3.11後を生きる -1-
もうすぐ3回目の3月11日がやってきます。
あの日、黒い厖大な水がすべてを呑み込んでいく映像に声を失いました。
テレビからはお笑い番組も、ドラマも消え、CMはACジャパンの同じフレーズばかりが流れ、
計画停電が実施され、歌舞音曲はなく、居酒屋も食べ物屋さんも閑散とし、一億総自粛状態でした。
福島原発ではメルトダウンが起こり、住民が家を去り、いまだ避難生活を続けています・・・・・
という状況をもはや忘れかけてはいなかったでしょうか。
「3.11後を生きる」というタイトルに、少しひいている自分がいました。
いけない、絶対こんなことじゃいけない。
あの黒い水に息をのみ、人々の無事を祈り、被災者の言葉に涙を流したこと、
生活を変えなくてはこの国は終わると思ったあの日のことを絶対に忘れてはいけなかった――
「3.11後を生きる」。東北地方在住者ではなく、心の弱いわたしは時が経つにつれ、
記憶も気持もあの日から少しずつ遠くなっていました。
しかし、あの日、あの黒い水を経験し、家族を亡くした人は忘れることなどできません。
家族全員を亡くし、孫を、息子を、娘を亡くした人は自分を責め、
その心とどう折り合いをつければいいのか悩み、
時を経るごとに、悲しみは胸の内に深く沈み、積もっていきます。
本作は2011年3月11日から半年後、中田秀夫監督が岩手に入り、
カメラを向け、被災者の声を聞いたドキュメンタリー映画です。
え?中田秀夫って、あの中田秀夫?
「リング」や「仄暗い水の底から」とかのホラー映画の中田秀夫監督?
はい、あの中田秀夫監督です。
中田秀夫
1961年、岡山県生まれ。1985年ににっかつ撮影所に入社。
1992年に「本当にあった怖い話」で監督デビューし、同年文化庁芸術家在外研修員として渡英。
帰国後、「女優霊」(‘96)を監督。
1998年に発表した「リング」が大ヒット。黒沢清や清水崇と並びJホラーを代表。
「リング」はアメリカでリメイクもされた。
2003年「ラストシーン」で芸術選奨新人賞受賞。
「リング」の続編「ザ・リング2」ではハリウッドデビューを果たす。
その体験をまとめたのが「ハリウッド監督学入門」(‘09)である。http://mtonosama.exblog.jp/10566296/
「仄暗い水の底から」(‘02)も「ダーク・ウォーター」(‘05)としてリメイクされている。
さあ、どうしてなのでしょう?続きは次回で。
続
2月23日(土)13時より上映終了後トークショーが決定しました。
南直哉(恐山菩提寺院代)、宮崎哲弥(評論家)
3/2(土)11:50~の上映後トークイベント
永瀬正敏(俳優)×五十嵐康裕(出演)×中田秀夫(監督)によるトークショーが決定
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3.11後を生きる
製作・監督/中田秀夫、撮影/さのてつろう、編集/高橋伸之、山中貴夫、録音/三澤武徳、整音/柿澤潔、効果音/柴崎憲治、映像提供/富間根信、金崎千代美、機材協力/宝塚大学、ポストプロダクション/映広、音楽/川井憲次、助監督/宮崎紀彦、多久間知宏、制作協力/株式会社ツインズジャパン、プロデューサー/中田秀夫、下田敦行
インタビューに応えてくださった方
佐々木清、佐々木マリ子、大萱生知明、家子和男、三浦恵美子、加藤昭仁、五十嵐康裕、小野寺浩詩、長沼靖治、佐藤啓子、休石実、堀合徹、永沼靖浩、富間根信、金崎千代美、
岩手県の皆様
2月23日(土)~3月8日(金)オーディトリウム渋谷にてロードショー
2012年、85分、カラー、配給/エネサイ http://wake-of-311.net/
とここは大声で叫んでしまいます。
あの
さ・だ・こ・・・・
"リング”の監督ですよね!
