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殿様の試写室

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ヒトラーへの285枚の葉書 -1- Alone in Berlin


ヒトラーへの
285枚の葉書

-1-

Alone in Berlin

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(C)X Filme Creative Pool GmbH / Master Movie / Alone in Berlin Ltd /
Pathe Production / Buffalo Films 2016



歳をとり、更に耳年増、目年増となると
感動する機会は少なくなってしまいます。

歳をとるのは必ずしも悪いことばかりではありませんが、
心が平坦になりすぎるということはあるかもしれません。

が、しかし、
この映画には感動しました。

派手な筋立てがあるわけではありません。
でも、
ものすごく心の琴線に触れてくるのです。

戦後72年経っても、
第2次世界大戦でナチス・ドイツが
行なったことを題材にした映画は作られ続けています。
まだまだ続くのでしょう。

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本作もそうです。
タイトルを見ればわかりますよね。
『ヒトラーへの285枚の葉書』。
オリジナルタイトルは
“Alone in Berlin”ですが――
なかなか深いです。

主人公は北の戦線で一人息子を失い、
ヒトラー政権に対して抵抗し続けた
名もない労働者夫婦。

原作は
ドイツ人作家のハンス・ファラダが
ゲシュタポの記録文書をもとに
1946年
4週間で書き上げたという「ベルリンに一人死す」です。
(赤根洋子訳 みすず書房)。

オットー&エリーゼ・ハンぺル夫妻という
実在の人物をモデルにした小説です。

アウシュヴィッツから生還した
イタリアの作家プリーモ・レーヴィは
「ドイツ国民による反ナチ抵抗運動を描いた最高傑作」
と評しました。

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ハンス・ファラダは
日本ではほとんど紹介されることのない作家でしたし、
ナチス時代には「望ましからざる作家」の烙印を押されました。
しかし、
彼は亡命はせず、独裁体制の始まりから終わりまでを
その目で見続けた作家です。

そして
1946年
戦後ドイツ出発の年に
「ハンペル事件」の秘密文書を
旧ゲシュタポより入手し、
自分自身の目で見た戦時の日常を織り込みながら、
この長編小説を4週間で書き上げました。

それが「ベルリンに一人死す」です。
全精力を注いだからでしょうか、
書き上げてわずか3ヶ月で亡くなってしまいました。

その上、本国では長く忘れ去られていましたが、
死後60年経って英訳されたことで
いま再評価されている作家、ハンス・ファラダ。

ハンス・ファラダ
1893年生まれ。本名ルドルフ・ディッツェン。
26歳で作家デビュー。
その時グリム童話から取って
ハンス・ファラダというペンネームを名乗る。
横領罪で服役後、
地方新聞の記者として取材した農民暴動をもとに
“Bauern,Bonzen und Bomben”(’31)を発表。
大恐慌と不況に見舞われるドイツ人を描いた
“Kleiner Mann,was nun?”(’32)
(「どうする小市民」仮題 今夏みすず書房より近刊)
がベストセラーになり、ハリウッドで映画化。
大戦中、ナチスによって「望ましくない作家」に分類され、
精神的葛藤から極度のアルコール及び薬物依存症に。
1946年に長編「ベルリンに一人死す」を書き上げたが、
3ヶ月後に死去。

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監督はヴァンサン・ペレーズ。
スイス・ローザンヌ生まれのスペインとドイツとのハーフで、
この人もまた
スぺイン側の祖父がファシストによって殺され、
ドイツ人の叔父は17歳の時にソ連戦線で戦死、
(主人公の息子と同じです)
という家族の歴史を持っています。
ヨーロッパでは皆がまだまだ戦争をひきずっているのですね。
それは日本も近隣国も同じことですが。

さあ、一体どんなお話でしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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ヒトラーへの285枚の葉書
監督・脚本/ヴァンサン・ペレーズ、撮影/クリストフ・ボーカルヌ、音楽/アレクサンドル・デスプラ
出演
エマ・トンプソン/アンナ・クヴァンゲル、ブレンダン・グリーソン/オットー・クヴァンゲル、ダニエル・ブリュール/エッシャリヒ警部
7月8日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2016年、独・仏・英、英語、103分、日本語字幕/吉川美奈子、原作「ベルリンに一人死す」(みすず書房)、後援/ドイツ連邦共和国大使館、配給/アルバトロス・フィルム、http://hitler-hagaki-movie.com/

by Mtonosama | 2017-06-30 06:32 | 映画 | Comments(10)
Commented by すっとこ at 2017-06-30 07:49 x
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

エマ トンプソンが いい歳の取り方を
してますね。
ボトックスとかリフトアップとか普通の
女優が加齢に抗ってジタバタするのから

遥か離れて ええシワ具合ですね。
うん。エマらしい。←知り合いか。

原作者のペンネームがグリム童話集
からのハンスですと?

