わたしの名前は・・・ -2- je m’appelle hmm….
わたしの名前は・・・
-2-
je m’appelle hmm….
(C)Love streams agnès b. Productions
さ、そんなア二エス・ベー、
いえ、アニエス・トゥルブルが撮ったのはどんな作品でしょう。
映画好きなデザイナーの隠し芸的なものでしょうか。
決してそんなことはないんですよ。
本人は
「私がこの映画を撮ったのは
洋服以外の方法で自己表現をする必要性を感じて
それが頭から離れなかったからです」
と言っていますし、
実は2000年代の初め頃から2~3分の短い映画を撮っていたそうです。
本作で監督も脚本も撮影も美術も担当しているのには
こんな素地があったからなんですね。
2日で一気に書き上げたという本作の脚本のきっかけは
10年以上前にル・モンド紙で読んだ記事。
検察官のオフィスでペーパーナイフで自殺した男。
自殺に至るまで、彼には何があったんだろう
と思ったことでした。
ドキドキしますね。
さあ、いったいどんなお話なんでしょうか。
ストーリー
セリーヌは12歳。小さな妹と両親と暮らしている。
時折、一家で祖母の家に遊びに出かけたりもする。
母が仕事で帰りが遅くなり、妹が就寝すると
父はセリーヌを2階に呼ぶ。
呼ばれるままに2階へ行き、何事もなかったかのように
階下へ降りてくるセリーヌ。
ある日、母とスーパーへ買い物に出かける。
学校の自然教育で海に行くのだ。
観光バスまで母に送ってもらうセリーヌ。
ランド県(フランス南部の大西洋に面した県)の海辺。
砂浜と海と空が拡がるだけの場所だ。
クラスメートたちがそれぞれに遊びをみつけ、熱中する中、
セリーヌはひとり砂浜を散策する。
そして、そこにたまたま停まっていたトラックに乗り込み姿を隠す。
眠り込んでしまったのかもしれない。
トラックに現れたのはスコットランド出身の運転手。
この長距離トラック運転手は英語しか話せず、
セリーヌはフランス語しか話せない。
スキンヘッドにタトゥ。
いかめしい体つきながらどこか淋しい目をした彼に
セリーヌは言葉は通じないながらも心を許し、
二人は旅を続ける……
実は、彼女は父親から性的虐待を受けていて
そのことが彼女の人生だけではなく、運転手の人生にも深く関わっていきます。
近親相姦。
とてもおぞましいテーマです。
できれば観たくない。
とのはそう思いましたが、フランスの児童福祉局も同じことを考えました。
担当者は「この作品は作らせない」とまで言い、
実際に撮影は頓挫しました。
その後、その反対していた担当者が退職したことで撮影は再開しました。
父親から受ける行為の意味はわからなくても
決して楽しくはなかった少女。
そのセリーヌがトラック運転手との旅やいろいろな人との出会い・・・
例えば、森の中で踊る白塗りの日本人ダンサーや
イタリア人の放浪の哲学者との出会いの中で
12歳らしさを自然に蘇らせていく様子に安心します。
といっても「森や旅は人を癒してくれる」という映画ではありませんが。
異分野の人にありがちな抽象的で自己満足的な作品かも、
という偏見を見事に裏切ってくれた映画でした。
ただ随所に「ああ、やっぱりデザイナーだなぁ」と思わせるシーンが
点綴されていたところにアニエス・ベーを感じさせました。
タイトルの「私の名前は・・・」je m’appelle hmm….
セリーヌ自身、楽しげにふるまいながらも
トラック運転手との旅をただ天真爛漫に喜んでいたわけではなく、
少女らしからぬ、
とはいえ、やはり12歳の少女らしい思いを表しているのかもしれません。
Hmm
終
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☆10月19日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆
わたしの名前は・・・
監督・脚本/アニエス・トゥルブル(アニエスベー)、協力/ジャン=ポル・ファルゴー、撮影/アニエス・トゥルブル、ジャン=フィリップ・ブーイエ、ゲストカメラマン/ジョナス・メカス、製作/ラブストリームス・アニエスベー・プロダクション、クリストフ・オドゥギ
出演
ルー=レリア・デュメールリアック/セリーヌ、シルヴィー・テステュー/母、ジャック・ボナフェ、ダグラス・ゴードン/トラック運転手、ノエミー・デュクロー/妹、エミール・ゴーティエ/弟、マリー=クリスティーヌ・バロー、亜弥/女性舞踏手、雫境(ダケイ)/男性舞踏手、アントニオ・ネグリ/放浪の哲学者
10月31日(土)渋谷アップリンク、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
2013年、フランス、121分、カラー、一部モノクロ、提供/アニエスベー、配給/アップリンク、http://www.uplink.co.jp/mynameis/
と言うことは、御年74歳。
2012年の撮影と言うことは
70歳位の時の作品でしょうかね。
そのお歳で益々クリエイティヴ、
素晴らしいです。
でも、やっぱり近親相姦の映画
わざわざ 見たくないです。
ま、見なきゃ 語れないんだけど。
世の中 暗いお話しが多いから、
映画の中では ちょっぴり悲しくても。
見おわった後は ホンワカ・元気になりたいです。
74歳なんてまだまだひよっこよ。
私は150歳ですからね。
な~んて言ってもアニエス・b、好きなこと一直線ですごいです。
日曜美術館でニキ・ド・サンファルを見ていたら
彼女もフランス貴族の父に近親相姦されていたんですね。
おデブで晴れやかでカラフルで楽しい彫刻を作った彼女も
”女はこうあるべき”という既成概念と闘ったすごい人だな、と思いました。
あれ、アニエス・bから離れちゃった^_^;
でも、近親相姦って決して許されないDVです。
殿様の名調子も ちょっと湿りがち?な
父娘相姦ですか。
アニエス b それだけの反対に会いながら
これを映画の題材に選んだのは
それだけの 強い意志があったのは
あるいは身近に そういう例を知っていた?
なんとも言えん気分で ポチッ!
なんでしょうかねぇ・・・
自分の体験ということではないらしいのですが、
父子相姦って案外多いことなんですね。
ところで今回は御地でも予告編見られましたか?
ポチッをどうもありがとうございます。
やはりすっとこさんも「わたしの名前は~」って!
つい書きたくなりますよね~!
しかしこの題材、「私がこの映画を撮ったのは
洋服以外の方法で自己表現をする必要性を感じて」
ということだけど、私もそれほど訴えたい「何か」が
あったのかなと思います。
このhmmは英語では「ふ~む、う~ん」とかって
意味だけど仏語ではどういう意味があるんでせうか?
hmm
作中、セリーヌが名前を訊かれて答えたくないもんだから、
je m’appelle hmm….って言うのですわ。
わたしのなまえはチョメチョメ、みたいな、口濁す感じでした。
洋服で自己表現しようにも単価にはねかえってくるんで、
大好きな映画に衣装担当以外で関わって表現してみたかったんでしょうかねぇ。
海岸のシーンに彼女のこだわりが出ていたし、
色彩や小物の扱いにデザイナーらしさを感じましたです。hmm