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殿様の試写室

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ソハの地下水道 -2- In darkness

ソハの地下水道 -2-
In darkness

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Ⓒ 2011 Schmidtz Katze Filmkollektiv GmbH, Studio Filmowe Zebra, Hidden Films Inc.

戦争が終わってから67年も経っているのに、
未だにナチスの行った残虐な行為は映画に描かれ続けています。
あってはならない人間の闇の部分は、年月を経て世代が変わっていくごとに
語り継いでいかなければならないことだからかもしれません。

この映画の主人公は下水道修理をなりわいとしつつ、
コソ泥稼業にも精を出すレオポルド・ソハという実在の人物。
そして、なんとしても生き延びようとしたこずるくも逞しいユダヤ人たち。
ソハはコソ泥だったかもしれませんし、ユダヤ人も弱いだけの人というだけではありません。
ですが、ソハの行動は杉原千畝やシンドラーに勝るとも劣らないものでした。
ひとは最初から千畝やシンドラーなんじゃなく、
なにをなすかによって後々まで讃えられるひとになっていくのですものね。

さあ、どんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
1943年、ポーランドのルヴフ。
ナチスに支配されたこの街で下水道修理工として働くソハは妻と幼い娘を養うため、
コソ泥稼業にも精を出す。
ある日、相棒のシュチェぺクと一緒に盗品を隠そうと地下の下水道に降りたソハは
ナチスのゲットー掃討を逃れようとする詐欺師のムンデクたちユダヤ人を発見。
“教授”と呼ばれる裕福な男ヒゲルから、口止め料としてスイス製の時計と金を受け取ったソハは
新しい金儲けの手段を思いつく。
彼らに地下下水道の隠れ場所を提供する見返りとして、一日あたり500ズロチをせしめようというのだ。

ソハの提案を受け入れるユダヤ人たち。

間もなくゲットーのユダヤ人たちの強制収容所への移送が始まり、
街の中でもナチスによる残虐な殺戮が繰り広げられる。
そんな大混乱の中、多くのユダヤ人たちが下水道に殺到。
ソハは相棒のシュチェぺクと一緒に彼らを誘導した。

地上に戻ったソハはいきなり兵士と鉢合わせ、ユダヤ人と疑われる。
危ういところを旧知のウクライナ人将校ボルトニクに助けられた。
「下水道でユダヤ人を見つけたら必ず俺に知らせるんだぞ」
と念を押されるソハ。ボルトニクもドイツ軍の報奨金目当てでユダヤ人を捜索していたのだ。

街で食糧を調達し、下水道に降りたソハのもとに空腹を抱えたユダヤ人が殺到する。
だが、そんなに多くの面倒を見ることはできない。
ソハは”教授”ヒゲルとその妻子、詐欺師ムンデクと彼が想いを寄せるクララたち11人に人数を絞った。

ある日、住民から地下にユダヤ人が潜んでいるという通報を受けたボルトニクがソハの家にやってくる。
地下水道を案内するよう命令するためだ。
何とかやり過ごしたソハだったが、その晩、夕飯を共にしたシュチェペクがうっかり口を滑らせ、
ソハがユダヤ人を匿っていることをソハの妻に話してしまった。
怒り狂う妻。万一ドイツ軍にばれたら家族全員が処刑されてしまうのだ。
シュチェぺクもまた身の危険を感じてソハのもとから去っていった。

とうとう”教授“ヒゲルの有り金のつきる時が来た。
そして、プレッシャーに押しつぶされそうになったソハも「もうできない」とユダヤ人たちに言い渡す。
暗闇の中で孤立するユダヤ人。
そんなある日、水と食べ物を求めて地上に出た詐欺師ムンデクがドイツ人兵士に発見されてしまった。
たまたま通りかかったソハは彼を救おうと兵士を殺してしまう……

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ユダヤ人たちが繰り広げる生き抜くための駆け引き、
彼らに傾いていくソハの心の移り変わり。
きれいごとばかりではありません。
地下水道という詩的なタイトルがついてはいても、要するに地下の下水道。
臭いも湿気もヌルヌル感も相当なものです。
それらを観客の想像力にだけ任せず、
幼いユダヤ人の少女の口から言わせるなど心憎い演出もそこかしこに。

暗くて臭い下水道の中で展開するストーリーは手に汗握ると同時に感動的なものでした。
スクリーンに映る暗闇と座席の暗さがつながり、登場人物とたやすくシンクロしていきます。
原題は“In Darkness”(暗闇の中で)。
下水道の中でほのかに揺れるロウソクの明り。その中で身を寄せ合うユダヤ人たちの姿。
そして、ラストシーンの、マンホールの蓋を内側から持ち上げた時に降りかかる目が眩むばかりの陽光。
「暗闇の中で」という原題を用意しながら実は大いなる光の物語でした。

