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殿様の試写室

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アルバート氏の人生 -2- Arbert Nobbs

アルバート氏の人生 -2-
Arbert Nobbs

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(C)Morrison Films

アルバート氏がなぜ男性として働かなくてはならなかったか。
その背景にはアイルランドが抱えていた大変なできごとがありました。
ジャガイモ飢饉です。


ジャガイモ飢饉
1801年グレートブリテン及びアイルランド連合王国の成立以降、アイルランド島はロンドンの連合王国政府、連合王国議会による直接統治下に置かれていたが、国民の大半は農業に依存。さらにアイルランドでは農地は長子相続ではなく兄弟全員が分割相続できたため、農地の細分化が進んだ。
当時、小作農家は主に麦を栽培していたが、地代を納めなくてもすむように自宅の小さな庭地でジャガイモの栽培を始めた。それによってジャガイモが貧農の唯一の食料となり、飢饉直前には人口の3割がジャガイモに依存する状態に。しかし、1845年から49年までヨーロッパ全域でジャガイモの病気が発生。壊滅的な被害を受けた。
アイルランド以外のヨーロッパ諸国では貴族や地主が救済活動を行ったが、アイルランドの貴族や地主のほとんどはアイルランドには在住しておらず、自分たちの地代収入減少を心配し、アイルランドの食糧輸出禁止に反対。餓死者が出ているにもかかわらず、アイルランドから食糧が輸出され続けた。

最終的には、人口の20%近くが餓死あるいは病死、10%から20%が国外へ脱出した。これにより婚姻や出産が激減し、アイルランドの総人口は最盛期の半分にまで減少した。

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引用が長くなりました。
とまあ、このような状況下、女の子で、その上、孤児のアルバートが生きていくためには
男になるしかなかったんですね。


ストーリー
19世紀。アイルランド。モリソンズホテル。
ここでウェイターとして働くアルバートは、人づきあいを避け、ひっそりと生きる中年男。
”彼“には大きな秘密があった。
それは、“彼”が男性として生きてきた女性であったということ。

ある日、ハンサムで背の高いペンキ屋ヒューバートがモリソンズホテルへやってくる。
ホテルの女主人から彼を自分の部屋に泊めるように命じられるアルバート。
なんとか逃れようとするものの叶わず、同じベッドに寝ることに。
そして、1匹の蚤のために女であることをヒューバートに知られてしまう。

このことが女主人にバレてしまえば仕事を失うことになると思ったアルバートは、
ヒューバートに決して口外しないよう懇願。
秘密を守ることを約束したヒューバートだったが、それにはある事情があった――

これを機にヒューバートと親しくなったアルバートは彼の生き方に感銘し、影響を受ける。
孤独な生活を変え、他者と目を合わせて生きる日々を送り始めるのだった。

ウェイターとして生きながらコツコツと貯めてきたお金で自分の店を持つ夢
信頼できる友人
共に人生を生きる伴侶を探すこと

これまで諦めていたことがひとつひとつ現実になりつつあった……

”彼“が秘密を守り続けるためには、他者から注意を払われないようにしなければなりませんでした。
それには、自分の気配を消しながら、客への気配りをするというウェイターの仕事が最適だったのでしょう。

生き方と職業が合い過ぎるというのも悲しいことだなぁと本筋とは関係のないところで感銘しつつ、
アイルランドの静謐な冬を背景にひそやかに繰り広げられるアルバートの人生に
生きるということの悲しさを感じました。
グレン・クローズが大きなスクリーンで演じたいといった気持がよくわかります。

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グレン・クローズだけでなく脇を固める俳優陣も良かったです。
“大男のイケメン”ヒューバートを演じたジャネット・マクティア、
アルバートが人生の伴侶として夢見るヘレンに扮したミア・ワシコウスカ、
そのヘレンがコロッと騙される野心家ジョー役のアーロン・ジョンソン。
(ちなみに彼は「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」(‘09)でジョン・レノンを演じた俳優です)

決して「自分が、自分が」としゃしゃりでることなく、
人として生きる悲しさや野望や喜びや優しさが、人生そのもののように調和した映画でした。

年の初めにこのような映画を試写できて、今年は春から縁起が良いです。





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☆2013年1月7日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

アルバート氏の人生
監督/ロドリゴ・ガルシア、脚本/ガブリエラ・プレコップ、ジョン・バンヴィル、グレン・クローズ、原作/ジョージ・ムーア 短編小説「The Singular Life of Arbert Nobbs」、製作/グレン・クローズ、ボニー・カーティス、ジュリー・リン、アラン・モロニー、撮影/マイケル・マコドノー
出演
グレン・クローズ/アルバート・ノッブス、ジャネット・マクティア/ヒューバート・ペイジ、ミア・ワシコウスカ/ヘレン・ドウズ、アーロン・ジョンソン/ジョー・マキンス、ブレンダン・グリーソン/ホフロン医師、ジョナサン・リス・マイヤース/ヤレル子爵、ポーリーン・コリンズ/ベイカー夫人、ブロナー・ギャラガー/キャスリーン、ブレンダ・フリッカー/ポーリー
2013年1月18日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2011年、アイルランド、113分、配給/トランスフォーマー、後援/アイルランド大使館
http://albert-movie.com/

by Mtonosama | 2013-01-07 06:31 | 映画 | Comments(10)
Commented by poirier_AAA at 2013-01-07 20:52
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

