フォンターナ広場 イタリアの陰謀 -1- Romanzo di una strada
イタリアの陰謀 -1-
Romanzo di una strada
©2012 Cattleya S.r.l.-Babe Films S.A.S
人間150年も生きているとそれなりにいろいろ経験するもの。
というわけで、この映画に描かれた時代を知っているとのであります。
1960年代末から70年代初め。
アメリカで、フランスで、ドイツで、イタリアで、そして、日本でも、
若者たちが一斉に立ちあがりました。
それはもうものすごい勢いで。
レミングというネズミのような動物がいますが、
これは数が増えると一斉に大移動をするのだそうです。
そんな勢いでしたねぇ(遠い目)。
国家の在り方に怒り、社会の差別に怒り、戦争に反対していた若い人たち。
例えば、今もそんな時ではないかと思うのですけれど――
いえ、これは年寄りの繰り言でありましょうか。
本作「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」はそんな時代のお話であります。
イタリア最大の未解決事件であるフォンターナ広場爆破事件。
本作の監督であるマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督が
《この事件以降、イタリアは変わった》と慨歎した事件です。
6時間を越える超大作「輝ける青春」で1966年から37年間のイタリア現代史を
ひとつの家族を通じて描いたジョルダーナ監督の最新作が
本作「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」。
60年代後半、東西冷戦の時代。
イタリアでも学生運動が活発化し、それは労働者にも拡がっていきます。
そんな〈熱い秋〉と呼ばれた季節が終わりを告げたのは、ある爆破事件がきっかけでした。
1969年12月12日16時37分。
ミラノ、ドゥオモの裏手にあるフォンターナ広場に面した全国農業銀行が爆破されたのです。
死者17人、負傷者88人という大変な惨劇でした。
ところが、この事件の犯人は現在に至るも特定できていません。
なぜか。
事件は急進派による先走りだったのでしょうか。
それとも、背後に事件を操る存在があったのでしょうか。
マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督は事件の起きた日時、ちょうどその広場にいました。
現場からたった300メートルしか離れていない場所だったそうです。
阿鼻叫喚の地獄絵。19歳のマルコが直近で目にした事件。
それは、未だ脳裏に深く刻みつけられているにもかかわらず、
解決もされないまま、人々の記憶から消し去られようとしていることに
目撃者として、映画監督として、監督は何を感じたのでしょうか。
本作を映画化するにあたり、監督をもっとも触発した資料は『フォンターナ広場の秘密』
(‘09 パオロ・クッキアレッリ著)でした。
この著作に著された仮説をさらに徹底して調べ上げ、自身の経験を重ね合わせ、
関係者が未だ存命する中、全ての登場人物を実名で描き出したのが
本作「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」です。
さすがジョルダーナ監督――
ではありますが、
日本の60年代70年代を生きたとはいえ、イタリアの当時の状況はよくわからず、
右翼、左翼、警察、軍、イタリア政府が絡み合う状況は
「ちょ、ちょっと待ってください」と登場人物を確認したくなりました。
なにせ爆破事件の背景には魑魅魍魎が入り乱れていますからねぇ。
が、しかし
本作を観ると、この間の日本の特定秘密法案をめぐる動きをいやでも思い浮かべてしまいます。
監督の言葉が印象的です。
「この事件は多くの若者たちにとって民主主義の幻想が打ち砕かれたことを意味していた。
当時、多くの人間がこう考えた――もし本当に裏で自分たちの政府が動いていたとしたら」
さらにジョルダーナ監督はいいます。
「この事件以降、イタリアは変わったのだ」――――――
「2013年12月以降、日本は変わったのだ・・・・・」
覚悟して臨むことになります。
続
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☆2013年12月19日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆
フォンターナ広場 ~イタリアの陰謀~
監督/マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ、原案・脚本/マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ、サンドロ・ペトラッリャ、ステファノ・ルッリ、パオロ・クッキアレッリ著”IL SEGRETO DI PIAZZA FONTANA”(フォンターナ広場の秘密)を元にした調査に基づく)
撮影/ロベルト・フォルツァ、編集/フランチェスカ・カルヴェッリ、美術/ジャンカルロ・バジーリ、製作総指揮/ジーナ・カルディー二、製作/リカルド・トッツィ、ジョバンニ・スタビリーニ、マルコ・キメンズ
出演
ヴァレリオ・マスタンドレア/ルイージ・カラブレージ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ/ジュゼッペ・ピネッリ、ミケーラ・チェスコン/リチャ・ビネッリ、ラウラ・キアッティ/ジェンマ・カラブレージ、ファブリッツィオ・ジフーニ/アルド・モーロ、ルイージ・ロ・カーショ/予審判事ウーゴ・パオリッロ、ジョルジョ・コランジェリ/フェデリコ・ウンベルト・ダマート、オメーロ・アントヌッティ/ジュゼッペ・サラガト大統領、トマス・トラバッキ/マルコ・ノッツァ、ジョルジョ・ティラバッシ/”教授“、ファウスト・ルッソ・アレジ/グイード・ジャンネティーニ、デニズ・ファゾロ/ジョヴァンニ・ヴェントゥーラ、ジョルジョ・マルケージ/フランコ・フレーダ、アンドレア・ピエトロ・アンセルミ/グイード・ロレンツォン、セルジョ・ソッリ/警察署長マルチェロ・グイーダ
12月21日(土)よりシネマート新宿にてロードショー、全国順次ロードショー
2012年、イタリア・フランス合作、129分、イタリア語、字幕翻訳/鈴木昭裕、配給/ムビオラ、http://moviola.jp/fontana/
わたしもちょうど今、イタリアではないのですが、別な国の同じ年代の若者の話を読んでいるところです。
まだ50年経たない話なのに、この頃の経験ってもうすっかり彼方に追いやられている感じもしますよね。現代は時間の進み方が異常に早すぎます。ほんのちょっとだけ昔の話でも、知らないことが山のようにある(わたしだけか)。
この映画でイタリア現代史を教えてもらうとしましょう。
続きを楽しみにしています。
60年代末から70年代、本当に世界中で学生たちが立ちあがったんですよね。
アメリカではまだその渦中から色々な映画が出ていました。
「いちご白書」とか。
でも、その後は最近になってボツボツという感じです。当時体験した人々にはまだまだ重いことなんです。
実はこのジョルダーナ監督が「輝ける青春」のプロモーショ
ンで来日された折、お話を伺う機会がありました。映画のま
まのとても真摯な方でした。そんな監督がこの事件を目の当
たりにして数十年経って映画化することにはとても深い意味
があるような気がします。
と同時に、当時ヨーロッパが置かれた状況も、150歳になっ
てようやくわかってきました。
ふーっ。
あの頃のイタリアにこんな事があったのか。
と、ただそれだけだったかも 知れません。
でも、今は歴史が動いている 真っ只中にいるようで、
この映画も 単なる「映画」とは思えません。
子供の頃 戦争の本を読んだりして、
「なんで日本は戦争などしたんだろう・・・。
良いことなんて何もないのに・・・。」
と、思いましたが、
今は、それが だんだん分かるようになりました・・・。
レミングって
あの
増えすぎると集団自殺して
数を淘汰して個人の存続よりも
種としての存続を優先するのがプログラムされてる、
とかいうあのネズミちゃんですよね!
おかしなとこで反応してしもうてポチッ!!
そうです。
今回初めてレミングのお姿を拝見しましたが、なんか色合い
がひかちゃんにそっくり。
こんなに可愛いのに増えすぎるとみんなで海へとなだれこんでいくんですね。
反応してくださり、ポチッまでいただきありがとうございます。