ヒトラーへの285枚の葉書 -2- Alone in Berlin
ヒトラーへの
285枚の葉書
-2-
Alone in Berlin
(C)X Filme Creative Pool GmbH / Master Movie / Alone in Berlin Ltd /
Pathe Production / Buffalo Films 2016
この映画の原型となったのは
「ハンペル事件」という第2次世界大戦中に
実際にベルリンで起きた事件です。
夫は工場で働き、妻は地区の情宣活動に勤めています。
一人息子が出征していましたが、
北部戦線で戦死してしまいました。
時は1940年6月
ナチス・ドイツ軍パリ入城。
まさにヒトラーの絶頂期であり、
北欧からアフリカに至るまで
ハーケン・クロイツが翩翻(へんぽん)と翻る時代でした。
ストーリー
1940年、ナチス・ドイツのパリ入城の知らせに沸き立つベルリン。
軍需工場に勤めるオットーと
国家社会主義女性同盟メンバーのアンナの
クヴァンゲル夫妻は小さなアパートで静かに暮らしていた。
そんな二人の許に飛び込んだ一人息子ハンスの訃報。
ふたりは深い喪失感に沈み込む――
やがて、
オットーはポストカードにメッセージを書き始める。
「総統は私の息子を殺した。
彼はあなたの息子も殺すだろう」
四角い文字で一字一字丁寧に書き記す。
翌日オットーはアンナと共に
そのメッセージを記した葉書を
ビルの階段に置いて立ち去る。
これが、
ナチ政権への不信と憤りに固まったクヴァンゲル夫妻の
ささやかな抵抗の始まりだった。
その後も黙々とメッセージを記すオットー。
アンナも国家社会主義同盟の活動を抜け出し、
カードの配布を手伝う。
それは
見つかれば死に直結する国家への反逆行為だった。
市民からの通報を受けた捜査に乗りだした
ゲシュタポのエッシャリヒ警部は
犯人の特定に手こずっていた。
ベルリン各地で発見された葉書は既に120枚以上。
ナチ親衛隊の大佐から事件の早期解決を促された
エッシャリヒ警部はカードの分布状態を分析し、
犯人の住まいをアレクサンダー広場に近い筈と推理する。
夫妻は用心深かった。
移動には複数の路面電車を乗り継ぎ、
指紋も決して残さない。
エッシャリヒ警部もそれ以上の手がかりを
見つけ出すことはできなかった。
ある日、部下が誤認逮捕した容疑者を釈放したエッシャリヒ警部は
そのことで親衛隊大佐から激しく咎められ、
屈辱的な仕打ちを受けた。
彼もまた言いようのない怒りや虚しさを感じる一人となる。
「現政権下では幸せはない」
「今の体制を倒そう」
オットーとアンナはゲシュタポや親衛隊の監視の目が光る
ベルリンの街になおも葉書を置いて回っていた。
だが、落とし穴は
思いがけないところに口を開けていたのだ……
葉書を置いて回る――
地味な事件です。
夫妻が置いた285枚の葉書は殆どが市民の手によって
ゲシュタポに届けられました。
でも、その葉書をそっとポケットにしまった市民も
10数人ですが、いたのです。
一人息子を奪われたオットーとアンナ、
教育もノーハウもあるわけではない平凡な夫妻が
巨大な権力に、葉書で立ち向かっていきました。
象に立ち向かうカマキリよりも無力です。
それなのにこの言いようのない感動はなんでしょう。
共謀罪が成立し、
この映画のような状況が他人事とは思えないからでしょうか。
無力と思えた一介の初老の夫婦が
死を賭けて抵抗に立ち上がったからでしょうか。
オットーを演じたブレンダン・グリーソン、
アンナを演じたエマ・トンプソン、
エッシャリヒ警部のダニエル・ブリュール。
入魂の演技です。
素晴らしい映画でした。
とのの消えかけている勇気の炎に
そっと手をかざして守ってくれる――そんな作品でした。
終
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☆7月3日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆
ヒトラーへの285枚の葉書
監督・脚本/ヴァンサン・ペレーズ、撮影/クリストフ・ボーカルヌ、音楽/アレクサンドル・デスプラ
出演
エマ・トンプソン/アンナ・クヴァンゲル、ブレンダン・グリーソン/オットー・クヴァンゲル、ダニエル・ブリュール/エッシャリヒ警部
7月8日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2016年、独・仏・英、英語、103分、日本語字幕/吉川美奈子、原作「ベルリンに一人死す」(みすず書房)、後援/ドイツ連邦共和国大使館、配給/アルバトロス・フィルム、http://hitler-hagaki-movie.com/
あぁ彼らは生き延びられたのでしょうか?
これは是非読まないと、観ないと、でありますね。
私達も、カマキリにならなくちゃあ、
と思う時があります。
でも、「言うは易し、成すは難し」です。
彼等の行動はどんな結果に
なったのでしょう。
Must see movie ですね。
ゲシュタポの追跡、冷静な初老夫婦の行動。
地味でありながら必死の覚悟を秘めた行動をエマ・トンプソンとブレンダン・グリーソン、そして追う側のダニエル・ブリュールが好演しています。好演などという甘っちょろい言葉では足りない胸に迫る演技であり、作品です。
息子さん、本当に良い本をプレゼントしてくださいましたね。
あまりに重い内容らしいので 暑い夏の盛りに
観に行くことは耐えられない。。と考えておりましたが
やはり、なんとかしなくちゃですね。
きょうふと見た雑誌の8月号にも、この映画の紹介がカラー写真入りで出ていました。
『午後8時の訪問者』も、しばらくして横浜の映画館にかかりましたので
この映画も、横浜まで来てくれると期待して待ちたいと思います(^0^)/
毎日、暑いですね。
殿様も、お体ご自愛くださいませ。
ひかちゃんも、お昼寝、たくさんしてくれるといいですネ。
ぜひ見に行きとおす。「怪物はささやく」でボロボロ泣いた
友達を誘ってもいいなあ。
でも結末は残酷って!?それを見るのは恐い。それだったら、本を買って読む方がいいかも。
「消えかけている勇気の炎に そっと手をかざして守って
くれる」・・・何て美しい心のふるえるような表現!
とのさま、お互い勇気の炎を消さないように、150歳の
震える手でかばい合いましょうね(涙)
そうなんです。150歳の手はブルブル震えるんです・・・
違うって(笑)
早く映画が見に行けるくらいの時間ができるようになるといいですね。
私は今日シネコヤで『チョコレートドーナツ』を観てくるつもりです。
2回目ですが。