ただジャガイモの病気が流行っただけ。そんなわずかなことが多くの人の運命を変えてしまったんですね。

小さな自然の動き1つで、人間の運命なんて如何様にも変わりうる、そんなことを長らく忘れて生きていたような気がします。そういう「幸せな」時代がしばらく続きましたよね、日本も。でも、例え人間の世の中がどんなに便利になったとしても、結局人間って生かされているだけなのかな、と思いました。

生かされて生きている今をどうやって生き抜くか、この作品はちっぽけな人間の、それでも精一杯の頑張りを見せてくれるのかなと思いました。静かな勇気をもらえそうですね。

今年も第一作目からワクワクさせてくれる試写室、これからも楽しみにしています。
Commented by Mtonosama at 2013-01-08 05:00
♪poirier AAAさん

明けましておめでとうございます。

本当に人間って生かされているだけなのかもしれませんね。
生かして下さっている大きな存在に対して感謝し、
「ならぬことはならぬ」と、いけないことに対しては今年も
断固反対していかねばなりませぬ。

あ、すいません。
「ならぬことはならぬ」というのは6日から始まった
NHK大河ドラマ「八重の桜」の中で使われる会津藩の家訓なんです。

今年もよろしくお願いします。

Commented by すっとこ at 2013-01-08 08:59 x
うっわぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!

やっぱりアルバート氏の人生~1~の映像が
写っていないすっとこPCです。皆様は観られてるのでせうか。

やっと~2~で見られました、男装のグレン・クローズ!
と・・・なると・・・
なぜかヒューバート氏も男装の女性の横顔のように
見えちゃうんですが。

グレン・クローズ凄い女優さんですね。
なんだか中年ー初老男性に見えます。

ひとの人生を生きるのが俳優、ならば女優が男性を
演じ切りたい欲望は抑えがたいものかも知れません。

大分前に訪れたアイルランドを思い出しました。
冬には必ずポテト大鍋いっぱいでアイリッシュ・シチュー
を作る我が家です。今年も何回か作りました。
そんなことも思いながらポチッと押して帰ります。
Commented by Mtonosama at 2013-01-08 09:32
♪すっとこさん

え~っ!前編の写真、見えないんですか・・・・・
残念。
でも、後編は見られてよかった。ヒューバートさん、女性の顔に見えます?
そうですよね。だって、女性ですもん。身長186センチだそうです。

アルバート氏を中年というべきか初老というべきか、迷いました。
欧米人は40歳を過ぎると一気に老けるからなぁ、とか、
アルバート氏は40歳から52歳くらいなんだろうなぁ、とか、
グレン・クローズは66歳か67歳だから初老だしなぁ、とか、
結婚も夢見てるし、お店を持つことも計画したんだから、中年かなぁ、
などと迷いに迷って、結局、中年男としました。
でも、やっぱり初老の方が良かったかなぁ。

あと、男と女の顔ってそんなに違いがないなぁ、
要するにヒゲと服装だけかなぁ、
などとどーでも良いことも真剣に悩んでしまいました。

今日もポチッをありがとうございました。
Commented by ライスケーキ at 2013-01-08 22:04 x
「アイルランド物」 やっぱり良いなぁ。

一時「アイルランド」に凝って
映画を見て 音楽聞いて 歴史書読んで
アイルランドの楽器「ティン・ホィッスル」に
挑戦したこともあったけど  
いつの間にか挫折しました。

ギネス飲んで  アイリッシュシチューが食べたい。
Commented by Mtonosama at 2013-01-09 07:01
♪ライスケーキさん

あと、アイルランドのダンスにもこっていらっしゃいましたよね。
ティン・ホイッスル!?
なんか本格的ですね。また挑戦して聞かせてください。

私もペンタングルというグループが好きでした。
今も好きかも。

まずはギネス飲むところから始めましょう(^^)/
Commented by Tusgumi at 2013-01-09 09:13 x
アイルランド歴史詳しくは知りません。昔ブラピの映画デビル を見てだんな様がアイルランドなまりが素晴らしいと感動したこと思い出しました。

この映画も皆さんアイルランドなまりなのでしょうか。。

DVD出たら本当に見てみます。
Commented by Mtonosama at 2013-01-09 09:36
♪Tsugumiさん

この映画ではアイルランド訛かどうかよくわからなかったけれど、
年末に観た「天使の分け前」というウィスキーの映画では
「ああ、これが訛というものか」とわかりました^_^;
Commented by よもぎ at 2013-01-09 13:48 x
こんにちは♪

松の内は過ぎましたが、
本年もよろしくお願い申し上げます。

アイルランドのジャガイモ飢饉、以前県内の短大(いまは無くなったらしい)で学生さんに混じって聴講したとき、
勉強して知りました。
国を揺るがす大飢饉で、そのためにアメリカへ多くの移民が渡ったそうですね!
国を出なかったひとも、大変だったのですね。
上映映画館が遠いので、DVDになりましたら、見てみたいと思います。
グレン・クローズの男装、すごいですね。
Commented by Mtonosama at 2013-01-09 15:02
♪よもぎさん

こんにちは♡
こちらこそ今年もよろしくお願い申し上げます。

わあ、勉強なさったんですね。
大変だったようですよね。ジャガイモ飢饉。
なんて、見てきたようなことを言っちゃって^_^;
150歳の言うことですから、おゆるしください。

あのタイタニック号で帰らぬ人となったディカプリオだって、
アイルランドからアメリカへ向かう途中、あの惨事にあってしまったんですものね。

「アルバート氏の人生」、お近くで上映されるといいですのにね。