な・な・なな・なんだか
驚きますが。
いったいどういうことなのでしょうか。
もうじきまた3・11がやってきますね。
言葉がうまく見つかりません。
なにを どう言っても 確かでない、
自分はなにも言えない、そんな感じです。
・・・ ・・・ ・・・
次号でもっと何かがわかるのか
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そ、そうなんです。
あの「リング」の中田秀夫監督のドキュメンタリー映画です。
中田監督は、「ブロークバックマウンテン」「ライフ・オブ・パイ」のアン・リー監督並みの七つの顔を持つ監督なんですね。
成功した作品のカラーに執着しないってなかなか難しいことだと思います。
2013年3月11日。あの日亡くなった多くの方々の三回忌になりますね。
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実際にあの悲劇を経験した人は忘れられないでしよう。
私もTVや本、新聞で見聞きしただけですが、
忘れられないです。
悲劇を知っていても 原発さえ止められない私達。
何もできない私達。
映画見るの 辛いです。 怖いです。
日本に住んでいる限り
あの悲劇は 「明日は我が身」に起こるかも知れない
悲劇だからです。
これはまた意外な監督さんが意外な映画を撮ってるんだとちょっと吃驚です。
わたしは圧倒的にホラー映画と結びついてる監督さんだったから。
なんだか多彩な人のようですけど、あえてこのテーマを持ってきてるというのはやっぱり伝えたいことが強烈に自分の中にあったということなんでしょうね。
被害にあった人たちで、大人はまだ折り合いがつかない自分の心というものに対してそれなりに理不尽さを受け入れられる知恵のようなものを持っているかもしれないけど、あの時わたしが一番心に引っかかったのはあの震災で一瞬にして天涯孤独になった子供のことでした。子供にとって家庭や親は世界のすべてだと思うし、あの時一瞬にして世界を失ってしまった子供たちがいたに違いないと思うと、その心細さや絶望感に思い至ると、もう居ても立ってももいられないような気分になってました。どんなに親身になっても親の代わりは親以外には誰も出来ないわけで、そういう事態にたった一人で晒されてしまった子供たちがその理不尽さを超えてもう一度世界を取り戻してくれていたらいいんだけどと思います。
ところで一番下の写真は監督さん?なんだか抱いていたイメージと結構違いました。
震災後の報道は原発事故へと一斉に舵をきっています。
もちろん原発事故は今もこれからも私たちに深く関わり続ける大変な問題で、
辛抱強く、闘い続けていかなければなりません。
辛抱、辛抱、です。
津波は全てを押し流し、過去を消してしまいました。
頼りない現在に生きる私たちには、信じられる未来も
その上で生きてきた過去も必要なんだ、とつくづく感じさせられました。
おはようございます。
はい、小さい写真が中田監督です^_^;
残された子どもたちのこと、
本当に薄荷グリーンさんのおっしゃる通りです。
以前BSで海外メディアが撮影したドキュメンタリーを観ました。
日本も海外もメディアが一斉に原発報道に切り替わる中、
あえて津波に注目した作品で、その中で取材を受けていたのが子どもたちでした。
きっと外国人から話を訊かれるので緊張しているんだろうなぁという様子でしたが、礼儀正しく、明るく応対しながらもその口から語られる言葉は彼らの心の傷を思わせるものでした。
実は「3.11後を生きる-2-」で出てくるのですが、
監督がこだわったのは子どもや孫に先立たれた逆縁ということだったようです。
一番トップに出ている写真の漁師さんは両親、妻、子どもと家族全員を亡くしました。
次号では一人娘と孫を亡くし、「なぜ娘や孫でなく、私が生き残ったんだ」と自分を責め続ける女性が登場します。
津波が生き残った人々に残していったのは大きな心の問題なんだな、ということが伝わってきました。
本作ではインタビューする監督の横顔も写っていますよ。