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『わすれな草』マルテ・ジーヴェキングさん来日


『わすれな草』
マルテ・ジーヴェキングさん来日

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(C)Lichtblick Media GmbH


4月16日、赤坂の東京ドイツ文化センター
またの名をオーアーゲー(ドイツ東洋文化研究協会)
通称ゲーテ協会で
「認知症にやさしい」生活圏とは――
家庭及び地域における認知症との向き合い方について
と題したパネル・ディスカッションがありました。

ここに
『わすれな草』のダーヴィット・ジーヴェキング監督が
http://mtonosama.exblog.jp/27720980/
http://mtonosama.exblog.jp/27729241/
出席するというので行ってきました。

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ところが、
監督は家族の急病ということで欠席。
その代り、
監督の父であり、
本作の出演者でもあり、
主人公を一番身近で支え続けた
夫のマルテさんが出席しました。

他のパネラーは
若年性認知症デイサービスの創設者・前田隆行氏
認知症の人の認知機能障害に関する研究や
認知症の人を含めた社会環境のダイバーシティ実現
に向けた実践を中心に研究活動を行う研究者・河野禎之氏、
そして、若年性アルツハイマー型認知症の杉本欣也氏と町田克信氏。

若年性アルツハイマー型認知症の方を
拝見したのは初めてなので少し緊張しました。

という感想自体が禁忌になっているのではないか――
少し複雑な気持を拭うことができないまま
お話をうかがっていました。

☆認知症を恐れることはない

お二人は前田隆行氏が運営する
町田市の『DAYS BLG!』という
次世代型デイサービスに通っています。
前田さんは
「認知症は厄介ではあるが、恐れることはない。
自分なりに対策はとれる」と発言。

「認知症後の人生においては
生活の場がどうあるべきかを考え、
企業も自治体も住みやすい地域づくりを
考えていくべき」
と筑波大学研究者・河野禎之さん。

マルテさんは
「ドイツではこの病気に偏見があり、
友人たちが去っていった」
と語ります。

☆発病後は?

町田さんは
電気エンジニアとして働いていた頃に発病し、
発病後も仕事を続けていましたが、
トラブルはなかったといいます。

杉本さんは発病して
11年経過しましたが、
デイケアのメンバーに囲まれていると
楽しくて仕方がないそうで、
家にひきこもってはいません。
例えば、カーディーラーで洗車したり、
散歩の途中でみつけた
草ぼうぼうの家の草取りをしたりします。

お二人はデイサービスが楽しいということですが、
マルテさんの妻グレーテルさんの場合は
デイサービスが嫌いで、
4年間マルテさんと二人っきりで過ごしました。
認知症になると自尊心が崩壊し、
他者から認められていた部分が消え去り、
本人にも周囲にもつらいことです。

妻の介護に参りかけていた
マルテさんの転機となったのが息子ダニエルの登場。
息子は映画撮影を通じて父を助け、
母の介護もしました。

杉本さんは散歩をし、
町田さんは以前からの趣味である
山登りや無線ハムを続け、
生き甲斐を感じながら暮らしています。

健康な頃のグレーテルさんも好奇心が旺盛で
冒険したり、登山をしたり、バイオリンも上手でした。
しかし、
発病後は何もできなくなってしまいました。
ただ、人間に対する好奇心を失なうことはなく、
誰にでも屈託なく話しかけることはできたそうです。

☆ケアの場から生きる場へ

認知症はひとりひとり症状が違い、
こんな病気だと決めつけることはできません。
だから、家族が認知症になったり、
自分がそうなることを恐れていても始まりません。

社会的弱者も、健康な人も、皆が暮らしやすい社会を研究する
河野さんは認知症に優しい生活圏を作り出すことが必要だといいます。
例えば、交通、仲間、隣人など生活行為に伴う様々なシーンを
優しいものに変えていくこと。

認知症の人が暮らす場所を
ケアの場ととらえるのではなく
生きる場所ととらえ直すこと。
認知症の人が暮らす場は
サービスを受ける場ではなく、
生きている場なのです。

☆目の前にいる認知症の彼女と
新しい気持ちで向き合う


マルテさんは言います。
「アルツハイマーは治る病気ではありません。
だとしたら、周囲の意識を変えることです」
「頭の中のコンピューターに頼らず、
過去のグレーテルは忘れて、
いま目の前にいる認知症の彼女と
新しい気持ちで向き合うことです」
初めて会った人のような気持ちを持って接する――
そうして
「グレーテルとの間に新しい愛の形を発見しました」
非常に印象的な言葉でした。

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『DAYS BLG!』を運営する前田さんも
必要なのは認知症の治療ではなく、
周囲の治療だと言います。
社会の偏見を変えること。
「BLGは認知症当事者と話し、活動するという活動を通じて
気づきのターニングポイントを作り出していきたいと思っています」

