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トラブゾン狂想曲 -小さな村の大きなゴミ騒動 - -2- Der Müll im Garten Eden

トラブゾン狂想曲 
-小さな村の大きなゴミ騒動 - -2-

Der Müll im Garten Eden

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世界中どこでも、国は中央を遠く離れた地方のことなど真剣に考えてはくれません。
これって、自分の生まれ育った土地や生活を守るには自分たちが声を上げるしかない、ってことですわね。

そんなわけでファティ・アキン監督、
自分の父祖の地であるチャンブルヌ村の事件をドキュメンタリー映画に仕上げました。

さあ、トラブゾン・チャンブルヌ村で起こったゴミ問題。どんな経緯を辿るのでしょう。


1990年代半ば黒海周辺地区に生じるゴミを処理するため、トラブゾン地方にゴミ埋め立て施設建築計画が持ち上がる。
1997年1月、トラブゾンの村チャンブルヌにある廃鉱となった銅山が、ゴミ廃棄場の候補に。
1998年5月、地域の環境コミッションは、環境への影響の研究と計画の実行とは無関係と決定。
この頃、既に銅山はゴミ施設には適当ではないという証拠が出ていたが、処理場建設が始まる。
村人たちが抗議行動を組織、作業を妨害。だが、作業は警察の保護下で続行される。

2006年5月、チャンブルヌ市当局はゴミ処理場建設許可申請を却下。
ところが、政府は市長を提訴。結局、市長は建設許可を出さざるを得なくなる。
12月、処理場建設続行。
建設条件として示されていた民家と処理場間の最低距離も守られてはいなかった。
2007年4月、ファティ・アキンはオスマン・ぺぺ環境大臣にゴミ処理場建設について
インタビューを申し込むが、大臣は拒否。

当初、ゴミは梱包して輸送されるという説明だったが、ゴミ廃棄はザツそのもの。
ゴミが運び込まれて5日目には処理場のゴムシートの破れ目から汚水が運河と小川に流れ込んだ。

ファティ・アキンはドイツ緑の党党首クラウディア・ロートをチャンブルヌに招待。
メディアを通じてこの問題への関心を喚起。

2008年1月、悪臭の発生。
住民の不平を受け、ゴミは土で覆われたが、土の圧力によって汚水が上昇し、悪臭は消えない。

トラブゾン工科大学海洋調査学科は、チャンブルヌの森林を通って流れる水を使った水産試験場を運営している。
2010年1月、この水に混入したゴミ処理場からの汚水によって試験場の250種の魚が汚染される。
海洋調査学科は処分場を告訴。
7月18日、大雨により、処理場の水が溢れだし、村の斜面を流れ落ちる。悪臭の拡大。
村人たちは処理場までデモ。そこで地方政府の環境担当官僚に面会する。その模様がテレビ放映。

海水浴をした子どもたちが下痢、高熱などの症状を訴えて通院。
役人たちはその原因を調査せず、汚水に含まれた重金属や化学物質の影響も一切調査してこなかった。

8月25日。チャンブルヌに再び豪雨。
川が決壊し、処理場から溢れだした汚水は町の中心部に。

12月6日、処分場の容量を増やすための壁が作られている間に、汚水処理場の壁が倒壊。
住民が提訴。
その後、汚水が高濃度で汚染されていること、畑が収穫不能となっていることが証明される。
法廷は汚染された土の撤去を命じた。

この過程でチャンブルヌの住民は3500人から1200人に減少。
処理場はさらに2年間稼働を続ける……

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と、こんな経緯を足掛け5年にわたって撮りためたドキュメンタリー。ま、ファティ・アキン監督の言ってみればきわめて個人的ともいえる作品です。監督の想い出の地でのゴミ処理場問題を撮影したものですから。

でも、これ、どうしても日本で起こっている福島や東北の問題と結びつけたくなってしまいます。監督の動機は個人的なものであっても、かなり普遍的な問題です。黙っていたら、臭いものや危険なものは小さな田舎の村に押し付けられてしまいます。

処理場は2~3年後に閉鎖される予定ですが、
それも、ほんとかなぁ?
閉鎖時にはゴミの上に土がかぶせられますが、ゴミが完全に分解されるには相当な年月がかかるんですよね。
これだって、あの問題を思い出させます。
放射能が消えるには10万年かかるというあれです。

