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殿様の試写室

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ある海辺の詩人―小さなヴェニスで― -2- SHUN LI AND THE POET

ある海辺の詩人
―小さなヴェニスで― -2-

IO SONO LI
SHUN LI AND THE POET

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(C)2011 Jolefilm S.r.l.- Aternam Films S.a.r.l - ARTE France Cinema


キオッジャは小さなヴェニスと呼ばれる美しい漁師町です。
ヴェニスもキオッジャも行ったことがないので、例によってWikipediaのお世話になりますと――

キオッジャ(Chioggia)は人口51,755人のイタリア共和国ヴェネト州ヴェネツィア県のコムーネの一つで、
ヴェネツィアの南 57 km に位置する。5世紀に書かれた古い資料には、街はビザンティン帝国の一属州の一部となったとある。
中世には街は独立コムーネとなり、1110年には司教座となった。
歴史上重要な1ページはキオッジャの戦いと呼ばれるジェノヴァとヴェネツィアとの戦いである。
1379年、街はジェノヴァの手に落ち、1380年にはヴェネツィアが取り戻した。キオッジャは、1797年にナポレオンの手によりヴェネツィア共和国が滅亡させられるまでその一部となった。
続いてカンポ・フォルミオ条約により1798年に街はオーストリアに組み入れられ、1866年にイタリア軍が街を解放しイタリア王国に併合されるまで、オーストリアとフランスが交互に街を支配した。
第二次世界大戦中は連合国の空軍の絨毯爆撃の危険にさらされた。
市民たちの蜂起により、ナチスは降伏。1945年4月27日街は連合軍により解放された。(Wikipediaより)

と古い街なので、中世のままのような家並みが美しいです。
観光客の多いヴェニスとは異なり、素朴な雰囲気に包まれた町であることが映画から伝わってきます。

そんな小さな町の小さなオステリアが舞台。
オステリアって地元の住民が集う居酒屋みたいな店のことだそうです。
よく見るトラットリアというのは前菜からメインコースまで一通り揃っている店なんだとか。
蛇足ですが。

さて、どんなお話でしょうか。


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ストーリー
町の漁師たちが集う店「パラディーゾ」。
そこは常連たちがビリヤードを楽しんだり、本や新聞を読んだり、酒を飲んだり、
思い思いに時を過ごす憩いの場だ。
“詩人”と呼ばれる漁師のペーピ。
漁師を引退し、仕事のない日々に不安を感じるコッぺ。
昔の職業名で呼ばれる“弁護士”。
外では威勢が良いけれど女房には頭が上がらないデヴィスたちが日々集まってくる。

そんな店に遠い中国からシュン・リーがやってきた。
地元で愛されている飲み物を常連に教わりながら作り、
片言のイタリア語でたまったツケを請求するもの静かな女性だ。
ある日の閉店後、偶然二人になったペーピとシュン・リーは故郷や家族のことを話し始める。
彼女の故郷は福州。キオッジャと同じ海辺の町で、父も祖父も漁師だった。
ペーピもずっと昔にユーゴスラヴィアからキオッジャにやってきたことを話す。
異国人同士、親しみを覚える二人。

シュン・リーの故郷には川面に灯明を流し、詩人・屈原を偲ぶ祭がある。
その話を聞いたペーピは潮が満ちて海水に浸った「パラディーゾ」の店内に
小さなロウソクを浮かべて見せた。
「川はすべて海へ降る。吹く風は冷たくとも心を温め小さな花のようにあなたを微笑ます」
“詩人ペーピ”の詩は家族と離れて異国で働くシュン・リーの心を優しくほぐしていく。

しかし、小さな町で二人の交流は噂となり、ペーピはそのことで仲間と喧嘩。
シュン・リーもまた組織から彼との交際を禁じられる。
これ以上ペーピとつきあうなら、中国の息子をイタリアに呼び寄せ一緒に暮らすことは
できなくなると言い渡されてしまったのだ。

