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殿様の試写室

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沖縄 うりずんの雨 -2- The Afterburn


沖縄 うりずんの雨
-2-
The Afterburn

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©2015 SIGLO


沖縄。
実はまだ行ったことがありません。

行けばもっといろいろ見えてくるのだと思います。
でも、本作『沖縄 うりずんの雨』を観て、
沖縄の歴史、沖縄地上戦の悲惨さ、現在の状況――
こんなにも自分は知らなかったのか、ということがわかりました。

第1部「沖縄戦」
沖縄地上戦で戦い、生き残った元米兵、元日本兵、そして、
現地徴用され戦闘に駆り出された沖縄の人々の証言と
新たに発掘した米軍撮影の資料映像から成り立っています。

当時20歳だった元米陸軍砲兵ドナルド・デンカーは語ります。
「(沖縄の一般人のこもる)洞穴に向って『出てこい』と叫ぶと、1人の男が何回も私のピストルを指差し、
次に自分の頭を指した。彼は頭を撃ってほしがった――」

当時25歳の元日本軍兵長の近藤一は
「我々は大和民族で、沖縄の人とは全然違うんだと、兵隊の頭の中に入ってしまった――」
旧日本兵が沖縄住民に行なったことが見えてきます。
彼は90歳を越した今も毎年うりずんの頃になると沖縄へ供養のためにやってきます。

当時17歳だった元梯梧学徒隊の稲福マサさんは捕虜になって収容される道中、
死体で敷き詰められたようになった道を行く様子を語りました。

アメリカと日本の双方から差別された沖縄の悲惨さが伝わってきました。

第2部「占領」1945年6月23日沖縄戦の終結を待たず、
米軍の沖縄占領政策と基地建設は4月1日の沖縄本島上陸直後から始まりました。
当時のアメリカのニュース映像がそれを伝えます。

1953年生まれの写真家石川真生さん。
70年代ベトナム戦争の頃、黒人兵士とつきあっていた彼女は
白人対黒人の感情と彼女の沖縄人としてのプライドそして本土に対する不信感に
通底するものを感じた、といいます。

第3部「凌辱」
読谷村での集団自決、米軍基地の存在によってもたらされる沖縄の人々、
特に女性たちへの性暴力の実態を描いています。
1995年12歳の女子小学生を強姦した3人の米兵の内の1人の証言は衝撃的です。

女性たちの戦争と平和資料館・池田恵理子館長は、
沖縄は本土に米軍や連合軍が入るのを抑えるための防波堤、
沖縄の捨石作戦について語っていました。

沖縄についてだけではなく、
アメリカ側からも
米軍内での男性兵士による女性兵士への性的暴行の実態について
描かれています。

沖縄の現状、戦争の悲惨さ、女性の受ける性被害―――
知れば知るほど絶望的な気分になります。
しかし、明けない夜はない筈です。

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第4部「明日へ」
辺野古への米軍基地建設をめぐる日本政府の強引さ、
そして、本土の無関心さを訴える声に身が縮まる思いになります。
当時18歳(元鉄血勤皇隊)だった大田昌秀元沖縄県知事は言います。
「アメリカ政府に行きますと『これは日本政府の内部問題だから日本政府とかけあってくれ』といわれます」
「残念ながら日本政府には沖縄を捨石にしてかまわないという発想があります」
最後に彼は
「沖縄をアジア太平洋地域の軍事的要石にするのではなく、
アジア太平洋地域から世界中に、
沖縄の伝統的な平和を発信する島に変えようじゃありませんか」
と締めくくります。

思い起こせば、17世紀には薩摩藩に侵攻され、
19世紀には黒船来航によりアメリカ軍の上陸を見てきた沖縄。

侵略され続けてきたから、今の状態は仕方ないのでしょうか――
そんなことは絶対にない、絶対にそうはさせない、という沖縄の人々の強い意志と
決して諦めることのない持続力を見ることができる作品です。

今、この時代、絶対に知っておかなければならない現実。
これを観たら沖縄を他人事としていることはできなくなります。





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☆6月15日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

沖縄 うりずんの雨
監督/ジャン・ユンカーマン、企画・制作/山上徹二郎、製作/前澤哲爾、前澤眞理子、撮影/加藤孝信、東谷麗奈、Chuck France、Stephan McCarthy、Brett Wiley、音楽/小室等
出演
安里英子、池田恵理子、石川真生、稲福マサ、大田昌秀、近藤一、高嶺朝一、玉城洋子、知花カマド、知花昌一、Douglas Lummis、Leonard Lazarick、Donald Dencker、David Crew、 Bruce Lieber、Cynthia Enloe、 Rodrico Harp、 Morton Halperin
6月20日(土)岩波ホールにてロードショー
2時間28分、カラー、リサーチ/鏑木亜樹、Edward Engel、翻訳/中野真紀子、桜井まり子、大竹秀子、取材協力/佐藤千代子、http://okinawa-urizun.com/

by Mtonosama | 2015-06-15 06:03 | 映画 | Comments(4)
Commented by ライスケーキ at 2015-06-16 16:15 x
今年沖縄に行ってきました。
辺野古も訪れました。
珊瑚礁の青い海、人々が暮らしている街。
そこにドカッと基地があるんですよね。
これ以上何を作ろうと言うのでしょうか。

平和は基地や軍備では築けない。
私の払った税金で 武器は買って欲しくない。
人々の幸せのために使って欲しい。

Commented by なえ at 2015-06-16 23:10 x
戦後ずーっと沖縄の問題は取り上げられては、結局
解決せずにやってきましたね。私たちも知らな過ぎるとは
いえ、それを伝えるメディアの責任や独立性・自主性が
希薄というのもある気がします。

特に最近は政府寄りの報道をする傾向がより強くなって
いるような・・・。そういうなかで、インターネットの
果たす役割は大きいと思います。殿様のようなブログや
ツイッターがどんどん広がることを願います。というか
それを広げるしか方法はおへんのちゃいますやろか。
Commented by Mtonosama at 2015-06-17 06:11
♪ライスケーキさん

沖縄へいらしたのですか?
私は基地というと、昨年福生の基地を見たのですが、
まあ、なんと巨大なことでしょう!
街中にどかんとありました。
沖縄では嘉手納もどこも基地は街中に陣取っているんでしょうね。

最近引越したこの地では上空を米軍機が飛ぶのですが、
そのときテレビの音がまったく聞こえなくなってしまいます。
そのたびに沖縄ではもっとすごいのだろうなぁと思います。
Commented by Mtonosama at 2015-06-17 06:17
♪なえさん

暖かい言葉、ありがとうございます。

政府の意向、最近のアジア情勢などから
沖縄の基地問題に「仕方ないんじゃないの」という見方が
あるようにみえなくもないのですが、
そんな風にして過去沖縄は捨て石にされてきたのでしょうね。

戦後70年を機に自分の仲の沖縄観を見直すためにも
是非多くの方が観てくださることを願います。

な~んて、まじめになってしまったけど、
やっぱまじめな問題ですよね。

ありがとうございました。