならタイムマシンものとか凄く好きなんですよね。
Commented by Mtonosama at 2012-07-28 16:39
♪薄荷グリーンさん

こんにちは!

そうですよね。結構な人数が脱出に成功しているんですね。
これまで映画ではやられっぱなしのユダヤ人という側面から
のみ描かれていたので、脱出しようとした人が多いことに奇
妙な安堵感を覚えます。

時は無情に流れ去っていきますが、映画は「時間よ、止ま
れ!」の瞬間を創り出してくれるところが救いです。この
映画のラストシーンにもそんな部分があって、切ないような
嬉しいような複雑な気持になりました。

タイムマシンって絶対に不可能なのだろうか、とその昔考え
ましたが、どうなのでしょう。タイムマシンに乗って、好き
な時代に行きたいと想いつつも、その時代から帰れなくなっ
た時の恐怖に身がすくみます。
Commented by poirier_AAA at 2012-07-28 20:09
この作品、以前殿様がどーんと重かったとおっしゃっていた映画でしょうか。

でも、そんなにも脱出が成功していたことは全然知りませんでした。あのあたりは小さな村ばかりで大都市ではないので、余所者だと紛れ込む場所がなく、すぐ見つかってしまうに違いないと思っていました。でもいたんですねぇ。

同じ悪夢を経て結びついたカップル、その後はどんな風に過ごしたのでしょう。抱えた物が重すぎて苦しむことはなかったでしょうか。次回が待ち遠しいです。
Commented by Mtonosama at 2012-07-29 06:42
♪poirier AAAさん

覚えていてくださって嬉しいです♪
でも、この映画はまだ救いがありました。

個人的な感想としては日々非人間的な言葉や虐待を受け、
体も心も委縮して身動きもままならなくなってしまったで
あろう収容者が脱出を試みたことに畏敬の念を抱きます。

三分の一が成功したにしても三分の二は再び収容所に戻って
いった訳ですものね。その後の運命を思うと胸が痛くなりま
すが。

本作は脱出劇も緊張感いっぱいですごいのですが、やはり注
目すべきはその後のふたりがたどった時間かもしれません。
Die verlorene Zeit・・・・・
Commented by Mtonosama at 2012-07-29 08:33
♪アイスケーキさん

頭の中でアイスケーキさんのコメントをずっと考えていたの
で、お返事したとばっかり思いこんでいました。遅れてごめ
んなさい<(_ _)>

そうなんです。「労働」の場で顔を合わせる機会があったん
です。
ただ、トマシュはポーランドの政治犯なのでユダヤ人よりは
優遇(?)されていた部分があるんですね。
(優遇って言ってもね)

さあ、お話はどんな風に展開するでしょうか。
後編も封切り間近です。