ペーピの元を去るシュン・リー。心のよりどころを失くしたペーピ――

時を経て、キオッジャに戻ってきたシュン・リー。店を訪ね、ペーピの姿を求める。
だが、彼の姿はなく、手渡されたのはペーピからの最後の優しい手紙だった……

ドキュメンタリー映画で映画作りを学んだというアンドレア・セグレ監督。
10年以上にわたり移民問題についての調査・研究にとりくんでいる1976年生まれのまだ若い監督です。
移民問題から目を背けているとヨーロッパは存在しえません。
東から南から移民たちはやってきます。
本作に限らず移民を描いたヨーロッパ映画は多いです。
世界のいたるところに進出している中国人。
本作ではシュン・リーの背後の組織が不気味でした。
しかし、本来なら生々しく、きわめて現実的なはずの中国人移民を
ここまで幻想的で美しい作品に仕上げたドキュメンタリー映画監督の手腕に驚きます。

穏やかでいながら、したたか・・・・・(といっては言葉が悪いですね)
芯の強さを持ったシュン・リーにイタリアの漁師たちは一本とられたかな、という感じもしましたが。

老いて故郷を懐かしむペーピの郷愁。パラディーゾに集う男たちの人の良さ。
これって国がどうこうというより、男と女の違いを
キオッジャの運河のにおいを背景に描いた映画なのかもしれません。

ラグーナの海水が埠頭をひたひたと洗うように、心のひだに沁み込んでくる作品でした。





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☆3月14日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ある海辺の詩人 ―小さなヴェニスで―
監督・原案・脚本/アンドレア・セグレ、共同脚本/マルコ・ぺッテネロ、アンドレア・セグレ、撮影/ルカ・ビガッツィ
出演
チャオ・タオ/シュン・リー、ラデ・シャルベッジア/ペーピ、マルコ・パオリー二/コッぺ、ロベルト・シトラン/弁護士、ジュゼッペ・バッティストン/デヴィス
3月16日(土)シネスイッチ銀座他全国順次公開
2011年、イタリア、フランス、イタリア語、98分、日本語字幕/岡本太郎、配給・宣伝/アルシネテラン、後援/イタリア大使館、特別協力/イタリア文化会館
http://www.alcine-terran.com/umibenoshijin/

by Mtonosama | 2013-03-14 07:47 | 映画 | Comments(4)
Commented by ライスケーキ at 2013-03-15 21:01 x
「組織」って何なんでしょう。
彼女 行動を誰かに見張られてるわけ?

プルーン入りコーヒーでも飲みながら
考えることにします。
Commented by Mtonosama at 2013-03-16 06:27
♪ライスケーキさん

さあ、なんでしょうね^m^
知らない国で企業の人間として働くのでない場合、いろいろなものが介入してくるのではないでしょうか。

オステリアで軽くいっぱいやりながら考えるのも悪くありませんね♪
Commented by poirier_AAA at 2013-03-17 01:07
>移民問題から目を背けているとヨーロッパは存在しえません。

殿様のこの言葉を読んで、そうなのよ、よくぞ言って下さいました!と膝を打ちました。海外に出かけた経験のある人でも、なかなかこの感覚をわかってもらえないことが多くて、ときどきヒヤッと背筋が寒くなるような思いも味わいます。

異国にいて心を通わせることができる相手ができるのは、とても心強いことだと思います。言葉は通じても、心が通じるとは限りませんし。この2人はしあわせな出会いをしたのですね。
Commented by Mtonosama at 2013-03-17 06:12
♪poirier AAAさん

フランス在住のpoirier AAAさんにお墨付きをいただき、
うれしいです♪ 
印象に残る移民の映画は2010年ベスト10の1位にも選んでし
まった「君を想って海をゆく」(Welcome)というドーバー
海峡を渡って一足先にロンドンに行っている恋人に会いにい
くという難民少年の話です。これはフランスが舞台なんです。

陸路、海路、さまざまな経路を経てやってくる移民のことは
映画で観るだけですが、実際にヨーロッパに住んでいらっし
ゃると色々あるのでしょうね。

キオッジャはヴェネチアからも近いようです。
次回いらしたら足をのばして、教えてくださいね。