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殿様の試写室

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あなたを抱きしめる日まで -2- Philomena

あなたを抱きしめる日まで -2-
Philomena

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(C)2013 PHILOMENALEELIMITED, PATHEPRODUCTIONSLIMITED, BRITISHFILMINSTITUTE AND BRITISHBROADCASTING CORPORATION. ALLRIGHTSRESERVED


実は本作の背景にはアイルランドのカトリック修道院による赤ん坊売買があります。
こうした話はこれまでにも映画化されていまして、
当試写室でも2012年4月に「オレンジと太陽」(ジム・ローチ監督)
http://mtonosama.exblog.jp/17380409/ http://mtonosama.exblog.jp/17391816/
を上映しています。
こちらは1896年から1970年代にかけて行われていた「児童移民制度」を描いた映画で
社会派監督ケン・ローチの息子ジム・ローチらしく極めてシリアスなものでした。

本作の監督はスティーヴン・フリアーズ。
イギリスを代表する映画監督で今年73歳を迎えます。
「わたしの可愛い人 シェリ」(09)の監督です。
http://mtonosama.exblog.jp/14516305/ http://mtonosama.exblog.jp/14535505/

同じ英国の監督であり、
いずれも親子の別離を描き、ひき裂かれた親も子も大きな心の傷を負って生きる
ということが背景になっていながらこうまで違った風合いの映画になるとは!
なんとも興味深いことであります。
映画のエクリチュールとでも申しましょうか。
文体の違いは大きな作風の違いにも通じるのですね。

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いきなりネタばれ全開で申し訳ございません。
しかし、常々公言するごとく、映画はストーリーのみにて成り立つのではあらず、
という持論を持つとの。
え?公言してませんでしたっけ?
じゃ、ただいまをもって公言いたします。

映画は総合芸術であり、ストーリーが良くても、映像が悪ければダメだし、
映像が良くても俳優が悪ければダメ。
全てが良くても、それを観る時の体調や気分が悪ければダメ。
あらゆる環境が整って初めて感動を味わうことができるものです。
映画とはまさに一期一会なのであります。

と、居直り的な言辞を弄してしまいましたが、ま、その辺はご容赦ください。

次にまいりましょう。
ストーリーです。


ストーリー
フィロミナは長年看護士を務め、今は悠々自適の身。
ロマンス小説をこよなく愛し、娘と暮らす年金生活者。
だが、その日、彼女は心が晴れなかった。
古い写真を手にため息をつく彼女に娘のジェーンは声をかける。
「その子は誰?」
「今日はあの子のお誕生日。50歳になるのよ」
フィロミナは隠し続けていた秘密を語り始める。

1952年、アイルランド。
10代のフィロミナは未婚のまま妊娠。
幼い頃に母を亡くし、男女のことを誰からも教わったことのない彼女は
誘われるままに若い男と関係を持ってしまったのだ。
フィロミナは家を追い出され、修道院に入れられる。そこには同じような境遇の女の子たちがいた。
彼女は修道院で男児を出産し、その後、朝から晩まで修道院の洗濯女としてお礼奉公させられたのだという。

母の告白に驚いたジェーンはパーティ会場で出会った元ジャーナリストのマーティンに
母の体験が記事にならないかと持ちかける。
政府の広報担当を辞めさせられたばかりのマーティンはそんな三面記事など書かないと一蹴。
だが、思いなおしたマーティンは契約していた編集社にネタを持ちかけ、
数日後フィロミナお気に入りのファミレスで面会。
食事の好みもジョークもまったくかみ合わない2人だったが、
彼女の修道院での体験に目の色が変わるマーティン。

修道院では毎日朝から晩まで休みなく働かされ、
アンソニーと名付けた息子に会えるのも1日1時間だけ。
そして、3歳になったある日、アンソニーは突然養子に出される。
泣いて後を追ったフィロミナは息子を抱きしめることも別れのキスもできなかった。
修道院を出た後、何度居場所を問い合わせても応えはなかった――

