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殿様の試写室

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殺されたミンジュ -1- One on One


殺されたミンジュ
-1-
One on One

殺されたミンジュ -1- One on One_f0165567_6413336.jpg

(C)2014 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.


韓国の鬼才でありながら、
自国よりむしろ海外で評判の高いキム・ギドク監督。

カンヌ・ベルリン・ヴェネチアの世界三大映画祭を制した監督が贈る
本作『殺されたミンジュ』は長編第20作目となります。

以前、当試写室でご紹介した『アリラン』
http://mtonosama.exblog.jp/17268231/  http://mtonosama.exblog.jp/17280223/
では、脚本・監督・製作・撮影・録音・編集・音響・美術・出演を全て
キム・ギドク監督一人でこなしていました。

『アリラン』の生まれた背景には
自身が監督した『悲夢』に出演した女優が首つり自殺のシーンで
本当に首が締まって、病院に運び込まれるという事件がありました。
これにショックを受け、映画を撮れなくなってしまったギドク監督。
『アリラン』は事件後、山にこもって隠遁生活を送る日々を
自身で撮影し、編集し、製作したドキュメンタリーでした。

そして
第20作目となる本作はある殺人事件をめぐる群像劇。
これまた監督・脚本・撮影・編集・製作総指揮をしたのはキム・ギドク監督一人です。

ま、実際大勢のスタッフを使えばお金もかかりますからね。
って・・・

殺されたミンジュ -1- One on One_f0165567_650141.jpg

なんといっても奇才、そして鬼才。
彼の送りだす作品には毎回びっくりすることばかりです。

キム・ギドク監督
1960年生まれ。
パリでアートを学んだ後、韓国に戻り、脚本家としてキャリアをスタート。
1996年『鰐~ワニ~』で監督デビュー。
2004年第54回ベルリン国際映画祭で『サマリヤ』が銀熊賞受賞。
同年第61回ヴェネチア国際映画祭で『うつせみ』銀獅子賞受賞。
2011年カンヌ国際映画祭で『アリラン』が〈ある視点部門賞〉受賞。
2012年第69回ヴェネチア国際映画祭で『歎きのピエタ』金獅子賞受賞。
http://mtonosama.exblog.jp/19794903/  http://mtonosama.exblog.jp/19818003/

うわあーーーっ!と悲鳴を上げて目を覆いたくなるシーンもあれば、
キャラクターの個性に目を奪われることもあり、
映画の背景が心象風景として目と心を支配することもあり、
「おっと、この展開はなんなんだ!」と目を瞠ることもあり、
キム・ギドク監督には驚かされることばかりです。

本作を観るとき、ちょっとイヤなことがあったのですが、
怖くて痛そうなシーンになると、
タオルハンカチを握りしめ、体全体に力を入れて観ている内に
イヤなことなどどこかへ行ってしまいました。

拷問や痛い場面を見入る自分が特殊なのか、
映画の持つエネルギーなのか。

断固、
作品の持つエネルギー、力強さだと思います。

殺されたミンジュ -1- One on One_f0165567_6514934.jpg

監督からのメッセージがあります。

「映画の冒頭で殺される女子高生オ・ミンジュとは誰なのか?
観客それぞれの“殺されたオ・ミンジュ”が存在するだろう。
それがどんな人物であれ、観客はこの映画を見終えるために
自分自身のオ・ミンジュを存在させなければならない。
それから結末を受け入れるか、あるいは、否定することになるだろう。
もし殺された者の気持を知っているなら、この映画を観る必要はない。
きっと理解してくれる人がいるだろうと信じて、この映画を撮った。
理解してもらえなくてもどうすることもできない。
これが現状で、現在の私たちの姿なのだから」


なんか・・・
こんなメッセージを送られると構えてしまいますよね。
そう、本作は十二分に構えてご覧ください。

そしてミンジュとはなにか・・・

続きは次回で。
乞うご期待でございます。



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☆2016年1月17日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆


殺されたミンジュ
監督・脚本・撮影・編集・製作総指揮/キム・ギドク
出演
マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン、チョ・ドンイン、テオ、アン・ジヘ、チョ・ジェリョン、キム・ジュンギ
2016年1月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開
2014年、韓国、122分、カラー、R18、字幕翻訳/根本理恵、提供/キングレコード、太秦、配給/太秦、http://www.u-picc.com/one-on-one/

by Mtonosama | 2016-01-17 06:57 | 映画 | Comments(6)
Commented by なえ at 2016-01-18 22:53 x
何かすごいメッセージですね。これは人間の内面に対して言ってるのか
それとも国に対して政治的に発したものなんでしょうか。

知り合いからの年賀状に「今年7月の参院選で、自民・公明が10議席程多く獲得したら、自民党の改憲提案が積極的に展開されそう」と。え?たった
10議席?ファシズムに包囲されつつある!よその国の話やないです!

ちょっとまたご無沙汰でしたが、仕事・京都市へのパブコメ書きのほか
とらが一晩帰って来ず、オロオロしてました。出してる猫は迷子になる
はずないので、交通事故にあったのか何かでケガをして身動き取れないのかと心配が募るばかり。どこで何をしてたやら。帰って来た夜は妙に
おとなしかったです。

八尾は「オンドレ、何抜かしけつかる!」という御地であります。そこの
方からすれば、どれも正統派に聞こえるかも(^_^;)
Commented by Mtonosama at 2016-01-19 10:20
♪なえさん

お知り合いの年賀状、怖いですね。本当によその国の話じゃないです。
ひとごとのような顔してると大変なことになります。

とらさん、どこに行ってたのでしょう。妙におとなしかったって・・・
こういうとき本当に猫に口がきけたらと思いますね。

八尾というのは要するに河内ってことですか?
おんどりゃ~の世界ですか^_^;
Commented by すっとこ at 2016-01-19 23:32 x
うううううううううううううううううううむ!

「観客それぞれの オ・ミンジュが存在するだろう」

と言うのは

古くは フローベルの「ボヴァリー夫人は私だ」
というのと 通じる?

観る者に ある覚悟を迫るような映画ですのう。

気力体力充実したさせて 観に行きたい!

ミンジュに代わって 力強くポチッ!!
Commented by Mtonosama at 2016-01-20 13:32
♪すっとこさん

ぜひ気力体力充実させて観てください。

ここんとこ風邪気味で気力も体力もなくして、その上、PCまでが逆らって
くださったのでいつもより7時間遅れの更新となってしまいました。

力強いポチッをありがとうございました。

ボヴァリー夫人より^_^;
Commented by kogarinta at 2016-02-02 13:05
こんにちは。
理由や目的を知ることなしに、疑問も持たずに命令だから…と遂行する任務。
恐ろしい…けれど、実際にこういうことの繰り返しが戦争などへの突入を無感覚にするのかもしれませんね。
TBさせていただきます。
Commented by Mtonosama at 2016-02-02 15:23
♪kogarintaさん

こんにちは。
『ハンナ・アーレント』でも同じようなことが描かれていましたね。
自分がなくなってしまうということがとてもおそろしいです。
TBありがとうございます。

by Mtonosama