ブルーム・オブ・イエスタデイ -2- Die Blumen von Gestern
ブルーム・オブ・イエスタデイ
-2-
Die Blumen von Gestern
(C)2016 Dor Film-West Produktionsgesellschaft mbH / FOUR MINUTES Filmproduktion GmbH / Dor Filmproduktion GmbH
ナチスに関連した映画なのに深刻じゃない!
『午後8時の訪問者』(ダルデンヌ兄弟監督)の
http://mtonosama.exblog.jp/27700664/ http://mtonosama.exblog.jp/27709291/
真面目な女医さんを演じたアデル・エネルが化けた!
そして
『4分間のピアニスト』の監督が本作を!?
と、ビックリマーク大行進の映画。
いやあ、
女優も監督もテーマも
色んな顔を持つものです。
ストーリー
ホロコースト研究所に勤めるトトはトラブル続き。
そもそも彼が研究者として認められたのは
ナチス親衛隊の大佐だった祖父を告発した本を
書いたのがきっかけ。
世間からは認められたものの、家族からは絶縁されていた。
祖父の問題に真剣に向き合い過ぎて
精神の安定を失い、妻との関係も破綻。
その上、
信頼していた教授によって
「君はすぐに感情的になるから」と
アウシュヴィッツ会議のリーダーも外されることに。
教授に言われるそばから
彼に代わって任命されたバルタザールに殴りかかり、
ケガを負わせ、またまた悪いことには
それを見ていた教授が発作を起こし、急死。
カリカリ、イライラ
最悪の精神状態でシュツットガルト空港に向かうトト。
フランスから来るインターンのザジを出迎えるためだ。
彼女は「あなたがあの本の作者なのね」と、
トトの下で研修することに大感激。
と、
トトの乗ってきた車がベンツと知るや興奮。
「祖母はベンツのガス・トラックで殺されたのよ」
気分屋のザジはさらに
トトに代わってリーダーとなったバルタザールの
恋人だと告白したのだった。
翌日、バルタザールの主導でアウシュヴィッツ会議の準備が再開。
だが、トトは商業主義に走るバルタザールに我慢がならない。
そんなトトにバルタザールはホロコーストの生還者で
女優のルビンシュタインにザジと一緒に会いに行くように指示。
が、またもや問題を起こすトト。
「被害者の苦しみを話すより、人生の成功について話したいわ」
と言うルビンシュタインにマジギレ。
彼女を怒らせてしまったのだ。
彼女が出席しなければ
アウシュヴィッツ会議は開催できない。
追い詰められ、慰めを求めた妻にも裏切られヤケッパチ。
ネオナチの男たちに喧嘩を売って
ボコボコにされたところをザジに助けられるトトだったが……
構えて映画に臨んだところ、
え、なんなの?と対応に困ってしまいました。
笑うに笑えない。
怒りの拳を振り上げようとしたら、
「アイスでも食べない?」と笑いかけられた気分。
孫の世代になると怒りや深刻さは影を潜めていくものなのでしょうか。
日本人はどんな悲惨な過去もすぐに忘れてしまうけれど、
ヨーロッパの人々は絶対に忘れはしないと言われてきました。
実際、罪に対しては厳格な人々なんだ、と思っていましたから。
でも、監督は言っています。
「何十年もの間、ホロコーストについて語られてきたはずなのに、
いま右翼が台頭している。
私が言いたいのはまだ解決していない問題と
語られ過ぎたことがあるということ。
ホロコーストについてはたくさん語られてはいるけれど
誰もそれを自分の家族のこととして考えていないということだ。
『うちのおじいちゃんは良い人だったんだけれど、
他に悪い人がいてやったんだ』というような。
それでは問題に直面したことにはならないんだ」
う~ん、わかるような気はするんですけど。
本作はナチス映画への見方を変える
はじめの一歩の映画なのかもしれません。
終
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ブルーム・オブ・イエスタデイ
監督・脚本/クリス・クラウス、プロデューサー/ダニ・クラウス、カトリン・レンメ、クリス・クラウス、ゲルト・フーバー、クルト・シュトッカー
撮影/ソニア・ロム
出演
ラース・アイディンガー/トト・ブルーメン、アデル・エネル/ザジ・ランドー、ヤン・ヨーゼフ・リーファース/バルタザール・”バルティ“・トーマス、ハンナー・
9月30日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
2016年、ドイツ・オーストリア、ドイツ語・フランス語・英語、カラー、126分、字幕/吉川美奈子、配給/キノフィルムズ・木下グループ
http://bloom-of-yesterday.com/
原題とかけ離れた邦題はいかがなものか?
とさんざん吼えてきたすっとこですが
予告編の
「昨日の花が 明日を輝かせる」という
のは原題を美しく補足してますね!
分かりやすいし 良いと思いまーーーーす❣️
おお、お賞めにあずかりうれしゅうございます。
そうなんですよね。よっぽどでない限り、オリジナルタイトルでもいいのにね。
この映画は原題がそのままタイトルになっていて良いですわね。
でも、最近ナチ関連の映画がとても多いように思います。
いろいろな切り口があるんですね。
でも、「ナチスの手口を学んだらどうか」
なんて言っている政治家がいたり、
ヒトラーの亡霊が現れるような日本では
困ります。
日本これから どうなるのでしょう。
まともなリーダーはいないのでしょうか。
戦争のことを話しにくくなってしまった国もありますものね。話せなくなってしまうというのが、いちばん厄介だと思います。
ある種のタブーだった気がします。
いろんな切り口、いろんな考え方、いろんな人生・・・
ひとつにこだわるのではなく、いろんな視点から眺め、
冷静に対応できる自分でありたいと思います。