マーティンのジャーナリスト魂に火がついた。

イギリスからアイルランドの修道院へ2人の道中が始まる。
彼女はお菓子を買いこみ、マーティンが借りてきた車に旅のお守りをぶら下げる。
修道院に到着。懐かしくもあり、悲しみのつまる場所だ。
10代のフィロミナに辛くあたったシスター・ヒルデガードには会えなかったが、
別のシスターが当時の記録は火事で焼けてしまったと告げる。
その代わりに1通だけ残っていたという宣誓書を手渡す。
そこには「アンソニーに対する全ての権利を永久に放棄する」と書かれ、
フィロミナの署名もあった。
それは信心深いフィロミナが神の罰を受けようと自ら署名したものだった。
だが、都合の良い書類だけが残されていることに不信感を抱くマーティン。

その後、修道院の近所のパブで怒りをぶちまけるマーティンに
バーテンがとんでもない事実を教えてくれた。
修道院の言う火事とはシスターたちが裏庭で記録を焼いたことだというのだ。
そして、その記録というのはアメリカ人に赤ん坊を1人1000ポンドで売っていたことだと――

燃えるジャーナリスト、マーティン。彼がフィロミナに提案したのはアメリカへ行くこと!
BBC、ワシントン支局に駐在していたマーティンには有力なコネもあるし、
費用は編集社から出してもらえる。
アメリカ旅行どころか飛行機も乗ったことのないフィロミナは大興奮。
アメリカにはいかなる運命が待ちうけているのか……

修道院でひどい目にあわされているにもかかわらず信心深い普通のおばちゃんフィロミナ。
いけすかない英国インテリのマーティン。
性格も趣味も生活環境もまったく異なる2人。
この2人の繰り広げる珍道中がサスペンスフルでありながら、
英国風のシニカルな笑いやらユーモアが見え隠れし、楽しくもあるんです。

絵に描いたように典型的ないやみ男マーティンが
フィロミナとのつきあいで次第に変わっていく様子には笑ってしまいます。

ロマンス小説のあらすじを延々と語り続けるフィロミナも相当どうしようもないおばちゃん。
でも、いざという時にはしっかりと対応できるところはさすが元看護士さん。

彼女を待っていた結末はしんどいものだったけれど、
それを忘れさせるくらい、3歳以降の息子の記憶や仕事を知ることができました。
彼女自身、新しい友人と息子のパートナーとの交流も始まりました。
奪われていた過去を取り戻すことができたんです。

長い人生にはいろいろなことが起こります。
それを追体験することは大変な勇気が必要だけれど、
その結果として得るものも大きいですね。
歳をとるって、人生を生き直す勇気と知恵を獲得するものなのかもしれません。

2人の名優によって人生の素晴らしさを楽しむことができました。
生きていてこその人生です。
良い映画でした。





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あなたを抱きしめる日まで
監督/スティーヴン・フリアーズ、脚本/スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ、撮影監督/ロビー・ライアン
出演
ジュディ・デンチ/フィロミナ・リー、スティーヴ・クーガン/マーティン・シックスミス、ソフィー・ケネディ・クラーク/若き日のフィロミーナ、アンナ・マックスウェル・マーティン/ジェーン、ルース・マッケイブ/バーバラ修道院長、バーバラ・ジェフォード/シスター・ヒルデガード、ケイト・フリートウッド/若き日のシスター・ヒルデガード、ピーター・ハーマン/ピート・オルソン、メア・ウィニンガム/メアリー、ミシェル・フェアリー/サリー・ミッチェル
3月15日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
イギリス、2013年、カラー、98分、日本語字幕/松浦美奈、後援/ブリティッシュ・カウンシル、提供・配給/ファントム・フィルム
http://www.mother-son.jp/

by Mtonosama | 2014-03-07 06:59 | 映画 | Comments(16)
Commented by びなちゃん at 2014-03-07 14:04 x
は~い
くま様、すっとこ様、お勧めのこの映画、観に行きまっせ~
どうしても、ヨーロッパ物で、主演が、おじい様おばあ様が趣味の私です。

春の訪れとともにくま様の体調も復活されて何よりです。
(そっか、今更ながら、くま様に秘密のお話ししたいときは非公開コメントにすればいいんですね…?)
先日外猫が一匹亡くなりましたが、その穴を埋めるかのように、ニューカマーが2匹。白と灰色。猫界はなにかに満ちているのですね…
Commented by Mtonosama at 2014-03-07 16:31
♪びなちゃんさん

