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殿様の試写室

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愛について、ある土曜日の面会室 -2- Qu'un seul tienne et les autres suivront

愛について
愛について、
ある土曜日の面会室
 -2-
Qu'un seul tienne et les autres suivront

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女子高生。
恋人と母との間にはさまれてもがく不器用な男。
フランスで息子を殺されたアルジェリアの中年女性。

3つのエピソードから成り立った映画――というと、
どうしても自分と歳が近いとか、あるいは立場が近い登場人物に肩入れしてしまうもの。

とのも、中年女性や、不器用な男に、感情移入して観ていました。
これは、ある意味、当然でありましょう。
しかし、16歳の女の子の生き方にこれほどひきこまれるとは思いませんでした。
俳優陣のすばらしさ、あるいは卓抜したレア・フェネールの監督・脚本ゆえでしょうか。
ま、それらがあいまってのことですね。


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レア・フェネール
1981年トゥールーズで移動劇団の家に生まれる。父は座長兼演出家、母と妹は女優。
ベルギーの国立視覚芸術高等学院を経て、フランスに戻る。フランス国立映画学校で優秀賞を取り、
卒業。

その後、短編映画を4本撮影。映画祭にも出品される。マリ共和国にあるバマコ映画センターで研修を受ける。また、アジアを代表するドキュメンタリー作家、リティー・パニュのもとで学ぶ。本作はヴェネチア国際映画祭でヴェニス・デイズのワールドプレミア後、ルイ・デリュック賞の信心監督賞を受賞するなど世界中から称賛を受け、有望視されている監督。

移動劇団の家に生まれた彼女ですが、女優になることは考えていなかったそうです。
その代わり、本作では父が判事役、母も刑務所から車に乗せてもらう役で出演しています。
なんか微笑ましいです。

さて、どんなお話なのでしょうか。

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ストーリー
サッカー好きな女子高生ロールはバスの中でアレクサンドルと出会う。
「ぼくの足の先に乗って。友情が続くロシアのおまじないだから」
と言われて、彼の足を踏み、同じバス停で一緒に降りてしまうロール。
恋に落ちた彼女は、アレクサンドルに連れられ、これまで知らなかった路地裏の生活や
移民たちの世界を目にする。
ある日、サッカーの練習中、弁護士から携帯電話が。
アレクサンドルが逮捕されたというのだ。
すぐに刑務所へ訪ねていったが、未成年は保護者同伴でなければ面会できない。
彼女は偶然知り合ったアントワーヌに付き添いを頼み、面会を重ねる。
ところが、アレクサンドルは彼女が見知らぬ年上の男性と一緒にいることに嫉妬。
苛立ちをぶつける。
そんな時、妊娠していることに気づいたローラ。
彼女はどんな選択をするのか――

仕事でも生活でも不器用なステファン。彼の仕事はスクーターで病院へ血液を運ぶこと。
ある日、地下鉄で暴漢に襲われた恋人を助けてくれたピエールという男と知りあう。
ピエールはステファンの顔を見て、刑務所に入っている友人と瓜二つだ、と驚く。
その後、誘われるままピエールと会っていたが、ある晩、とんでもない依頼を受けた。
多額の報酬と引き換えに、受刑者の友人と入れ替わってくれないか、というのだ。
一旦は断るものの、結局、依頼を受けるステファン。
ピエールから、刑務所でのルールを仕込まれるが、どこか頼りない。
まだ、本気になりきれていないからだろう。
そんな時、商売道具のスクーターを盗まれてしまった。
恋人も家を出ていき、生活はいよいよ荒んでいく――

アルジェリアのゾラに訃報が届いた。フランスで暮らす息子が殺されたという。
息子の遺体と対面し、5年間の空白を埋めるかのように丁寧にその身体を清めるゾラ。
数日後、彼女は周囲の反対を押し切ってフランスに向う。
そして、息子を殺した犯人が自殺未遂をしていたこと、
彼が自首するまで実姉のセリーヌが匿っていたことを知る。
さらに、検事からは息子と犯人が恋人同士であったことを知らされる。
母として知らなかった息子の5年間の生活にとまどうゾラ。
ある日、彼女は犯人の姉セリーヌの働く店の前へ。
そこで泣き崩れているセリーヌを見て、ゾラは思わず声をかける。
素性は明かさないまま、言葉を交わし、毎週土曜に子守として彼女の家で働くことに。
家でも自分を責め続け、自分以外の家族は誰も弟に会いに行こうとしないと嘆く彼女に
ゾラは自分が会いにいくことを提案する――

そして、ある土曜日の朝、それぞれの想いを胸に、3人は面会室へと向かう……


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始まりはカオスでした。
数えきれないほどの面会人がいて、なにがなにやら訳がわかりません。
そして、泣き崩れる女性が登場します。
彼女は刑務所の広場で、面会人たちの裾を引き、夫に会いたい、と切なげに訴えます。
そんな彼女に面会人たちは一様に当惑しながらも優しげな視線を向けますが、
やがて時間が来ると無言で面会室へと入っていきます。

