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殿様の試写室

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台湾アイデンティティー -2-

台湾アイデンティティー -2-

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(C)2013マクザム/太秦


あの穏やかな国でこの人たちは大変な人生を生きてきたのだなぁ、
とスクリーンに映し出される優しい顔つきの6人の老人たちの話を聞きました。


監督は酒井充子さん。1969年生まれ。
北海道新聞記者を経て、2000年からドキュメンタリー映画、劇映画の製作、宣伝に関わりながら、
台湾取材。2004年、小林茂監督のドキュメンタリー映画「わたしの季節」に取材スタッフとして参加。
台湾の日本語世代に取材した監督デビュー作「台湾人生」(‘09)に続き、「空を拓く-建築家・郭茂林という男」(‘13)を完成。著書に「台湾人生」(‘10、文藝春秋)。

1945年8月。
敗戦により日本が撤退した台湾では、
その後の蒋介石・中華民国国民党政権による言論統制と弾圧の時代が長く続きました。
民主化が本格化したのは、李登輝氏が総統に就任し、1992年に治安法を改正、
言論の自由が認められてからのことで、まだ20年しか経っていません。
20年って長いようだけど、まだまだつい最近のことのようにも思えます。

舞台を台湾、ジャカルタ、横浜と移しながら、
映画は、老人たちが人生を語る様子を捉えます。
質問を投げかけ、カメラを回す自分の子どもよりも若い日本人の監督に
老人たちも心をひらいているのがよく伝わってきます。

歴史って学問になると、
何年にあんなことがありました。
それはあのできごとの原因になったことです。
そして、こんなことになり今に至っています――
という事実の羅列になってしまいます。
そして、歴史観というものが入り込むことによって
おかしなすり替えだの、歪曲なども、起きてきます。

いずれにしても、学問としての歴史からは、
時の流れの中で人々がどんな思いで日々を過ごし、悲しくつらい思いをしたか、
そんな柔らかい部分が抜け落ちてしまいます。
それを語ってくれたのが、ここにご紹介する6人です。


高菊花(日本名:矢多喜久子、ツオウ族名:パイツ・ヤタウヨガナ)

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1932年生まれ。ツオウ族のリーダーであった高一生(日本名:矢多一生、ツオウ族名:ウオン・ヤタウヨガナ)の長女。戦前は日本人と同じ小学校に通い、6年生の時に敗戦を迎えた。
戦後は師範学校に学び、米国に留学しようと勉強中に父が逮捕され、処刑される。
それは白色テロという反体制活動に対する国民党による弾圧活動だった。


その後、彼女は母と9人の兄弟姉妹を支えるため歌手になったが、
その間、尋問は彼女に対しても行われた。

ツオウ族は台湾原住民の一つ。南投県、嘉義県、高雄県に7,116人(1998年 内政部統計)が分布している。
ツォウ族の人々が新高山(現・玉山)一帯に住んでいることから、日本の文化人類学者鳥居龍蔵によって新高族と名付けられた。
(Wikipediaより)


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黄茂己(日本名:春田茂正)
1923年生まれ。旧制中学卒業後、約8,400人の台湾少年工の一員として神奈川県高座海軍工廠へ。
そこで妻と知り合い、敗戦直後に日本で結婚。
台湾へ帰国後は小学校教員として定年まで勤め上げ、白色テロ時代は子どもたちに
「本当の民主主義はこんなものじゃない」と伝えた。

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鄭茂李(日本名:手島義矩、ツオウ族名:アワイ・テアキアナ)
1927年生まれ。高菊花さんの父方の大叔父。18歳で海軍に志願し、高雄で敗戦を迎える。
二二八事件の時、ツオウ族の青年たちと共に運動に参加。執拗な尋問を受けるが、逮捕は免れた。
日本語を話したくなると高菊花さんに会いにいく。

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呉正男(日本名:大山正男)
1927年生まれ。横浜市在住。東京の中学に進学し、在学中に陸軍特別幹部候補生に志願。
航空通信士として北朝鮮で敗戦。中央アジアの捕虜収容所にて強制労働。
1947年、日本へ戻ったが台湾へは帰国できなかった。

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宮原永治(台湾名:李柏青、インドネシア名:ウマル・ハルトノ)
1922年生まれ。インドネシア・ジャカルタ在住。1940年、18歳で志願。
戦場を転々とし、敗戦後も約千人の日本兵、インドネシア青年と共にオランダからの独立戦争を戦う。
戦後はインドネシア国籍を取得し、ジャカルタで暮らす残留日本兵。