ぜったいにご覧になってくださいまし~。

おかげさまで風邪は抜けていったので、また泳いでいます。

なになにニューカマーですと?
おとな猫ですか?びなちゃんさんのお宅は猫をよぶように
なっているのですね。

ひかちゃんは今日お風呂に転落。洗濯用にお湯を抜いた後で
よかったけど、ほんの少し残っていたので手足が濡れたそう
です。私が帰宅してもいつものようにお迎えしてくれません
でした。今もパソコンの邪魔もせず、こたつの中で寝ていま
す。自分の体の重さにショックを受けたんでしょうか。
Commented by よもぎ at 2014-03-07 18:19 x
こんにちは♪

私も見に行きます(^0^)
横浜でも上映されますが
ウチから電車一本で行ける川崎で見ます♪

楽しみです。。。実は
一緒に行くジャーナリストの男性が、息子だった、とかいう結末
になるかも。。。と想像していましたが
別の展開なのですね。  
映像も綺麗ですね。 

ひかちゃん、大丈夫ですか@0@
にゃんこは、暖かいお風呂場へ行きたがるし
うちでは戸をあけておくと、お風呂の蓋に寝てることがあったので
キケンだと思い、今はアタマの幅よりも狭く、3センチ程度あけています。 
お湯を抜いたあとでよかったですね。
Commented by Mtonosama at 2014-03-07 20:31
♪よもぎさん

川崎でご覧になりますか。
3月15日、来週土曜日からです。是非是非いらしてくださいね。

ちょっと寒そうで湿っぽい感じのアイルランドの空気感も
良かったですよ。

ひかちゃん、大丈夫でした。
夕方はいつものように大暴れしましたから(-_-;)

うちもお風呂は大好きで、私が入っている時はいつもお風呂
の蓋の上で遊び相手になってくれます。
でも、今日で少しこりたかも・・・
Commented by ライスケーキ at 2014-03-07 23:46 x
ただの「息子捜しの旅」じゃなくて、
心あたたまる映画のようですね。
またまた、ジュディ・デンチのファンになりそうです。

我が家に遊びに来たトラちゃんに安売りしていた          いつもより ちょっとさびしいキャット・フード
あげたら そっぽ向かれた。

いつも ゴージャスなカツオ節とかチーズ入りって訳には     いかないのよ。
ネコにも味が分かるのね。
Commented by びなちゃん at 2014-03-08 00:30 x
ひかちゃん、災難でしたね。無事だったからいいけど、笑っちゃいますね。びしょびしょでウチの中をかけずり回ったのだろうか…?それとも、夫様が、その場で救ってくれたかな?
ウチは蓋が動かないように盥だの置いてます。猫にはオンドルのようで気持ちいいんですよね。
そういえば、この間の岩合さんの、テレビ”猫歩き”沖縄の猫たちでしたが、子猫が2匹海を泳いでましたよ~!
(ニューカマーは、おとな猫です。野良の子猫は5月くらいからデビューします。泣)
Commented by すっとこ at 2014-03-08 06:09 x
なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんと!

びなちゃんさん宅の外猫さんが虹の橋を渡り(合掌)
まるでその入れ替わりのように新入りさんが2匹ですか。
これから春に向かうので外猫さん達に優しい季節ですね。

・・・おっと!
すっかり”ひかちゃんを巡るねこにゃんブログ”のように
なってしまいました。

話を映画に戻すと 予告編の「息子が肥満になってたらどうしましょう」
「なぜ」
「だってアメリカ育ちだもの!」
には笑いました。
「あのポーション;量ですよ!」だって。

確かに凄いポーションの国ですが。
その国から力強くポチッ。

びなちゃんさん、決して期待は裏切らない映画ですよん。

Commented by Mtonosama at 2014-03-08 09:44
♪ライスケーキさん

ジュディ・デンチのファンならば追っかけもしないし、
せいぜい映画見に行く程度。自分も周囲もしあわせです♪

へぇ、トラちゃん、ぜいたくですね。
ひかちゃんならなんでも食べますよ(^_-)-☆
Commented by Mtonosama at 2014-03-08 09:48
♪びなちゃんさん

ひかちゃんはしばし呆然としていたらしいです^m^
傷心をいやすため、コタツの中で暫し寝ていたらすっかり
元気回復!