ラストでも、同じシーンがあります。
面会者の群れは泣き崩れる女性をそのままにそれぞれの事情を抱えて面会室に向っていくのでした。
事情を知った観客も面会室に向う人々を見守り、
誰もいなくなった広場では女が嘆き続けていることを知りつつ、
面会人たちのなりゆきをみつめます。

印象的なイントロダクションで始まったジャズが、
アドリブで会話し、昂まり、鎮静し、
少し顔つきを変えたイントロに再び戻っていくような――
内在する不定形なリズムに導かれながら、静謐な空気に満ちて、とても整った映画でした。
すばらしかったです。

世界にはまだまだすごい才能が埋もれています。





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☆12月3日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

愛について、ある土曜日の面会室
監督・脚本/レア・フェレール、脚本/カトリーヌ・パイエ、撮影/ジャン=ルイ・ヴィアラール
出演
ファリダ・ラウアッジ/ゾラ、レダ・カテブ/ステファン、ポーリン・エチエンヌ/ロール、マルク・バルベ/ピエール、ヴァンサン・ロティエ/アレクサンドル、ジュリアン・リュカ/アントワーヌ、デルフィーヌ・シュイヨー/セリーヌ、ディナーラ・ドルカーロワ/エルザ、ミカエル・エルベルディング/フランソワ
12月15日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2009年、フランス、120分、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/ainituite/

by Mtonosama | 2012-12-03 07:28 | 映画 | Comments(7)
Commented by poirier_AAA at 2012-12-03 21:24
予告編を見ているうちに、3人がどうなるのか気になってたまらなくなりました。それぞれ立場は違えど、なんとなく自分の分身のような、他人事とは思えない感じです。

この若さでこういう視点を持てる、レア・フェネール監督のこれからの作品が楽しみですね。この作品、みられるかどうか調べてみます。
Commented by ライスケーキ at 2012-12-03 22:28 x
「印象的なイントロダクションで始まったジャズが・・・」
何かそのメロディが聞こえてくるような 作品紹介ですね。

近所にシネコン出来たのですが、
こういう作品上映してくれません。

「殿様の試写会」で紹介してくれた作品
たまにBSで放送してくれるので観るのですが
やはり、映画館じゃなくては
その魅力が半減してしまうような気がします。

好きな時に 好きな映画を見に行った昔が懐かしい。
Commented by Mtonosama at 2012-12-04 07:22
♪poirier AAAさん

ある人が「みんな生きてるんだなぁ」と言いました。
ホントにそうなんです。
みんな必死に生きているということを感じさせる映画でした。

poirier AAAさんは2005年のパリの暴動の頃、もうそちらにいらしたのでしょうか?
私はあの時、パリでもまだ差別があるのか、と印象深かった
ことを記憶しています。
Commented by Mtonosama at 2012-12-04 07:26
♪ライスケーキさん

やはり映画は映画館ですね。
最近時々DVDも観ますが、やはり映画館が好きです。

ポップコーンを食べたり、という映画館のお約束みたいなこ
とはしませんが、赤い緞帳や、高い天井や、映画が始まる前
のドキドキ感が大好きです。
Commented by すっとこ at 2012-12-04 21:43 x
なんとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

若い監督に(あえて女流監督とは言いたくない。
監督が女性だってことは特別ではないから)
これだけの人生模様を描き切る力があるとは!!

あ、上記で女流監督と呼びたくはない、と
言っておきながら“若い監督”って言っちゃうのは
いいのか?
   と自分で突っ込みを入れてしまうすっとこです。

確かに刑務所の面会室は
あまりに様々な人生の交差点ですね。
刑に服す人達のドラマはハンパなものでは
ないでしょう。

一見普通に見える人々も実は面会室に劣らず
抱えきれない数え切れないドラマの集積だろうと
例えばスタバでぼーっと道ゆく人を眺めるとき
例えばアパートビルディングの無数の窓の灯を
走る車から眺めるとき
あるいは例えば飛行機の窓から市街の連なりが
豆粒のように見える時にも

百もの千ものドラマがク繰り広げられているのでしょう。

ふぅ。殿様の試写室は映画だけでなく人生についても
考えさせて下さいますね!サンキュッ。
今日もポチッと押して帰ります。
Commented by Mtonosama at 2012-12-05 09:42
♪すっとこさん

はぁ。
すっとこさんこそ、人生について考えさせてくださってありがとう<(_ _)>

そうそう、街を歩いているとき、
電車で幸せそうなカップルを見るとき、
自分以外の人ってみんな幸福なんだよな、チッ、
なんて思ってひがみっぽくなり、
慌てて、いけない、いけない、って反省するんですけど。
考えてみたら、なんにもない人生なんてなく、
みんな問題を抱えながら、
やっとこさっとこ生きているんですよね。

この映画の人物たちもそう。みんな一生懸命生きてるなぁ。
人間ってけなげだなって思いました。

今日もポチッをありがとう。
Commented by Alexa at 2014-05-19 11:59 x
Woo nice post. The exact thing I needed for dis essay I’m working on. Cheers!