たいていのハンスはお馬鹿でしたね。

ハンスのストーリーに期待してポチっと❣️❣️
Commented by Mtonosama at 2017-06-30 17:48
♪すっとこさん

エマ・トンプソン、素敵でした。エマもすごいんだけど、今回は爺さん嫌いの私にしては珍しく夫を演じたブレンダン・グリーソンにやられました。良かったぁ~。二人とも。あ、そうそう。ダニエル・ブリュールも良かった。今回はやられっぱなしでした。

そうそう、ハンス・ファラダね。池内紀先生によれば、「ペンネームからグリム童話「がちょう番の娘」を思い出す人もいるのではあるまいか。悪い腰元の一部始終をじっと見ていて、首を切られても真実を語り続けた馬の名前がファラダ。そしてハンスはグリムではお馴染み」とのこと。いやぁ、すごい映画でした。

今日もポチッをありがとうございました。
Commented by poirier_AAA at 2017-06-30 20:28
うわっ、これ、本を持ってます。去年のクリスマスに息子が贈ってくれました。(まだ読んでないのが後ろめたい)
贈り物でもらう前からずっと読んでみたいと思っていた本ですが、文庫で700ページもあるので読み切る自信がなくて。こういうときって先に映画を見てしまう手もありますよね。映画に引かれて本も最後まで行きつけるかもしれませんし。

ところで監督のヴァンサン・ペレーズって、あの俳優のヴァンサン・ペレーズなんですね。あの優男俳優(失礼!)がこういう重い素材を映画にしたのかと思うと、すごく意外な気がするんです。これは観てみませんとね。
Commented by ライスケーキ at 2017-06-30 21:51 x
プリーモ・レーヴェと言うと
「遥かなる帰郷」の作者ですね。

大体の映画はアウシュビッツが解放された
シーンで終わるのが多いけれど、
その後を描いた この映画を観て
結構衝撃を受けたの覚えています。

彼が認めた映画、
どんなストーリーでしょう。
Commented by Mtonosama at 2017-07-01 10:59
♪poirierAAAさん

息子さんはこういう本をプレゼントしてくれるんですね。梨の木さんのブログで本をプレゼントしあうというのを見て10歳の男の子はどんな本をママにプレゼントするのかな、と思っていたんです。

ええ、ええ、映画を先にご覧になってください。ハンス・ファラダが命と引き換えに書いた本ですから、じっくりと腰を据えて読むためにも映画から入るのは手かもしれません。

監督さんはかなりハンサムです。でも、祖父や叔父が先の大戦に巻き込まれて亡くなっているということもあって、渾身の作品になっていると思います。すごい映画でした。日本もいろいろきな臭い状況ですが、こういう形で立ち向かうこともあるんですよね。すごいなぁ。
Commented by Mtonosama at 2017-07-01 11:02
♪ライスケーキさん

わ、ライスケーキさんもご縁があったんですね。私はプリーモ・レーヴェの作品は読んでいませんが、この夫婦の活動には胸を打つものがあります。是非、本作もご覧になってください。
Commented by Ich at 2017-07-01 14:54 x
皆さまの知識豊富な語らいに胸躍りました^^
映画楽しみにしています。
Commented by Mtonosama at 2017-07-02 06:34
♪Ichさん

感動しました!すごく良い映画です。
Commented by なえ at 2017-07-02 22:00 x
今日夕方、たまたまついていたある国営放送に、この監督が
高校生と話し合ったというニュースやってました。その高校生が何と知的でしっかりしたな質問をしていて、頼もしかったです。でもほんの一部の人たちなんかなあ。でその会見室?が背景見ただけだけど、倉庫みたいで、これが客を招く部屋か?と唖然。それが高校側の態度だったんかな。

友達が「怪物はささやく」を見に行って、すごくよかったと。ボロボロ泣いてしまったシーンもあって、もう一度観たいと言ってました。
Commented by Mtonosama at 2017-07-03 06:23
♪なえさん

その国営放送は日本の国営放送ですか?高校生は日本の高校生?若い方々は150歳の老女が心配するより知的で賢くいろんなことを考えているのかもしれませんね。

『怪物はささやく』を気に入ったお友達、うれしうございます。あの少年がすごく味があったんですよね。是非是非、お友達が二度目にいらっしゃるときはなえさんもご一緒にいらしてくださいませ。