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殿様の試写室

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イラン式料理本 -2- Iranian Cookbok

イラン式料理本 -2-
Iranian Cookbok

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(C) 2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.

料理をする女性がスカーフで髪を隠している以外は
台所のしつらえもそこにある家電製品も調理道具も日本と変わりません。

貫禄たっぷりな女性や知的なクールビューティの現代女性まで、
(このクールビューティは監督の奥さんです)
監督の身内の女性たちがカメラに向かって料理をつくり、
「嫁いできたのは13歳の時だったわよ」などとおしゃべりしたり、
「夜の10時にお客を連れてきて料理を作れって何なのよ」とカメラに向かって怒ったり。
ま、彼女の怒りたくなる気持ちはよくわかります。
いくら映画を撮るためとはいえ、大勢の料理を作らされる側にとっては迷惑この上ない企画ですよね。
(この怒ってる女性は監督の奥さんです)

年配の女性たちがしたたかなのは万国共通なのでしょう。
顔で笑いながら、姑や亭主にやり返すことも忘れません。
主婦歴35年の監督の義母の姑とのやりとりは最高。
「それにしてもあの頃はどうしてあんなにいじめたのよ」
とジャンボ肉団子を両手にバフッバフッとぶつけながら、チクチク文句を言い、
対する姑はすっかり枯れてフフフと笑って、いなしてるかと思えば、
料理に口をはさむ亭主(息子)をやっつける時は嫁と姑が共同戦線をはったりします。
女の敵は女だけど、女の味方も女なんですよね。

この辺のやりとりで笑い声が出るのは女性の観客のみ。
男性は何がおもしろいのかわからないところもおそらく万国共通かも。

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しかし、ここに登場する亭主や息子たち、っていうか、男たちはまったく役に立ちません。
それでもまだ笑いをとろうとする男たちは良い方でしょう。
この映画に登場する男たちはただ食べるのみ。
女たちが何時間もかけて作った料理をあっと言う間に平らげ、おいしいでもなければ、
ありがとうでもない。もちろん片づけもしません。

なかでも腹が立ったのは監督の妹の亭主。
午前中に大学で講義を受け、帰宅後、やんちゃな双子の男の子の面倒をみながら、
ナスの煮込みをつくります。
確かに要領はあまり良いとはいえないのですが、
休む間もなく10人近いお客さんの料理を作るのってメチャクチャ大変だと思うんですけど。
で、また双子がかなり悪い、ときてます。
調理台の上に(!)座り込んで騒ぎます。もちろんお手伝いなんてしませんよ。
とのならすっかりキレて怒鳴りまくっているところですが、
この双子のママ、怒りもしない。
さらにやっとの思いで作った料理をアッと言う間に食べ終わった男たちは
さっさとどこかへ消え、ひとり黙々と後片付けをする彼女。
「そこにあるカップをどかしてちょうだい」と言ってもシカとする双子。
父親がそこにいながら「ママのお手伝いをしなさい」と注意もしません。
ああ、こんな風にして思いやりのない男たちが育っていくのか、
と義憤に駆られてスクリーンを凝視するとのでありました。

最低限の資材と切り詰められるだけ切り詰めた予算で作ったに違いない映画なのでしょう。
でも、登場する女性たちと笑ったり怒ったりしながら楽しんでしまいました。

しかし、料理をつくるという行為は単なる家事には終わらず、文化、歴史、社会の在り方、
いろんなものを包み込んだ行為であります。
もうとっくにおわかりのように、本作は単なる料理映画ではありません。
結構シビアな社会批判映画だと思いません?

監督の奥さんも、監督の妹も、離婚して正解でしょう。
社会はこんな風にして変わっていくこともあるのでしょう。

それにしてもこんなに面白い映画なのに、イラン国内では上映されないのだそうですよ。





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イラン式料理本
監督・脚本・製作/モハマド・シルワーニ、撮影/フーマン・べーマネシュ、編集/モハマド・シルワーニ、エスマイル・モンセフ、録音/ファルシード・ファラジ
出演
監督の母、その友人、監督の妻、監督の伯母、監督の妹、監督の義母、監督の友人の母
9月15日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
2010年、イラン、ペルシャ語、カラー、72分、字幕/西村美須寿、字幕監修/ショーレ・ゴルバリアン、配給/アニープラネット
http://www.iranshiki.com/

by Mtonosama | 2012-09-04 05:44 | 映画 | Comments(10)
Commented by アイスケーキ at 2012-09-04 20:24 x
キッチンがメチャ近代的でステキなのにびっくりしました。

