ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌 -2- Inside Llewyn Davis

インサイド・
ルーウィン・デイヴィス

名もなき男の歌 -2-

Inside Llewyn Davis

f0165567_5383478.jpg

Photo by Alison Rosa (C)2012 Long Strange Trip LLC


時代は1961年。
1961。
表から見ても1961、裏から見ても1961。版木に彫るには便利な年号です。

「ライ麦畑でつかまえて」出版からちょうど10年経った年です。
公民権運動が起こる前の時代で、ベトナム戦争も起こっていないし、学生運動もまだ始まらない時代。
黒人も表舞台には見受けられません。遠い昔です。

本作ではその遠い昔1961年のNYのフォークシーンが描かれています。

紫煙が立ちこめるカフェ・ガスライトの小さなステージでギターを弾くシンガーを
客は姿勢を正して見つめ、聴き入っています。
う~ん、真摯な姿です。
どこかで見た光景だな、と思ったら、60年代後半の日本のジャズ喫茶でした。

と、それはさておき、

60年代初頭、NYの反体制的で政治意識の強い若者たちは
地方に伝わる民謡やブルースなど民衆の歌(=フォークソング)を発掘して歌うことで
新しい音楽シーンを作り出そうとしていました。
アーティストも聴き手もとってもまじめな時代です。

さあ、どんな映画なのでしょう。
そして、はちみつ色の猫はどんな風に登場してくるのでしょうか。


f0165567_5361695.jpg


ストーリー
グリニッジ・ヴィレッジのカフェ・ガスライト。ルーウィン・デイヴィスが歌っている。
ステージを終え、店主から友人が待っていると告げられて店の外へ出た彼、
いきなり見知らぬ男にぶちのめされた。

猫に起こされて目を覚ますと、そこはゴーファイン夫妻のマンション。
ルーウィンは泊めてもらったお礼のメモを残して部屋を後にする。
ところが、彼と一緒に夫妻の飼い猫もするりとドアの外へ。
無情にも背後で自動ロックされるドア。
仕方なく彼は猫とギターと荷物を抱えて街へ出た。

家のないルーウィンは友人宅を転々とする身だ。
荷物の他に猫まで連れて、ミュージシャン仲間のジーンとジムのアパートを訪れた。
だが、ジーンは彼に腹を立てている。
彼女、ルーウィンと浮気をした際に妊娠してしまったのだ。
中絶費用を出すことを約束はしたが実は一文無し。
レコード会社に出向き、なんとか印税40ドルを入手する。
悪いことは重なる。ゴーファイン夫妻の猫がジーンのアパートから脱走してしまった。
そんなルーウィンにジムからの仕事の誘い。
だが、それは彼が最もやりたくないポップソングのレコーディングだった。
背に腹は代えられない。報酬は印税なしの200ドル。

舗道を行くゴーファイン夫妻の猫を確保し、夫妻の家を訪れるルーウィン。
「ムサカを食べていかない?」と誘われるまま、ホームパーティに参加。
歌を歌わされ、「俺は遊びで歌っているんじゃない。生活のためなんだ!」とキレてしまった。
夫妻を怒らせた上、連れてきた猫も夫妻の飼い猫でないことがわかり、
またまたルーウィンは猫とギターと荷物を抱えて街へ出る……


f0165567_5174555.jpg

60年代初頭の空気感。
たかだか50年ちょっと前のことなのに、もうはるか大昔のような気がします。
(いや、50年前って、ちょっとどころか相当に昔か)

そんなセピア色のスクリーンの中で
「俺は生存するためだけに生きてるんじゃないんだよ」と姉に叫ぶルーウィン。
と、「あらそう?あなたの世界じゃどうか知らないけれど、みんな生存するために生きてるのよ」
青臭いルーウィンに対して、生活者である姉は冷静です。
身に沁みますねぇ。こんなところは半世紀前も今も変わりません。

音楽も社会も変わろうとするちょうどその端境期に現れたルーウィン。
早すぎる登場ゆえに苦労もしました。

が、しかし、
ラストシーンのボブ・ディランを思わせるシルエットと歌声が、
時代は止まってはいないことを実感させます。

そうそう音楽ファンのために一言。
ラストにはディランが一度もレコードに収録したことのない未発表曲「フェアウェル」が流れます。
きっとディランがデイヴ・ヴァン・ロンクに敬愛と感謝を捧げるために、
この曲を本作に使うことを許したんでしょう。
エンドロールではデイヴ・ヴァン・ロンク本人が歌う「グリーン、グリーン・ロッキーロード」も
流れますから、映画館が明るくなるまで席を立たないようにしてくださいね。