それにしても、ソハに支援されたユダヤ人たちはこの暗闇のなかで14ヶ月耐え抜いたのだそうです。
もしも、臭いの出る映画が開発され、下水道の臭いが充満し、
それが3Dで上映されて下水道の中を跳梁するネズミが飛び出してきたら、と考えたら、
とのは上映時間の145分さえ我慢できないと思います。

やはり人間のなした罪悪は何度でも何度でも語り伝えていかなければなりません。





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☆9月16日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ソハの地下水道
監督/アグニェシュカ・ホランド、脚本/デヴィッド・F・シャムーン、原作/ロバート・マーシャル「ソハの地下水道」(集英社文庫)、プロデューサー/シュテファン・ロイター、パトリック・ニッぺ、マルク=ダニエル・ディシャン、レアンダー・カレル、ユリウシュ・マフルスキ、エリック・ヨーダン、ポール・シュテファン
撮影/ヨランダ・ディレフスカ
出演ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ/ソハ、ベンノ・フユルマン/ムンデク、アグニエシュカ・グロホフスカ/クララ、マリア・シュラーダー/パウリナ、ヘルバート・クナウプ/イグナツィ、キンガ・プライス/ソハの妻
9月22日(土)TOHOシネマズシャンテ他にて公開
2011年、ドイツ・ポーランド合作、ポーランド語、ウクライナ語、イディッシュ語、ドイツ語、145分、日本語字幕/吉川美奈子、後援/ポーランド広報文化センター、配給/アルバトロス・フィルム、クロックワークス
http://www.sohachika.com/pc/

by Mtonosama | 2012-09-16 06:14 | 映画 | Comments(8)
Commented by すっとこ at 2012-09-17 06:50 x


おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

殿様の名調子、今回は
   <「暗闇の中で」という原題を用意しながら
    実は大いなる光の物語でした。

に まったく すっかり コロンと
参ってしまったすっとこです!

この一行、この映画の秀逸なるキャッチ・コピー
ですね!!

感動のポチッを押して帰ります。
次号も楽しみにしています!
Commented by Mtonosama at 2012-09-17 06:58
♪すっとこさん

おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

もう機中のひとと思っておりました。
お忙しい合間をぬってのご訪問、ありがとうございます。

この映画、滞在中にご覧になれるといいんですが。
でも、忙しいお身体ゆえ無理でしょうかねぇ。

どうぞ良い道中でありますように。

ポチッをありがとうございました。
Commented by アイスケーキ at 2012-09-17 21:05 x
殿様のストーリーを読んでいるだけで
「手に汗握り」ました。

そう、二度とこんな事が起きないように
「人間のなした罪悪は何度でも何度でも
語り伝えていかなくてはなりません」ね。

本当に最近は 質の良い映画を近所で観られる
機会が少なくなりました。
「殿様の試写室」の映画紹介。
観た気になって 楽しんでます。





Commented by Tsugumi at 2012-09-18 05:29 x
最近本当に映画みれてません。。

なのでアイスケーキさんのおっしゃるように

「殿様の試写室」の映画紹介で

観た気になって 楽しんでます。

ゆっくり映画でも見に行きたいです。
Commented by Mtonosama at 2012-09-18 06:23
♪アイスケーキさん

ありがたいお言葉ですが、やはり映画館で観ていただきたい映画です。

あ、映画館で観ても臭いはありませんから、大丈夫ですよ(^_-)
Commented by Mtonosama at 2012-09-18 06:27
♪Tsugumiさん

お店も、畑のお世話も大変ですよね。
寝る暇もないのではないでしょうか。
でも、今朝も早いですね。

たまにはゆっくり映画を観て過ごしてください。
できない内は、どうぞ当試写室へお立ち寄りくださいね。
Commented by poirier_AAA at 2012-09-18 18:47
14ヶ月も相当長いけれど、145分もかなり長いですね。

3Dが出てきた時も思ったんですけど、映画って別に映像が立体的でなくても、匂いや風を感じなくても全然構わないんです。それを補うのが想像力。良い映画には、観客の想像力をかきたてる力がありますよね。この映画だって、予告編数分だけで十分臨場感が味わえます。145分頑張れるか?と思ってしまうくらい。

こちらでは10月に公開予定だそうです。映画館に観に行きます〜。
Commented by Mtonosama at 2012-09-18 20:30
♪poirier AAAさん

145分、長いと感じませんでした。

本当におっしゃる通り。3Dでなくても、自分の頭の中では完全に立体化して観てるんですよね。人間の想像力は3Dも4Dも完全に超えてると思います。
「アバター」は3Dを満喫できましたけど、他の映画は3Dである必要はないな、と思うことが多かったです。

フランスでは10月公開ですか。145分、きっと短く感じますよ。
観てきてくださいね~(^^)/