これって、平均的イランのキッチンなんでしょうか。
かなり先端を行っていると 思いますけど。

この映画見たら 絶対イラン料理食べたくなりますね。
Commented by Mtonosama at 2012-09-04 21:00
♪アイスケーキさん

イラン料理食べたいです。

キッチンも近代的ですよね。
台所からその国を眺めるとイメージと違うものが見えて
きて面白いですね。
Commented by アイスケーキ at 2012-09-04 21:01 x
P.S.
世の男性達よ。 母の、妻の料理が                   多少かたくても柔らかくても。
 味が多少濃くても薄くても。
 「ありがとう。美味しかったよ。ごちそうさま」の言葉があれば
母も妻も、愛情を込めて 又料理に励むものなのですよ。
Commented by poirier_AAA at 2012-09-04 21:10
個人的な印象でいうと、イスラム教の国ってすごくマッチョだなぁと思うんですよ。男性(子どもを含む)がとても大事にされて、女性は男性に尽くすのがあたり前みたいに扱われている気がします。ハタから見ていると頭に来るような場面に出くわすこともあるんです。日本もかな〜りマッチョな社会だと思いますが、若い世代ではずいぶん男女間の垣根が低くなってきたと思います。

イラン料理は、そうやって家族のために働いている女性が多いこともあって、手の込んだ料理を作る伝統が残っているいるんでしょうね。どんなお料理なのか食べてみたいです。

それにしてもその男の子の双子、許せん!こわいおばさんがイランまで出向いて躾をしなおしてやりたいです。
Commented by すっとこ at 2012-09-05 01:43 x
あのねぇぇぇええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーー!

予告編見て
我と我が身を振り返ってしまいましたわん。

義父と同居の9年半。
予告なしのお客様、義父が勝手に招いて
お相手は時間のある方達なので
お昼・・・時には夜まで・・・。

予期しない人数に肉をとこ半分に切って
数を増やしたことも・・・。

49日まで毎週末にお経読みにいらっしゃる
お坊様に精進料理を・・・。
後で聞いたら別に精進料理でなくとも普通の
料理で良かったそうな くっそ・・・・。

イランの女性、作る量も半端ないですね。
それを毎日毎日何十年も続けてきたのですね。

ああ・・・
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Commented by Mtonosama at 2012-09-05 06:02
♪アイスケーキさん

ほ~んと、そう。
自分で作れないし、面倒だから、と妻にやってもらっているのに、おふくろの料理の方がうまい、とか、
みそ汁は煮干しで出汁をとれ、とか。

後片付け含めて全部自分でできるなら文句いいなさい!ですよね。プンプン
Commented by Mtonosama at 2012-09-05 06:08
♪poirier AAAさん

待ってました。poirier AAAさん。ここに出てくる双子の
男の子、とっても悪いんです。おとうさんもひどい!
ガツンとしかってやってくださいませ(笑)

これほど日本の女たちが共感する映画、イランの女たち
も絶対そうだと思うんです。それなのに、イランで上映
されないなんて、あんまりです。
Commented by Mtonosama at 2012-09-05 06:13
♪すっとこさん

ああ、すっとこさん。
大変な思いをなさったんですね。

それにしてもお坊さんにお料理を出すんですか!?
え~~~~~!!めっちゃ、大変じゃないですか。

この映画を観たら、きっとイランの女性とお友達になっ
て思いっきりおしゃべりして憂さ晴らししたくなるでし
ょうね。

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Commented by Tsugumi at 2012-09-07 05:56 x
うちの田舎もこんな風になんでも家庭で作っておもてなししていました。
でもうちは父が料理得意だから大きな鍋で作ったり、手際良くいろんな料理作ってました。
しかし出来た料理運ぶのは子供の仕事3姉妹よくこき使われました。
うちのだんな様はレディファーストのお国の人、女性にはやさしいです。

国によって男女の力関係違いますね。

そう言えばロンドンオリンピックすべての国で女性アスリートが参加できたんですよね。

もっともっと女性が強くなるような予感(苦笑)
Commented by Mtonosama at 2012-09-07 09:46
♪Tsugumiさん

Tsugumiさんのお料理上手はおとうさま譲りなんですね。
しかも、だんな様はお優しいし♪
いいなぁ。

男女の力関係、本当にお国柄が出ますよね。
日本とイラン、良い勝負かも。
でも、日本でも若い男性は変わってきてるといいますから、
期待していいのかな?

本当は身近な夫が変わってほしいんですけどね^_^;