ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

未来よ こんにちは -1- L’avenir


未来よ こんにちは
-1-

L’avenir

未来よ こんにちは -1- L’avenir_f0165567_7144735.jpg

(C)2016 CG Cinema・Arte France Cinema・DetailFilm・Rhone-Alpes Cinema


「人生は欲望があれば幸福でなくても
期待で生きられます。
幸福を手に入れる前こそ幸福なのです」

とまあ、これは映画の中で主人公の哲学教師が
生徒たちに読み聞かせる言葉ですが、
ジャン=ジャック・ルソーの小説「ジュリーあるいは新エロイーズ」の
一説だそうです。

わかったような、わからないような――
でも、確かに幸福になりたいなあ、と思っている時が
一番幸せな時なのかもしれません。
幸せを手にしてしまったら、
今度はそれを失うことが怖くて不安になってしまいますものね。

いえ、今回上映する『未来よ こんにちは』は
哲学のお話でも、幸福論のお話でもなく、
人生には何が起こるかわからないよ、というお話。
って、
それじゃあ身も蓋もないか・・・

未来よ こんにちは -1- L’avenir_f0165567_7162475.jpg

主人公は50代後半でパリの高校で哲学を教えているナタリー。
教科書や哲学書も執筆しており、
夫も哲学の教師で、独立した二人の子どもがいます。
高齢の母の世話をしながらも充実した日々を送っていた彼女ですが――

そんな彼女がバカンスを前に突然
「好きな女性ができたから」と夫から離婚を告げられました。
母は亡くなり、
彼女の著作も時代遅れとなり、
出版社から次回の出版は無いと言われ、
目をかけていた教え子にも去られました。

はっと気づけばもう若くはないし――
それって、悲しいし、辛いし、惨めだし、
彼女もうろたえ、怒り、泣きました。

でも、これ、言ってみれば、誰にでも訪れる人生の日陰の部分。
人生の日向から日陰に足を踏み入れても
とにかく前へ向かって歩き続けるナタリーを演じたのはイザベル・ユペールです。

監督・脚本はミア・ハンセン=ラブ。
本作でベルリン国際映画祭銀熊 (監督) 賞を受賞しました。

ミア・ハンセン=ラブ監督
1981年ドイツ観念論の哲学者を父に、ルソー派の哲学者を母に持ち、パリに生まれる。
科学的認識に基づいた真理を尊重する教育を受け、
それは映画作家となった今も重要視しているものだという。
17歳の時、リセの演劇教師から映画オーディションがあることを知らされ、
受けにいったのがオリヴィエ・アサイヤス監督の『8月の終わり、9月の初め』(’98)。
アサイヤス監督こそ後に彼女のパートナーとなる人物だった。
2000年アサイヤス監督作品『感傷的な運命』に出演し、
本格的に演技を学ぼうとフランス国立高等演劇学校に進学。
だが、映画を作る側を選び、3年後には同校を止め、
映画批評を執筆しつつ、短編映画を発表。
2007年には『すべてが許される』で長編デビュー。
2009年第2作『あの夏の子供たち』は
http://mtonosama.exblog.jp/13454680/ http://mtonosama.exblog.jp/13485853/
カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、審査員特別賞を受賞。
2011年第3作『グッバイ・ファーストラブ』はロカルノ国際映画祭で特別賞を受賞。
フランス映画界における新たな才能としてあらためて評価された。
2014年第4作『EDEN/エデン』では実兄でありDJのスヴェンと共に
1990年代のフランスのクラブ・シーンを描いた。
本作ではベルリン国際映画祭銀熊(監督)賞を受賞し、フランスを代表する監督になった。

そっか。両親が哲学の先生だったんですね。
本作の主人公夫婦が哲学教師という設定が腑に落ちました。
『あの夏の子供たち』は映画プロデューサーが主人公の映画でしたし、
自分の体験をどこかに織り込む監督なのでしょう。

それにしても35歳にしてフランスを代表する監督ですからね。
すごいなあ。

続きは次回まで乞うご期待です。



今日もポチッとお願いできればうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓

にほんブログ村
☆3月18日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆


未来よ こんにちは
監督・脚本/ミア・ハンセン=ラブ、撮影/ドニ・ルノワール、製作/シャルル・ジリベール
出演
イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・コリンカ、エディット・スコブ
3月25日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ・有楽町ほか全国順次ロードショー
2016年、フランス・ドイツ、102分、カラー、日本語字幕/寺尾次郎、配給/クレストインターナショナル、http://crest-inter.co.jp/mirai/

by Mtonosama | 2017-03-18 07:23 | 映画 | Comments(4)
Commented by なえ at 2017-03-19 22:34 x
フランスの高校って授業で哲学があるんですか?
すげえ~というか、さすが~というか。
日本では受験に関係ない!と切り捨てですよね。

欲望と言うとナマナマしいけれど、希望があれば
人間は生きられるんでしょうね。
でもその希望を打ち砕くようなことが次々と起こったら?
心の準備をしておかなくては。

え?吉永さんは1日1kmも泳がはるの?すご~い!
1日1km歩くのも面倒なのに。毎日プールに通うの
も大変。家にプールがあるのかな?

ひかちゃんに伝言お願いします。和解条項の「協議で解決する」というのたこ坊主は了承したのかしら?という質問ですが、その箇所、弁護士が「解決する《努力をする》」と書き加えとりましたわ。

Commented by Mtonosama at 2017-03-20 06:22
♪なえさん

フランスでは高校どころか幼稚園でも哲学を教えてますよ。以前、当試写室でも幼稚園児が哲学するドキュメンタリーを上映したことがあります。幼稚園から哲学しているお国柄でもル・ペン国民党首なんて人が力持っちゃったりするんですね。あ、これは哲学とは関係ないのかな。
私は倫社が好きだったけど、受験科目に倫社はなかったですよね。

吉永さんのいつまでも老けないお姿は水泳の賜物でありましょう。習慣になってしまうとプールまでの道中は気にならないんじゃないですかねえ。私も必死に15分チャリ漕いでプールに通っています。吉永さん、頑張ろうね♪

「協議で解決する努力をする」・・・ふ~む



Commented by ライスケーキ at 2017-03-20 21:58 x
仕事、夫、家族…。
充実していた ナタリーにとって、
人生はかなりキビシイですね。

彼女 これからの人生を
どう切り開いて行くのでしょう。
いくら哲学勉強していても
どうにもならない。
彼女の人生再逆転に期待してます。
Commented by Mtonosama at 2017-03-21 05:44
♪ライスケーキさん

生きてる限り、なんとかなる・・・
安直ですが、そう思います。

まずは今日をどう生きるか、
あまり先を考えないことにします。

by Mtonosama