パプーシャの黒い瞳 -2- PAPUSZA
パプーシャの黒い瞳
-2-
PAPUSZA
(C)ARGOMEDIA Sp. z o.o. TVP S.A. CANAL+ Studio Filmowe KADR 2013
昨年61歳で永眠したクシュトフ・クラウゼは
2006年に日本公開された『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』の監督です。
この時、共同脚本を担当した妻ヨアンナ・コス=クラウゼは本作では共同監督を担当し、企画もしています。
本作を企画したヨアンナはたまたま高校の恩師からパプーシャのことを聞いたけれど、
パプーシャはポーランドでもあまり知られていません。
『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』もそうでしたが、
クラウゼ夫婦は歴史にうずもれた人に焦点を当てる人たちのようです。
「わたしはあなたたちのことを忘れません」
ポーランドの〈悼む人〉ですね。
http://mtonosama.exblog.jp/23616090/ http://mtonosama.exblog.jp/23627557/
ジプシーというとヨーロッパの人々はあまり良い印象を持たないようですが、
彼らはヨーロッパという定住文化圏を行きかう移動民族。
ヨーロッパの人々にとってジプシーは異文化であると同時に異分子なのでしょうか。
でも、極東の地から見ると彼らのエキゾチシズムはなんとも魅力的です。
クラウゼ夫妻の綿密な調査と偏見のない視線も感じられます。
すべてのジプシーよ
私のもとへおいで
走っておいで
大きな焚き火が輝く森へ
こんな詩を書いたパプーシャのお話です。
ストーリー
1910年 お人形遊びが似合うほど若いジプシー女性が女の子を産んだ。
彼女は赤ん坊をパプーシャ(お人形)と名付ける。
1949年 パプーシャの一族のもとへ、彼らの楽器を修理するポーランド人が
一人のよそ者を連れてやってきた。その男の名はイェジ・フィツォフスキ。
作家で詩人の彼は秘密警察を殴って追われる身。
ジプシーに匿ってもらおうと考えていた。
パプーシャの夫は彼を受け入れるが、パプーシャは悪い予感を覚えた。
と同時に彼が持っている「本」にひきつけられるのだった。
1921年 パプーシャが少女の頃、木の洞に隠された紙をみつけたことがある。
そこにはジプシーたちが悪魔の呪文として忌み嫌う文字が印刷されていた。
だが、パプーシャは文字に魅かれる心を抑えることができなかった。
1949年 ジプシーとの暮らしにも馴染んできたイェジ・フィツォフスキ。
その夜はジプシー・オーケストラの演奏会だった。
そこへ警官たちが現れてジプシーの男たちは拘束される。
喧噪の中、パプーシャがつぶやいた言葉にイェジは驚く。
「君は詩人だ!」
冬が来て、ジプシーたちは冬籠りの家を借りようと村へやってくる。
だが村人たちはジプシーに家は貸せないという。
ジプシーを強制的に定住させる政策が施行された。
馬車で旅をするな、子どもは学校に行かせろ、みんな職につけ・・・
そんな時、イェジ・フィツォフスキの逮捕状が取り下げられた。
だが、パプーシャにとってそれは彼との別れを意味する。
彼はパプーシャに万年筆を渡し、詩を書いて送るようにと言って去っていった……
パプーシャの人生
フィツォフスキとの出会い
詩作
夫との出会い、死別――
時代とそれぞれの人生が交錯しながら展開する叙事詩のような作品です。
ポーランドの原野を進む馬たちの逞しい肢。
寒さをしのぐ家を求めて雪の中を歩くジプシーの一団。
美しいモノクロの画面に展開する一大叙事詩にひきこまれました。
まだお若く、これからも素晴らしい映画を届けてくれたかもしれないのに、
クシュトフ・クラウゼ監督の死は残念です。
終
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パプーシャの黒い瞳
監督・脚本/ヨアンナ・コス=クラウゼ、クシュトフ・クラウゼ、製作/ランブロス・ジオタス、アルゴメディアSP.ZO.O.、撮影/クシシュトフ・プタク、ヴォイチェフ・スタロン
出演
ヨヴィタ・ブドニク/パプーシャ、ズビグニェフ・ヴァレリシ/ディオニズィ、アントニ・パブリツキ/イェジ・フィツォフスキ、アルトゥル・ステランコ/チャルネツキ、パロマ・ミルガ/パプーシャ(少女期)
4月4日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2013年、ポーランド、ロマニ語&ポーランド語、字幕翻訳/松岡葉子、配給/ムヴィオラ
http://www.moviola.jp/papusza/