私たちは認知症から遠くにいるために
気づけないということなのですね。

良いお話を聞くことができました。

最後に一冊の本をご紹介します。
「認知症になっても人生は終わらない」
認知症の私が、認知症のあなたに贈ることば
著:認知症の私たち
協力:NHK取材班


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わすれな草
監督・脚本/ダーヴィッド・ジーヴェキング、撮影/アドリアン・シュテーリ、編集/カトリン・フォークト、音楽/ジェシカ・デ・ルイジ、製作者/マルティン・ハイスラー、
カール=ルートヴィヒ・レッティンガー
4月15日(土)渋谷ユーロスペース他、全国順次ロードショー
2013年、ドイツ、88分、カラー、字幕/渋谷哲也、
配給/ノーム特別協力:ゲーテ・インスティトゥート/東京ドイツ文化センター、
http://www.gnome15.com/wasurenagusa/

by Mtonosama | 2017-05-07 06:53 | 映画 | Comments(12)
Commented at 2017-05-07 11:27 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Ich at 2017-05-07 15:32 x
素敵な会合に出席なさいましたねー!「わすれな草」は彼の夫の素晴らしさがいつまでも記憶に残る名演でいらっしゃいました(^_^)v
Commented at 2017-05-07 16:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by よっしー at 2017-05-07 16:47 x
とのさま〜、、実は2本足ダンナのおばあちゃんが重度の認知症だったので、両親が苦労しはるのを見ていました。で、その時、認知症の彼女と新しく向き合う、そういう考えにシフトできたたら・・・ひょっとして両親たちの苦しみもあれだったかもなあと思ったです。わすれな草もみてみたいな、、いや、いつかは自分も、、いつになく、真面目にコメントしちゃった!!(汗;)))
Commented by poirier_AAA at 2017-05-07 23:43
認知症に限らないんでしょうね、こういう話って。
どんな状態の人でも、成長や老衰のどんな段階にある人でも、なるべく不自由なく疎外感なく生きられるような、そんな社会が実現できたらいいですよね。

ときどき日本に行くと、すごく怖くなるんですよ。同じ速さで歩けないと邪魔にされるんじゃないか、まごまごしていると舌打ちされるんじゃないか、新しい仕組みがわかってないと置いていかれるんじゃないか、、、
人間なんて、そんなにいつもいついも元気いっぱいで、いつもみんな同じように動けるわけじゃないですもんねぇ。。。
Commented by Mtonosama at 2017-05-08 16:35
♪鍵コメさん

ありがとうございました。大変、参考になりました( ..)φメモメモ
Commented by Mtonosama at 2017-05-08 16:42
♪Ichさん

はい。久々にOAGへ行くこともできました。マルテさんは映画通りのお人柄で、映画にはあらわれない事実もお話してくださいました。認知症については母方の祖母と父方の祖父で身近に見てはいましたが、この病気も人生と同じで、本当に一人一人違うのだなと実感しました。
Commented by Mtonosama at 2017-05-08 16:44
♪鍵コメさん

終わってしまいましたねぇ。おかげさまでじっくり風邪を治すこともできました。
情報をありがとうございます。
Commented by Mtonosama at 2017-05-08 17:16
♪よっしーさん

二本足さんのご両親さま、大変でしたね。
ジーヴェキング夫妻は健康な間はお互い好き勝手なことをしていたのに、
奥さんが認知症になると以前の姿が嘘のように仲良くなっていました。
ドイツだったら施設も整っているとは思うのに、彼女が嫌がるからと在宅で過ごしました。
だから「新しい気持ちで向き合う」という言葉にものすごく説得力がありました。
でも、自分のつれあいがそうなったらできるかなぁ。
いや、それよりも自分がなったときそうしてもらえるかなぁ・・・(-_-;) 
やっぱり、認知症になった人を普通に受け入れてくれる社会であり、地域であってほしい、と思ってしまいました。
あ、私もいつになく真面目になってしまったぞ。
Commented by Mtonosama at 2017-05-08 17:22
♪poirierAAAさん

そうなんですよね。認知症の人だけでなく、小さな子供を持つ人にも、車いすの人にも誰にでも優しい地域であり、社会でないといけないんですよね。この話し合いのパネラーになった大学の先生の話に「そうだよな、なるほどな」と思ったのですが、良い社会を作るって革命的なことなのかもしれないなって気もしてきました。
老いていくのも難しいことですね。でも、認知症って年齢には関係ありませんから、普段から普通に接する場所があってもいいのかもしれません。そうしたら妙に深刻になることもないかもしれませんね。
Commented by すっとこ at 2017-05-08 20:43 x
うううううううううううううううううううう!

【認知症とアロマ」と言うお題を頂いて
講習会をしたばかりです。
アルツハイマー型認知症に効くアロマを
鳥取大学医学部の浦上教授が発表なさっ
てます。
(あれ?この話“忘れな草”の本編の記事の時
書いたんじゃなかったっけか?
うううううううううう自分も認知機能が)

実親義理親 合わせて3人、見事に認知症
です。

色々考えちゃいます。

考えながら ポチッと❣️❣️
Commented by Mtonosama at 2017-05-09 06:15
♪すっとこさん

3人の認知症ですか。うちも義母がここのところ進行中。
義弟夫婦と一泊旅行をしましたが、夫と義弟それぞれに1時間の間に
4~5回電話がかかってきていました。

ホント、考えちゃいますね。
ポチッをありがとうございました。