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殿様の試写室

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エリザのために -2- Bacalaureat


エリザのために
-2-
Bacalaureat

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(C)Mobra Films - Why Not Productions - Les Films du Fleuve – France 3 Cinema 2016


なんだかなあ。

革命の後、必ずしも良い社会が実現されはしない――
ということは過去の歴史から知らない訳ではないけれど、
約30年前、あれだけの高揚を経て生まれ変わったのに、
人も社会も、基本、何も変わりはしなかったのか。

なんだかなあ。

などと嘆いてみても始まりません。
まずは、どんなお話でしょう。

ストーリー
ある朝
勤務医のロメオは体調の悪い妻に代わって朝の支度をし、
娘エリザを学校へ送っていった。
イギリス留学を控えた娘に明日の卒業試験について助言し、
学校の手前で車から降ろす。

娘を送った後、ロメオは浮気相手の英語教師サンドラの家へ。
彼女とベッドにいた時、エリザが暴漢に襲われたという電話が入る。
病院に駆けつけると妻は既に来ており、
両親の前でエリザは泣き崩れる。
大事には至らなかったが、彼女の動揺は大きく、
卒業試験に影響を及ぼしかねない。

ロメオの友人でもある警察署長は必ず犯人を逮捕すると約束する。
そこへ副市長が肝硬変のため、ドナーを探していると連絡が。
ドナー登録者リストは国の管理だが、署長は既に話をつけており、
後はロメオが手術の順番を早めることができるかどうかだという。

明けて試験当日
ロメオは学校へ行き、事件を理由に娘にチャンスをくれないか、と試験官に交渉。
その後、年老いた母を訪ね、エリザの留学の話をする。
母は女の子一人を外国へ行かせることに反対していた。
ロメオは言う。
「この国では何一つ自由になることはなく、何も変わらない。
何もかもがコネだ。エリザはコネでうまくやるタイプじゃない。
だからこそ彼女には留学が必要なのだ・・・」

署長は部下に命じ、その日受けたエリザの試験結果を持ってこさせる。
結果は10点満点で8点。このままではケンブリッジに留学できない。
ロメオは娘のために副市長の手術を早めるという交換条件をのむことに……

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1991年の民主化に期待して妻と帰国したロメオでしたが、
自分たちの力で国を動かすという夢は実現しませんでした。
そして、行われていることは旧時代と変わらないコネや不正。

それを憎みながら、娘のために同じことをする父。
なんだかなあ。

夢も理想もそんなに簡単に潰え去ってしまうものなのでしょうか。

ムンジウ監督が本作のテーマを思いついたのは
ブカレスト市内で実際に起きた少女強姦事件でした。
少女は強姦されるまでの30分、雑踏の中を犯人に引きずり回されていたのに
誰も止めようとする人はいなかったそうです。
この事実こそ、私たちが現在どんな社会に生きているかを語っています。
個人ではなく集団としての解決力を持つ社会こそが本当の社会だと監督は言います。
社会の中でいかにして子どもたちを育て、社会の責任を子どもたちに教えていくか――
そういう視点で映画を作っていると48歳のムンジウ監督は語ります。

ルーマニアというあまり馴染みのない国の映画ですが、
内包する問題は私たちが抱えるものと同じなのかもしれません。

それにしてもあれだけの歴史を経験しながら
以前と同じことを繰り返している人間の弱さや愚かしさがあらためて悲しくなりました。







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☆2017年1月29日に更新しました。いつも応援して下さってありがとうございます☆



エリザのために
監督・脚本/クリスティアン・ムンジウ、撮影/トゥドル・ヴラディミール・パンドゥル、共同プロデューサー/パスカル・カシュト、グレゴァル・ソルラ、ヴィンセント・マラヴァル、ジャン・ラバディ、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ、プロデューサー/クリスティアン・ムンジウ
出演
アドリアン・ティティエニ/ロメオ、マリア・ドラグシ/エリザ、リア・ブグナル/マグダ、マリナ・マノヴィッチ/サンドラ
2017年1月28日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2016年、ルーマニア、フランス、ベルギー、カラー、ルーマニア語、128分、後援/ルーマニア大使館、配給/ファインフィルムズ、http://www.finefilms.co.jp/eliza/

by Mtonosama | 2017-01-29 04:40 | 映画 | Comments(4)
Commented by ライスケーキ at 2017-01-29 20:01 x
父親の裏工作で エリザは留学出来たのでしょうか。

裏口入学 韓国で問題になっているし、
日本にもありますよね。
天下り なんて言うのも コネだろうし。

それが世間に知れたとき 一番困るのは
本人じゃないかな。

正直者が、正当な評価を受ける世の中でなくては、  腐敗が蔓延してしまいますね。


Commented by Mtonosama at 2017-01-30 06:08
♪ライスケーキさん

お年頃のためか、ついお父さんの立場に自分の身をおいてしまいがちですが、
娘はいつまでも子どもじゃないんですよね。

結構身にしみる映画でした。
Commented by すっとこ at 2017-02-01 01:16 x
うううううううううううううううううう!

自分も殿様と同じに
父親の立場に自分を置いちゃいました。

うううううううううううううううううう。

自分が娘のために出来ることが
患者の順番でズルすることなら

ヤっちゃうかもなぁ・・・。

複雑な思いで ポチッと❣️
Commented by Mtonosama at 2017-02-01 05:57
♪すっとこさん

親の設定した娘の将来が正しかったのか、娘は娘で独自の道を行くものなのか、
どこの国でも年頃の子どもを持った親の心情って同じようなものなんですね。

風邪っぴきで咳をしながら、考え込んでしまいましたわ。
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