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張幹男(日本名:高木幹男)
1930年、台湾人の父と日本人の母の間に生まれる。新竹工業学校在学中に敗戦。
1958年、台湾独立派の日本語冊子を翻訳しようとして「反乱罪」で逮捕。
28歳から8年間、政治犯収容所で過ごす。

まさに、人に歴史あり、です。
台湾で感じる懐かしさの裏に隠された台湾の戦後史。
残留日本兵として日本を遠く離れたインドネシアで暮らすおじいさん。
今、この穏やかなおじいさんやおばあさんの話をしっかり訊いておかないと、
私たちは肉声で語られる歴史の柔らかい部分を知らないままになってしまいます。
その柔らかい部分こそ、
私たちがどう生きるべきかを教えてくれる大切なポイントになるのではないかと思えてなりません。





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☆7月3日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

台湾アイデンティティー
監督/酒井充子、製作総指揮/菊池笛人、小林三四郎、企画/片倉佳史、プロデューサー/植草信和、小関智和、ナレーター/東地宏樹、撮影/松根広隆、音楽/廣木光一、編集/糟谷富美夫、協力/シネマ・サウンド・ワークス、大沢事務所、製作/マグザム、太秦、助成/文化芸術振興費補助金、配給/太秦
7月6日(土)よりポレポレ東中野ほか全国ロードショー
2013年、日本、カラー、102分
http://www.u-picc.com/taiwanidentity/

by Mtonosama | 2013-07-03 07:02 | 映画 | Comments(6)
Commented by ライスケーキ at 2013-07-03 21:00 x
恥ずかしながら 台湾 お隣の国なのに
文化も、歴史も良く知りません。

29800で良いから 実際に行って
台湾を 体験したいです。

「百聞は一見にしかず」と言いますが、
単なる観光でも、行って その国を肌で感じると、
見方が変わります。

P.S. ひかちゃん登場も待ってます~。

Commented by すっとこ at 2013-07-03 21:21 x
ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

そんな歴史があったのですか。
だから台湾の方は中国人と呼ばれると「一緒じゃない!」と
激しく訂正を求めるのですね。

29800ならわたしももう一度行ってみたいです。

ショーロンポーと故宮博物館と額しか知らなかった
自分はもう一度違う眼で台湾を見てみたいです。

それにしてもどのお年寄りも立派な風貌ですね!
自分がこの年に(ってもそう遠くない未来だけど)
このように立派な風貌になれるかどうか自信ありません。

ところでわたしもライスケーキさんと一緒に
「ひかちゃーん、かもーん!!」←プレッシャー(笑)

ひかちゃん肉球にポチッ。
Commented by Mtonosama at 2013-07-04 06:16
♪ライスケーキさん

台湾、良いところですよぉ♪
って、29800円の旅を一回しかしたことありませんが^_^;

ほんとほんと、単なる観光でも、その国の空気を吸い、
公園でのんびりしてる人たちの姿を見ると、思い入れが深くなります。

あと1~2万円余分に払えば、台湾一周ツアーもあるんだよなぁ♡

ひかちゃんはもう少々お待ち下さいね。
Commented by Mtonosama at 2013-07-04 06:28
♪すっとこさん

台湾では足裏マッサージと温泉も体験したとので~す。

大変な体験をしながら、温厚で優しい顔で年老いている6人のお年寄り。
この方たちの風貌は、年月の経過だけではなく、
人間性の高さにもよるところ大だと思います。

インドネシア名ウマル・ハルトノさんこと宮原さん、亡父に似てて懐かしいなぁ。

今日もポチッをありがとうございました。
ひかちゃんは近日上映です。もうちょっとお待ち下さいませ。
Commented by poirier_AAA at 2013-07-04 17:31
あぁ、これ観たいですねぇ。

言葉ってアイデンティティの問題ととても強く結びついていると思うのですが、ここに出てくる方たちは自分たちをどんなふうに捉えているんでしょう。
「何人として」って、すごく難しい問いですね。
Commented by Mtonosama at 2013-07-04 19:13
♪poirier AAAさん

年配の台湾の方がとても上手に日本語を話されるのを耳にす
ると、これは日本統治の名残りかなぁと複雑な気持になります。
日本語で教育を受けた世代の方の生きた時代はちょうど戦後、
国民党支配で苦しんだ時代にも重なってしまったんですよね。

日本人監督の映画だから、この方たちは日本のことを悪くは
言っていないけれど、本当のところはどうなのでしょう。
「悲情城市」をもう一度きちんと見て日本支配の時代のことを知りたいと思いました。