オリーブの樹は呼んでいる -2- El Olivo
オリーブの樹は
呼んでいる
-2-
El Olivo
(C)Morena Films SL-Match Factory Productions-El Olivo La Pelicula A.I.E
日本ではよく大木に
注連縄をつけ、
白い紙を飾り、
(紙垂(しで)っていうんですって)
神様みたいに
大事にしています。
外国にそういう考えは
ないのでしょうかねぇ?
2000年も自分の土地にある巨木って
とても大事な存在。
売り払うなんてこと
できないと思うんですが。
「そうだよなぁ」
とポール・ラヴァ―ティさんも
思ったんでしょう。きっと。
だから、
この脚本を書き上げました。
夫婦で作った
とってもヒューマンな映画です。
ストーリー
スペイン・バレンシア州の田舎町。
そこの養鶏場で働く20歳のアルマ。
少し気が強く
父親とは口げんかばかりだが、
オリーブ農園を経営する祖父
とは心が通じ合っている。
でも、
その祖父は何年も前から
話すことをやめてしまっていた。
近所の人とも家族とも
孫娘のアルマとすら喋ろうとしないのだ。
それは息子のルイスが
家族で細々と経営するオリーブ農園を嫌い、
スペインの好景気時代に
樹齢2000年のオリーブの大木を
売り払って商売を始めたからだ。
好景気は去り、
経済危機をもろに食らったルイスは
実家に戻るしかなく
父子の関係はギクシャクしたまま。
祖父はついに食事も摂らなくなってしまった。
アルマは考えた。
祖父を救えるのはあのオリーブの樹だけ。
なんとか、あの樹を取り戻さなければ――
アルマの友人たちは
その思いつきを諦めさせようとする。
だが、彼女は
変わり者の叔父アーティチョークや
養鶏場の同僚ラファを口車に乗せ、
友人たちや町の住人たちも
説き伏せてしまう。
ドイツのどこかに移植された
オリーブの樹を取り戻す―――
こんな荒っぽい想いだけで
計画も、金もなく、
ラファにトラックを手配させ、
一路ドイツへ。
だが、その樹の放つ独特なオーラ故、
アルマの友人たちは
その樹がどこにあるかつきとめた。
なんと、
2000歳のオリーブは
デュッセルドルフの環境企業の
ロビーにあったのだ。
一方、食事を摂らなくなった老人と
樹齢2000年のオリーブの樹を
元の場所に戻そうという孫娘のニュースは
ソーシャル・ネットワークを通じて
ヨーロッパ中を駆け巡っていた。
デュッセルドルフに到着した3人。
だが、オリーブの樹を返そうと
3人を待ち受けている人などどこにもいない。
アーティチョークとラファは
ここに来て初めてアルマが
嘘をついていたことを知る。
が、しかし、
この挑戦に乗り出したのは
自分たちだけではないことも知ったのだった……
スペインからドイツ・デュッセルドルフまでの
ロードムービーです。
祖父と孫娘の深い絆。
それはこの地に生きてきた農民たちの
血流を物語るものでもありましょう。
さらに
家族愛を語り、
その背景に厳然と存在する社会問題にも
目を向けながら、
人が生きるには何が大切なのか。
そんな
昔から変わらない
スローで温かい存在を
大地と自然を通じて教えてくれる
心温まる映画でした。
終
オリーブの樹は呼んでいる
監督/イシアル・ボジャイン、脚本/ポール・ラヴァ―ティ、製作/フアン・ゴルドン(モレナ・フィルムズ)、共同製作/ミヒャエル・ヴェバー、ヴィオラ・フューゲン(ザ・マッチ・ファクトリー・プロダクションズ)、撮影/セルジ・ガジャルド
出演
アンナ・カスティーリョ/アルマ、ハビエル・グティエレス/アーティチョーク、ペップ・アンブロス/ラファ、マヌエル・クカラ/祖父ラモン、ミゲル・アンヘル・アラドレン/父ルイス・ミゲル
5月20日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2016年、スペイン、99分、字幕翻訳/安藤里絵、配給/アット エンタテインメント
http://olive-tree-jp.com/
‥‥と、つい腹が立ってしまいました
オリーブ、元の場所にもどせるといいです。
いま農家が苦しいというのもわかるのですけれど。。。
良いですねぇ。スペインにいらしたのですか?
私はスペインを通り越してポルトガルへ行ってしまいました。
スペインは内乱後なかなか困難な時期が続いたのに、
あの日々がなかったかのように明るく美しい国ですね。
一度行きたいです。でも、暑いんだろうな。
そうなんですよ。映画の中でこのドイツの企業はロゴにもこの樹を使っているんですよね。
環境を大切にするドイツへの痛烈な皮肉です。
でも、ヨーロッパでの上映でオリーブがロビーに飾られたシーンやドイツへの嫌味で一番笑ったのはほかならぬドイツ人だったんだそうです。
祖母の家の跡地がビルになり、祖母の大きなクスノキが「この地区の守り神です」とかいう札をつけて場所を変えて聳え立っていました。生かしてくれてはいるんだろうけど、あざといものを感じて悲しくなりました。地区の守り神でもなんでもなくおばあちゃんのクスノキなんですから。ってわがままでしょうかねぇ・・・
なんか 一旦 この2000歳のオリーブの樹が
BONSAIに見えてしまったら
日本の盆栽も
「樹を苛め抜いて創る」らしいので
なんとも言えん気持ちになってしもうた。
取り敢えず オリーブオイルでドレッシング
を作ろう、と。
シャカシャカしながらポチッとな❣️❣️
日本の松の木は岩がゴツゴツしたとんでもないところに生えていますよね。登山をしても「おお、ずいぶんけなげに、厳しいところに生えておるなぁ」と声をかけたくなることもあります。あれは根っからのM気質の木々なのだろうか。
吉原ッパの消滅はショッキングな出来事でした。
あれほどトメさんのいる風景を変えてしまった事件はありませんものね。
大きい木はなかったけど、どの木もどの草も存在感を放っていたのにな。