例え、村の処分場を閉鎖したとしても、当局は違う場所に処分場を建てるでしょう。
そして、そこでも同じような問題が起きることでしょう。

今後のことを考えると、ちょっとばかり、いえ、かなり、絶望的な気分になります。
でも、監督のコメントを聞くと諦めてちゃいけないかも、と思えてもきます。

監督は言います。
「この作品は少なくとも、責任者に対し国際基準に合致した焼却施設を建築するよう
説得する材料になるかもしれません。
というのも、彼らの単純な解決法は、友人よりも敵を作る、
ということが彼らにもわかり始めているからです


ファティ・アキン監督。ヨーロッパ三大映画賞を制覇したあなたのような監督が
映画を武器に闘えば、少しは希望が見えてくるかもしれませんね。

今までの監督のものとは色合いの違う映画を楽しませてもらいました。





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☆8月18日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

トラブゾン狂想曲 -小さな村の大きなゴミ騒動 -
監督/ファティ・アキン、撮影/ブンヤミン・セレクバサン、エルヴェ・デュー、音楽/アレクサンダー・ハッケ、編集/アンドリュー・バード
8月17日[シアター]イメージフォーラム他順次ロードショー
2012年、ドイツ、98分、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/kyousoukyoku/

by Mtonosama | 2013-08-18 06:30 | 映画 | Comments(6)
Commented by すっとこ at 2013-08-18 08:05 x
うっわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

これはひどい!
ひどすぎる!

最初に映し出される村があまりに
緑濃いのどかな場所だけに
胸が痛みます。

汚染水は地面から川へ、川から海へ、
何も知らずに海水浴をした子供達の体調に
異変が起こってしまったなんて・・・。

でもね
日本も東電が放射能汚染水を毎日何百トンも
垂れ流していたんだよね。

ああ、なんだかなぁ・・・・・・。

暗澹たる思いで ポチッ。
Commented by Mtonosama at 2013-08-18 21:19
♪すっとこさん

なんかもうどうしようもないなぁ、って思えちゃうんですよね(-_-;) 
でも、監督は元気です。
そうなんですよね。自分たちが絶望しちゃったらおしまいですもん。

再稼働は無しやでぇ。

今日もポチッをありがとうございます。
Commented by アイスケーキ at 2013-08-19 21:19 x
すさまじい 映像ですね。  ビックリしました。

でも、ファティ・アキン監督のメッセージで
現実が変わろうとしています。

最近のニュースを見ると
「日本このまま行ったらどうなる。」と思いましたが、
オリバー・ストーン監督のメッセージを読むと、
ますます何かを変えなくちゃいけないと思います。

世の中を変える監督達の力。
素晴らしいです!!
Commented by Mtonosama at 2013-08-20 20:26
♪アイスケーキさん

ホント、すごいですよね。臭いやら、どろどろやら・・・

「中央から遠く離れた小さな田舎に捨てちゃえば、
ヤツらは何も言わないだろう」って魂胆だったんでしょうが、
そうは問屋がおろしませんよ。

Commented by なえ at 2013-08-23 23:49 x
この映画のようなことはどこにでもありそうな気がします。
けれど汚染水漏れは本当にひどいし無責任。ここまで来て
しまったら解決方法があるのだろうかと絶望的な気持ちに
なります。それでもあきらめたら、それこそ終わりなんですね
・・・
Commented by Mtonosama at 2013-08-24 06:46
♪なえさん

ゴミ問題はどこにでもありますよね。
うちの近所でもちょっと人目につかない裏山に入っていくと
苔むした冷蔵庫なんかがゴロゴロしたりしてます。

目に見えなければいい、手がつけられないひどい事態になったら、
ほっぽっておけばいい――

冗談じゃないですよね。

昨日もニュースを見てて驚きました。
つなぎ目はゴムのパッキングですって。安い工法のタンクを
とりあえずたくさん作ったですって。
これ、トラブゾン村と一緒じゃないですか!

ああ、怒りと不安でお腹がすいてきてしまいました。
ご飯食べて、元気出して、あきらめず、怒っていきましょうね。