あ、猫の名前はユリシーズですが、これって絶対「オー・ブラザー!」から来てると思います。
主人公を演じたジョージ・クルーニーの役名はユリシーズ・エヴェレット・マッギルーだったし、
「オー・ブラザー!」はオデュッセイアを原案にしてました。
さまよえるルーウィン。
移動し続ける主人公はまさにユリシーズそのものでしたから。

ユリシーズ (英: Ulysses) は、古代ギリシア語: Ὀδυσσεύς (ギリシア語: Odysseus オデュッセウス)のラテン語形のひとつラテン語: Ulysseus(ウリュッセウス)を英語化したもの。古代ギリシア世界の英雄であり、ホメロスの『オデュッセイア』の主人公でもある。(ウィキペディアより)




今日もポチッとしていただけたらうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆5月26日に更新しました。いつも応援して下さってありがとうございます☆



インサイド・ルーウィン・デイヴィス
プロデューサー・監督・脚本/ジョエル・コーウェン、イーサン・コーウェン、プロデューサー/スコット・ルーディン、エグゼクティブプロデューサー/ロバート・グラフ、オリヴィエ・クールソン、ロナード・ハルバーン、撮影/ブリュノ・デルボネル、エグゼクティブ音楽プロデューサー/T・ボーン・バーネット、アシスタント音楽プロデューサー/マーカス・マムフォード、録音/スキップ・リーヴセイ、サウンド・ミキサー/ピーター・カーランド、レコーディング・ミキサー/グレッグ・オーロフ
出演
オスカー・アイザック/ルーウィン・デイヴィス、ジーン・バーキー/キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン/ローランド・ターナー、ギャレット・ヘドランド/ジョニー・ファイブ、F・マーレイ・エイブラハム/バド・グロスマン、スターク・サンズ/トロイ・ネルソン、アダム・ドライバー/アル・コーディ
5月30日TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2013年、アメリカ、104分、カラー、英語、字幕/石田泰子、提供/東宝、ロングライド、配給/ロングライド
http://www.insidellewyndavis.jp/

by Mtonosama | 2014-05-26 05:56 | 映画 | Comments(6)
Commented by なえ at 2014-05-27 20:51 x
1961年ってケネディ大統領は、大統領になってたんでしだっけ?社会はまだスクエアーな秩序観があった時代でしょうか?
この主人公の風貌はギター片手に歌を、というより、彫刻やったり
哲学やったりするような感じに見えますが。

歌を歌うにも真面目で真剣だった時代?今の歌は技術的には
とてもレベルは高いんでしょうが、当時の歌及び歌手の方が
訴えてくるメッセージ色が強かったような・・・て、今の歌、あまり
知らない者が勝手なこと言っております。
Commented by ライスケーキ at 2014-05-27 23:29 x
60年代。
もう、50年も経っちゃったんですね。
う~ん、信じられない。

あの頃の歌は良かった。
映画も良かった。

こうして、知らなかった あの頃の歌を聴くのも良いですね。
Commented by すっとこ at 2014-05-27 23:59 x
うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

1961年!

自分はまだ長州の草深い小さな村で
まどろんでおりました。

東京へ出て来て孵化してヒヨっ子になったのが1963年でした。


ああ・・・・

遠い昔になってしまったあの時代。

にゃんこも出てくるし、観てみたい映画ですね!
力強くポチッ!
Commented by Mtonosama at 2014-05-28 06:17
♪なえさん

1961年1月20日にケネディは第35代大統領に宣誓就任しておられますねぇ。Wikipediaによれば。150歳のとのはアメリカに行ったことはないので当時の雰囲気はわかりませんが、おっしゃる通りスクエアだったんでしょうね。

確かに、この主人公、お顔が濃くて、ギターと猫を連れた渡り鳥というよりビートニクの詩人って感じ(知らないけど)。でも、この時代、業界に受け筋のフォークシンガーって髪七三分けのよいとこのボンみたいだったみたいだから、余計に主人公の浮いた感がきわだってましたねぇ。

昔はよかったなぁ。しみじみ・・・
って、そこへいっちゃうんですよね。どうしても。
Commented by Mtonosama at 2014-05-28 06:22
♪ライスケーキさん

50年って半世紀ですよね。すごいな。
1961年はまだまだ都心部にも原っぱなどあり、バッタを追っかけて遊んでいたような時代だけど、この時代も大人は大変だったんだな、とふと遠くを見る想いのとんであります。
Commented by Mtonosama at 2014-05-28 06:29
♪すっとこさん

1960年12月。とのは来年の年賀状の準備をしておりました。いつもは年号はトレぺに写し、反対向きにして彫らなくてはならないのに、1961はそのまんまで良いのです。「わ~い、楽でいいな!」と思ったのを覚えていますが、そんな年はもう二度と訪れることはなく、子どものとのに戻ることもできないのであります。

茶トラは気がいいんですって。
きっとすっとこさんもユリシーズくんが気にいると思いますよ。
力強いポチッをありがとうございました。