へぇ、そのシーン観なかった。
子猫に限らず、猫が泳ぐところって観たことないです。
象と白クマはあるけど。
猫もやはり犬かきですよね。象も白クマも犬かき上手ですよ~。
Commented by Mtonosama at 2014-03-08 09:53
♪すっとこさん

そうそう、ポソッと面白いこと言うんですよね。
あと、マーティンが借りてきた高級車に変なお守りくっつけて
イヤな顔されるところも好き。
遠足気分でお菓子いっぱい買いこむのは世界共通なんだな、
って楽しくなりました。
もう一回観たいな♡

でっかいポーションの国からのポチッ、しっかり受け止めました。
ありがとうございます。
Commented by びなちゃん at 2014-03-08 20:06 x
今日有楽町に、ダラスバイヤーズクラブ、観に行きましたよ。満席でした。
くま様とすっとこ様の情報で予習をしていたお蔭様で面白く観させていただきました。
製薬会社や、国、世間との戦いを続ける…エイズでなくてもそういう状況って多すぎますよね。
ロンがこのあと7年生きたエピソードも、知りたかったなあ。
来週はデンチ様の映画行きますね。
Commented by Mtonosama at 2014-03-09 06:41
♪びなちゃんさん

お~、いらっしゃいましたか!
満席ですか。さすがアカデミー賞です。そして、さすが有楽町。

ロデオの陰でのpi~~~~~~~からの展開、すごいですよね。
マシュー・マコノヒー、良い俳優です。
レイヨンも良かったでしょ?

来週はデンチさま、「そして夜は明ける」も観なくちゃね。
良い映画が目白押しですから、忙しくなりますよ。
そうそうニューカマーの猫さんたちもいるし。

お疲れにならないように(^^)/
Commented by よもぎ at 2014-03-15 18:53 x
本日、川崎でデンチ様に会ってまいりました♪

いい映画でした。 デンチ様も、共演のクーガンさんも、まるで本人が演じているようなピッタリ感。
悲しいストーリーのはずですが、ユーモアがあって、それがまた
心をゆさぶるのですね。
いつも雨上がりか雨降りかという湿気の多いアイルランドの風景も
とてもすてきでした。
びっくりしたのは、私が住んでおります神奈川県の町の一角に似ていることでした。
ストーリーの意外な展開にも驚きました。 (実話の強さですネ!)
シーン毎のいろいろな映像が、いつまでも目に残るようなすばらしい映画でした。(^0^)/ 

Commented by との at 2014-03-15 20:30 x
いらっしゃいましたか!?
気に入っていただけたようでうれしいです。
私もアイルランドのあの空気感がとても好きです。

え?お住まいの場所がアイルランドに似ているんですか?
アイルランドへはなかなか行けそうもないので、よもぎさん
のお住まいの神奈川県の一角をぜひ訪れてみたいものです。

良い映画ですよねぇ。私ももう一度観たいわぁ。
よもぎさんのコメントを読んでいてまた思い出してしまいました。
Commented by びなちゃん at 2014-03-15 20:58 x
私は新宿でデンチ様に会ってまいりました(よもぎ様、まねっこ許されませ)

後半、アンソニーのパートナーの家でのシーンで、(ネタバレになるので言えませんが、くま様分かりますよね。)鳥肌が立ちました。くるりと場所が一巡する所…周りの人たちも息をのんだ気配…実話ならではの説得力でした。
イギリスのユーモアと、役は庶民のオバちゃん、デンチ様の魅力の映画でした。

蛇足ですが、すっとこ師匠が、この間、キム・ノヴァクの、アカデミー賞のプレゼンターをした、キム・ノヴァクが見ものだったと言ってましたよね。遅ればせながら、Wowwowで観ました。ひょえ~でした。会場に来てる人々も、言葉が無かったんじゃないかと…くま様に見せてあげたい…(解約しちゃったんですよね)
いずれにしても、次は何を観に行こうかなっとです。ありがとうございました。







Commented by Mtonosama at 2014-03-16 06:31
♪びなちゃんさん

ね、ね、良いでしょ?

ただの息子捜しに終わらないんですもんね。
そして、いろいろわかった時のデンチさま、
さすがリケジョ・元看護士のフィロミナさんですよね。
普通のおばさんじゃないです。

周りの人も息をのみましたか!?
いいなぁ、臨場感あるご報告ありがとうございます。

キム・ノヴァック。いずれ、どこかで拝見したいと思います。

次回作もいろいろ春の新作が目白押しですよ。乞うご期待でございます♪